生ごみからエネルギー ~バイオガス発電の効果を考える~

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Presentation transcript:

生ごみからエネルギー ~バイオガス発電の効果を考える~ 生ごみからエネルギー   ~バイオガス発電の効果を考える~ 慶応義塾大学 商学部              吉岡研究会 

はじめに 京都議定書によると・・・ 【環境問題の現状把握】 日本は地球温暖化防止のため、 温室効果ガスの排出量を 二酸化炭素(CO₂)換算で 基準年比の6%削減する必要がある。

温室効果ガス総排出量の推移 日本の温室効果ガス排出量(百万t -CO₂換算) 1990年:11億8720万t-CO₂ 出所:環境省HP 日本の温室効果ガス排出量(百万t -CO₂換算)        1990年:11億8720万t-CO₂        1995年:13億2690万t-CO₂ 2000年:13億3670万t-CO₂

部門別CO₂排出量(1995年) 電力・ガス・熱供給 28.19% 運輸 15.79% 鉄鋼 7.34% 民間消費支出 11.37% 窯業・土石製品 7.59% 運輸 15.79% 鉄鋼 7.34% 電力・ガス・熱供給 28.19% 『環境分析用産業連関表』より作成

日本のCO₂の排出量のうち 電力・ガス・熱供給部門からの排出が 約3割という最も高い割合を占めている →電力部門の排出量を削減することが重要 →既存の電力設備に代わる  二酸化炭素の排出量の少ない  クリーンな電力設備を導入すれば  よいのではないだろうか?

主なクリーンエネルギー ・太陽光 ・風力 ・バイオガス 天候の影響を受ける ・・・生ごみ・木材・家畜のふん尿等を 発酵した際に発生するガス。   ・太陽光   ・風力   ・バイオガス 天候の影響を受ける ・・・生ごみ・木材・家畜のふん尿等を 発酵した際に発生するガス。 利点:天候の影響を受けない 欠点:ガスの原料を輸送する時の費用・環境負荷       技術的問題

家庭から出る生ごみから バイオガスを発生させて発電すれば、 ごみを減らし、 エネルギーを作り出し、 CO₂の排出量を削減できる のではないか?

バイオガス発電 発酵 バイオガス (約6割がメタン,残りがほぼCO₂ )  発電 CO₂ (バイオガスとほぼ同量) 電気

分析手法について 1.バイオガス発電 京都府八木町のバイオガスプラント についてのデータを用いる 2.計算モデル  分析手法について 1.バイオガス発電 京都府八木町のバイオガスプラント についてのデータを用いる 2.計算モデル 1995年環境分析用産業連関表により推計 されたCO₂排出量のデータを用いる

産業連関表 中間需要 最終需要 輸入 国内 生産額 中間投入 付加価値 国内生産額 供給部門 需要部門 農業 工業 商業・運輸 消費 投資     需要部門   供給部門 中間需要 最終需要 輸入 国内 生産額 農業 工業 商業・運輸 消費 投資 輸出 中間投入 20 30 10 15 13 6 -25 69 5 16 7 -20 73 50 35 155 付加価値 雇用者所得 1 3 営業余剰 2 9 40 その他 国内生産額

:生産誘発額ベクトル             :単位行列(対角要素のみが1の行列)             :輸入係数を対角化した行列             :投入係数行列             :国内最終需要額ベクトル             :輸出ベクトル

環境分析用産業連関表

以下のモデルを用いて推計された CO2排出量データを利用する :j部門のみを1,それ以外を0とするベクトル  以下のモデルを用いて推計された  CO2排出量データを利用する        :第j部門の国内生産額1単位あたりCO2排出量          :j部門のみを1,それ以外を0とするベクトル       :生産単位あたりCO2排出量ベクトル       :第j財を1単位燃焼させたときに排出されるCO2排出量ベクトル

分析の流れ バイオガス発電 1.プラント建設 2.収集 3.メタン発酵 4.発電(既存発電を減らす) 現状 1.焼却所建設 2.収集 3.焼却 4. 既存設備による発電 各プロセスでのCO2の量を 合算し比較する

《生ごみのバイオガス発電》 1.バイオガスプラントの建設について  《生ごみのバイオガス発電》 1.バイオガスプラントの建設について バイオガスプラント 建設費用:5億6800万円 耐用年数:20年 1日27.2tの生ごみを処理 →1年で約1万t処理 建設時のCO2排出量は71.74t-CO2 /年 生ごみ焼却施設 13億6000万円 (1年で約1万tの生ごみを処理する施設の場合) 建設時のCO2排出量は 約171.768t-CO2 /年

2.生ごみの収集 (1日における8台の総走行距離:233.4km)

3.メタン発酵 バイオガス発電に用いられる発電原料は家庭の生ごみとする 1㎥の生ごみから約32.29 ㎥ のバイオガスが発生する

4.バイオガス発電 ・バイオガスの熱量:5,500kcal/㎥ ・バイオガス発電効率:35% (←生ごみ発電の場合15%) ・発電量を事業用発電と代替してCO₂を削減できる。 ・バイオガスは発電後ほぼ同量のCO₂となる。 →1年で生ごみ1万tを処理すると 約1,000t-CO₂発生

生ごみ処理時のCO2 削減量 1年間に1万tの生ごみを処理する場合 削減量は3163t-CO2

日本全土の生ごみを全てバイオガス発電に用いたシュミレーション結果 バイオガスによる発電量は、日本全体の発電量の約0.22%を占める(1995年比) 1KWhを発電するのにかかる費用は47.1円 cf.太陽光発電は181.4円 1年間のCO₂削減量は   1995年の日本の排出量の0.28%

まとめ ・生ごみを利用して、バイオガス発電により 日本全体の発電量の約0.22%をまかなえる ・バイオガス発電を行ったほうが 現状の生ごみ焼却・発電よりCO₂を削減できる ・バイオガス発電の費用は太陽光発電より安い →バイオガス発電の導入を 推進すべきではないか