基本情報技術概論(第9回) 埼玉大学 理工学研究科 堀山 貴史 2009/12/16 基本情報技術概論 (第9回) 計算機システム 埼玉大学 理工学研究科 堀山 貴史 2008/01/23
計算機システムの信頼性
フォールト トレラント (fault tolerant) 用語集: 信頼性の高いシステム ___________ フォールト トレラント (fault tolerant) 一部が故障しても、本来の機能を維持する 例) 連続稼動が必要なシステム、人命にかかわるシステム フェイル セーフ (fail safe) 故障が発生した時に、安全を維持する 例) エレベータのブレーキ制御が故障したら、自然とブレーキがかかる フェイル ソフト (fail soft) 故障が発生しても、(機能が全面停止せずに) 必要最小限の機能を維持する 例) 飛行機のエンジンが故障しても、滑空して緊急着陸する ___________ ___________
用語: バスタブ曲線 初期故障 → 偶発的な故障 → 消耗故障 → 故障頻度 時間
システムの信頼性評価の指標 (RASIS) Reliability (信頼性) Availability (可用性) Serviceability (保守性) Integrity (保全性) Security (機密性) 故障しにくいこと → MTBF (平均故障間隔) 稼働率が高いこと 障害から回復しやすいこと → MTTR (平均修理時間) データ破壊や不整合が 起こりにくいこと 不正アクセスがされにくいこと
システムの稼働率 平均故障間隔 (Mean Time Between Failure) 平均修理時間 (Mean Time To Repair) 稼働率 = ___________ MTBF MTBF + MTTR 稼動 故障 稼動 故障 ・・・ MTBF MTTR
直列構成のシステム 稼働率 = Aの稼働率 x Bの稼働率 システム A システム B 稼働率 0.9 稼働率 0.8
並列構成のシステム 故障 = Aが故障 ∧ Bが故障 稼働率 = 1 - ( 1 - Aの稼働率 ) x ( 1 - Bの稼働率 ) システム A 稼働率 0.9 システム B 稼働率 0.8 故障 = Aが故障 ∧ Bが故障 稼働率 = 1 - ( 1 - Aの稼働率 ) x ( 1 - Bの稼働率 ) 例) 1 – (1 - 0.9) x (1 - 0.8) = 1 – 0.1 x 0.2 = 0.98 注: 稼動状態を全部考えても良い A 稼動 B 稼動、A 稼動 B 故障、A 故障 B稼動 0.9 x 0.8 + 0.9 x 0.2 + 0.1 x 0.8 = 0.98
直列と並列の混ざったシステム B C A D 部分ごとに、順番に稼働率を計算
以下のシステム全体としての稼働率はいくらか。 ここで、A ~ C の稼働率は、すべて 0.8 とする。 練習: システムの稼働率 以下のシステム全体としての稼働率はいくらか。 ここで、A ~ C の稼働率は、すべて 0.8 とする。 (H19年度 秋) A B C
イ. MTBF, MTTR をそれぞれ半分にする。 ウ. MTBF を 2倍にし、MTTR を半分にする。 練習: システムの稼働率 稼働率が大きくなるのものはどれか。 ア. MTBF, MTTR をそれぞれ 2倍にする。 イ. MTBF, MTTR をそれぞれ半分にする。 ウ. MTBF を 2倍にし、MTTR を半分にする。 エ. MTBF を半分にし、MTTR を 2倍にする。 (H18年度 秋) ウ
計算機 アーキテクチャ
コンピュータの構成 (第1回の復習+α) CPU 主記憶 (main memory, メモリ) に、 プログラム と データを置く 制御装置 コンピュータの構成 (第1回の復習+α) CPU 主記憶 (main memory, メモリ) に、 プログラム と データを置く 制御装置 演算装置 入力装置 主記憶装置 出力装置 補助記憶装置 プログラムとデータの 保存・蓄積 電源を切ると消える
コンピュータの構成 (第1回の復習) 制御装置 主記憶装置のプログラム(命令)を取り出し、 解読し、その結果をもとに他の装置を制御する コンピュータの構成 (第1回の復習) 制御装置 主記憶装置のプログラム(命令)を取り出し、 解読し、その結果をもとに他の装置を制御する 演算装置 算術演算や論理演算、条件分岐用の比較などデータに対する演算を実行する 記憶装置(主記憶装置、補助記憶装置) プログラムやデータを記憶する 入力装置 … コンピュータ外部から入力 出力装置 … コンピュータ外部へ出力 CPU
補助記憶装置
補助記憶装置 半導体メモリ、フラッシュメモリ 磁気ディスク 光ディスク テープ 比較的 高速 半導体メモリ、フラッシュメモリ USB メモリ、SDメモリ、メモリースティック、 SSD (Solid State Drive) 磁気ディスク フロッピィ ディスク、ハードディスク 光ディスク CD (CD-ROM, CD-R, CD-RW) DVD Blu-ray Disc テープ 磁気テープ 読込のみ 1回だけ書込可能 比較的 低速 何度でも書込可能
ハードディスク セクタ トラック シリンダ ヘッド 磁気 ディスク ___________ 記録はセクタ単位 トラックを分割 ディスクを同心円で分割したもの シリンダ 同じ位置のトラックをまとめたもの ___________ ___________
ディスクの計算 アクセス時間 データの伝送時間 や 記憶容量 位置決め時間 : ヘッドを目的のトラックまで移動 暗記するのではなく、 考え方を理解してください ディスクの計算 アクセス時間 位置決め時間 : ヘッドを目的のトラックまで移動 回転待ち時間 : 目的のセクタがヘッドまで回転 (平均して、1/2 回転分を待つ) データ転送時間 : データを実際に転送 データの伝送時間 や 記憶容量 「りんご」が 7個 「りんご」を 3個ずつ「カゴ」に入れる 「カゴ」を 2個ずつ「箱」に入れる 何箱必要? 待ち 時間 データ _______ セクタ トラック ___________
RAID RAID0 (ストライピング) 複数のハードディスクを組み合わせて、 仮想的に1台の大きなハードディスクに見せる RA I D の R は Redundant → 冗長性を持たせて、障害に強く データを、複数のディスクに分散 (高速なアクセス) 耐障害性がない (厳密には RAID ではない) RAID0 (ストライピング) ___________ RAID コントローラ データ A B C D E F A B C D E F
RAID1 (ミラーリング) ___________ 同じデータを、複数のディスクに書き込む RAID1 (ミラーリング) ___________ 同じデータを、複数のディスクに書き込む ディスクの利用効率が悪い (例では、全容量の約半分) 耐障害性は向上 RAID コントローラ A A データ B B C C A B C D E F D D E E F F
RAID5 ___________ ストライピング (データを、複数のディスクに分散) パリティ (1つ故障しても、パリティを利用して復旧) ストライピング (データを、複数のディスクに分散) パリティ (1つ故障しても、パリティを利用して復旧) 耐障害性が高い / ディスクの利用効率が良い 読み込みは高速、 書き込みはパリティを計算するので低速 データ RAID コントローラ A B C D E F A B p C p D p E F
RAID0の説明として、適切なものはどれか。 ア. 高価ではあるが信頼性の高い磁気ディスクを複数台 制御し、主として大容量化を目指している。 イ. 細分化したデータを複数の磁気ディスクに巡回的に 並列入力することによって、転送速度の向上を図って いる。 ウ. 冗長な磁気ディスクを必要とせず、各ブロックごとに CRC によるエラー訂正を行っている。 エ. 廉価な複数の磁気ディスクで構成し、OS による制御 で信頼性と高性能化を図っている。 (H13年度 春) イ
生協やパソコンショップのカタログなど、 身近なところで機械を探してみてください 入出力装置 生協やパソコンショップのカタログなど、 身近なところで機械を探してみてください
入力装置 (文字、数字) キーボード OCR (Optical Character Reader) 手書きの文字を読み込む 例) 郵便番号 OMR (Optical Mark Reader) マークシートを読み込む バーコード リーダ QRコード リーダ QR コード バーコード
入力装置 (座標 / 画像) 座標 マウス ジョイスティック タブレット、ディジタイザ 画像 スキャナ デジタルカメラ etc 画素数 ペンと、位置入力用の板 画像 スキャナ デジタルカメラ etc 画素数 画像は点の集まりとして扱われる 横 2,592 x 縦 1,944 ≒ 500万画素 5 M ピクセル ともいう
出力装置 プリンタ ディスプレイ dpi (dot per inch) 1 インチ (2.54 cm) 当たりの点の数 横 2,400 dpi 縦 1,200 dpi … 1辺 1インチの正方形に 2,400 x 1,200 = 288万個の点 プリンタ レーザ プリンタ インクジェット プリンタ 熱転写プリンタ ドットインパクト プリンタ プロッタ ディスプレイ CRT ディスプレイ LCD ディスプレイ (液晶ディスプレイ) PDP (プラズマ ディスプレイ パネル) 電子ペーパー
インタフェース IDE、EIDE … PC内蔵型のハードディスクなどを接続する SATA … PC内蔵型のハードディスクなどを接続する … 2つのモノの間をとりもつ 仕組み/規格 インタフェース IDE、EIDE … PC内蔵型のハードディスクなどを接続する パラレル インタフェース SATA … PC内蔵型のハードディスクなどを接続する シリアル インタフェース USB (Universal Serial Bus) 汎用のシリアル インタフェース ハブを介してツリー状に機器を接続可能 IEEE 1394 FireWire、iLink とも呼ばれる シリアル インタフェース Bluetooth … 無線インタフェース IrDA … 赤外線短距離通信インタフェース
ユーザ インタフェース C U I (Character User Interface) 文字を使ってコマンドを入力する G U I (Graphical User Interface) メニューやアイコンを使って操作する
練習: データ量 横 25.4 cm、縦 38.1 cm の画像を、解像度 600 dpi、24 ビット の色情報を指定してスキャナで読み込むと、データ量は約 何 M バイトになるか。ここで、1 インチは 2.54 cm とする。 (H17年度 春) 162
練習: 転送速度 データ転送速度が 15 Mバイト/秒の PC カードを用いるとき、 1,000 x 750 画素の画像は、1 秒間に約何枚転送できるか。 ここで、画像は圧縮せず、1 画素は 24 ビットで表すものと する。 (H16年度 秋) 6.7 枚
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