かなた望遠鏡による NGC2264の可視赤外同時観測

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かなた望遠鏡による NGC2264の可視赤外同時観測 博士課程前期 1年 広島大学 宇井崇紘

もくじ Introduction 観測 観測結果 まとめと今後 ・HOWPol、HONIRの観測 ・T Tauri star ・AA Tauri 観測 ・HOWPol、HONIRの観測 観測結果 まとめと今後

Introduction ・原始星(YSO)が多数存在 ・地球から比較的近い(760pc) ・1Myr~3Myrの年齢 ・NGC2264は星形成領域として知られている ・地球から比較的近い(760pc) ・1Myr~3Myrの年齢 ・原始星(YSO)が多数存在 今回はT Tauri型星を ターゲットに観測 Astro Artsより ESOで撮られたNGC2264

原始星から主系列星までの進化 Class 0 ・質量降着が起こっている ・天体からの可視光は見られずサブミリなどで観測 T Tauri 型星 ・中心星は分子雲で深く埋もれている ・双極分子流が放出されている ・ダストからの赤外放射が良く確認される Class Ⅱ ・質量降着や双極分子流が落ち着く ・中心星が可視光で確認 ・厚いdisk成分が存在し赤外線での放射 Class Ⅲ ・disk成分が薄くなる ・中心星からの成分が卓越する ・X線で放射するものが多い

T Tauri 型星の特徴 ・低質量星(<3M☉) ・Hαの輝線が卓越している。 ・Hαの等価幅<10Å ・class IIIに相当 Weak line T tauri Classical T tauri ・Hαの等価幅<10Å ・class IIIに相当 ・星周物質がほとんどなく、光球からの放射が卓越している ・Hαの等価幅>10Å ・Liの吸収線が見られる。 ・星周物質からの赤外放射が存在。 ・変光を示す。 NGC2264領域のCTTSを大きく3つの変光パターンに分類 (Alencar +2010)

・天体の自転周期に対応して変光が観測される 変光のパターン1 恒球のcool spot や hot spot による変光 cool spot hot spot ・天体の自転周期に対応して変光が観測される

AA Tau like star 変光のパターン2 星周物質の掩蔽に よる変光 ・磁場に沿って星周物質が落ち込み、めくりあがりのような構造をしていると考えられている。 ・磁場で星周物質と恒球がconnection しており天体の自転と共に掩蔽が起こると考えられる。

偏光パターン3 ? ライトカーブが複雑で周期的な変動がみられないもの 多様性のある 変動

AA Tauri型星 T Tauri型星の中でも特徴的なライトカーブを示し、特異な天体であるとされてきた。 AA Tauri型星 T Tauri型星の中でも特徴的なライトカーブを示し、特異な天体であるとされてきた。 近年衛星による観測で密なライトカーブを得られるようになると、多数見つかるようになった。 Alencar et al (2010)ではNGC2264領域にあるT Tauri型星の中でAA Tauri型星は約30%存在すると考えられている。 その特徴的なライトカーブからT Tauri型星のより内部構造へのアプローチとして期待されている。  AA Tauri likeな天体のモニター観測はほとんど行わ    れていない。

AA Tau like な天体を可視と赤外 でモニターすることは非常に重要! 可視光で恒球からの放射 近赤外線でdiskからの放射 Motivation AA Tau likeな天体を可視、近赤外でモニター観測することにより、周期変動を明らかにし、追観測へつなげる。 最終的には偏光モードでもモニターする。 時間変動するので、可視、近赤、偏光のモニター観測 出来る”かなた”での撮像は非常に有効

観測 東広島天文台のかなた望遠鏡を用いて、 可視:HOWPol(V,R,I,Z) 近赤外線:HONIR(J,H,K) で1月23日~1月31日まで観測 毎日2時間毎にNGC2264の観測開始の18時から沈んでしまう27時まで、HONIR とHOWPolで観測 23日 2回観測 24日 3回観測 25日 4回観測 26日 27日 1回観測 29日 30日 31日

観測 可視と赤外が同時に撮れないので、HOWPolとHONIRを交互に回して撮る→可視と赤外で30分ほどのズレ 55949.5591952 55949.5734 55949.6575486 55949.6655 55949.7714222 55949.8036 55950.4303951 55950.4211 55950.502257 55950.5106 55950.6026765 55950.5911 55951.4710319 55951.5027 55951.5122873 55951.5933 55951.5839317 55951.6874 55951.6686668 55951.7460 55952.4430368 55952.5702 55952.5543118 55952.6678 55953.4519 55955.4920237 55955.4817 55955.7198515 55956.4326847 55956.4202 55956.5156018 55956.5395 55956.6599595 55956.6510 55956.7235621 55956.7319 観測 可視と赤外が同時に撮れないので、HOWPolとHONIRを交互に回して撮る→可視と赤外で30分ほどのズレ スクリプトなどで、dead time の時間短縮

観測 ・1つの視野に4つのAA Tau like と思われる天体(alencar +2010)を入れ、それぞれ測光した ・解析はiraf でaperture 測光をした。 ・比較星は(Kearns+1997) より決定 HOWPol の画像 2 15′ 4 1 3 15′

“2MASS J06405118+0944461” “LR Mon” 青 Iバンド 緑 Rバンド 赤 Vバンド “MM Mon” “V359 Mon”

14/18 近赤外装置HONIR で撮像 3 2 4 10′ 1 10′

“2MASS J06405118+0944461” 近赤外 “LR Mon” 青 Kバンド 緑 Jバンド 赤 Hバンド “MM Mon” “V359 Mon”

“LR Mon” “2MASS J06405118+0944461” 緑 Kバンド(+2) 赤 Vバンド 緑 Kバンド(+3) 赤 Vバンド “MM Mon” “V359 Mon” 緑 Kバンド(+3) 赤 Vバンド 緑 Kバンド(+2.5) 赤 Vバンド

可視では変光が見られるが、近赤外ではほぼ変光していない 議論 V359 Mon 緑 K+3 赤  V 可視では変光が見られるが、近赤外ではほぼ変光していない 星周物質による掩蔽 前半と後半で可視の減光が見られる 自転の周期が見えているか?→HOWPolで今後も観測していく 自転周期? 星周物質 による掩蔽 星周物質 による掩蔽

V359 Mon 可視のライトカーブ ・可視のモニターは約90日行っていたが、~1日の変光を示すため、本観測から1日2点以上の測光は必要 追観測に向けた評価 ・可視のモニターは約90日行っていたが、~1日の変光を示すため、本観測から1日2点以上の測光は必要 ・より短時間での観測については、同時観測が必須。 ・偏光モードでの撮像に関しても同様の時間スケールで行う 赤 Vバンド 緑 Rバンド 青 Iバンド

まとめと今後 東広島天文台のHOWPolとHONIRを用いてNGC2264 領域を1月23日~1月31日まで可視赤外同時観測を実施 AA Tauri型星のライトカーブを描き、“MM Mon”, “V359 Mon”の変動を確認、可視と近赤外線による 観測から→掩蔽による変動 追観測に向けた指針が得られた。 今後 ・ 解析の自動化する ・今回得られたデータの解析をする ・HONIRが再装着後、偏光モードでも観測モニターする

T Tauri 型星の描像 T Tauri like starsは強い磁場が観測 磁場を伝わって降着 Hartmann Lee T Tauri like starsは強い磁場が観測 磁場を伝わって降着 Accretion disk からの降着によりホットスポット形成 Accretion disk に沿って降着物質が落ち込む際にwarpと呼ばれるものが形成されると考えられている