バスの規制緩和と対策 岩手県立大学総合政策学部 元田 良孝.

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バスの規制緩和と対策 岩手県立大学総合政策学部 元田 良孝

発表内容 バスの規制緩和 バス対策の課題 事例紹介

バスの規制緩和と背景 道路運送法の一部改正              14年2月1日から施行 保護・規制 →  自由競争 背景                       規制緩和の流れ、内部補助の限界

バス輸送の推移

バス規制緩和の内容 従来 免許制:需給調整に基づき排他的 参入・撤退は制約 過当競争の防止、採算路線と不採算路線の内部補助 従来                       免許制:需給調整に基づき排他的           参入・撤退は制約         過当競争の防止、採算路線と不採算路線の内部補助 緩和後                      許可制:参入・撤退は自由         

補助制度はどうなったか(従前) 内部補助・・黒字路線からの補填 地方バス路線維持費補助金         ①第2種生活路線(乗車密度5~15人)   赤字補填  国1/2、県1/2       ②第3種生活路線(乗車密度5人未満)    赤字補填  国1/4,県1/4、市町村1/2 ともかく何とか補助していた

補助制度はどうなったか(新) 内部補助なし・・路線毎の採算 バス運行対策費補助金            広域的・幹線的路線のみ            赤字補填 国1/2、県1/2        不足分は市町村 広域的・幹線的路線以外は対象外に! 枠組みは地域協議会で決定

その結果何が起こっているか 都市部 参入の自由・・ 競争原理の発生 多様なバスサービスの可能性 都市部                      参入の自由・・                 競争原理の発生               多様なバスサービスの可能性 地方部                      撤退の自由・・                 経済原理の発生               赤字路線からの撤退

地方部での路線撤退 地方部のほとんどが赤字路線 広域的、幹線的以外の路線は補助なし バス事業者の撤退 やーめた 地域住民の不安 広域的、幹線的以外の路線は補助なし  バス事業者の撤退 やーめた 地域住民の不安 自治体の困惑と苦悩

岩手県の場合

撤退路線(15.7.31現在)

対策は? 廃止 自治体の廃止代替バス           ①自主運行(80条バス)          ②運行委託(21条バス) NPOなどによるバス自主運行

バス対策の課題 自治体のノウハウ欠如 既存路線存続でいいのか コミュニティバスの落とし穴 採算性と補助 その他バスとの連携 運行形態 住民の自主的参加

自治体のノウハウ欠如 今までバス会社と運輸局にお任せ いきなり考えろと言われても・・ 担当部局なし 人材不足 ノウハウ不足 いきなり考えろと言われても・・         担当部局なし                  人材不足                    ノウハウ不足 バス会社に対抗できない

既存路線存続でいいのか 既存路線・ダイヤ存続を考える自治体多い ・・しかし 事業者の考える最適路線 ≠ 地域住民の最適路線 既存路線・ダイヤ存続を考える自治体多い    ・・しかし                     事業者の考える最適路線 ≠        地域住民の最適路線 事業者は採算性重視 しっかりした需要調査が必要

コミュニティバスの落とし穴 コミュニティバス 狭義には循環型、低運賃、小型、バリアフリー、停留所間隔短い、等の特徴 コミュニティバス                狭義には循環型、低運賃、小型、バリアフリー、停留所間隔短い、等の特徴 しかし・・                     コミュニティバスは都会の手段       路線設定の間違い              2時間を超える循環             役場、病院など関連のない路線設定

採算性と補助 採算は過疎地では考えない方がよい どれだけ赤字を少なくするかが問題 赤字補助はモラルハザード(倫理欠如)を生みやすい   どれだけ赤字を少なくするかが問題 赤字補助はモラルハザード(倫理欠如)を生みやすい どこに運行を委託するのか

その他バスとの連携 スクールバス 福祉バス 患者輸送バスなど  これらの手段との統合、合理化も検討                  

運行形態 通常の路線バス コミュニティバス デマンドバス バスにこだわらない ・・バスは住民の移動手段の一つ 人数が少なければタクシーも検討 バスにこだわらない              ・・バスは住民の移動手段の一つ      人数が少なければタクシーも検討 間違ってもバス運行の維持は考えない

住民の自主的参加 バス事業者に任せない 役場に任せない 自らの交通手段を確保する気持ちで提案と参加を

事例紹介 デマンドバス NPOでの運行

デマンドバスとは? バスとタクシーの合いの子 今までのバス 路線、ダイヤ、停留所が固定・・ 需要がなくても走る(空気を運ぶ) 今までのバス                  路線、ダイヤ、停留所が固定・・         需要がなくても走る(空気を運ぶ) デマンドバス                  デマンド(要請)に応じて走る        路線、ダイヤ、停留所を要望に応じて変更

中村まちバス 高知県中村市 (人口3万5千人、面積385km2) 運行形態:町がバス会社に委託、 赤字分は90%市が補助 高知県中村市                 (人口3万5千人、面積385km2) 運行形態:町がバス会社に委託、            赤字分は90%市が補助 システム:1エリア、8:30~18:00          電話予約でバス停は固定 料金:大人200円、小人100円

おだかe-まちタクシー 福島県小高町(人口1万4千人、91km2) 運行形態:商工会がタクシー会社に委託、 町が補助 運行形態:商工会がタクシー会社に委託、       町が補助 システム:3エリア、平日8:00~17:00       電話予約により乗合戸口送迎 料金:東部線、西部線300円            まちなか線100円

NPOでの運行 「生活バスよっかいち」 場所:三重県四日市市 NPOでの運行 「生活バスよっかいち」 場所:三重県四日市市 三重交通が赤字で撤退(14.5.31)代替バスならず、地元自治会がバス運行を企画 運営主体:NPO法人生活バス四日市運営協議会(日本初のNPOバス運行) 1日5往復半  路線延長8.4km 29人乗りバス 三重交通に委託 料金100円 料金と地元企業の寄付、市補助金で運営 14.11.1~試験運行 15.4.1~本格運行

                                        

よい地域交通は住民の手で