石川,保坂,松下,丸山,宮地,信田 担当:宮野 ナノメディシン融合教育ユニット デバイスグループ 新たな MEMS技術×金属組織学= 医療用デバイス 石川,保坂,松下,丸山,宮地,信田 担当:宮野 それでは、宮野グループの発表をさせていただきます。 本日の発表を担当いたします、信田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 2006年7月1日
? ? 本グループの目標 MEMS技術×金属組織学=新たな医療用デバイス 相変態による 第二相の自己組織化 リソグラフィー リソグラフィー 選択的エッチング パターニング Niめっき モールディング リソグラフィー 選択的エッチング パターニング Niめっき モールディング 相変態による 第二相の自己組織化 ? ? 本グループでは微細加工技術として知られるMEMS技術と、金属組織学の相変態の現象を組み合わせることで、斬新な医療用デバイスが作れないかということを目標としております。
実在・仮想空間でのミーティングを繰り返しながら、 グループの流れ 実験の実施と データの フィードバック 実験実施 今後 Web 項目に基づく 調査の実施 調査 Web 項目に基づく 調査の実施 追加調査 ミーティング 4/15 ・シーズ技術の 紹介 ・技術のブレーク ダウン ・個別調査項目の 洗い出し 概要説明 ミーティング 5/20 ・調査報告 ・テーマ絞り込み ・追加調査項目の 洗い出し 絞り込み ミーティング 6/26 ・調査報告 ・実施テーマの 選定 ・実験項目・課題 抽出 方針決定 本グループでは,このように活動してきました. 作業を効率的に進めるために、ミーティングで基本方針を決めた後は、Webツールを用いながら相互の意見交換を行なう形式をとっております。 今回は,これらのミーティングおよびネット上でのやりとりの結果をまとめることで,中間報告とさせていただきます. 実在・仮想空間でのミーティングを繰り返しながら、 プロジェクトを効率的に進めていく!!
グループミーティング 白熱する議論!? あるミーティングの様子 とあるミーティングの様子です。 ミーティングで話あった結果を元に、再度各自で調べたものをWeb上でも議論するというスタイルをとっています。 ミーティングではこのように活発な議論が行なわれ、さらに、Web上でも、タイムリーにアイデア・意見を持ちよる形で積極的な意見交換を行なっていることがお分かりいただけるかと思います。
本技術の特徴 析出相の生成場所・形態・成長方向等の制御 LIGAプロセス 析出相微細構造体 従来技術(LIGA等) 課題:生産性・経済性 ・工程が多い ・装置が特殊・高価 従来技術(LIGA等) 課題:生産性・経済性 (立命・杉山ら) 高さ200μm・幅50μm 高さ100μm・幅200μm 価格:200万円 製作: 2ヶ月 価格:2000円 製作: 2時間 Ni電鋳柱状構造 析出相柱状構造 本技術 ・工程が少ない ・複雑な装置不要 金属材料を用いた微細加工技術としては、例えば図にあるようなLIGAプロセスなどが知られております。このプロセスを用いると非常に精密かつ規則的な配列の微細構造を形成することが可能です。しかしながら、これらのプロセスでは多くの複雑な工程を経ること、また非常に高価な装置が必要とされることから、生産性・経済性が課題となっております。 ただし、フィルターなど規則性よりも機能性が優先される用途等の場合、必ずしもこのような規則的な配列を必要としないので、右にあるような類似の構造であれば代替できる可能性が考えられます。 本技術は、後述するようにシンプルなプロセスで作成することが可能であり、このように桁違いのコスト・期間で類似した構造体を形成することが可能です。 また析出相の生成場所・形態・成長方向などを制御することにより、より左の形態に近づけた構造体を作成できると考えています。 Ni電鋳針状構造 析出相針状構造 析出相の生成場所・形態・成長方向等の制御
基幹技術 ① ② 熱処理工程 エッチング工程 a単相 g相 二相 ステンレス 本技術の製造原理の模式図です。 まず、材料となる2相ステンレスを熱処理し急冷させることにより得られた単相構造の基板を、再度過熱する時効処理によって析出相を析出させます。この状態で墓相のみを選択的にエッチングすることにより、針状の析出相が表面に形成された構造体が得られます。 時効処理の様子を示したものが下の図です。N2雰囲気中で熱処理を行なうことで、N2と接している表面から厚さ方向に析出相が成長していきます。 N2雰囲気中
相変態 水 金属 変態点 γ相 α相 T T 気 気 液 融点 沸点 373K 1873K 固 液 α相 1373K 融点 273K 固 固 20m T T 気 気 融点 液 沸点 373K 1873K 固 液 固 α相 γ相 1373K 変態点 融点 ここで、母相と析出相という言葉が出てきましたので、金属の相変態について少し説明いたします。 左の水で示すように、温度によって気体、液体、固体の3相が存在することは皆さんご存知だと思います。これと同じように金属も3相にわかれます。 しかし金属の中には、右の図で示すように固相内でも相変態する物が多くあります。例えば今回使う二相ステンレスにはα相とγ相の相変態の温度が約1373Kにあります。 ここで熱処理の条件を制御することで、この二つの相の生成をうまくコントロールし、そして2相の性質の違いを利用してエッチングに差を生じさせ、表面にマイクロロッドやその他のナノ・マイクロ構造体を作成します。 それではその析出過程についてどうすれば混在させられるかを説明します。まず今回使用する二相ステンレスは1373Kに相変態点が存在するので、この温度以上に上昇させることによって金属内にはすべて母相となるα相の粒が析出します。この過程を溶体化処理とし、この時間を長くすると母相粒が拡大し、均一化してきます。ここで、ゆっくり温度を下げると析出相が析出してしまうので、一気に水で急冷します。次に時効処理です。変態点以下、例えばこのあたりの温度まで上昇させると析出相が析出してきます。この析出挙動はまず粒界上に析出し、そのあと粒界から粒内方向に析出します。そして最終的には粒内に析出します。ここで一気に冷却すると表面にマイクロロッドを形成させた基板が得られます。 この時効処理の条件をいろいろコントロールすることで、次に示すような異なる大きさの構造体が得られるのです。 273K 固 time
代表的な突起構造100ミクロンオーダー 100 mm まずは100μmオーダーの構造体です。 ごつごつした山のような突起物が形成されているのが、確認できると思います。 100 mm
代表的な突起構造数十ミクロンオーダー 5 m 次に数十μmオーダーの構造体です。 針のような構造が大きく分けて3方向に伸びているのが確認できると思います。 これは結晶粒の方位が3方向で存在していることによるものです。 5 m
代表的な突起構造数ミクロンオーダー 50 mm 10 mm こちらはさらに細かく、数μmオーダーの構造体の写真です。 表面がもわっとした毛のようなものに覆われています。 ここで、この四角の部分をもう少し拡大してみると、毛のような針状の組織が密集していることが確認できます。 これらはすべて同じ材料をベースに、熱処理条件などを変えていくことで得られます。 50 mm
技術適用の分類 0次元 1次元 2次元 エッチング処理 さて、ここでお示ししたような構造体の用途として、次のように粒子(0次元)、ロッド(1次元)、平板(2次元)のマクロ構造を持つ構造体が考えられます。 これらを先ほどのように加工することで、右端の模式図で得られるような構造体がそれぞれ形成されます。
応用例①:2次元構造体 基板厚み 作成方法 1mm 現状対応可 0.5mm以下 圧延、研磨、 ワイヤカッター 2次元構造体の作成方法 基板上に生成 柱状構造のみの平面構造 2次元構造体の作成方法 熱処理 選択的エッチング 板厚を 変えると・・・ 第二相生成 柱状構造形成! 百μm、数十μm、数μmで構造体のサイズをコントロール可能 左:数十μmオーダー、右:100μmオーダー 基板厚み 作成方法 1mm 現状対応可 0.5mm以下 圧延、研磨、 ワイヤカッター まず、応用例として今回の研究で進めているのが2次元構造体です。 2次元構造体の作成はこれまでにご説明したとおりです。ここで、板厚とエッチング条件を変えることで、これまでに得られている基板上に柱上の構造を持つ上のような構造の他に、ほぼ析出相のみからなるメッシュ状の構造が得られることが予想されます。 ここで、最新のサンプルから得られたSEM画像をお示しします。 構造体のサイズを変えると構造も異なった状態になっていることが確認できます。 なお、メッシュ状の構造を得るための基板の作成方法については、次のような方法を考えております。
応用例①:想定される用途 類似の構造! ① 細胞培養 柱状組織を用いた実施例あり 細胞の剥離が容易 より安価かつ異なる材料で作成可能 日立製作所ホームページより 類似の構造! 柱状組織を用いた実施例あり 細胞の剥離が容易 より安価かつ異なる材料で作成可能 10 mm このようにして得られた構造体の用途として考えられるものが次の2つです。 まず細胞培養ですが、ナノピラーを規則的に配置し、その上で細胞を培養することで、トリプシンを使わずに細胞を剥離することができるシートが開発されております。ここでは規則的な配列の構造体が用いられていますが、配列や材料が異なるわれわれの構造体を用いたときにどのようなことが起こるかについて、外部の協力も得ながら、いくつかの細胞を用いて確認していきます。
応用例①:想定される用途 類似の構造! ② フィルター 用途例 ナノピラーを用いたフィルター応用例 本技術 流路中に設ける DNA 10 mm 本技術 類似の構造! 名古屋大学ホームページより DNA 用途例 次にフィルターですが、このような規則的に配置されたナノピラーを用いたDNAフィルターが研究されています。この構造は我々の構造体に類似していることが分かります。 フィルターのようトレイとしては、先にお示ししたメッシュ状の構造を用いて目的のDNAなどを選択的に抽出するフィルターや、マイクロチャネルの流路内に形成して上のようなピラー構造を用いるフィルターが考えられます。 また本フィルターは金属製であることから、吸着させた後に電気を流したり、洗浄、加熱することなどが可能です。 DNA 流路中に設ける
応用例②:1次元構造体 発展系 形状 作成方法 チューブ ワイヤカッター、切削、 引き抜き、熱間押出 チューブの作成方法 Fe合金における相変態現象による第二相析出相と選択的エッチングを活用するまったく新しい手法を提案する。 チューブの作成方法 先端のみメッシュされたポーラスチューブ 発展系 Fe合金チューブ N2雰囲気 高温熱処理 選択的エッチング 窒化物の生成 ポーラスチューブの完成 レジスト塗布などによるマスキング 次の応用例として考えられるものとして、ロッドないしはチューブをポーラスにしたものが考えられます。 作り方としては、薄板の代わりにチューブを用いて析出相を形成させます。ここで、窒化物を生成させる前の段階でレジスト塗布などによってマスキングを行なうことにより、先端部分のみがメッシュ構造のチューブが得られます。また、さらに、エッチングを行なう側のチューブ先端を閉じることで、先端部分が籠状になったメッシュ構造のチューブを作成することができます。チューブ径をマイクロオーダーとすることで、数μmからサブμmオーダーでの隙間を有するメッシュ構造が形成されることが予想されます。 このチューブの作成方法としては、ワイヤーカッターを用いる方法や旋盤を用いた切削、引き抜き、熱間押出などの手法が考えられます。 形状 作成方法 チューブ ワイヤカッター、切削、 引き抜き、熱間押出
応用例②:想定される用途 もしくは フィルター ピペット 細胞など フィルター機能 フィルター機能 例えば血漿だけを分離 徐放的な分散・拡散 株式会社アドビック フィルター機能 細胞など フィルター機能 例えば血漿だけを分離 欲しい成分だけを容易に抽出 徐放的な分散・拡散 徐々に薬剤を放出・攪拌 もしくは このような構造を有するチューブの用途として、フィルター機能を有するピペットないしは針が考えられます。 例えばこのようなμチップと組み合わせた針の先端部分を籠状のメッシュ構造とすることで、細胞などの大きなものは通さずに、必要な成分だけをフィルターを通して抽出することができる針などが考えられます。また例えば成分献血をする際に、対外循環させなくとも、欲しい成分だけその場で抜き取れるような針などが考えられるかと思います。 またはその逆で、このフィルター機能を使った針で注入すると、薬剤などが徐放的に拡散・分散することが想定されます。たとえてみれば、味噌汁を作るときに味噌を金網の籠の中に入れて溶かすことがありますが、そのような感じでジワーッと染み出してくるような用い方が考えられます。 ・点滴の際に血液が逆流しない半透膜的な使用。 ・静脈注射やったりすると、沈着しやすい薬剤が、うまいこと分散されて流れていくとか。
今回のテーマからは 外すことに・・・ 応用例③: 0次元構造体 鉄は代謝できるのか??? DDS製剤? 任意の粒径に 患部で徐々に放出 穴あき(すきま)の 部分に薬剤を担持 結晶粒 薬剤など 鉄は代謝できるのか??? 今回のテーマからは 外すことに・・・ 放出終了 超音波?、磁場? で破壊 任意の粒径に コントロールした凝集体に 薬剤を担持 終了後は、バラバラに 破壊して代謝経路へ 最後に、粒子状の構造体についてですが、これまでのミーティングにおいて検討されたDDS製剤としての用途について、簡単にお示しいたします。 作成した粒子は軽石のようなポーラス体となっているため、その隙間に薬剤などをしみこませ、患部へ送り込みます。例えば側線療法などで用いられているように、粒径を調節して、患部で薬剤を放出する期間だけ血管に詰まらせるサイズとします。そして、終了後は超音波や磁界を付加することで、凝集体をバラバラに破壊し、代謝経路に乗せるという方法です。もしくは経口であれば、バラバラにしなくてもよいので、例えば胃は通過して、小腸で吸収するような薬剤のビークルにしたりできればいいかなということがあります。 ただし、大きな問題として、鉄は果たして代謝できるのか?そして本当にバラバラになるのか?その前に本当にそのような凝集体を作成できるのか?などの諸問題が検討時点で予想されたため、今回のテーマからは外すことといたしました。 貪食細胞 分解 代謝 粒径が小さい場合 粒径が大きい場合
今後の推進形式 メンバー 9月へ向けて ミヤノ (指導教官?) (実働部隊) ●最終的な デバイスの具現化 ●製作プロセスの決定 ●最終的な デバイスの具現化 ●製作プロセスの決定 ●各個人のレベルUP メンバー (指導教官?) 宮 信 丸 保 石 松 これについては どうしましょ? こんな実験しました! じゃあ,次は これしようか! こうしたら いいんじゃない? 最後に今後の推進形式についてですが、本グループの売りである「実在・仮想空間でのミーティングを繰り返しながら、プロジェクトを効率的に進めていく!」というコンセプトに基づき、今後も進めていくことを予定しております。 これまではミーティングの結果を踏まえて、各自が持ち帰って調査し、それをWeb上で持ち寄って議論するという横方向でのつながりを意識した形態で取り組んできましたが、今後は実験が入ってくるため、通常の形態と逆ですが、メンバーが「指導教員」、先生が「実働部隊」としてメンバーが提案・計画した内容に基づき作業を行なっていただくというスタイルで行なっていくことを考えております。 この結果として9月までに実験を通じたデバイスの具現化や政策プロセスの決定、そして各個人のレベルUPを目標とします。 み ミヤノ (実働部隊)
以上。 ご清聴ありがとうございました。