DBEJ講習会Part June 実践・EBM PubMed+α EBM仕様の文献検索 医学情報センター

Slides:



Advertisements
Similar presentations
H24 年度情報基礎 医学系文献検索の方法 1 1. 文献の検索 PubMed 、医中誌 WEB など 2. 文献の入手 OPAC 、電子ジャーナル 3. 演習問題 担当:附属図書館医学分館 松村悠子.
Advertisements

2016/07/171 E. NANGO, MD, PhD, Tokyo-kita Social Insurance Hospital ようこそ EBM の世界へ! ~ EBM はじめの一歩~ 東京北社会保険病院 総合診療科南郷 栄秀 EBM ミニレクチャーシリーズ.
Click to edit Master title style Wolters Kluwer / Ovid EBM Reviews 講習会.
がん患者の意思決定について がん患者の意思決定と、その過 程、要因について知る がん患者の意思決定への支援に ついて考える 先端侵襲緩和ケア 看護学 芦沢 佳津美.
3.目次誌、索引誌、抄録誌 2次資料とは 1次資料 オリジナルな研究成果を記録した資料 2次資料 1次資料を探す手がかりとなる資料
NDL-OPAC 国立国会図書館 Webcat PLUS 国立情報学研究所 Books 日本書籍出版協会
④CiNii ⑤NDL-OPAC(雑誌記事) ⑥日経BP
エビデンスとなる研究論文を検索・読解する必要があります。
メタ分析の必須事項 話題提供者:市倉加奈子 SS-067 エビデンスの「質」を意識した研究計画への誘い:
保健統計演習 橋本.
Yokohama City Save Hospital ☆Emergency and Critical Care Medicine☆
疫学概論 メタアナリシス Lesson 21. 健康政策と疫学 §D. メタアナリシス S.Harano, MD,PhD,MPH.
緑茶の洗浄効果に関する研究について 23030171 長谷川尚子.
聖マリアンナ医科大学救命救急医学教室 今西 博治
トピック1 患者安全とは 1 1.
三上研究室学生のための 文献検索および入手の基礎講習
About PubMed / MEDLINE ★MEDLINE とは
医中誌における 研究デザイン用語付与の実際
About PubMed / MEDLINE ★MEDLINE とは
検索テーマ [糖尿病における高脂血症の薬物療法] 丸善株式会社 教育・学術事業本部 商品センター
疫学概論 無作為化比較対照試験 Lesson 14. 無作為化臨床試験 §A. 無作為化比較対照試験 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学概論 診療ガイドライン Lesson 22. 健康政策への応用 §B. 診療ガイドライン S.Harano, MD,PhD,MPH.
2004年5月11日 公開 ユーザー登録数は18,361人(2006年9月末)
平成21年度 医療科学B エビデンスと研究デザイン
医中誌Web利用講習会 平成23年5月31日 丸善株式会社.
テキストの類似度計算
チュートリアル EBSCOhostの概要
診療ガイドラインの作成 -Minds版GL作成の手引き(案)-
ドイツの医師国家試験 口答試験 実施要領 医師試験第3部(学部6年終了時)
Study Design and Statistical Analysis
疫学概論 患者対照研究 Lesson 13. 患者対照研究 §A. 患者対照研究 S.Harano,MD,PhD,MPH.
クイック・レファレンス・ガイド 医学テキストの利用
ルーブリックの作成について 教務委員会ver
日本糖尿病学会のアクションプラン2010(DREAMS)
チュートリアルシリーズ 検索事例編② 静脈血栓塞栓症(VTE) 予防 ガイドラインの参照について
医中誌Web利用講習会 平成23年5月31日 丸善株式会社.
疫学概論 患者対照研究 Lesson 13. 患者対照研究 §A. 患者対照研究 S.Harano,MD,PhD,MPH.
 クリティカルケア領域に             おける家族看護     ICU入室中の患者家族の      ニードに対する積極的介入について              先端侵襲緩和ケア看護学                    古賀 雄二 
医師が臨床の現場で抱く疑問について,エビデンスに基づいた 回答を,簡単に得ることができるよう,デザインされています。
情報検索とインターネット 2007/10/30 情報検索とインターネット.
看護管理学特論 救急・集中治療領域における家族看護
Evidence-based Practice とは何か
Evidence-based Health Care とは何か
2015年症例報告 地域がん診療連携拠点病院 水戸医療センター
チュートリアルシリーズ 検索事例編① レストレスレッグス症候群 (下肢静止不能症候群:RLS)
CINAHL データベース チュートリアル 基本検索 featuring:
EBSCOhost オンラインデータベースのご紹介.
感染症集団発生事例に対する基本的対応 大山 卓昭 感染症情報センター 国立感染症研究所.
Interventions to Improve the Physical Function of ICU Survivors            (CHEST 2013;144(5): ) 聖マリアンナ医科大学 救急医学 田北 無門.
がん患者の家族看護 急性期にあるがん患者家族の看護を考える 先端侵襲緩和ケア看護学 森本 紗磨美
DynaMed 新しい検索インターフェースについて support.ebsco.com.
出発点となる2つの問い 概念化 1つめの問い 「(自立生活)能力の有無」を軸にして、なぜ位相の異なるQOL観が並列的に位置できているか(例えば「寝たきり老人」「認知症高齢者」における違い) 2つめの問い 昨今、「QOL」が数値化されているが、そもそも主観を尺度化できるのか 尺度化.
拡大医療改革委員会 産婦人科医療改革公開フォーラム 産婦人科医療改革グランドデザイン2010にむけて
2015年症例報告 地域がん診療連携拠点病院 水戸医療センター
高齢慢性血液透析患者の 主観的幸福感について
Scientific & Medical Image Database
その他 手法の組合せ.
子どもに対する 生活習慣病予防の 取り組み           健康情報分析学            三輪 夕起.
北キャンパス図書室 オンデマンドガイダンス
  JSTChina         中国文献データベース.
ProQuest Medical Evidence Matters
疫学概論 方法論的問題点(患者対照研究) Lesson 13. 患者対照研究 §B. 方法論的問題点 S.Harano,MD,PhD,MPH.
自然言語処理2015 Natural Language Processing 2015
疾患バリアントデータベースMGeNDのご案内と 臨床ゲノム情報統合データベース整備事業へのご協力のお願い
疫学概論 疫学研究の目的 Lesson 1. 疫学研究 §A. 疫学研究の目的 S.Harano,Md.PhD,MPH.
医療科学B演習のおさらい 杏林大学医学図書館 医療科学B.
在宅医療をご存じですか? 編集:○○○○○ 訪 問 診 療 往 診 在宅医療を利用できる方(例) 在宅医療で受けられる主なサービス
三重大学医学部附属病院 総合診療部 竹村 洋典
衛生委員会用 がんの健康講話用スライド.
在宅医療をご存じですか? 編集:○○○○○ 訪 問 診 療 往 診 在宅医療を利用できる方(例) 在宅医療で受けられる主なサービス
Presentation transcript:

DBEJ講習会Part 2 2003 June 実践・EBM PubMed+α EBM仕様の文献検索 医学情報センター 2003.6.17

Evidence Based Medicineとは、 個々の患者の医療における意思決定において、現行で最良のエビデンスを良心的、明白かつ思慮分別をもって利用することである。               (Sackett、1996)

EBM(Evidence Based Medicine)とは、 「診ている患者の臨床上の疑問点に関して、医師が関連文献等を検索し、それらを批判的に吟味した上で患者への適用の妥当性を評価し、さらに患者の価値観や意向を考慮した上で臨床判断を下し、専門技能を活用して医療を行うこと」と定義できる実践的な手法です。           [わかりやすいEBM講座 厚生科学研究所 2000年 より]

Evidence Based Medicine (EBM) +Nursing(EBN) とは、       ・これまでの医療のあり方への批判としては じまった。 ・機械論、経験論に基づく医療にかわり、研  究を科学的に評価し、適用しようとする。 ・偶然や偏りを制御する臨床疫学の上にたっ た実践。 ・科学的な評価には、良質な情報の検索と吟 味が必要。

文献=医療情報=エビデンスが根拠にあたる。これを上手に活用するためには、3つの情報運用能力が必要。 ①情報を広く求める能力(情報・文献検索能力) ②情報の信頼性を見極める能力(情報吟味能力) ③情報の現場での適用性や価値判断を行う能力(情報の適用能力・情報に基づいた判断能力)

情報(Evidence)の3つのプロセス  つくる 生産  つたえる 流通  つかう 消費  実践にあたっての5つのステップ

①目の前の患者に関して臨床上の疑問点を抽出する。 ⇒ 疑問の定式化 EBMの実践手順、5つのステップ ①目の前の患者に関して臨床上の疑問点を抽出する。   ⇒ 疑問の定式化 ②疑問点に関する文献を検索する。 ⇒ 情報収集 ③得られた文献の妥当性を自分自身で評価する。    ⇒ 情報の批判的吟味 ④文献の結果を目の前の患者に適用する。 ⑤自らの医療を評価する。          [わかりやすいEBM講座 厚生科学研究所 2000年 より引用]

Step 1 臨床上の疑問点を抽出する。疑問の定式化 Patient: どういう患者に、 Intervention (Exposure): 介入をした場合、 Comparison: 介入をしなかった(あるい     は別の介入をした)場合に比べ、 Outcome: 結果はどう異なるか.

Step 2 文献を検索する。(情報収集) 医学中央雑誌 など 二次資料 Cochrane Library ACP Journal Club 一次資料  PubMed         医学中央雑誌  など 二次資料  Cochrane Library          ACP Journal Club         Clinical Evidence など 教科書    UpToDate

Structured Abstract 構造化抄録 Systematic Review Publication Type 研究デザイン Step 3 文献の妥当性を自分自身で評価する。              (情報の批判的吟味) Structured Abstract 構造化抄録 Systematic Review Publication Type 研究デザイン  

Case control study 症例対照研究 Cohort study コホート研究 研究デザイン  Case report 症例報告  Case series 症例集積  Case control study 症例対照研究  Cohort study コホート研究  Controlled clinical trial 比較臨床試験  Randomized Controlled Trial ランダム化比較試験   Double blind-RCT 二重盲検・・・  Meta-Analysis = Systematic Review 弱い evidence 強い

EBM情報源 PubMed When less is more: a practical approach to searching for evidence-based answers. Grandage KK、 Slawson DC、 et al. J Med Libr Assoc. 2002 July; 90 (3): 298-304.

Step 2 二次情報源の次の選択肢 1.二次情報源のタイムラグを埋める 最新情報を収集する。 2.二次情報源で取り上げられていない EBM情報源でのPubMedの位置 Step 2 二次情報源の次の選択肢   1.二次情報源のタイムラグを埋める     最新情報を収集する。   2.二次情報源で取り上げられていない     一次情報(原著論文)を収集する。   3.二次情報源が利用できないときの     次善策として活用する。

PubMedの特徴 1966年以降、世界70ヶ国、4000誌以上の文献 主要誌からは発行とほぼ同時期に収録 構造化抄録(Structured Abstract)が増えている 電子ジャーナルへのリンク ACP Journal Clubのコメント Cochrane Library (Cochrane Database of Systematic Reviews)の収録

研究デザインをフィルターとして検索結果を 導く EBM仕様のフィルターを使ったPubMed検索 Publication Type(PT) Clinical Queries  研究デザインをフィルターとして検索結果を  導く   ・治療 診断 病因 予後   ・感度sensitivity と 特異度specificity

Step1からStep2の間の作業 検索方針の決定 定式化した疑問からキーワードを選択し、優先順位を決定しておく。 選択した情報源に合わせて、キーワードの優先順位や関係を反映した検索式を作成する。 これらはOutcomeや情報源によって様々。

サンプルケース   閉経後、更年期障害に悩む55歳の女性に対し、ホルモン補充療法を行おうと考えている。しかし、この治療法は心(冠動脈)疾患を予防するといわれたり、予防するどころか疾患になる確率が増えるといわれたりする。本当はどちらだろうか。 定式化 Patient - 閉経後(更年期障害)の55歳の女性 Intervention(Exposure) - ホルモン補充療法を行うと Comparison - ホルモン補充療法を行わない場合と比べ Outcome - 心疾患(冠動脈疾患)になる確率は増えるか

サンプルケースの検索1 1 Hormone Replacement Therapy 2  Cardiovascular Diseases あるいは Coronary Diseases 3  Menopause あるいは Postmenopause 4  1 and 2 (and 3) 多かったら 5  Limits機能 ⇒ 年齢や性で限定する 6   〃       Publication Typeで限定する        例えば Randomized Controlled Trial             Meta-Analysis       実際に検索してみましょう!

2003.6.17. EBM PubMed+α Limits限定機能 通常の検索はクエリーボックスへ入力

Publication typeとMeSH

選んだ文献に対してACP Journal Clubなどにコメントがある。

PubMed Clinical Queriesの利用 サンプルケースの検索2 Clinical Queries using Research Methodology Filters  Category: therapy diagnosis etiology prognosis  Emphasis: sensitivity specificity Systematic Reviews                          試します!

Filterをみる どちらかをチェック

文献検索の方針1 結果の絞り込み 1.キーワードを追加 2.年齢・性別で限定 3.検索年代で限定 4.データの種類で限定 5.使用言語で限定  1.キーワードを追加  2.年齢・性別で限定  3.検索年代で限定  4.データの種類で限定  5.使用言語で限定  6.その他 (フィールド、重み付け)

文献検索の方針2 検索範囲の拡大 1.キーワードの変更 (組み合わせ方の変更) 2.検索年代の拡大 3.データベースの変更  1.キーワードの変更    (組み合わせ方の変更)  2.検索年代の拡大  3.データベースの変更  4.その他(参考文献、関連文献)

The Cochrane Library(コクランライブラリー) http://www.cochranelibrary.com/ Systematic ReviewのデータベースThe Cochrane Database of Systematic Reviews(CDSR)やランダム化比較試験などのデータベースThe Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)が含まれ、みずからが設定した疑問点に関するエビデンスの有無を手早く知ることができるEBMの代表的なデータベース。CD-ROMまたはインターネットを通じて発行され、年4回更新される。 医学情報センターではインターネット版を契約している。詳しくは下記サイトを参照。  JANCOC (JApanese informal Network for the COchrane Collaboration)  http://cochrane.umin.ac.jp/

Clinical Evidence(クリニカル・エビデンス)http://www.clinicalevidence.org/ BMJ Publishing Group(英国医師会出版部門)発行。1999年6月以来、エビデンスに基づいた医療の実践を支援するツールとして世界中で使用されている。臨床の現場から出てきた各科にわたる診療上の疑問、その治療的介入や予防的介入にどのような効果があるのかについて、臨床と疫学の専門家がチームを組んで情報収集と批判的吟味を行い、現在知り得る最良のエビデンスを、その強さや不確実さの程度も含めて記載している。適切なエビデンスが見つからない場合や、進行中の研究プロジェクトがある場合にはその旨記載されている。発刊以来何度も改訂され、新し疾患や問題についての疑問とエビデンスを加えるという作業が続けられている。インターネット版とプリント版がある。日本語版(日経BP社)も出版されている。

ACP Journal Club http://www.acpjc.org/?in Annals of Internal Medicineの補遺として1991年にAmerican College of Physicianから発刊。1995年からは隔月の独立した雑誌となった。一般内科医を対象として必要度が高い原著論文を多くの医学雑誌から定期的に拾い出し、内容を編集者が吟味した質の高いレビュージャーナルである。100誌以上の医学雑誌に掲載された原著論文のなかから一定の基準を満たした論文を編集者が選択し、なかでも一般内科の臨床に幅広く適応されると判断された約25タイトルをstructured abstractsの形で要約しcommentaryがつけられて掲載される。 2000年からは、内科領域に加えて家庭医学、産婦人科、小児科、精神科、外科などの領域もカバーされている。 臨床上重要な情報を比較的高い確率でとらえており、内容も編集者が妥当と認めたものである。 プリント版とインターネット版がある。

Evidence-Based Medicine http://ebm.bmjjournals.com/  ACP Journal Clubのコンセプトを継承し、ACPとBMJ Publishing Groupとの合併事業で1995年11月から出版されている。 内科領域に加えて外科、精神科、産婦人科、小児科領域の雑誌からあらかじめ決められた基準を満たした論文を掲載する。一般内科医よりさらに幅広い領域を受け持つ家庭医などを読者に想定。内科領域は同時期刊行のACP Journal Clubと共通内容で約半分を占め、残りの半分がほかの領域の論文となる。 プリント版とインターネット版がある。 BMJ Publishing Groupにはほかに以下のEvidence Based Journalsがある。 Evidence Based Mental Health Evidence Based Nursing   http://www.bmjpg.com/template.cfm?name=bmjprod_ebp

UpToDate EBM仕様の電子版教科書 内科系19領域について、各領域のエキスパートが診療・治療・予防に関して平易な文章で書き下ろした指針を収録。  収録領域  ・Adult Primary Care ・Allergy and Immunology ・Cardiology ・Critical Care  ・Drug Information ・Endocrinology ・Family Practice ・Gastroenterology  ・Gynecology ・Hematology ・Hepatology ・Infectious Diseases ・Nephrology ・Neurology ・Obstetrics ・Oncology ・Pediatrics  ・Pulmonology ・Rheumatology ・Women's Health 収録数:5000 トピック(2002/12/20現在) 更新頻度:年3回: 2月・6月・10月(毎回全体の約30%が内容改訂) 利用形態:CD-ROM、オンライン                      製品案内はhttp://www.usaco.co.jp/products/uptodate/index.html

EBMの現状・EBMへの批判 これらにどうこたえるか ⇔ 医療現場での普及 一部の者が直輸入しているにすぎない。 知識のレベルにとどまっている。 指導者不足。 とっつきにくく、わかりにくい。 支援システムが確立していない。 大規模臨床試験の結果を個々の患者に適用できるか。 日本の医療風土になじまない。   RCTの困難  外国との医療環境の違い 日本語のエビデンスの不足ー英語が障壁。 これらにどうこたえるか ⇔ 医療現場での普及