1 輸出管理社内規程について 2006年4月 経済産業省 貿易管理部
1.輸出管理社内規程の策定 2.輸出管理社内規程整備にかかる活動 3.望ましい輸出管理体制の構築に向けて 2 (1)輸出管理社内規程の策定 目次 2 1.輸出管理社内規程の策定 (1)輸出管理社内規程の策定 (2)輸出管理社内規程整備のメリット 2.輸出管理社内規程整備にかかる活動 (1)輸出管理社内規程整備にかかる活動 (2)規程の届出のメリット (3)企業名のHPでの公表 (4)遵守状況立入検査の概要 3.望ましい輸出管理体制の構築に向けて (1)輸出管理社内規程提出に当たっての作業手順(例) (2)輸出管理社内規程作成に当たり注意すべきポイント (3)基本的事項の解説 (4)輸出管理方式とそのメリット (5)企業の輸出審査の流れと具体的活動
3 1.輸出管理社内規程策定
輸出管理社内規程の策定-経済産業省の要請 4 輸出管理社内規程の策定-経済産業省の要請 輸出管理社内規程の作成の要請 「安全保障貿易管理ガイダンス」 1987年9月 「輸出関連法規の遵守徹底について」 (通商産業大臣名で輸出関連団体あてに要請 → ココム対応型の内部規程(CP)の策定) 1994年6月 「不拡散型輸出管理に対応した輸出関連 法規の遵守に関する内部規程の策定又は見直しについて」 (同上 → 不拡散対応型の内部規程の策定) 2002年2月、経済産業省として輸出管理に関し留意すべき重点事項や審査等の手順に関する参考例等をまとめた http://www.meti.go.jp/policy/anpo/jishukanri/guidance/index.html 大量破壊兵器 キャッチ・オールの導入を踏まえ、解説 CISTEC「モデルCP」 2002年10月、CISTEC会員企業が自社の経験に基づき、業種や業態に応じた条文型式の輸出管理社内規程のモデルを作成。HP上で閲覧可能。無料。 http://www.cistec.or.jp/open/info/ihanjirei/modelcp/021001modelcp.html <その後> 1996年10月:補完的輸出規制の実施 2002年4月:キャッチオール規制の実施 輸出管理社内規程の担当部署 : 安全保障貿易検査官室 03-3501-2841
輸出管理社内規程整備のメリット 5 輸 出 輸出管理社内規程9項目 実際の輸出手続き 輸出管理社内規程とは 輸出管理社内規程は、コンプライアンス・プログラム(CP)とも言い、輸出管理に関 する外為法等の法令を遵守し、違反を未然に防ぐための社内規程をいいます。 輸出等管理に係る輸出管理組織等9項目が規定されています。 輸出管理社内規程9項目 A 体制 ①輸出管理組織 ②管理責任の明確化 違法輸出の要因 ⅰ)責任体制の整備・明確化 輸出手続き上のリスク プログラムの判 定の見落とし 法令の解 釈の誤り 出荷管理 の誤り 実際の輸出手続き B 手続 ③輸出等審査手続き ④出荷管理 輸 出 ①貨物等の審査 (該非判定) ②顧客・用途の 審査 ③出荷管理 顧客・用途の審査に関する不適切な判断 参照すべき規制 リストの誤り 許可条件等の未遵守 C 維持管理 ⑤教育(研修) ⑥文書保存 ⑦子会社等の指導 ⑧監査 ⑨法令違反の報告・罰則 ⅱ)手続きを社内 に周知・徹底 ⅲ)違反防止及び 早期発見 輸出管理社内規程は、社内の輸出手続きを3方向からサポートし、輸出手続きにおいて発生が 想定される様々なリスクを回避するために有効なツールです。
6 2.輸出管理社内規程整備にかかる活動
輸出管理社内規程整備にかかる活動 7 経 済 産 業 省 輸出管理社内 規程策定 実 施 維持管理 見直し の策定企業 経 済 産 業 省 ①輸出管理組織 ②管理責任の明確化 輸出管理社内 規程策定 輸出管理社内規程の届出(策定、変更時) 企業概要・自己管理チェックリストの提出(届出時及びその後、年1回) ③輸出等審査の手続き ・該非判定 ・顧客審査 ・取引審査 ④出荷管理 実 施 輸出管理社内規程受理票、チェックリスト受理票の交付 ⑤監査 ⑥教育(研修) ⑦文書保存 ⑧子会社等の指導 ⑨法令違反の報告 維持管理 遵守状況立入検査(包括許可取得企業に対し) 見直し 法制度改正 社内組織の変更等 HP公表(希望に応じ) 輸出管理社内規程については、①から⑨の項目に対応していることに加え、 ●キャッチ・オール規制に対応できている ●企業毎の業種・業態・規模にあっている ●実際に運用しやすい ことも重要です。
輸出管理社内規程の届出のメリット 8 ・当室にて輸出管理社内規程を正式受理する前に、業種業態に応じて、きめ細かな助言をさせて頂きます。 (輸出管理社内規程が案文の状態でも、ご遠慮なく御相談下さい。) ・輸出管理社内規程の届出時に併せてメールアドレスを登録することにより、関連情報が提供されます。 ・輸出管理社内規程が届出受理され、輸出管理状況が適切であると判断された場合には、包括許可の申請資格が得られます。但し、特定包括、クレーム包括については、事前に経済産業省による実地調査を受ける必要があります。 ・自己審査により輸出管理社内規程を適切に実施していると判断しており、公表を希望する企業は、安全保障貿易管理のHP上にて企業名の公表が可能です。
輸出管理社内規程の届出企業名のHPでの公表 9 輸出管理社内規程の届出企業名のHPでの公表 輸出管理社内規程 の届出企業 経済産業省 ・自己審査の結果、輸出管理社内規程 を適切に実施していると判断。 ・企業名の公表を希望。 <公表基準> ①組織の基本方針として外為法等の遵守を定め、これを周知徹底していること ②組織の基本方針が企業等の内部規程等として明確に定められていること。 ③用途、需要者(キャッチオール要件)も内部規程等で規定していること ④これらの内部規程等を確実に実施していること ⑤その実施状況を監査により確認していること 「企業概要」及び「自己管理チェック リスト」の年1回提出を要請。 法制度の改正・社内組織の変更に合 わせ、実効あるものとなるよう輸出管 理社内規程の改正を要請。 ホームページにおける企業名の公表 2006年4月初旬時点で 計464社を公表。
10 遵守状況立入検査の概要 2005年6月からの新たな包括輸出許可制度の実施に伴い、適切な輸出管理の実行を確保するため、「遵守状況立入検査」を実施。 遵守状況立入検査は、外国為替及び外国貿易管理法第68条に基づき行われ、包括許可保有者の受入希望の有無や、違反の有無に関わらずに適宜実施。 ※遵守状況立入検査の実施後は、必要に応じて改善指導が行われますので、指導を受けた場合には、それに従った対応を取ってください。
11 3.望ましい輸出管理体制の構築に向けて
輸出管理社内規程提出に当たっての作業手順(例) 12 輸出管理社内規程提出に当たっての作業手順(例) 作業工程 関係者 注意すべきポイント 社長、取締役会役員、法務部等管理部門責任者 ・企業として輸出管理に取組むためのトップのコミットメントと関係部門とのコンセンサスが重要です。 代表取締役クラスの権限者 ・規程作成責任者が輸出管理組織の長になることが想定されるため、組織を代表する者が規程作成責任者を任命することになります。 規程作成責任者、管理部門及び営業部門の責任者 ・企業の業態や規模等に応じて輸出管理体制を検討します。 輸出管理組織職員及び法務部門職員 ・輸出管理社内規程整備のための「基本的事項」を理解し、自社の業態・規模に相応しいモデルを選択し、それを参考に規程案を作成します。 輸出管理組織職員及び営業、製造、出荷部門の責任者 ・作成済みの規程案に従い、自社内の輸出管理体制において不備な点があれば整備します。 輸出管理組織職員 ・輸出管理社内規程に不備がある場合、速やかに受理票を交付することができない場合もありますので、経済産業省に規程を提出される前に安全保障貿易検査官室(TEL:03-3501-2841)の担当官と記載内容について御相談されることをお勧め します。 社長、取締役会役員、 法務部等管理部門責任者、輸出管理組織職員 ・社内の稟議規程に従い、稟議します。経済産業省へ正式に提出いただく規程は、社内決裁等を経た段階でお願いします。 輸出管理組織職員及び営業部門職員 ・既に経済産業省に規程を届出ている場合には、その受理票を提出願います。なお、一般包括許可申請の申請書類の一つとして申請窓口に提出することも可能です。 1.企業として規程作成を決定 2.規程作成責任者の決定 3.輸出管理組織の設置 4.規程案の作成 5.社内全体の輸出管理体制を整備 6.規程案を経済産業省に事前に相談 7.社内稟議 8.輸出管理社内規程提出 注)大学や公的研究機関の場合には、企業を大学又は法人に、社長を大学長又は理事長に、取締役会を理事会等に適宜置き換え願います。
輸出管理社内規程作成に当たり注意すべきポイント 13 輸出管理社内規程作成に当たり注意すべきポイント 輸出管理社内規程の作成にあたっては・・・ 基本的事項に従い、①輸出管理体制、②取引審査、③最終判断権者の疑義ある取引の未然防止、④出荷管理、⑤監査、⑥教育、⑦資料管理、⑧子会社等指導、⑨違反の9項目を規定した「輸出管理社内規程」、及び自社の輸出管理が輸出管理社内規程に基づき、確実に実施されているかの自己確認結果を示した「チェックリスト」の提出が求められます。 輸出管理体制については・・・ 企業の組織構成、商社又は製造業者、企業規模(社員数、輸出等額の大小、輸出等注)規制品目の取扱量)を考慮しながら、企業の業態・規模に応じた管理体制を構築することが望ましい。 ●適切な輸出管理体制の構築が輸出管理の実効性・持続性の確保から重要 企業の業態・規模 に応じた管理体制 ●各管理体制のメリット・デメリットを良く理解し、そのデメリットを解消する施策を講じること 注)「輸出等」とは、貨物の輸出及び非居住者への技術(役務)の提供をいいます。
基本的事項の解説 14 Ⅰ.基本方針 Ⅱ.個別事項 1.輸出管理体制 2.取引審査(該非判定を含む) 組織の経営方針として、外国為替及び外国貿易法をはじめとする輸出関連法規の遵守を明確に定め、また、申請者の責任において、これを周知徹底し、かつ、実行すること。(注:参照) Ⅱ.個別事項 1.輸出管理体制 組織を代表する者を輸出管理の最高責任者とし、輸出管理に関する業務分担及び責任範囲を明確にすること。 2.取引審査(該非判定を含む) (1)該非判定に関して手続きを明確にし、実施すること。 (2)顧客に関する審査に関して手続きを明確にし、実施すること。 (3)需要者及び用途の確認を行うこと。 3.最終判断権者による疑義のある取引の未然防止 取締役又はこれに相当する者が取引審査の最終判断権者となり、疑義ある取引の遂行を未然に防止すること。 4.出荷管理 (1)出荷時に貨物等と書類との同一性の確認を行うこと。 (2)通関時の事故がおきた場合には輸出管理部門に報告すること。 5.監査 輸出管理の適正執行を確認する監査体制を設け、定期的に実施すること。 6.教育 職員に輸出管理関係の教育を実施すること。 7.資料管理 (1)輸出関連手続書類に事実を正確に記載すること。 (2)輸出関連書類を輸出時・提供時から少なくとも5年間保存すること 8.子会社等指導 子会社・関連会社に対し、輸出管理に関する適切な指導を実施すること。 9.違反 法令違反が判明した場合に速やかに関係官庁に報告し、必要に応じ関係者に厳正な処分を行うこと。 注:複数の規程によってこの内容が構成されるもの、輸出管理以外の事項をも包含するもの、規程の一部又は全部について他者の輸出管理社内規程を適用するものであっても支障ない。
基本的事項の解説 + 15 ~監査の事例~ 輸出管理 最高責任者 ①営業部門 監査室担当者 ②製造部門 ③出荷部門 輸出管理部 担当者 ①監査対象事項 ②実施時期・場所 ③監査担当者 監査の実施者 監査の対象者 ②監査実施通知 の送付 ①監査の実施計画策定 ⑥監査結果の報告(必要に応じ) 監査項目 監査室担当者 ①営業部門 ②製造部門 ③出荷部門 ①輸出管理体制 ②取引審査手続 ③該非判定 ④研修の実施状況 ⑤関係書類の保管 状況 ③監査の実施 (通常年1回) + ④責任者に対し 結果報告 (改善要望) 輸出管理部 担当者 ⑤改善要望に対する回答 ①改善策 ②改善計画
基本的事項の解説 16 ~研修の事例~ 企業内 輸出管理部門 管理責任者 研修 該非判定 実務研修 一般社員研修 or 新人研修 ①企業の危機管理 ②輸出管理総論 ③取引審査のポイント 管理責任者 研修 研 修 輸出管理部門 研 修 該非判定 実務研修 ①該非判定の責任体制 ②関係法令の体系 ③関係法令の解釈 ④パラメータシートの記載方法 研 修 (イントラネットの活用) 一般社員研修 or 新人研修 ①eラーニングの実施 ②輸出管理に関する最新情 報の周知・徹底 ①輸出管理制度 ②輸出管理体制 研修報告の提出
17 輸出管理方式とそのメリット ~分散管理方式と集中管理方式~ <分散管理方式> <集中管理方式> 最高責任者 最高責任者 企業の組織構成 に影響される (輸出管理の中心組織) 権限の分散 輸出管理統括部門 (輸出管理統括責任者) 権限・情報の集中 事務局 (商品グループ) (商品グループ) (商品グループ) 輸出管理統括責任者 輸出管理統括責任者 輸出管理統括責任者 営業部門 設計・製造部門 出荷部門 分散管理方式 集中管理方式 メリット ・迅速・効率的な輸出管理手続が可能 ・該非判定等において的確な判断が可能 ・営業に対する牽制機能が働く ・全社にわたり横断的な判断が可能 デメリット ・営業に対する牽制機能が脆弱 ・情報の一元化を図ることが難しく、教育・監査が疎かになるおそれあり ・輸出管理手続きのスピードダウン 審査票の電子決裁化、簡易な案件の審査権限 を営業部門へ委譲することにより改善 事務局を設けることにより改善
18 輸出管理方式とそのメリット ~直接管理方式と間接管理方式~ <直接管理方式> <間接管理方式> 大 小 最高責任者 企業規模、輸出等額・輸出等 規制品の取扱量及び輸出等 許可証の取得数等 最高責任者 (輸出管理統括責任者) 間接管理 (輸出管理の中心組織) 直接管理 輸出管理統括部門 (輸出管理統括責任者) 権限・情報の集中 小 大 営業部門 設計・製造部門 出荷部門 営業部門 設計・製造部門 出荷部門 直接管理方式 間接管理方式 メリット ・迅速・効率的な輸出管理手続が可能 ・管理コストの削減 ・細部にわたり管理が行き届く デメリット ・細部に目が行き届かず、輸出手続きの見落としが発生するおそれあり ・円滑な情報収集が困難となる可能性があり、 教育・監査がおろそかになるおそれあり ・輸出管理手続きのスピードダウン ・管理コストの上昇
企業の輸出審査の流れと具体的活動 19 経 済 産 業 省 引合い 最高責任者 貨物の輸出 営業部門 設計・製造部門 制度等関連情報の入手 (判定書) 取引審査 ・該非判定 ・顧客審査 ・用途・最終需要者 の確認 該非判定書の作成 経 済 産 業 省 輸出管理部門 (取引審査稟議書) 該非判定最終確認 (教育・監査) (製品) 制度等関連情報の入手 取引審査決裁 契約締結 (教育・監査) 輸出許可申請の 必要性確認 (許可証) 輸出許可証の取得 (必要に応じ) (教育・監査) 出荷部門 (出荷依頼書) 製品の出荷依頼 出荷管理 ・取引審査の終了を確認 ・出荷管理票と貨物の同一 性を確認 貨物の輸出 ポイント ○輸出関連法規に専門知識を有する職員により、営業部門から独立した輸出管理部門を設立し、同組織を中心 とした輸出管理(審査)体制を構築する。 ○輸出管理部門が中心となり、最新の制度等の関連情報を入手し、社内へ周知・徹底させる。 ○用途・需要者の確認、該非判定等については、複数の者によるダブルチェックを実施する。 ○出荷部門において貨物の出荷に当たり、社内の取引審査が終了しているか確認する。
輸出管理社内規程に関するお問い合わせ等 20 輸出管理社内規程の作成・内容等に関する相談先は、以下までお願いいたします。 経済産業省 貿易経済協力局 安全保障貿易検査官室 住 所:〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 TEL:03-3501-2841 FAX:03-3501-0996 e-mail:qqfcbh@meti.go.jp