雨水吐越流が都市河川・堀川に与える影響について 名古屋工業大学 筒井建伍 名古屋工業大学大学院 岩切辰郎 名古屋工業大学大学院 中西祐貴 名古屋工業大学大学院 冨永晃宏
はじめに 堀川が汚濁している要因 雨水吐越流の実態を観察し,河川への影響を調査 モデル流域において流出量をシミュレーション 合流式下水道からの雨天時未処理水 の流入が多くを占める 雨水吐越流の実態を観察し,河川への影響を調査 堀川上流の猿投橋付近で現地観測を実施 モデル流域において流出量をシミュレーション 流出解析ソフト『MOUSE』を用いて解析 流入水量の水源別割合(試算)
猿投橋 観測場所 140m 現地観測の方法 流量の計測 採水 15分または30分間隔で計測 BOD濃度 SS濃度
観測日の降雨形態 雨水吐越流発生 降雨データ 観測場所から約2.64km離れた尾張県民事務所から提供
観測結果(10月2日) 流量とSS 2 50 雨水吐越流による汚濁負荷発生 流量,SS共に 大きな変化なし
観測結果(10月2日) 流量とBOD 2 15 雨水吐越流による汚濁負荷発生
観測結果(11月11日) 流量とSS 50 2 10月2日同様にSS濃度が約40mg/lまで上昇 流量変化に追随
観測結果(11月11日) 流量とBOD 2 15 BOD濃度は流量減少とともに上昇
観測結果(11月11日) BODフラックス=流量×濃度 観測結果(11月11日) BODフラックス=流量×濃度 2 15 BODフラックスでは減少
観測結果(10月26日) 流量とSS 50 2 SS濃度が若干上昇
観測結果(10月26日) 流量とBOD 15 2 BODはほとんど変化なし
現地観測のまとめ 6mm/hrの降雨で雨水吐越流は発生したと考えられる SSは流量に比例した変化を示し,最大濃度は降雨の強さによらず同程度であった BODは降雨によって異なる変化を示したが,さらに観測が必要である 3mm/hr程度の降雨ではSS濃度が上昇する程度で,BODの増加は観測されなかった 1~2mm/hrの降雨では流量がほとんど変化せず,水質も変化が見られなかった
流出解析ソフト(MOUSE)による流出解析 表面流出計算(kinematic wave法) 管渠水理計算(完全サンヴナン法) 降水量-湿潤損失-凹地損失 流域を長方形断面と河道の組合せと見なし,管路に流入する流量を計算している.
対象流域のモデル化 堀川へ流入 この堰を越えた場合を雨水吐越流と見なす
解析結果 (10月2日降雨,11月11日降雨) 10月2日 11月11日 堰の最上部 堰を越え雨水吐越流した流量を現地観測と合わせた 解析結果 (10月2日降雨,11月11日降雨) 10月2日 1 2 4 3 6 堰を越え雨水吐越流した流量を現地観測と合わせた 水位[m] 時刻[hr] 3 8 11 16 18 1 11月11日 大規模な雨水吐越流が発生 水位[m] 時刻[hr] 堰の最上部
貯留施設の効果(大規模貯留施設一ヶ所) 貯留量:14567m3 :貯留施設 集水面積100m2当たり4m3貯留
貯留施設の効果(大規模貯留施設一ヶ所) 貯留施設なし 全体的な水位の低下 貯留施設あり 雨水吐越流は発生しなくなる 堰の最上部 水位[m] 時刻[hr] 全体的な水位の低下 貯留施設あり 水位[m] 時刻[hr] 雨水吐越流は発生しなくなる 堰の最上部
各戸貯留の効果-各ノードに初期貯留を分散 貯留施設なし 水位[m] 時刻[hr] 水位の上昇を遅らせる効果がある 水位[m] 一人当たりの貯留量は4200リットル 時刻[hr] 堰の最上部
流出シミュレーションのまとめ 限定された範囲と条件ではあるが,雨水吐越流を再現することができた 貯留施設の雨水吐越流抑制効果が確認された 比較データが少なく,モデル化範囲が限定されているなど,問題点はまだまだ多い 効果を定量化するにはさらにモデル地区の観測を強化する必要がある
感潮河川・堀川における水質変動と 流動制御による改善策に関する研究 名古屋工業大学大学院 岩切辰郎 名古屋工業大学大学院 冨永晃宏
はじめに 感潮河川の特徴 塩水遡上現象の発生 水環境に 多大な影響 密度流の発生 水質浄化策を立案する為には複雑な流動 水環境に 多大な影響 水質浄化策を立案する為には複雑な流動 による水質変動を把握することが重要
本研究の目的 現地観測 堀川の水質変動の把握 数値解析 濁質傾向・流動の再現 水質改善の可能性の検討
堀川における水質変動現地観測 計測箇所及び計測方法 計測方法 ⅰ)底層水質の長期定点観測 ⅱ)濁質の鉛直分布計測 計測項目 ・pH ・DO ・SS濃度 ・濁度 ・塩分 ・流速
DOと塩分の関係 鷹匠橋 上流の鷹匠橋での観測
濁質の傾向(上げ潮時) 潮位差が大きい程,上昇 塩分に伴い濁度も上昇 塩水楔の先端が通過する影響
濁質の鉛直分布計測 堀川中流域 特に水質,悪臭などが問題となっている 五条橋
濁質の傾向(下げ潮~干潮) 潮位差の大きい場合 水深の低くなる時間帯に濁質が上昇 SS濃度 濁度
濁質の傾向(下げ潮~干潮) 潮位差の大きい場合 順流期間が長くなっている 水深が小さくなると底層流速も速くなる 底泥が巻き上げられたことで濁質が上昇
現地観測のまとめ 海水の混入によりpHやDOに影響 堀川上流まで塩水が遡上し,DO値を減少させている 濁質は上げ潮時と下げ潮から干潮にかけて大きく上昇する傾向が見られた 濁質の上昇に関しては塩水楔先端の通過や流速が影響している
数値シミュレーションによる検討 計算区間 感潮区間 流入条件 上流端 : 0.3 t/s , 6.89mg/l 猿投橋 (0m)
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
縦断分布に関する検証 塩分 主流速 濁質
鉛直分布に関する検証 濁質 現地観測 計算結果
導水位置による検討 目的 上流域での水質改善を目的に塩水遡上を阻害する効果が期待できるか検証する シミュレーションケース 上流域での水質改善を目的に塩水遡上を阻害する効果が期待できるか検証する シミュレーションケース Case01:猿投橋から5.0m3/sを流入(上流端) Case02:名城下水処理場から5.0m3/sを流入(1350m)
塩分濃度縦断分布(満潮) 通常時 Case01 Case02
塩分濃度縦断分布(干潮) 通常時 Case01 Case02
主流速u 縦断分布(下げ潮) 通常時 Case01 Case02
主流速u 縦断分布(上げ潮) 通常時 Case01 Case02
越流する堰(潜り堰)設置による検討 目的 塩水遡上を止め,水質改善の効果が期待できるか検証する シミュレーションケース 塩水遡上を止め,水質改善の効果が期待できるか検証する シミュレーションケース Case03:朝日橋に越流する堰を設置(2900m)
塩分濃度縦断分布(満潮) 通常時 Case03
主流速u 縦断分布(上げ潮) 通常時 Case03
おわりに 堀川中流域では潮位差の大きい場合に順流期間が長く,下げ潮から干潮にかけて濁質が上昇しやすい 導水位置より塩水の押し下げ効果に違いが見られた.しかし,塩水を押し下げるには流入量のかなりの増加が必要である 堰については,かえって塩水を上流に留める可能性があるため,堰の可動化による運用が不可欠である