作成: 千葉県立保健医療大学 林 芙美 女子栄養大学 武見 ゆかり 食生活支援についてのコアスライド 作成: 千葉県立保健医療大学 林 芙美 女子栄養大学 武見 ゆかり メタボリックシンドロームに対する食生活支援では、まず、内臓脂肪の減少、減量を目指したエネルギーコントロールを行い、必要に応じて血糖コントロール、血圧コントロール、脂質コントロールなども行う。そこで、食生活支援では、エネルギーコントロールを中心にコアスライドを作成した。 また、コアスライドでは、行動科学や食環境整備の視点を組み込んだ食生活支援のポイントを概説するのみにとどめたことから、研修においては、対象者の状況やニーズに合わせた食生活支援が実践できるよう、栄養素の種類やその働き、食品・調理法の特徴など、支援に必要な知識やスキルを補えるような教材・資材をプラスする。 また、食生活支援では、個々人の生活習慣(一人暮らし、交代勤務など)、食嗜好、地域の食文化などを尊重した個別対応が求められることから、具体的な食事例などは、それぞれの対象集団に応じて適宜追加していただきたい。
食生活支援のポイント 1.エネルギーコントロールの鍵となる食行動を 共に考える 2.エネルギーや栄養素の改善を,対象者の日常 共に考える 2.エネルギーや栄養素の改善を,対象者の日常 の食生活で使いやすい(わかる)レベルの 行動目標にする 3.食生活の変容においては,対象者自身の工夫 がカギ。そのための支援を 4.エネルギーコントロールの評価は、エネルギーの絶対値ではなく、体重の変化を用いる 5.本人の行動・家族や職場の支援に加え,地域社会としての「健康的な食物へのアクセス」も重要 特定保健指導の食生活支援においては、この5つがポイントとなる。 1.「エネルギーコントロールの鍵となる食行動を共に考える」。支援の主役はあくまでも対象者である。いかなる対象者に対しても、これまでの生き方や考え方を尊重し、受容することが大切である。対象者の健康のために行動を変えてもらおうと助言や提案が多くなってしまっては、信頼関係を築く機会を逸することにもなりかねない。対象者に合った、実現可能で具体的な目標設定が出来るよう、共に考えるような支援を進めていくことが大切である。 2.「エネルギーや栄養素の改善を,対象者の日常の食生活で使いやすい(わかる)レベルの行動目標にする」。対象者の知識、態度、スキルレベルに合わせて、対象者が日常の食生活で使いやすいレベルで行動目標を設定するよう支援する。 3.「食生活の変容においては,対象者自身の工夫がカギ。そのための支援を」。支援時に立てた目標以外に、自分なりの工夫をしていることが、減量成功のポイントであることが先行研究で明らかになっている。対象者のペースで、その人に合ったやり方で、セルフケアが確立できるよう支援をする。 4.「エネルギーコントロールの評価は、エネルギーの絶対値ではなく、体重の変化を用いる」。減量目標から、具体的な食事、身体活動で収支エネルギーをマイナスにするための行動目標を設定する際、食品成分表や食事調査等で得られる数値はあくまでも補助的に用い、エネルギーコントロールの評価には体重の変化を用いる。 5.「本人の行動・家族や職場の支援に加え,地域社会としての『健康的な食物へのアクセス』も重要」。食行動だけでなく、生活習慣の変容においては、個人の努力に加え、周囲の支援や、地域社会としての健康的な食物ヘのアクセスが重要となってくる。保健指導に携わる専門家として、それら社会資源に関する情報を収集・活用する能力や、環境整備に働きかける能力を身につけることが重要となる。 続いて、それぞれのポイントについて解説する。
食行動変容のためのアプローチ Step 1:準備性や問題行動を明確にする Step 2: 行動ときっかけ(刺激)との関係を分析する 健診結果の受け止め方や食・生活改善への意欲、現在の食・生活上の努力や取り組みを確認する。 支援状況チェック ✔ 対象者の思いを聴きとっているか ✔ 食事内容(栄養素・食物)と食べ方(食行動)の 両方をアセスメントしているか Step 2: 行動ときっかけ(刺激)との関係を分析する どんなときに、何をきっかけにして起こるか? その結果、どのように感じるか、周りの反応は? エネルギーコントロールの鍵となる食行動を共に考えるための、食行動変容のアプローチを示す。 行動療法における、問題解決の具体的な方法は、次の4つのプロセスからなる。 まずステップ1、「準備性や問題行動を明確にする」。対象者が、健診結果をどのように受け止めているか、食生活改善の意欲はどの程度か、何かすでに始めている取り組みはあるかなど、対象者の思いを傾聴する。また、食生活のアセスメントにおいては、食物摂取状況などの食事内容だけでなく、食行動(外食の頻度、食事の時間、食べる速さ、表示を見る、満腹になるまで食べるなど)や食の知識やスキル(調理スキル、表示活用スキルなど)を合わせてアセスメントすることが重要である。食事内容だけでなく、食行動や食知識・スキルもみることで、対象者の価値観や信念、こだわりなどがわかり、働きかけのポイントが見えてくる。 次にステップ2「行動ときっかけ(刺激)との関係を分析する」。問題となる行動がどんなときに、何をきっかけにして起こるか、どんな頻度で起こるのか、その結果どのように感じるのか、周りの反応はどうかなど、問題行動の起こり方を、刺激と反応の関係として分析する。その際、「なぜ?」「どうして?」と原因を探るような聴き方をすると詰問調になりがちなので、ここでは対象者の思いや行動を尊重し、受容するように心がけたい。 参考文献: ・足達淑子:ライフスタイル療法〈1〉生活習慣改善のための行動療法, 医歯薬出版; 第3版 (2006) ・林芙美, 赤松利恵, 蝦名玲子, 西村節子, 奥山恵, 松岡幸代, 中村正和, 坂根直樹, 足達淑子, 武見ゆかり:特定保健指導対象の職域男性における減量成功の条件とフロー 個別インタビューによる質的検討, 日本公衆衛生雑誌 59; 171-182 (2012) 支援状況チェック ✔ 誘惑場面は人それぞれ異なることに留意して いるか ✔ 自信が低い場面を確認しているか
食行動変容のためのアプローチ Step 3:行動目標を設定し、実行する Step 4:結果とプロセスを確認しながら、続ける 何をしたら効果がでそうか、何なら実行できそうか? 効果が期待できる程度の「無理のない」目標か? 支援状況チェック ✔ 実現可能な目標を対象者が自己決定できたか ✔ 内容は具体的で、自己の振り返りが可能か Step 4:結果とプロセスを確認しながら、続ける セルフモニタリングをし、変化を実感しているか? 決めた目標以外に自分なりの工夫をしているか? 誘惑や障害への対策が出来ているか? 取り組みを肯定的にとらえているか? ステップ3「行動目標を設定し、実行する」。何をしたら効果ができそうか、何なら実行出来そうかを、対象者と共に考えながら、具体的な行動目標を設定する。無理のない範囲で、出来ることからコツコツ取り組みを始めることは大切だが、効果が期待できる程度の目標であるか、専門家としてチェックすることも大切である。なお、目標の内容は、具体的で、対象者が自ら客観的に振り返ることができるものであるかチェックする。 ステップ4「結果とプロセスを確認しながら、続ける」。実際に、対象者の行動が改善したら、確実な変化に繋がるよう、行動を強化する。その際、対象者自身が取り組みの結果、良い変化を実感することが重要である。体重が減っていなくても、取り組みが苦でなくなったり、体が軽く感じるなど、クライアントには自覚しにくい程度の小さな変化であっても、そこに注目してほめて自信をつけたり、効果をフィードバックすることで、強化する。また、支援時に決めた目標以外に自分なりに工夫をしている、誘惑や障害に対して対策が出来ている、取り組みを肯定的にとらえている点などは、実際に減量成功者でみられた特徴であり、継続的な実践には不可欠な要素である。 もし、全く変化がない、取り組みを否定的にとらえているなどの様子が確認されたら、再度ステップ1からやり直し、どうしたら出来そうか共に考える。 参考文献: ・足達淑子:ライフスタイル療法〈1〉生活習慣改善のための行動療法, 医歯薬出版; 第3版 (2006) ・林芙美, 赤松利恵, 蝦名玲子, 西村節子, 奥山恵, 松岡幸代, 中村正和, 坂根直樹, 足達淑子, 武見ゆかり:特定保健指導対象の職域男性における減量成功の条件とフロー 個別インタビューによる質的検討, 日本公衆衛生雑誌 59; 171-182 (2012) 支援状況チェック ✔ 本人の工夫や努力を褒めたり、共感したか ✔ 気持ちや体調等の変化に気づくように促したか
それほど食べていないのにと思っているCさん 行動変容が困難と感じている事例への支援 交代勤務のAさん 一人暮らしのBさん それほど食べていないのにと思っているCさん 特徴 不規則な食事は太りやすいと分かってはいても、仕事柄改善出来ないと思っている。 家族と生活時間が異なり、支援を得にくい。 単身赴任や独身で、食生活が不規則。 日頃、励まし・支援してくれる人が身近にいない。 仕事が優先で、行動変容は難しいと感じている。 食事のみで減量しようと動いていないため、基礎代謝量が低下し、太りやすい体質に。 朝食を抜いたり、主食を抜いているため、本人は食べ過ぎているという意識はない。 支援のポイント 交代勤務で、日によって行動パターンが変わるため、目標行動が完璧に出来なくても、体重測定だけは毎日実践してもらう(セルフモニタリング)、出来る時に頑張ろうと思う(認知的な取り組み)など、継続するために出来ることを共に考える 仕事が優先で、周りに支援してくれる家族などがいないことから、夜遅い食事などの不規則な食事については、ライフスタイルの一部として受容する。 行動目標の設定においては、日常生活の負担にならないよう、勤労者の特徴を踏まえて提案する。 食事内容と食行動をアセスメントし、対象者自ら問題行動を意識できるよう支援する。朝食を抜いたり、晩酌の際に主食を抜いておかずを食べ過ぎると、逆に摂取過剰に繋がりやすいこと等の知識を伝え、思い込みを是正する。 食事と運動を組み合わせる。 目標例 夜勤の日の夕食は、揚げものを選ばない。 夜勤明けの朝食は、野菜を両手いっぱい食べる。 1日3食を意識する。 飲み物をお茶かブラックコーヒーに変える。 単品ではなく定食にする。 飲み会は2回に1回は断る。 迷ったら、野菜が入った料理を選ぶ。 毎日、体重計にのる。 食品の表示を見てから買う。 晩酌のおつまみは野菜料理にする。 昼休みに散歩する。 仕事や生活スタイルなど、行動変容が困難となる理由は対象者によって様々であるが、ここに3つ例を挙げ、対象者の特徴、支援のポイント、具体的な目標の例を挙げた。 行動変容を目的とした働きかけを行うには、対象者のどの行動に問題があるのか、何が障害となっているのか、対象者の生活に関心を持ち、対象者と共に探ることから始める。交代勤務のAさんのように、仕事柄仕方ないと諦めているのか、一人暮らしのBさんのように仕事が優先で今は取り組めないと思っているのか、それほど食べていないのに太ると思っているCさんのように思い込みで誤った行動はないか、対象者の話しを丁寧に聴きとる。そして、対象者の価値観やライフスタイルをありのまま受け止め、尊重し、実現可能な行動目標を共に探る。
食生活支援における食事内容の助言は、 対象者の知識・態度・行動に合わせることがポイント 食生活支援における食事内容の助言は、 対象者の知識・態度・行動に合わせることがポイント ○「健診結果とその他必要な情報の提供(フィードバック)文例集」より栄養素・食品に関するまとめ 栄養素/食品 助言 健診結果 エネルギー 減量 血圧高値、脂質異常、血糖高値、尿たんぱく、尿酸 炭水化物 糖分を控える 脂質異常、尿酸 脂質 飽和脂肪酸が多い動物性の脂肪を控える 脂質異常 多価不飽和脂肪酸が多い植物油や魚をとる 卵などコレステロールの多い食品も控え目にする ナトリウム(食塩相当量) 減塩 血圧高値、尿たんぱく 野菜・果物 野菜を多くして果物も適度に食べる 血圧高値 アルコール アルコールを控える その他 食事・運動療法 血糖高値 2つ目のポイントである、「エネルギーや栄養素の改善を,対象者の日常の食生活で使いやすい(わかる)レベルの行動目標にする」ためには、食生活支援で指示する内容は、対象者の知識や態度、行動レベルに合わせることが重要である。 例えば、ここに標準的な健診・保健指導プログラム(改訂版)の「健診結果とその他必要な情報の提供(フィードバック)文例集」に掲載された、栄養素・食品に関する記述のまとめを示した。「糖分を控える」や、「野菜を多くして果物も適度に食べる」といった内容では、対象者の主観に左右されるため、実践しても効果が期待できるか客観的な評価ができない。文例集では、はじめに利用上の留意事項として「必要に応じて、適宜改変して使用してください」とある。そのため、対象者の状況に応じて、日常の食生活で使いやすい(分かる)レベルで、具体的な目標を提示・助言できるよう、工夫する。 次に、対象者のレベルに見合った支援をする際に考慮したい、栄養素と食品、食事、食行動の各レベルの特徴について解説する。 参考文献: ・ 厚生労働省健康局:標準的な健診・保健指導プログラム【改訂版】. 平成25年4月. 対象者が、日常の食生活で使いやすい(わかる)レベルの行動目標にする。 「控える」「適度に」「多く」のように主観的な表現ではなく、具体的な目標を提示・助言する。
炭水化物、 たんぱく質、脂質、 ビタミン、ミネラル、食物繊維 対象者が、日常の食行動で使いやすい(わかる)レベルで食生活の目標を提示・助言する レベル 栄養素 食品・食材料 料理・食事 食行動 ● ★ ▲ ■ エネルギー・ 炭水化物、 たんぱく質、脂質、 ビタミン、ミネラル、食物繊維 食品成分表(18分類) 6つの基礎食品 3色分類、四群点数法 糖尿病交換表など 食べる速さ、 時間、 タイミング、 組み合わせ、 など 主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、 果物、 菓子・嗜好飲料 内容 食事摂取基準 学会ガイドライン 食事バランスガイド 食生活指針 行動科学、時間栄養学など 基準 食品構成 目に見えないので, 知識としてはわかるが,そのままでは使えない 食べるときに見ている状態でおおまかに 把握できる 食べる 立場 重量の把握が難しい 具体的で実行しやすい 私たちは身体の健康・栄養状態を維持するために食事から栄養素を摂取しているが、その過程には、栄養素レベル、食品・食材料レベル、料理・食事レベル、そして食行動レベルがあり、それらの積み重ねが、健康・栄養状態として身体に反映されることを理解しておく必要がある。 まず、どの栄養素をどれくらい摂取すればよいかの基準には、食事摂取基準や各学会ガイドラインの食事療法がある。それらは、病院や保健所などでの保健指導のほか、学校や事業所等での給食管理においては基礎となる科学的なデータであるが、対象者にとって食べる際に目に見えるものではないので、知識として理解はできても、実際には活用しにくい。そこで、支援ではそのまま教材として用いるのではなく、対象者の学習目標や理解度に応じて、補助的な教材を工夫して作成する必要がある。 次いで、食品・食材料レベルである。それぞれの食品は栄養素を含んでいるが、1つの食品で生命活動に必要な全ての栄養素を含む食品は存在しないため、各食品の栄養成分の特徴を理解し、バランスよく組み合わせる必要がある。この食品を栄養成分の特徴別に分類したものが「食品群」であり、栄養素レベルでの推奨されるバランスを食品で示したものが「食品構成」である。食品群には「三色分類」や「6つの基礎食品」「4群点数法」などいくつか教材として代表的なものがあり、また食品構成には、糖尿病交換表などがある。難しい栄養素のことなどを考えなくても、食品の組み合わせに注意すれば、栄養バランスのとれた食事をしやすいが、各群に含まれる食品の種類を覚えても、それぞれの群から摂取する食品の量に偏りがあれば、栄養バランスのとれた食生活を実現することはできない。また、普段調理をしない人にとっては、重量の把握が難しい。 次に、料理・食事レベルでは、主食・主菜・副菜の組み合わせや調理法、食事の様式などがある。また、「何を」「どれだけ」食べるとよいか料理・食事レベルで示す教材には、「食事バランスガイド」などがある。目に見えない栄養素レベルや、重量の把握が難しい食品・食材料レベルに比べて、外食時などにも食べている量の把握がしやすいという特徴があり、特に食品や調理に対する知識が乏しい方や食生活に対する関心の低い方向けに適した教材だと考えられている。しかし、料理・食事レベルでは、エネルギーやナトリウム摂取量に大きく影響する調味料の把握が難しい、あるいは食品の重複があると栄養バランスに偏りが出やすいなどの短所もある。そのため、すでに食事制限や食事療法の適用が推奨される疾患を有する場合には、他のレベルとの併用が望ましい。 最後に、1日に食べる食事の回数や食事時間などのリズム、速食いなどの食べ方、外食や中食の利用などの食行動レベルがある。具体的で取り組みやすいといった利点もあるが、エネルギーコントロールに対する有効性についてはエビデンスレベルにばらつきがみらえるため、対象者の状況に応じて、他のレベルとの併用が望ましい。 これらの、栄養素レベル、食品・食材料レベル、料理・食事レベル、そして食行動レベルの各レベルの積み重ねが、健康・栄養状態として身体に反映される。どのレベルでの働きかけが対象者に見合っているか、対象者の知識や態度、スキル、ライフスタイルに応じて適用していくことが重要である。 次に、各レベルの教材について解説する。 食品成分表や基準の専門的な理解や活用スキルが必要 食材料や調理法の 知識、食材料の量の 計算が必要 摂取量と望ましい量を比較しておおまかな バランスを理解する 食習慣を確認する。エビデンスレベルの差 支援する 立場 枠組み 栄養素選択型 食材料選択型 料理選択型 食行動型
食事摂取基準の各指標の考え方 エネルギー 推定エネルギー必要量 推定平均必要量 推奨量 目安量 栄養素 耐容上限量 目標量 (34種類) エネルギー消費量との均衡が取れるエネルギー摂取量 (⇒ 減量が必要な場合は、望ましい体格に応じて変化させる) エネルギー 推定エネルギー必要量 摂取不足からの回避 50%の人が必要量を満たす(50%は満たさない)と推定される摂取量 (「不足」の定義は栄養素によって異なる) 推定平均必要量 推奨量 ほとんどの人(97~98%)が必要量を満たす量(推定平均必要量が決められる栄養素) 目安量 不足状態を示す人がほとんど観察されない量 (推定平均必要量が決められない場合の代替指標) 栄養素 (34種類) 過剰摂取による健康障害からの回避 耐容上限量 過剰摂取による健康障害が起こりえない 最大量 「日本人の食事摂取基準(2010年版)」は、健康な個人または集団を対象として、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギー及び栄養素の摂取量の基準を示したものである。そのため、すでに特有の食事指導、食事療法、食事制限が適用・推奨される疾患を有する場合には、そちらを優先し、食事摂取基準は補助的な資料として参照することが望ましい。 推定エネルギー必要量とは、性、年齢、身長、体重、および身体活動レベルによって算出される。実際のエネルギー摂取量が推定エネルギー必要量と同じ場合、その人のエネルギー摂取量が不足する確率は50%、過剰になる確率は50%と考えられている。つまり、個人のエネルギー摂取量が推定エネルギー必要量よりも多い場合は、体重が増加する確率が高くなり、少ない場合には体重が減少する確率は増加する。したがって、減量支援や糖尿病診療などにおいて用いられている、BMIを22とした標準体重(身長2×22)を基に算出する摂取エネルギー量の推定方法とは異なることに留意されたい。 例えば、身長170㎝の50歳男性、デスクワークが多い方の場合、「日本人の食事摂取基準(2010年版)」に基づく推定エネルギー必要量(身体活動レベルⅠ)は2100kcalであるが、標準体重×身体活動量(軽い労作:25~30kcal/kg)で算出される摂取エネルギー量は、1590kcal~1907kcalとなる。 次いで、栄養素については34種類が対象となっており、摂取不足の有無や程度を判断するための資料として、ある集団において測定された必要量の分布に基づき推定平均必要量(EAR)と推奨量(RDA)が算定された。EARまたはRDAが設定できない栄養素については、目安量(AI)が設定されている。これら3つが、摂取不足に関連する指標である。 過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ事を目的として設定されたのが「耐容上限量(UL)」である。また、生活習慣病の一次予防のために、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量として「目標量(DG)」が設定された。 以上のように、栄養素についてはこれら5種類の指標がある。活用においては、不足に関する指標と過剰に関する指標を最優先とし、それらに問題がないことを確認した上で、生活習慣病の一次予防への配慮が求められている。 尚、食事摂取基準は5年ごとに改定されることになっているため、2014年度中には新たな基準(2015年版)が発表される予定である。 生活習慣病の一次予防 生活習慣病の予防を目的として、その疾患のリスクや、その代理指標となる生体指標の値を低くするために、日本人が当面の目標とすべき摂取量 目標量 すでに特有の食事指導、食事療法、食事制限が適用・推奨される疾患を有する場合には、そちらを優先し、食事摂取基準は補助的な資料として参照すること。
科学的根拠に基づく糖尿病診療 ガイドライン2013 動脈硬化性疾患予防のための 脂質異常症治療ガイド2013年版 栄養素 栄養素 科学的根拠に基づく糖尿病診療 ガイドライン2013 動脈硬化性疾患予防のための 脂質異常症治療ガイド2013年版 高血圧治療 ガイドライン2009 エネルギー 摂取エネルギー量=標準体重×身体活動量 *標準体重(kg)=身長(m)2×22 *身体活動量(kcal/kg標準体重) =25~30 軽い労作 30~35 普通の労作 35~ 重い労作 エネルギー摂取量(kcal) =標準体重(kg)×25~30(kcal)を目指すが、まずは現状から1日に250kcal程度を減じることから始める。 - ※ただし、減量目標として、 BMI(体重(㎏)÷身長(m)2)が25未満 炭水 化物 指示エネルギー量の50以上60%を超えない範囲とする 食物繊維(1日20~25g)は食後血糖コントロールの改善に有効 エネルギー比率50~60% グリセミックインデックス(GI)、グリセミックロード(GL)の低い食事 食物繊維(1日25g以上) 蔗糖、単糖類、特に果糖の過剰摂取に注意 たんぱく質 標準体重1㎏あたり1.0~1.2g CKDステージ3以上では0.6-0.8g/㎏標準体重/日 脂質 飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸は、それぞれ摂取エネルギー量の7%、10%以内におさめる エネルギー比率20~25% 飽和脂肪酸(エネルギー比率として4.5%以上7%未満) n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取を増やす トランス脂肪酸の摂取を控える コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える 魚(魚油)の積極的摂取 食塩 制限する 高血圧を合併したものならびに顕性腎症以降の腎症の合併を伴うものでは6g/日未満に制限する 6g/日未満 6g/日未満とするが、より少ない食塩摂取量が理想。安全性のエビデンスがあるのは3.8g/日まで。 その他 ビタミン、ミネラルの摂取不足を防ぐ 糖尿病、脂質異常症、高血圧などの疾患がある場合、各関連学会で作成されたガイドラインで推奨される食事療法も、食生活の目標設定に活用する。 ここには例として、エネルギー、炭水化物、たんぱく質、脂質、食塩、その他としてビタミン・ミネラルについて、各ガイドラインに記載された食事療法の内容を示した。 詳細については、各ガイドラインに譲るが、この内容を生かした食事療法を実践するには、食品成分表や栄養素に関する専門的な理解や活用スキルが必要となる。また、実際には目に見えないため、ガイドライン及び食品交換表などの関連資料に示された食品構成等を用いて、適切な1日のエネルギー摂取と栄養バランスのとれた食品・食事構成についての理解を促すことが求められる。
学会ガイドラインの食事療法と主な食品の早見表 栄養素/食品 学会ガイドラインの食事療法と主な食品の早見表 △:飽和脂肪酸多い ○:ナトリウム(食塩相当量)多い 栄養素 ガイドラインでの記載 (数値は一例) 緑信号 (積極的に) 黄信号 (ほどほどに) 赤信号 (控え目に) 炭水 化物 摂取エネルギーの50~60% 玄米 雑穀米 ライ麦パン 胚芽パン ほとんどの野菜 きのこ類 海藻類 ご飯、食パン めん(うどん、 スパゲティ、そば) コーンフレーク じゃがいも かぼちゃ 果物 △クロワッサン △デニッシュ ○インスタントめん 菓子、菓子パンジャム 甘い清涼飲料水 果物の缶詰 単糖類・二糖類の過剰摂取を控える 食物繊維:増やす (25g以上) 脂質 摂取エネルギーの20~25% 低脂肪乳 無脂肪乳 低脂肪ヨーグルト カッテージチーズ 普通牛乳 ヨーグルト(無糖) プロセスチーズ ほとんどの植物油(コーン油、オリーブ油、キャノーラ油など) △濃厚牛乳 甘いヨーグルト △ナチュラルチーズ △バター、ラード マーガリン、ショートニング △パーム油、ココナツ油、ヤシ油 コレステロール :300mg以下(高LDLの場合は200mg以下) 飽和脂肪酸:控える(7%未満) 多価不飽和脂肪酸:増やす トランス不飽和脂肪酸:過剰摂取を避ける たんぱく質 摂取エネルギーの15~20% 鶏肉(皮なし) ささ身 脂の少ない魚 納豆、豆腐 卵、魚介類、 脂身の少ない赤身肉、鶏肉(皮つき)、油揚げ △霜降り肉、バラ肉、ひき肉、△○ベーコン、ハム ○魚卵、魚塩蔵品 各学会ガイドラインに示された食事療法の栄養素に関する記載を、具体的な食品の例として挙げたものである。 これが全てではないが、摂取を控えたい飽和脂肪酸や食塩を多く含むものに注意喚起を促すマークをつけたり、積極的に食生活に取り入れたい食品を色分けして示すことは、食生活の変容に関心が低い方にとっても便利であり理解されやすい。 ※ 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版、高血圧治療ガイドライン2009、科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2010、肥満症治療ガイドライン2006を参照
主観的な表現ではなく、具体的な目標を 提示・助言する 食品/料理/食行動 主観的な表現ではなく、具体的な目標を 提示・助言する 例)「野菜を多く」ではなく・・・ 食材料選択型 料理選択型 食行動型 1日に野菜350g 副菜を1日に5-6つ(SV) 毎日プラス1皿 ※1つは小鉢1皿分 緑黄色野菜 野菜から食べて 満腹感を出す かぼちゃの煮物 1つ(SV) ほうれん草のおひたし 1つ(SV) また、食品・食材料で指示する場合でも、「野菜を多くとる」などあいまいな表現ではなく、「350g」などと具体的な数値で示すことが重要である。具体的に示すことで、対象者が自ら客観的に振り返る事が出来、セルフモニタリングしやすくなる。 しかし、調理済みの料理を食べる場合などは、食品・食材料での重量の把握が難しい。また、計量・計算が必要など、活用が難しい場合もある。 そこで、食事に関心の低い層等に対しては、料理として野菜料理などの副菜なら、1皿を1つと数え、1日に5~6つ食べましょうと指示する。さらに、数えるのも困難な場合は、「毎日プラス1皿」、あるいは毎食「野菜から食べましょう」など、食行動として指示すると理解しやすくなり、具体的な行動として客観的な振り返りも可能となる。 冷やしトマト 1つ(SV) その他の野菜 レタスとキュウリのサラダ 1つ(SV) 野菜の煮しめ 2つ(SV) 具沢山のみそ汁 1つ(SV) ※重量はあくまでも一例です。
男性勤労者の減量成功者が実施した食生活の 取組み・工夫の具体例 食行動 男性勤労者の減量成功者が実施した食生活の 取組み・工夫の具体例 行動目標は具体的で、実行可能性が高く、 対象者のライフスタイルに応じたものを 食事内容を変える 食事改善のための 行動(工夫) 食べ過ぎの対策 空腹時の対策 お酒を減らす 夜の食事改善 勝手な思い込み 油を控える 飲み物の糖分を減らす 野菜を多く食べる 主食/ごはんを減らす 間食を減らす 肉を控える/魚を食べる 塩分を控える 豆腐を食べる インスタント食品を食べない いろいろな食品を食べる 次の食事でコントロールする 外食・弁当の内容・量を変える 弁当を持っていく 朝食をとる 食品表示を見る カロリーを考えて食べる 調理する これは、特定保健指導を受けて6か月後に4%以上の減量に成功した男性勤労者が、減量のために取り組んだ食行動についてまとめたものである。減量成功者は支援時に立てた目標行動を取り組んでおり、その内容は多様であった。また、目標以外の食行動を自分なりに工夫して実践していた者も多くいた。その、いずれの取り組みも、内容は具体的で実行しやすいものであった。 ここでは左側に食行動で分けたカテゴリー別の内容を示しているが、「飲み物の糖分を減らす」際に、「飲み物を変える」といった【行動置換】など、行動技法も多く用いていたことが示された(例:コーヒーをブラックにする、お茶に変える)。 他にも、「食品表示をみる」といった【刺激統制】、「空腹時の対策」として挙げられた「我慢する」といった【反応妨害】、「我慢しない/ストレスをためない」といった【認知的な取り組み】など、様々な行動技法を実践に用いていた。 また、この研究の対象者は男性勤労者であったことから、「外食・弁当の内容・量を変える」「弁当を持っていく」など、勤労者特有のものも示された。 参考文献:赤松利恵、林芙美、奥山恵、松岡幸代、西村節子、武見ゆかり: 減量成功者が取り組んだ食行動の質的研究―特定保健指導を受診した男性勤労者の検討―, 栄養学雑誌 71; 225-234 (2013). 赤松利恵,林芙美他. 栄養学雑誌 71;225-234 (2013)
“やめる”のではなく、“減らす”“変える”を意識して、 無理なく、継続した実践を支援する 食行動 “やめる”のではなく、“減らす”“変える”を意識して、 無理なく、継続した実践を支援する ○ 脂質が多い食品 食品 目安量 脂質 エネルギー 変更案 ドレッシング 大さじ2 12g 120kcal ノンオイルタイプに変える アジフライ 1枚 200kcal 食べる頻度を減らす 衣を外して食べる アジの塩焼きに(調理法を)変える 焼き肉 カルビ1皿(100g) 48g 520kcal ロース肉、ひれ肉などに変える 周りの人と分けて食べる 今日は食べたが次回は断ろうと考える ○ ナトリウム(食塩相当量)が多い食品 煮物 ⇒ 蒸し、炒め、揚げる、など 外食・加工食品 ⇒ 内食 減量のための食事は、ストレスが溜まりやすいものである。対象者の中には、最初から意気込んで多くの目標を設定したり、今まで習慣的に食べていたものを「食べない」と極端な目標を宣言をする者もいる。しかし、はじめからハードルを高くしてしまうと、継続は難しくなる。そのため、「やめる」のではなく、「減らす」、「変える」を意識し、出来ることから無理のない実践を促し、目標が出来たら次の目標へと少しずつ目標を上げるよう指示する。成功体験を積むことで、実行できるという自信(セルフエフィカシー)を高めることにも有効である。 また、毎回同じ対処法では、飽きてしまったり、外食などで対策を講じることが難しい場合もある。そのため、食べ方を変えるだけでなく、「今日は食べたが次回は断ろうと考える」など、認知的な取り組みも取り入れ、対象者のセルフケアが確立することを目指す。 かける ⇒ つける
維持期 実行期 準備期 関心期 無関心期 男性勤労者の減量成功者が実施した食生活の取組み・工夫 生活習慣の行動変容ステージ 準備性 明確な行動変容が観察され、その期間が6か月以上続いている時期 行動を開始し、継続する/再発の防止 ・刺激統制:食べる時間を決める、表示を見る、量を決める ・行動置換: 飲み物を変える、食物の内容を変える、行動を変える ・反応妨害: 空腹時に飲み物や低カロリーのものをとる、空腹を我慢し、食べない ・ソーシャルサポート:家族のサポートを得る 実行期 明確な行動変容が観察されるが、その持続がまだ6か月未満である時期 行動変容の障害・困難場面の対処法¶ ・認知的な取り組み:意識する、気持ちの切り替え、認知の変容 ・無理をしない取り組み姿勢: 無理をしない、できることをする 準備期 1か月以内に行動変容に向けた 行動を起こす意思がある時期 ¶行動レベルの助言に加え、認知レベルの助言も重要 関心期 6か月以内に行動変容に向けた 行動を起こす意思がある時期 セルフモニタリング・実行可能な目標の設定 ・コミットメント:宣言をする ・セルフモニタリング: 食事を記録し、振り返る ・モデリング: モデルを見つけ、自分を振り返る また、栄養のアセスメントに加えて、対象者の準備性を把握し、食生活支援に生かすことが重要となる。行動変容ステージは、1970年代にプロチャスカ(Prochaska, J.O.)が考えたトランスセオレティカルモデルの一部である。このモデルは、人の行動が代わり、それが維持されるには5つのステージを通ると考えたもので、無関心期(前熟考期)、関心期(熟考期)、準備期、実行期、維持期がある。保健指導の中では、食生活以外にも、運動や喫煙、飲酒など、生活習慣のあらゆる行動が対象となるため、保健指導の初回面接などで、それぞれの行動別にステージを見極めることが大切である。 特定健診では、問診票で、運動や食生活等の生活習慣全般についての行動変容ステージを把握することが多い。しかし、先に述べたように、行動別にステージは異なり、また健診時の回答から気持ちに変化が生じる事も多いため、面接で再度、行動別に変容ステージを確認することが大切である。 尚、このスライドで準備期は「1か月以内に行動変容に向けた行動を起こす意思がある時期」としているが、食生活の場合は取り組みをはじめているが、やったり、やらなかったりしている人も含まれる。やっても続かないという場合でも、まずは取り組んでみた姿勢を高く評価し(褒める)、続かなかった原因を対象者と一緒に探り、対策を考える支援を行う。 スライドの右側には、先ほど紹介した男性勤労者の減量成功者が実施した食生活の取り組み・工夫を例として示したが、無関心期、関心期などの行動変容ステージが低い人には、対象者の考えに対する働きかけから行い、ステージを高めていく支援が大切である。一方、すでに十分行動変容の動機づけが高まっている場合(行動変容ステージが高い人)は、行動変容のきっかけづくりとなるような内容や、行動の強化や継続のための支援、逆戻りを防ぐための対策など、行動的なアプローチが効果的である。なお、ステージが高い人でも、認知的な取り組みは行動を継続したり、逆戻りを防ぐ上で重要であるため、取り入れる。 また、周囲のサポートが得られているか確認し、協力が得られていないような場合には、行動変容しやすい環境づくりにも働きかけると良い。 以上のように、食生活支援においても、具体的な食事内容を変えるような提案・指示のみにならず、対象者の準備性に応じた支援を行う。 参考文献: ・ 厚生労働省健康局:標準的な健診・保健指導プログラム【改訂版】. 平成25年4月. ・ 赤松利恵、林芙美、奥山恵、松岡幸代、西村節子、武見ゆかり: 減量成功者が取り組んだ食行動の質的研究―特定保健指導を受診した男性勤労者の検討―, 栄養学雑誌 71; 225-234 (2013). 無関心期 6か月以内に行動変容に向けた行動を起こす意思がない時期 生活習慣病の予防、重症化予防に関する 情報提供* *生活習慣に係る意識啓発や、生活習慣改善のための情報提供
エネルギーコントロールの評価は、エネルギーの絶対値ではなく、体重の変化を用いる 目標の設定 評価の指標 エネルギーの評価は 体重の変化でみる 4つ目のポイントは、取り組みの評価に関してである。 保健指導では、支援期間で何キロ体重を減量するか、初回面接で計画を立てることが多い。その際、実現可能で、達成可能な目標になるよう支援するが、体重は3~5%程度減少するだけでも、検査値の改善に効果が期待できることを説明し、無理のない目標設定となるよう留意する。 減量目標が決まったら、1日に減らすエネルギー量を決める。通常、体脂肪1㎏減らすには、およそ7000kcal分、エネルギー収支をマイナスにする。エネルギー収支をマイナスにする方法として、食事から摂取するエネルギーを減らす方法と、身体活動でエネルギー消費量を増やす方法の2つがあり、それらを組み合わせることが減量には効果的である。 食事での目標設定の際には、カロリーブックやフードモデル等の教材を用いて、対象者が立てた目標で、確実に摂取量を減らすことができるか確認する。 しかし、食品成分表や食事調査等で算出される数値はあくまでも推定値であるため、取り組みの評価は体重を用いて行う。支援時に立てた目標を実践していても、思うように減量が進まない場合は、頻度や量や種類だけでなく、調理法やタイミングなど、再度食生活をアセスメントしたり、スキルや知識の提供を行うなどの必要な支援を行い、「やっても変わらなかった」などの認識から途中脱落してしまうことが無いように留意する。 参考文献: ・ A Muramoto, M Matsushita, A Kato, N Yamamoto, G Koike, M Nakamura, T Numata, A Tamakoshi, K Tsushita. Three percent weight reduction is the minimum requirement to improve health hazards in obese and overweight people in Japan.doi.Org/10.1016/j.orcp.2013.10.003 食品成分表や食事調査等で算出される数値は補助的に用いる 出典:厚生労働省:健康づくりのための身体活動基準2013
本人の行動・家族や職場の支援に加え,地域社会と しての「健康的な食物へのアクセス」も重要 本人の行動・家族や職場の支援に加え,地域社会と しての「健康的な食物へのアクセス」も重要 外国からの食情報 と食物 マスメディア インターネット 農・水・畜産場 自然 文化 社会 の条件 食・健康情報へのアクセス 食品企業 医療機関 保健所・保健センター 大学・研究機関 食物へのアクセス (フードシステム) 食料品店・スーパー コンビニ・自動販売機 児童館・公民館 塾・スポーツクラブ 飲食店 ファーストフード 給食 学校・職場 友人・近隣 家族・家庭 そして5つ目のポイントとして、食環境整備の重要性がある。食生活に限らず、生活習慣の変容は、個人の努力だけで達成することは難しいため、家族や職場の支援に加えて、地域社会としての健康的な食物ヘのアクセスが可能となるよう、環境づくりに対しても専門職として働きかけていくことが大切である。 健康日本21(第2次)においても、健康を支え、守るための社会環境の整備を、国民の健康づくり運動を推進するための、重要な5つの柱の1つに掲げている。 また、標準的な健診・保健指導プログラム【改訂版】においても、健診・保健指導実施者が有すべき能力の一つに、「個人の生活と環境を総合的にアセスメントする能力」や「活用可能な社会資源に関する情報収集を行う能力」が挙げられている。 健康的な 食物 人 間 つくる 地域社会 食べる 食生活を営む力を形成し伝承する 地域社会の食環境 歴史