富山大学教育学部 附属教育実践総合センター 助教授 小川 亮

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1 課題の洗い出し. 2 1.本日の日程 ①開会の挨拶 日程説明 ( 5 分) ②自己点検 ( 10分) ③情報モラル指導の必要性(プレゼン) (20分 ) ④課題の洗い出し ( 10分) ⑤全体計画についての協議Ⅰ (15 分) ⑥全体計画についての協議Ⅱ (20 分) ⑦全体計画についての協議Ⅲ.
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富山大学教育学部 附属教育実践総合センター 助教授 小川 亮 子どもの個性が生きる  情報教育のあり方 富山大学教育学部 附属教育実践総合センター  助教授 小川 亮

中央教育審議会第二次答申 (平成9年6月26日) 子どもたちは、教育を通じて、社会の中で生きていくための基礎・基本を身に付けるとともに、個性を見出し、自らにふさわしい生き方を選択していく。 教育本来の在り方からすれば、一人一人の個性をかけがえのないものとして尊重し、その伸長を図ることを、教育改革の基本的な考え方としていくべきである。

個性とは 個人の持つ特性 他人とは異なる性質 自分だけが持っている特徴 共通点と相違点

総合的学習の時間のねらい 各学校の創意工夫(規制緩和) 横断的・総合的な学習 児童生徒の興味・関心等に基づく学習 自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てる

総合的学習の時間のねらい2 情報の集め方、調べ方、まとめ方、報告や発表・討論の仕方などの学び方やものの考え方を身に付ける 問題の解決や探究活動に主体的、創造的に取り組む態度を育成 自分のあり方・生き方を見つめる(職業)

情報教育の3つの目的

「情報活用の実践力」 必要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造する能力 受け手の状況などを踏まえて発信・伝達できる能力 課題や目的に応じてインターネットやコンピュータを適切に活用

情報活用の実践力の育成

情報活用の実践力

稲里小学校 へき地にある 学校の規模が小さい 自然環境が豊か 地域に密着している ネットワーク

情報活用の力 問題の発見と情報の収集→解決行動

「情報の科学的な理解」 情報活用の基礎となる情報手段の特性の理解 情報を適切に扱い、情報活用を自己評価・改善するための理論や方法

「情報社会に参画する態度」 社会生活の中で情報や情報技術が果たしている役割や及ぼしている影響の理解 情報モラルの必要性や情報に対する責任について考え,望ましい情報社会の創造に参画しようとする態度

情報教育の体系的な実施 情報教育の科目 情報とコンピュータ 教科「情報」 総合的な学習の時間 教科教育

体系的な情報教育の枠組み

何を育てるのかを明確にしていろいろな活動とクロスさせる テーマ・教科と情報教育 何を育てるのかを明確にしていろいろな活動とクロスさせる 情報教育の 目標 教科目標 テーマ 教科教育 総合的な 学習の時間 課題

情報教育が育てる力 問題解決する力 自分で考える力 自分なりの情報戦略 生きる力 総合的な学習の時間との関連

情報教育のカリキュラム 情報教育の目標を達成するために 総合的な学習の時間や 教科教育の時間の中で あるいは特別活動の時間の中で テーマ(課題)を中心に 学習活動を計画・展開する

総合的な学習の時間における 情報教育カリキュラム 総合的な学習の時間における  情報教育カリキュラム 情報教育の教材パッケージ 身近なテーマ 10時間から20時間のカリキュラム 総合的な学習の時間で利用 http://www.kayoo.org/sozai/

平成11年度に開発したレシピ ①栄養満点ふるさとメニューをつくろう(14) ②コーンプロジェクト(20) ③むかーし、昔の話を調べよう(12) ④トウモロコシまるごと料理(2) ⑤音楽で国際交流 (10) ⑥考えよう!ゴミ問題(10) ⑦古代体験「土器に親しもう!」(10) ⑧トンボプロジェクト(14) ⑨トンボしらべ(10)

教科教育と情報教育 各教科の目標の分析(学習指導要領) 情報教育の目標との対応の分析

情報教育を支援する活動 情報教育の手引き 教科教育

情報教育の実施 情報教育は総合的な学習の時間と各教科の中で展開できる 情報教育の目標は「生きる力」の育成と強く関連している 12年間の学びの中で行う

情報教育の本質

情報活用の実践力

自我の育成 体系的な心理学教育 創造する力の育成 自分を見つめる 自分を規定する要因への気づき 価値観への気づき

個性化を保障するには 階層化された 到達目標による 指導要領の 再構成

まとめ 小学校における情報教育のカリキュラムは総合的な学習の時間を中心に実施 情報教育の要素を全く含まない総合的な学習の時間は本末転倒 小学校では情報活用の実践力に重点 情報教育はコンピュータの操作方法の指導ではない

まとめ 各教科の学習においても情報活用の実践力を育成 学習者の発達段階にあわせた指導計画 教師自らが、問題解決を自律的に行う態度と能力を身につけることが、子どもの情報活用の実践力の育成にとって必要である。