エコファンドについて 06F0942 新開 香織
はじめに 地球温暖化などで個人の環境への関心が高まっている。エコの関連企業はより高い成長が見込めるという触れ込みである 今年は日本に公募ファンドが登場してちょうど10年目になる。エコファンドの詳しい中身を学んでいく
目次 1.エコファンドとは 2.SRIとは 3.エコファンドのメリット・デメリット ・おわりに ・参考文献
1.エコファンドとは 概要 エコファンドの意義 ファンドの仕組み ファンドの特色 環境との共生 主なエコファンドの組み入れ銘柄 銘柄選定までのプロセス 環境分析の項目 日興 エコファンドとTOPIX エコファンドのリターン
概要 SRI(社会的責任投資)ファンドの一つ。 企業の収益性や成長性といった従来の投資尺度だけでなく、企業の環境問題への取り組みも投資判断の基準に加えて銘柄選定を行う投資信託のこと。
エコファンドの意義 1.投資家にとっての意義 →環境問題に関心がある投資家の顕在化 2.企業にとっての意義 →環境への取り組みが企業評価の基準の一つになることを認識 3.金融機関にとっての意義 →金融機関も本業を通じた環境への取り組みが可能であることを実証
エコファンドの意義 環境に力を入れている企業に投資をする ↓ 企業が環境問題に取り組んだ内容をCSR報告書などに書く ↓ 企業が環境問題に取り組んだ内容をCSR報告書などに書く 投資家は環境問題に力を入れている企業を選別しやすくなる 自社に投資してもらおうと環境問題に熱心に取り組む 企業と社会をいい方向に変えていける
ファンドの仕組み エコ関連、社会的信頼が高い企業へ投資 エコファンド 投資家 投資家 投資家 投資家 投資家
ファンドの特色 日興エコファンド →外部のコンサルタント会社の調査をもとに環境への取り組みの進んだ企業を選び、収益性や成長性など通常の企業の基礎的条件分析も加味するため、結果的に大型株中心のポートフォリオになっている ダイワ・エコ・ファンド →環境への前向きな取り組みと、株主資本の効率的活用に着目し、企業価値の向上が期待される銘柄に投資するというファンド 地球温暖化防止関連株ファンド(新光投信が運用) →地球温暖化の進行を防止し、気候変動を長期的に解決していく世界の有望企業100社に投資するファンド。特定の産業に属する企業へ重点的に投資するため、通常の株式ファンドと比較して、基準価額の変動が大きくなる可能性がある。
環境との共生 20世紀の経済社会は大量生産・大量消費・大量廃棄であった 21世紀の経済社会は最適生産・最適消費・最小廃棄が求められる
主なエコファンドの組み入れ銘柄 ファンド名(運用会社) 組み入れ上位銘柄 エコファンド(日興アセット) トヨタ自動車、三菱UFJ、昭和シェル グリーン・オープン (損保ジャパン) NTT,トヨタ自動車、KDDI、みずほフィナンシャルグループ エコ・ファンド (大和投資信託) トヨタ自動車、ホンダ、三菱商事 次世代環境ビジネス・ファンド(大和住銀) 住友電気工業、旭化成、日本ガイシ、クボタ ※組み入れ銘柄とは投資信託の運用対象になっている株式や債券の銘柄のこと
銘柄選定までのプロセス 財務分析 環境分析 投資対象銘柄(500銘柄程度) ポートフォリオ(60~70銘柄程度) 随時組み換え 損保ジャパンアセット マネジメントのアナリストによる分析 損保ジャパン・リスクマネジメントの環境分析グループによる評価 投資対象銘柄(500銘柄程度) 随時組み換え ポートフォリオ(60~70銘柄程度) グリーン・オープン(損保ジャパン)の場合
環境分析の項目 環境マネジメントの展開度 →環境方針の制定、トップの環境問題への取り組み姿勢、ISO14001認証の取得状況など →環境方針の制定、トップの環境問題への取り組み姿勢、ISO14001認証の取得状況など 環境情報の開示・コミュニケーション →環境報告書発行の有無および開示内容、地域とのコミュニケーション、環境関連の社会貢献活動の実施状況など 環境負荷・環境効率の改善 →製造・生産部門における環境配慮、製品に対する環境配慮、省エネ・省資源の取り組み、環境に関する技術開発、廃棄物削減の取り組みなど グリーン・オープン(損保ジャパン)の場合
日興 エコファンドとTOPIX 赤:エコ・ファンド(円) 緑:TOPIX(ポイント) マネーライフより
日興 エコファンドとTOPIX 2008年4月~6月期のGDP(国内総生産)成長率がマイナスに転落したことに加え、米国大手証券会社の破たんをきっかけに金融不安が高まったことを背景に、株価は大幅かつ急激に下落した 12月上旬以降はオバマ米国大統領就任を前に、金融・財政政策に対する期待感が高まり、2009年1月上旬にかけ上昇基調になった
エコファンドのリターン ファンド名 6か月 3年(年率) 日興 エコファンド 23.84% -17.11% 損保ジャパン グリーン・オープン 日興 エコファンド 23.84% -17.11% 損保ジャパン グリーン・オープン 26.40% -11.38% 住信 ジャパンオープン 24.53% -17.89% AIG/りそな CSRファンド 22.66% -14.35% 2009年7月末付 モーニングスターより
2.SRIとは 概要 SRIの歴史 日本のSRIの状況 SRI評価手法
概要 財務状況のほかに、コンプライアンス、情報公開、環境保護など社会問題の解決や豊かな社会を築くための配慮、従業員への配慮などを考慮して投資を行うこと
SRIの歴史 SRIは米国で生まれ →1920年代にキリスト教徒の基金を運用する際に酒・たばこ・ギャンブルなどの領域はふさわしくないとして、投資対象から外す目的で生まれたものだった 1960年代のベトナム →大学の基金や公務員年金基金などが、ベトナム戦争に反対するために軍事産業や、アパルトヘイトに反対するために南アフリカ関連企業の株を売却した 1999年に日本ではじめて環境側面の評価を考慮したエコファンドが日興證券から発売された
日本のSRIの状況 2003年3月時点で総資産残高は700億程度だったが、2008年3月時点で総資産残高は6000億円を超えている ファンド本数は60本ほどある(2008年3月時点) 最近では日経平均の落ち込みに影響を受け、基準価格は設定から今年6月まで45%下落している(日興エコファンドの場合)
日本のSRIの状況 2007年6月12日時点 Yahoo Financeデータより 設定日 運用会社 ファンド名称 純資産(百万円) 2007/6/12 時点 1999/8/20 日興アセットマネジメント 日興エコファンド 36,163 1999/9/30 損保ジャパン・ アセットマネジメント 損保ジャパン・グリーン・ オープン 23,555 2003/12/26 住信アセットマネジメント 住信SRI・ジャパン・オープン 52,851 2005/3/18 AIG投資投信顧問 AIG/りそな ジャパンCSRファンド 14,001 2006/3/9 大和証券投資信託委託 ダイワ・エコ・ファンド 64,669 2007年6月12日時点 Yahoo Financeデータより
SRI評価手法 ネガティブスクリーニング → SRI投資先の選択に際して、投資基準に見合わない企業を投資先リストから排除し、排除後のリストを用いて投資先の選定を行う手法。 欧米のSRIファンドの多くで採用されており、一般的な排除業種は、(1)軍需産業、(2)たばこ産業、 (3)アルコール産業などである ポジティブスクリーニング →ネガティブスクリーニングでは、一定基準に満たない企業を投資先から排除してしまうのに対して、ポジティブスクリーニングは企業が行っているCSR経営を評価し、その評価の点数に基づいて投資を行うことである 一般には、アンケート調査票を企業に送付し、調査機関がアンケート結果に基づいて企業の点数をつける
3.エコファンドのメリット・デメリット エコファンドへの期待 エコファンドのメリット エコファンドのデメリット エコファンドのリスク
エコファンドへの期待 環境問題への意識が高まる中、環境に配慮した企業に投資したいという投資家サイドの希望と、環境問題は企業経営にとってリスク要因の一つであり、長期的に見れば環境問題に真剣に取り組む企業の株価はそうでない企業の株価よりも上昇するはずであるという運用者サイドの考え方がある
エコファンドのメリット 地球環境問題に取り組んでいる企業は、高い潜在成長力を持っていることが期待でき、会社の将来に大きな業績アップが期待できる可能性がある 社会貢献に投資できる
エコファンドのデメリット 環境問題への取り組みにコストがかかって企業の収益を圧迫し、高い収益は期待できなくなる可能性が高くなることも考えられる 利益よりも環境優先なので、大きな利益は期待できない
エコファンドのリスク 【価格変動リスク】 →一般に株式の価格は、国内および国外の経済・政治情勢などの影響を受けるため、重大な損失が生じるリスクがある 【流動性リスク】 →市場規模や取引量が少ない場合、組入銘柄を売却する際に市場実勢から期待される価格で売却できず、不測の損失を被るリスクがある 【信用リスク】 →一般に投資した企業の経営などに直接・間接を問わず重大な危機が生じた場合には、ファンドにも重大な損失が生じるリスクがある 【為替変動リスク】 →外貨建資産については、一般に外国為替相場が当該資産の通貨に対して円高になった場合には、ファンドの基準価額が値下がりする要因となる
これからの課題 投資信託という性格上,どのような基準で環境側面を評価しているのか十分に開示されているわけではない この点の透明性,信頼性の確保が重要な課題である
おわりに エコファンドの資産動向は、純資産が順調な増加傾向にあり、投資家の関心の高さや、それが継続的であることが伺える エコファンドを購入することで環境問題に取り組めるので、株を扱ったことがない人でも身近に感じられるのではと思った ただ運用会社によって銘柄の選定基準は異なるので、調べた上で納得して扱うことが大事だと感じた
参考文献 投資ファンドの基本と仕組みがよくわかる本 (秀和システム出版) 日興アセットマネジメント (秀和システム出版) 日興アセットマネジメント http://www.nikkoam.com/ モーニングスター http://www.morningstar.co.jp/