『景観法』の制定について 2004年6月 国土交通省 都市・地域整備局 都市計画課.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
中心市街地活性化の事例研究 福島彬仁 山本大晃.  この研究は現在日本全国で問題となっている中心市街地 の衰退に対して全国の自治体でどのような対策が行われ ているのかについて実際の事例を紹介し、その自治体に おいて中心市街地が直面している状況や活性化計画の特 徴、問題点について検討したものです。
Advertisements

紋別市総務部庶務課(危機対策担当). 1 ■改正の背景 ○東日本大震災では、被災地全体の死者数のうち、高齢者の死者数が6割 ○障害者の死亡率は被災住民全体の死亡率の約2倍 要配慮者 ⇒ 高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者で、 従来は「災害時要援護者」と総称 避難行動要支援者 ⇒ 要配慮者の内、災害発生時等に自ら避難することが困難な者で、
昨年12月に政府・与党で決定された税制改正案では、平成21、22年 の2年間に土地を取得すれば、土地の譲渡益課税について大きなメリットを 受けることができる2つの制度が盛り込まれました。 これらの制度の内容とメリットをご紹介します! (注)平成21年度税制改正については、今後、法律案の国会審議が行われることとなります。
平成 23 年度税制改正における 中小企業関連税制の結果概要 平成 22 年 12 月 中小企業庁.
36 6.主な点検項目 (1)平成27年度の取組み ②歳入確保 番号 項目名 担当部局・室 取組内容 実績(●は実施済、○は取組み中) 5
国及び地方公共団体が分担すべき役割の明確化 機関委任事務制度の廃止及びそれに伴う事務区分の再構成
用途地域と地区計画制度 都市計画課.
住民基本台帳ネットワークシステムの 利用状況等について
既存ストックを活用した市街地整備手法の創設(個別利用区制度の創設) ○ 市街地再開発事業においては、現行制度上、既存建築物を残しながら事業を実施するためには施行地区内の 関係権利者の全員の同意を得る必要がある。 ○ 今回の制度改正により、関係権利者の全員の同意によることなく、有用な既存建築物を残しつつ土地の整序.
住民基本台帳法施行条例の一部改正について
居宅介護支援事業所.
衆議院総務委員会及び参議院総務委員会附帯決議
資料8-1 第11次大阪府鳥獣保護管理事業計画の概要
地域づくり総合交付金(地域づくり推進事業)
【資料3】 条例検討会議について 平成28年8月30日 福岡市障がい者在宅支援課.
【資料5】 条例の基本的な方向性について 平成28年8月30日 福岡市障がい者在宅支援課.
京都・神戸のみならず国内外拠点との差別化が難しい
4 第3次障害者基本計画の特徴 障害者基本計画 経緯等 概要(特徴) 障害者基本法に基づき政府が策定する障害者施策に関する基本計画
市民公益税制の導入について 資料2 (策定の趣旨)《指針からの抜粋》
市民公益税制について 個人が一定の団体等に対して寄附をした場合、所得税及び個人住民税の税額控除が受けられる制度です。 制度の目的
制度論検討の視点 資料2-2 1 自治体構造 ○大都市制度を考えるに際して、特別市のような広域自治体と基礎自治体の機能をあわせ持ったものを
平成29年10月 内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室
環境再生・資源循環局 災害廃棄物対策室 災害廃棄物処理計画の策定状況 平成30年3月13日 資料3-1
直轄事業負担金裁判報告   正当な費用負担か?        国のぼったくりか?            仙台市民オンブズマン                  代表 十 河   弘.
ホストタウン化へ向けて.
道州制の基本的な制度設計 4 道州の事務 1 道州の性格 5 道州の議会 2 道州の区域 6 道州の執行機関 7 大都市等に関する制度
市街化調整区域に倉庫を建てたい-物効法認定・開発許可までの道のり-
東日本大震災復興特別区域法の 枠組みと本市の対応について 復興推進計画 復興整備計画 復興交付金事業計画 概 要 特 例 本市の対応
平成30年度第1回 基山町都市計画審議会 (H30.7.5) 資料
平成21年5月1日から 介護保険法が変わります 1 業務管理体制の整備・届出 介護サービス事業者の皆様が、これまで以上に適切な事業の
Ⅱ.施行に向けたスケジュール.
都道府県も国民健康保険制度を担うことになりました
長野(島廻)地区の土地利用の進捗状況報告
都道府県も国民健康保険制度を担うことになりました
大阪府営公園マスタープラン≪案≫の概要 ◆策定の背景 ◆都市計画公園のあり方(提言) ◆策定の目的 ◆府営公園の基本理念 ◆計画期間 ◆対象
第1章 日本の統計制度 ー 経済統計 ー.
平成21年5月1日から 介護保険法が変わります 1 業務管理体制の整備・届出 介護サービス事業者の皆様が、これまで以上に適切な事業の
「大阪の成長戦略」の実現による大阪経済の活性化
     6  総合区政会議           地域自治区・地域協議会.
生物多様性保全推進支援事業 1.地域における生物多様性の保全再生に資する活動への支援
国民健康保険における保険料と保険税の現状等について
平成24年4月から 業務管理体制整備の届出が必要となります。 休止・廃止届を事前届出制にするなどの制度改正が併せて行われました。
(参考)災害時にエネルギーを継続供給するための協定制度の創設
住宅まちづくり部の施策概要と30年度の主な取組み 減災に繋げる災害に強い住まいと都市の形成
防災力の強化 38 〇 災害救助物資の備蓄 〇 同報系防災行政無線デジタル化
企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律
地方公共団体実行計画を核とした地域の低炭素化 基盤整備事業
テナントビルの省CO2促進事業 低炭素化により オーナー・テナントの利益拡大! ●グリーンリースの類型
自治体サブワーキンググループ における検討事項
地方公共団体オープンデータ推進ガイドラインの概要
地域住民・企業等によるまちづくり事業・活動への支援強化
宅地の液状化対策 国土交通省 都市局 都市安全課 平成31年3月更新.
【バリアフリー対応のバス(リフト付バス)】
地方創生に向けた自治体SDGs推進事業 平成30年度予算案5億円(平成30年度からの新規事業) 実施期間:平成30年度~(新規)
~要配慮者利用施設における円滑かつ迅速な避難のために~
全国介護保険担当部(局)長会議資料 ~介護保険制度改正の検討状況等について~
松本市・企業・生産者・大学・NPO・こどもエコクラブの協働による環境教育プロジェクトです。
大阪府の空家等対策 効果 資料5 「住まうビジョン・大阪」における空家等対策
有料道路事業(阪神高速)約1,600億円 【阪高出資金:なし】
コラム2-4-4②図 社会環境対応施設整備資金(BCP融資)
平成31年度 みどりの基金を活用して実施する事業(案)
~要配慮者利用施設における円滑かつ迅速な避難のために~
地域における医療提供体制の確保に資する設備の特別償却制度(医療機器に係る特別償却の拡充・見直し)
自殺対策基本法(振り返り) 資料4 基本理念(第2条)
「児童扶養手当」についての大切なお知らせ 全部支給となる所得制限限度額(受給資格者本人の前年所得)
ゾーニング実証事業における課題等も踏まえた制度化検討
環境学 第9回目 (H ) 環境法と循環型社会 p.68~
府営公園における収益事業の考え方について
大阪府生活環境の保全等に関する条例に基づく水銀の大気排出規制のあり方について
中山間地の環境保全と集約型農業の促進を目的とした
Presentation transcript:

『景観法』の制定について 2004年6月 国土交通省 都市・地域整備局 都市計画課

景観緑三法・予算・税制の概要 1.背景 ・「観光立国行動計画」策定 (平成15年7月観光立国関係閣僚会議)   ・「観光立国行動計画」策定   (平成15年7月観光立国関係閣僚会議)   ・「美しい国づくり政策大綱」策定 (平成15年7月国土交通省)   ・「社会資本整備審議会答申『都市再生ビジョン』」  (平成15年12月)、地方公共団体からの要望 等 2.法律 *農林水産省は、農用地の景観保全の特例等により共管 *環境省は、自然公園法の特例により共管 *文化庁は、景観法の土地利用規制の枠組みを活用して新たに「文化的景観」を文化財として位置付け  ・「景観法」 (*)  ・「屋外広告物法」の改正等景観関係法令の整備  ・「都市緑地保全法」、「都市公園法」の一部改正 3.予算   ・景観形成事業推進費の創設   (予算額200億円)   ・都市開発資金の拡充      (予算額81億9800万円の内数)                 ⇒景観計画区域内の土地区画整理事業を無利子貸付対象に追加   ・緑地環境整備総合支援事業の創設 (予算額50億円)  4.税制 【景観法関係】  ・景観重要建造物(敷地を含む)についての適正評価(相続税)  ・景観計画区域内の土地等を景観整備機構等へ譲渡した場合の1500万円特別控除(所得税、法人税) 【都市緑地保全法関係】  ・地区計画等により保全される緑地についての適正評価(相続税)  ・管理協定が締結されている土地の評価の軽減(相続税)  ・立体公園の用地として貸付けられた土地についての適正評価(相続税)

良好な景観形成の事例 (H2~H5 伊勢市) 観光客数 H4 35万人 H14 300万人(約9倍に増加) 屋外広告物の表示・掲出の制限 建築物等の形態意匠の誘導 雑多な屋外広告物 協議会の設立 統一感のない街並み 乱雑な電線類 電線類の地中化 公共施設の配慮 観光客数 H4 35万人 H14 300万人(約9倍に増加)

景観法の必要性 現行の取組み     ○ 500弱の地方公共団体が自主条例として景観条例を制定するなど、地方公共団体にお     いて積極的に景観の整備・保全の取組みを行っている。 現行の取組みの限界 ○ 景観を整備・保全するための国民共通の基本理念が未確立 ○ 自主条例に基づく行為の届出勧告等のソフトな手法の限界   ⇒ 景観をめぐる訴訟の提起 ○ 地方公共団体による自主的取組みに対する、国としての税・財政上の支援が不十分 「美しい国づくり政策大綱」     (平成15年7月国土交通省) 全国景観会議や景観形成推進協議会等による要望 「観光立国行動計画」 (平成15年7月観光立国関係閣僚会議) 「『都市景観の日』中央行事2003年宣言」   必 要 性 ○ 景観を正面から捉えた基本的な法制を整備し、   ・ 景観を整備・保全するための基本理念の明確化   ・ 国民・事業者・行政の責務の明確化   ・ 景観形成のための行為規制を行う仕組みの創設   ・ 景観形成のための支援措置の創設 等 により、景観の意義やその整備・保全の必要性を明確に位置付けるとともに、地方公共団体に対し、いざという場合の一定の強制力を付与することが必要

景観条例について 1.

2.市町村景観条例の制定数の推移 (累積) ○447の市町村において486の景観条例を制定 486 486 2.市町村景観条例の制定数の推移 (累積) ○447の市町村において486の景観条例を制定 486 486 資料:地方公共団体へのアンケート調査(平成15年3月31日現在)

3.地方公共団体の景観条例制定状況 全国市町村の14% が条例を制定 全国都道府県の57% が条例を制定 資料:地方公共団体へのアンケート調査(平成15年3月31日現在)

4.市町村における景観条例の運用状況 486 (100%) 資料:地方公共団体へのアンケート調査(平成15年3月31日現在)

① 景観法   都市、農山漁村等における良好な景観の形成を図るため、良好な景観の形成に関する基本理念及び国等の責務を定めるとともに、景観計画の策定、景観計画区域、景観地区等における良好な景観の形成のための規制、景観整備機構による支援等を行う。

景観法の概要 景観地区 景観計画の区域 景観協議会 景観協定 景観整備機構 景観重要建造物 ソフト面の支援 規制緩和措置の活用 (都市計画区域外でも指定可能。) 建築物の建築等に対する届出・勧告を基本とするゆるやかな規制誘導 一定の場合は変更命令が可能 「景観上重要な公共施設」の整備や「電線共同溝法」の特例 景観協議会 農地の形質変更等の規制、耕作放棄地対策の強化、森林施業の促進 行政と住民等が協働して取組む場 景観協定 景観地区 住民合意によるきめ細やかな景観に関するルールづくり (都市計画) より積極的に景観形成を図る地区について    都市計画により指定 建築物や工作物のデザイン、色彩についての  初めての規制 (形態意匠制限の認定) 廃棄物の堆積や土地の形質変更等について  の行為規制も可能 [商店街での取組イメージ] ソフト面の支援 [オープンカフェの取組例] 景観整備機構 NPO法人やまちづくり公社などを指定。 景観重要建造物の管理、土地の取得等を行う。 景観重要建造物 景観上重要な建築物・工作物・樹木を指定して積極的に保全 [イメージ] [まちなみイメージ] [ポケットパーク等 の整備イメージ] 規制緩和措置の活用 屋外広告物法との連携 住民等による提案制度

準景観地区

② 景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律   ②  景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律 <予算関係法律>   景観法の施行に伴い、都市計画法、屋外広告物法その他の関係法律の整備等を行う。   1.都市計画法及び建築基準法の一部改正  (1)景観地区の創設に伴う規定の整備 ・美観地区を廃止し、景観地区を追加。 ・建築物の形態規制の合理化(斜線制限適用除外)。  (2)景観重要建造物に関する制限の緩和 斜線制限の緩和 軒先を削ることが不要 ※現状の外観を保存するため、条例を定めることによって、建築基準法上の制限の一部を緩和することが可能 建ぺい率制限の緩和

2.屋外広告物法の一部改正 ~良好な景観の実現のための、広告物と広告業に関する措置の両面からの取組み~ (1)景観行政を行う市町村による屋外広告物に関する条例(業規制を除く。)の策定  (2)屋外広告物法の許可対象区域を全国に拡大  (3)規制の実効性の確保 (4)屋外広告業の登録制の導入   3.都市開発資金の貸付けに関する法律等関係法律の改正   景観法に基づく景観計画区域を施行地区に含む土地区画整理事業を貸付対象に加える。

③ 都市緑地保全法等の一部を改正する法律 <予算関連法律> ③ 都市緑地保全法等の一部を改正する法律  <予算関連法律>   都市における緑地の保全及び緑化並びに都市公園の整備を一層推進し、良好な都市環境の形成を図るため、緑地保全地域における緑地の保全のための規制及び緑化地域における緑化率規制の導入、立体都市公園制度の創設等所要の措置を講ずる。 緑地の保全、都市の緑化、公園整備を総合的に推進 緑地保全地域  届出制による緑地保全 管理協定 立体都市公園制度 ▲多様な主体による公園管理 緑化地域 緑化の義務付け

【都市緑地保全法】 【都市公園法】 緑の基本計画(市町村) 緑地保全地域 (創設) 管理協定 → 「都市緑地法」 緑化地域 (創設) 緑地保全地域 (創設) ・都市近郊の緑地を対象に 行為の届出により緑地を保全 ←緑地保全地域等に管理協  定制度の適用拡大 管理協定 ・地方公共団体等と土地所有者が協定を締結し、緑地の良好な管理を図る制度 →  「都市緑地法」 緑化地域 (創設) ・大規模敷地の建築物を対象 に敷地の一部の緑化を義務付け 地区計画の活用 ・地区計画に位置づけられた緑地の保全のため条例による制限 【都市公園法】 ←緑の基本計画に都市公園の整備の方針に関する事項を追加 都市公園の整備 立体都市公園制度の創設 多様な主体による公園管理の仕組み 借地公園の整備の促進

参考 1-1 ( 新法 )

参考 1-2  景観形成事業推進費    (イメージ図)

規制により、使用収益が制限されている分の評価減 参考 2         <税制措置> 景観重要建造物については、外観について現状変更の制限が課されることにより、用途や床面積など使用収益に自ずと制限が発生する。そのため、相続税の評価においてその利用上の制限の程度に応じた適正な評価を行うものとする。 ① 「景観重要建造物」及びその敷地について、評価額を適正な水準に評価(相続税) 景観上重要な建造物 【従来】 【今回創設した仕組み】 規制の仕組みがない 景観重要建造物として指定 税負担できない 場合 現状変更等の制限   使用収益の制限 民間への売却 規制により、使用収益が制限されている分の評価減 建造物の解体・建替え 景観上重要な建造物の喪失 相続人の保有により維持 ② 景観計画の区域内の土地等を景観整備機構等へ譲渡した場合の1500万円特別控除      (所得税、法人税)  地方公共団体の定める「景観計画」に基づいて整備を図るために有効に利用できる土地等を、地方公共団体または景観整備機構へ譲渡した場合、当該譲渡所得について1500万円の特別控除を適用する。

参考 3

参考 4