滋賀県口蹄疫防疫対策机上演習 国際的調和が求められる口蹄疫対策 東近江市あかね文化センター 2010年10月18日

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個人情報保護講座 目 次 第1章 はじめに 第2章 個人情報と保有個人情報 第3章 個人情報保護条例に規定されている県の義務 第4章 個人情報の漏えい 第5章 個人情報取扱事務の登録 第6章 保有の制限 第7章 個人情報の取得制限 第8章 利用及び提供の制限 第9章 安全性及び正確性の確保 第 10.
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微生物が体内に侵入する などして、引き起こす病気 病原体 感染症とは 細菌・ウイルス・寄生虫 など 9.感染症とその予 防 インフルエンザウィルス 「福岡県保健環境研究所H P」 タミフル「中村内科日記」よ り 素材集-感染症.
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滋賀県口蹄疫防疫対策机上演習 国際的調和が求められる口蹄疫対策 東近江市あかね文化センター 2010年10月18日 鹿児島大学農学部獣医学科教授 岡本嘉六 口蹄疫ウイルスの生態と流行要因 世界流行の概要 口蹄疫に対する防疫対策の国際的枠組み 積極的発生動向調査と肉眼的病変の推移 国内侵入時の危機管理 蔓延防止の危機管理 危機管理体制の国際的調和

口蹄疫は 何時ごろから存在したのか? 1898 口蹄疫ウイルスの発見(Loeffler and Frosch) 口蹄疫は 何時ごろから存在したのか? BC 350 アリストテレスが口蹄疫、牛疫と推測される記述 1546 イタリアにおける牛での流行(科学的記述の最初) 1776 計画感染による口蹄疫予防の試行   1744 牛疫の計画感染、 1796  Jenner 人痘法から牛痘法へ 1898 口蹄疫ウイルスの発見(Loeffler and Frosch) 46    35   27    10  5.1  4.4  3.7   2.1億年  500万年 ・・・ 8000年前      地球誕生 原始生物・ウイルス ラン藻類・光合成 緑藻類・真核生物 脊椎動物 陸上植物 陸上動物 哺乳類 人類の誕生 豚の家畜化 牛の家畜化 野生動物の間で生まれた口蹄疫ウイルスが家畜化された動物にも持ち込まれた・・・

World Reference Laboratory 野生動物 人間社会 自然宿主は? 感受性動物種が多い 環境中で長期生残 様々な経路で感染 牛科 アフリカ水牛 80%、5年以上 カモシカ 牛: 3年半 指標動物 羊: 9ヶ月 山羊: 4ヶ月 維持動物 イノシシ科 シカ科 カピバラ科 ラクダ科 ラクダ、ラマ、ビクーニャ ゾウ科 アルマジロ科 ハリネズミ科 20科70種が感受性 豚 増幅動物 予防・制御の困難性 (人間) 環境 (培地中で) 家畜においてキャリアーとなる個体割合は不明 有機物存在下での生存期間は極度に長くなる 凍結: 半永久的 4℃: 1年以上 22℃: 8~10週間 37℃: 10日間 World Reference Laboratory 現在知られている口蹄疫ウイルスの循環

3 1 2 5 4 7 6 口蹄疫ウイルスの供給地帯( pool ) O型: 1922年にフランスのOise地域 地帯番号 血清型 1 2 3 6 4 5 7 O、A、Asia1 O、A、Sat1、Sat2、Sat3 O、A、Sat1、Sat2 O、A 2 5 4 7 6 口蹄疫ウイルスの供給地帯( pool ) O型: 1922年にフランスのOise地域 A型: ドイツAllemagne地域で C型: 1926年ドイツ・レフラー研究所 SAT1型: 1948年ボツワナ共和国 SAT2型: 1957年ケニア SAT3型: 1957年南アフリカ Asia 1型: 1954年パキスタン

バッファローの不顕性感染 南アフリカにおける口蹄疫の三角関係 アンテロープの口蹄疫 牛の口蹄疫 アンテロープ(レイヨウ;Antelope) は、ウシ科からウシ族とヤギ亜科を除いた残りで、インパラを含む約90種がいる。 アンテロープの口蹄疫 牛の口蹄疫

牛の推定飼育密度 牛肉よりもアヒル肉が最高級の中国では飼育密度は高くないが、シヴァ神の乗り物とされているインドの飼育密度は際立って高い。 EMPRESS 牛肉よりもアヒル肉が最高級の中国では飼育密度は高くないが、シヴァ神の乗り物とされているインドの飼育密度は際立って高い。 インドの牛は農耕に運搬にと大活躍し、大事なお客様を泊める寝室の壁などは道で拾い集めた牛糞が塗られているとか?

EMPRESS: Focus on Asia-1 豚 中華料理は豚肉が基本である。全土で飼育密度が高い。 EMPRESS: Focus on Asia-1 水牛 主に役畜として飼育されている。

アジアにおける口蹄疫ウイルスの自然宿主は? 保護 牛 インドの 循環 水牛 瘤牛(ゼブー) 野生動物? この他にも ヤク カシミア(山羊)

1967-68年の流行と2001年の流行の比較 1967-68年の流行 2001年の流行 10/25-6/4 222日 2/20-9/30 郡当たりの件数 郡当たりの件数 10/25-6/4 222日 2/20-9/30 221日 流行期間 感染施設数 2,364 2,026 疾病制御目的での殺処分数 44万頭 (牛49% 、豚26%、羊25% ) 645万頭以上 (羊85%、牛12%、豚3%) 通知まで 4日以内 3週間 輸入汚染肉流通による24件の同時発生 不顕性羊の家畜市場を通した流通 発生要因 主として空気伝播であり、相対湿度、風速および風向きが拡散を助けた。 2月中旬から再導入した 18農場で再発生。 初期は羊との接触。 後半は感染動物と接触した人、機械および車両を介した地域的広がり。 拡大要因

備蓄ワクチン三百万ドーズを接種したが、 流行を止められなかった

5月初旬、緊急輸入ワクチン1,000万ドーズの接種によって下火に向かった。死亡頭数から致命率を計算できない。それは死亡を待たずに殺処分したからである。

口蹄疫の臨床徴候の概要 (EUFMD: 口蹄疫防疫訓練課程)   牛 羊・ ヤギ 豚 鹿 跛行 +++ + +? 流涎 発熱 ++ 舌病変 歯茎病変 趾間病変 蹄冠帯病変 鼻部病変 乳頭病変 泌乳量低下 流産 幼獣の死亡率 鹿の臨床徴候は種によって大きく異なる。ノロジカの致命率は高く、ヘラジカでは臨床徴候がほとんどみられない。

ウイルスの排出 ウイルスは全身の皮膚・粘膜で増殖する。 あらゆる分泌物、排泄物に含まれる。 牛の1日ウイルス排泄量で10万頭、 直径21~25nm 0.000002mm ウイルスは全身の皮膚・粘膜で増殖する。 あらゆる分泌物、排泄物に含まれる。 牛の1日ウイルス排泄量で10万頭、 豚は その1000倍1億頭を感染させ得る。 表皮の落屑 尿 糞 膣分泌物 涙 唾液 鼻汁 流産胎児 胚 口腔内水泡 呼気 蹄水泡の 破裂 蹄水泡の破裂 乳 精液

キャリアー状態の最大持続期間 動物種 最大持続期間 牛 羊 山羊 アフリカ・バッファロー 水牛 豚 3年半 9ヶ月 4ヶ月 5年 < 2ヶ月? 持続感染しない  臨床的回復後に、最大 50% の反芻動物は持続感染状態になる。感染は、咽頭および食道上部の組織で持続する。キャリアー状態は、動物の免疫状態の如何にかかわらず起こる。口・咽頭ぬぐい液から回収できるウイルスの量と頻度は、次第に減っていく。  アンテロープおよびラクダ科の動物は、キャリアーにならないか、または、短期間のみウイルスを運ぶことがある。  キャリアー動物の疫学的意義は、完全に解明されていない。

O型 A型 C型 Asia 1型 SAT1型 SAT2型 SAT3型 口蹄疫ウイルスの生態 ウイルスの誕生は数十億年前? 約8000年前の家畜化の際に野生動物から侵入? 現在のウイルス供給地帯は世界に7ヶ所。 7種の血清型のそれぞれに多数のサブタイプがある。 偶蹄類を中心に20科70種の動物が感受性。 現在の自然宿主は? O型  A型  C型  Asia 1型  SAT1型 SAT2型 SAT3型 牛: 指標動物 羊/山羊: 維持動物 豚: 増幅動物 アフリカ・バファロー アンテロープ 家畜 野生動物?

検疫: 1383年マルセーユで「沖合い停泊40日」を制度化 伝染病: ヒトと物資の国際移動 様々な病原体が存在し、中世のペスト、痘瘡(天然痘)、コレラ、1918年のスペイン風邪のように、世界的大流行を経験してきた。 検疫: 1383年マルセーユで「沖合い停泊40日」を制度化 発病者が出てしまい、接岸を拒否された船は、海上をさまよい、次々と感染して死に絶え、幽霊船とならざるを得なかった。 都市を護るためにやむを得ず採られた措置であるが、それが非人道的で間違っていたという評価はない。 今日の検疫制度では、患者は特定施設に強制隔離されるが、伝染病が大衆に及ぼす影響を考えると、患者の人権に制約が加えられることに反対する意見は出ないだろう。 口蹄疫発生時の患畜、疑似患畜 および畜主に対する制限

GATT 第20条 一般的例外: 動植物防疫に係る検疫等の措置 「衛生植物検疫措置の適用に関する(SPS)協定」 世界不況 関税引き上げ 貿易数量制限 為替制限 第一次世界大戦 第二次世界大戦 自国の産業保護 国際復興開発銀行( IBRD ;1945) 国際通貨基金( IMF ;1947) 1944年 ブレトン・ウッズ会議(米国) ガット体制(GATT; 1948 ) 「関税及び貿易に関する一般協定」 世界戦争の回避策 1947年 第1回関税交渉妥結 → ガット採択 経済紛争の元となる貿易障壁をなくし、自由貿易を確保する基本原則 (i)貿易制限措置の削減 (ii)貿易の無差別待遇(最恵国待遇、内国民待遇) GATT 第20条 一般的例外: 動植物防疫に係る検疫等の措置 「衛生植物検疫措置の適用に関する(SPS)協定」 ウルグアイ・ラウンド(1986 ~1994)妥結: 農産物貿易の原則自由化 1995年 世界貿易機関( WTO ) ← ガット体制 「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(通称:WTO設立協定)」

自由貿易の枠組み(WTO)と衛生基準の関係概念図 危害因子についての国の衛生基準 B国 A国 非関税障壁 (WTO訴訟) 国 際 基 準 E国 C国 D国 自由貿易の枠組み(WTO)と衛生基準の関係概念図 衛生および食物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定) 貿易の技術的障壁に関する協定(TBT協定)

ヒトの伝染病制御の国際的枠組み 国際保健規則( 2005 ): IHR(2005) 国際保健規則に基づくWHOへの報告 国際検疫伝染病: 痘瘡(天然痘)、ペスト、黄熱、コレラ 1979年 WHOの痘瘡根絶計画により、地上から痘瘡ウイルスが消滅 国際検疫伝染病: ペスト、黄熱、コレラ 国際保健規則( 2005 ): IHR(2005) ・ 様々な新興感染症が出現した ・ アメリカ同時多発テロ事件(2001年9月11日)により、攻撃手段が無差別化した 痘瘡(天然痘) 野生型ポリオ 新型インフルエンザ 重症呼吸器症候群 コレラ、肺ペスト、黄熱、ウイルス性出血熱(エボラ出血熱、ラッサ熱、マールブルグ病)、ウエストナイル熱、その他(デング熱、リフトバレー熱) 無条件で報告 条件付き報告 ・ 公衆衛生上の影響 ・ 通常と異なるか、予期し得ない事象 ・ 国際的拡大の危険性 ・ 国際的な旅行や取引の規制を招く 国際保健規則に基づくWHOへの報告

OIEリスト疾病および国際貿易において重要なその他の疾病に適用可能な勧告 家畜伝染病制御の国際的枠組み 世界獣疫局(OIE): 1924年に国家間協定によって設立された。1945年の国際連合発足後は、国際連合食糧農業機関(FAO)の技術的専門機関の役割を担ってきている。 陸生動物衛生規約 第1巻: 総則 第1部 動物疾病の診断、広域調査および通知 第2部 リスク解析 第3部 獣医療組織の品質 第4部 総括的勧告: 疾病の予防と制御    4.1章 生きた動物の特定と遡及調査可能性の一般的原則    4.2章 動物の遡及調査可能性を実現するための特定システムの立案と実施    4.3章 地区割と区画化    4.13章  斃死動物の廃棄    4.14章  消毒と昆虫駆除に関する一般的勧告    4.16章 衛生手順、特定、採血およびワクチン接種 第5部 貿易施策、輸入/輸出手順および獣医療証明書 第6部 獣医公衆衛生 第7部 動物福祉 第2巻 OIEリスト疾病および国際貿易において重要なその他の疾病に適用可能な勧告 各国の国内法(日本では家畜伝染病予防法)は、この国際法に準拠していなければならない。

口蹄疫に関するOIE基準 第5.5章 口蹄疫 8.5.1条 国際陸生動物衛生規約において、口蹄疫(FMD)の潜伏期間は14日とする。 第5.5章 口蹄疫 8.5.1条  国際陸生動物衛生規約において、口蹄疫(FMD)の潜伏期間は14日とする。  本章において、反芻動物にはラクダ科の動物(ヒトコブラクダを除く)を含む。  本章において、症例には口蹄疫ウイルス(FMDV)に感染した動物が含まれる。  国際貿易のため、本章はFMDVによる臨床徴候の発現のみならず、臨床徴候が発現していないFMDV感染についても取り上げる。  FMDV感染の発生とは以下のように規定される。 1. 当該動物やその動物に由来する製品からFMDVが分離同定された。または、 2. FMDVの血清型の1種以上について特異的なウイルス抗原やウイルス核酸(RNA)が、口蹄疫と合致する臨床徴候を示していようがいまいが、確定または擬似の口蹄疫発生と疫学的に関連していようがいまいが、あるいは、FMDVとの過去の関連または接触の疑いがあろうがなかろうが、一頭以上の動物からのサンプルにおいて特定された。または、 3. ワクチン接種の結果でないFMDVの構造蛋白または非構造蛋白に対する抗体が、口蹄疫と合致する臨床徴候を示している、確定または擬似の口蹄疫発生と疫学的に関連している、あるいは、FMDVとの過去の関連または接触の疑いがある一頭以上の動物で特定された。 発症してなくても、ウイルスが循環していれば汚染国

口蹄疫ウイルスの構造とマーカーワクチン 自然感染による抗体 マーカーワクチン による抗体 非構造蛋白 に対する抗体 5’ 3’ ウイルスの構造蛋白質をコードする遺伝子で、表面のカプシドの免疫原性を決める ウイルスの増殖に必要な蛋白質をコードする遺伝子で、増殖時のみ発現される カプシド蛋白質 非構造蛋白質 5’ 3’ 約7.2~8.4 kbの一本鎖(+)RNA Pirbright Laboratory

Active surveillance zone 8.5.46条 血清学的検査の利用と解釈(図1参照) 積極的発生動向調査地帯 Active surveillance zone 臨床検査と血清学的検査により摘発・処分を行い、感染拡大を防ぐ。発生確認の場合は制限地帯の見直しが必要。 感染地帯 Infected zone 殺処分 清浄地域 Disease-free zone 消毒 図1. 血清学的な調査を通した、あるいは、その後のFMDV感染の証拠を判定するための試験所検査の概要図

8.5.8条 清浄資格の回復 1. ワクチン接種が行われていない口蹄疫清浄国または清浄地帯で口蹄疫またはFMDV感染が起きた時、ワクチン接種が行われていない口蹄疫清浄国または清浄地帯の資格を得るために以下の待ち期間の一つが求められる。   a. 第8.5.40条から第8.5.46条に従って殺処分政策および血清学的発生動向調査が適用されている場合、最後の症例から3ヶ月。または、   b. 第8.5.40条から第8.5.46条に従って殺処分政策、緊急ワクチン接種、および、血清学的発生動向調査が適用されている場合、全てのワクチン接種動物が食用と殺されてから3ヶ月。 8.5.40条 発生動向調査(surveillance): 緒言 加盟国が、その対応を支える関係する地域における口蹄疫の疫学を説明するのみならず、全てのリスク因子の管理方法を証明する関係書類をOIEに提出することは義務である。これには科学に基づく添付資料の提出を含むべきである。 8.5.42条 発生動向調査の戦略 8.5.45条 発生後に、口蹄疫清浄の認知を申請する加盟国: 追加的発生動向調査手順

宮崎県における流行の危機管理 中国では2005~6年にAsia1型が流行し、OIEとFAOは近隣諸国に警戒を呼び掛けたが、日本は幸い難を逃れた。中国では2009年5月末からA型に、2010年2月にはさらにO型へと変わり、農水省は警戒を呼び掛けていた。韓国では2010年1月初旬に8年ぶりでA型が発生しており、中国の流行株と近似していることから、 O型の侵入もあり得るとみられていた。そして、4月に入ると・・・ 2009年1~6月 2009年7~12月 :情報なし :過去にも発生なし :この期間発生なし :発生疑い :感染/侵入 :臨床例あり :限局的発生 :流行中 :別の血清型の流行

国内侵入時の危機管理 初発農場 周辺農場・遠隔地 積極的発生動向調査 Active Surveillance 遡及調査 追跡調査 封じ込め失敗 初発農場 周辺農場・遠隔地 積極的発生動向調査 Active Surveillance A 1 B 2 殺処分 C 3 殺処分 殺処分 4 D E 5 遡及調査 追跡調査 肉眼病変の経過日数から推定される感染日前後に関係があった施設の獣医師による立入調査 肉眼病変の経過日数から推定されるウイルス排出期間に関係があった施設の獣医師による立入調査

宮崎県は初動調査状況を公表すべきである! 第一発見農場が国内初発農場とは限らない ● 4月9日に第1報があった都農町の繁殖牛農家 ● 4月23日 都農町の水牛農家(第6件目、3/31陽性) ● 4月28日 えびの市の肉用牛農場( 9件目) A牧場系列 当時の調査結果が公表されていない(または、調査が行われていない)ため、国内初発農場は特定されていない。 口蹄疫疫学調査チーム第4回検討会の概要 これまでの現地調査、抗体検査等の結果から、ウイルスの侵入が最も早かった農場は3月31日の検査材料でPCR検査で陽性であった6例目の農場であり、ウイルスの侵入時期は3月中旬頃と推察。 1例目の発生が確認された4月20日時点では、少なくとも10農場以上にウイルスが侵入していたと推察される。・・・・・ えびの市での発生事例については、川南町の関連農場から出発した家畜運搬車両等が関連していた可能性があり、・・・ 宮崎県は初動調査状況を公表すべきである!  法律で定められた調査が行われたのか?

口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針 1 異常家畜の発見の通報から病性決定までの措置 (2)家畜防疫員及び家畜保健衛生所の措置 1 異常家畜の発見の通報から病性決定までの措置 4月9日の時点で口蹄疫を疑うのは無理だったが、4月16日に検体を動物衛生研究所に送付した時点ではこの項目が適用される。 (2)家畜防疫員及び家畜保健衛生所の措置 ア 家畜防疫員は、通報があったときは、・・・緊急的な措置について次に掲げる指導等を行う。 (ア)異常畜の所有者に対する指導事項  e 急病等の緊急かつやむを得ない場合以外は外出をせず、農場及びその関連施設の外に物を搬出しないこと。また、外出する場合は消毒等を行うこと。 農家の行き来があったとされている。 オ 家畜防疫員は、一般臨床所見を中心に検査を実施するとともに、疫学的調査も併せて行う。 キ 本病が否定できない場合には、家畜防疫員は次に掲げる対応を行う。 その後の推移からして、検討しなかったと判断されても仕方ない。 (エ)病性決定までの間、殺処分の場所、焼却又は埋却の別等その後の防疫の段取りを検討する。

2 病性決定時の措置 (2)防疫対策本部の設置 3 発生地における防疫措置 4 接触したおそれのある感受性動物の追跡 (1)追跡調査 4月20日の口蹄疫確定した時点から緊急事態が始まるが、知事が非常事態宣言を出したのは1ヶ月遅れであり、その間は平時の対応が採られた。 2 病性決定時の措置 (2)防疫対策本部の設置 ア 家畜保健衛生所等に口蹄疫現地防疫対策本部、都道府県に口蹄疫都道府県防疫対策本部及び農林水産省に口蹄疫中央防疫対策本部をそれぞれ設置する。 対策本部会議初日 農水省:4月20日 宮崎県:4月21日 国:5月17日 その連携は? 3 発生地における防疫措置 (1)一般緊急措置 イ 家畜防疫員は、家畜の所有者に対し、・・・所有者の義務、都道府県等の協力方針、行政不服審査法に基づく不服申立てに制限がある旨等について説明する。 (2)と殺の指示及び評価 ウ 殺処分に先立って、評価人の評価を基に、家畜防疫員はへい殺畜等手当金交付規程による・・・評価書を作成し、殺処分を進める。 殺処分は罰則を含む強制力のある規定であるが、評価額を巡る補償問題で暗礁に乗り上げた。補償交渉は流行が終わってからでも可能では? 4 接触したおそれのある感受性動物の追跡 (1)追跡調査 ア 家畜防疫員が現地調査を行った結果、本病が否定できない場合には、家畜防疫員は過去21日間の家畜の移動及び過去7日間の人の出入りその他の接触を調べ、・・・都道府県畜産主務課に通報する。

5 移動の規制及び家畜集合施設における催物の開催等の制限  都道府県は、・・・移動の規制及び家畜集合施設における催物の開催等の制限を、移動制限区域と搬出制限区域に区分して行うほか、発生地については、・・・通行の制限又は遮断を行う。 (1)通行の制限又は遮断 ア 範囲  発生地及びその周辺に限定する。 イ 規制の期間  72時間以内(応急的な防疫措置、すなわち、予備的消毒、家畜の殺処分、その他病原体の拡散防止のための当面の措置が完了するまでの期間とする)に限定する。 移動および搬出の制限区域は、畜産業を対象としたものであり、一般車両の通行規制は限定されている。都城市における発生時の通行制限は地域の協力によって実施された。 2000年の発生時には、半径20kmの移動制限、50kmの搬出制限が行われたが、今回は最小限に留められた。 (2)移動制限区域 ア 区域の範囲 (ア) 原則として、発生地を中心とした半径10㎞以内の区域を定める。ただし、発生状況、疫学的背景等を考慮して、動物衛生課と協議の上、半径5~30㎞の範囲まで拡大し、又は縮小することができる。 イ 制限期間 発生の確認後速やかに規制し、その制限期間は、原則として、最終発生例の 殺処分完了後21日間とする。この期間は、発生の推移に応じて増減する。 ウ 制限内容 (ウ) と畜場及び家畜市場は閉鎖する。 ウイルスが家畜、飼料、作業者、車両に付着して拡散する可能性が最も大きい。

6 立入検査、血清疫学調査等 8 感染源及び感染経路の究明 第3 防疫対応の強化 関係都道府県は、・・・・移動制限区域及び搬出制限区域から発生前21日以内に偶蹄類の家畜を導入した場所のほか、必要に応じ動物衛生課が指示した場所について、速やかに立入検査を行い、又は診療獣医師の協力を得て、臨床上の異常の有無の確認、家畜の移動の有無等の疫学的調査を行う。また、・・・・必要に応じ動物衛生課が指示する方法により血清疫学調査を実施する。 8 感染源及び感染経路の究明 調査方法等は、通知に詳述されている。 本病の感染源及び感染経路を究明し、発生予防に資するため、都道府県畜産主務課は、動物衛生課と連携し、動物衛生研究所等の協力を得て、4及び6の調査及び検査結果を基礎とし、家畜、人及び車両の移動、飼料の利用、物品の移動、渡り鳥等の野生動物との接触の可能性、気象条件等を網羅的に調査する。 口蹄疫が確定した後、県内農家の多くは報道によって知った(早朝作業時の町内放送・・・)。 第3 防疫対応の強化 本病は、発生予防からまん延防止に至るまで、様々な関係機関が連携して対応することが必要となる。このため、日頃より本病発生時の通報・連絡体制を確認するなど、農林水産省、都道府県及び市町村の各段階で、危機管理体制の構築に努める。また、都道府県は、万一の発生の際に、円滑な防疫措置を講じることができるよう、隣接都道府県及び都道府県内関係者の参加を幅広く求め、防疫措置についての打合わせ及び発生時を想定した防疫演習を実施し、まん延防止体制の調整、周知、点検及び改善に努める。 隣県への連絡はなかった。

指針に基づく発生予防及びまん延防止措置の実施の留意事項 平成16年12月 農水省消費・安全局長通知(平成17年最終改正) 6 防疫対策本部 次に掲げる組織により防疫に当たることとする。  本部長の下に次の各班を置くとともに、管内の市町村、関係機関及び団体による管内連絡会議を逐次開催し、防疫の円滑な推連を図る。 総 務 班: 関係機関との連絡調整、管内連絡会議の開催、管内の防疫活動の計画・調整、現地で必要な人員・資材の確保、文書管理、経理及び防疫資材の出納事務を行う。 病性鑑定班: 届出、調査等により入手された情報により現地に急行し、検診する。また、病性鑑定のための採材、搬送等を行う。 発生地班: 発生農場に常駐し、当面の防疫が一段落するまでの防疫措置(立入禁止、殺処分、消毒等)を指揮する。 評 価 班: 殺処分家畜等の評価を行う。 検 診 班: 発生地周辺地域の緊急検診及び摘発検査を実施する。 追 跡 班: 発生家畜と関係のある家畜の疫学調査及び防疫上の指示を行う。 移動規制班: 移動の規制、と畜場、家畜市場等の監視、移動許可書の発行等制限地域内の防疫措置に係る指導を行う。 宮崎でこれらの組織が初動調査においてどのように活動したのか? そもそも、班分けするほどの人数がいたのか?

口蹄疫疫学調査チーム第4回検討会の概要 遡及調査 肉眼病変の経過日数の推定 理屈では判っても、実際の病変は? 1例目の発生が確認された4月20日時点では、少なくとも10農場以上にウイルスが侵入していたと推察される。・・・・・ 遡及調査 肉眼病変の経過日数から推定される感染日前後に関係があった施設の獣医師による立入調査 肉眼病変の経過日数の推定 感染 発症 潜伏期間 水疱の 融合 剥離・糜爛 鋭利な辺縁 潰瘍 辺縁鈍 小水疱 理屈では判っても、実際の病変は? 治癒 瘢痕化 痂皮:表皮のみ 繊維素析出

口から舌を引出した時に破れた1日目の水泡のある去勢牛の舌 上側歯茎の破れた2日目の水泡、舌上のいくつかの破裂前の水泡がある 英国環境食糧農林省(DEFRA) 別の去勢の2日目の病変。尖った辺縁と露出した真皮の赤色に注意 舌上、下側歯茎、および下唇の2日目の破れた水泡。潰瘍化部分の辺縁が尖っている

水泡が破れた2日目では、剥がれた粘膜上皮辺縁が尖っていたが、3日目には丸みを帯びている。 3日目の病変。病変部への血漿と線維素の滲出によって、初期の赤色と辺縁の鋭利さが失われている 水泡が破れた2日目では、剥がれた粘膜上皮辺縁が尖っていたが、3日目には丸みを帯びている。 4日目には、黄色の繊維素析出が観察され、治癒機転が始まっている。 右: 上と同一牛の4日目の病変。病変部辺縁の鋭利さがさらに失われ、過度の線維素が析出している

病変部における乳頭状突起と中央縦窪みの消失と線維性組織の増殖を特徴とする10日目の病変。 4日目以降の写真はないが、口腔内の傷の治りが速いことは、普段経験していることである。

左: 舌の縁に1個の破れていない1日目の水泡がある豚 左: 舌の縁に1個の破れていない1日目の水泡がある豚 下: 歯茎、および唇における1日目の水泡 水泡の出現は、水胞性口炎、豚水胞病、豚水疱疹などの伝染病でも観察される。いずれも重大疾病であり、たかが「水ぶくれ」と軽視しないで、農家は直ちに家畜保健所へ届け出る。 獣医師は、間違って怒られることを恐れずに、上司に所見を伝える。褒められること間違いなし!

左: 豚の鼻鏡における破れていない1日目の水泡 左: 豚の鼻鏡における破れていない1日目の水泡 下: 同一豚の2日目の水泡。病変部位の上皮の壊死に注意 肉眼所見で口蹄疫と判定することは誰もできない。しかし、水泡があれば、口蹄疫を疑うことは獣医師の義務である。 怒られてもいいから、上司に伝えて検査を依頼しよう!

左: 3日目の病変がある同一豚。患部上皮の広範な壊死に注意 左: 3日目の病変がある同一豚。患部上皮の広範な壊死に注意 右: 舌の3日目の病変。辺縁部の病変において、血漿と線維素が満たされ、初期治癒が明らかである

左: 同一の動物の4日目の水泡。痂皮形成と急速な治癒が明らか 左: 同一の動物の4日目の水泡。痂皮形成と急速な治癒が明らか 右: 舌における4日目の病変。繊維素の析出が顕著である

 再度強調するが、口腔内の傷の治りが速いことは、我々も普段経験していることである。だからといって「口蹄疫では死なない」と誤解してはいけない。  哺乳期では全て死亡し、豚の致命率は20%以上である。発育や繫殖の障害は畜産を崩壊させる。 8日目の治癒した病変がある豚の舌

何等かの臨床徴候を示し始める48時間前に特定できる。 口蹄疫ウイルスに感染していない牛の赤外線映像。蹄が赤くないことに注目。 口蹄疫ウイルスに感染している牛の赤外線映像。蹄が赤いことに注目。蹄の赤色は発熱を示す。

牛における病気の経過 推定感染日 発症前排出期間(1~5日) 平均6.2日 発熱(最高42℃)、重度の沈鬱、食欲不振および泌乳の突然停止 FAO:口蹄疫緊急時対策の準備 推定感染日 発症前排出期間(1~5日) 平均6.2日 発熱(最高42℃)、重度の沈鬱、食欲不振および泌乳の突然停止 1日程度 水泡形成: 好発部位は、舌、唇、歯肉、歯間部、鼻孔、蹄間部の皮膚、蹄冠帯、泌乳動物の乳頭部。 時折、鼻孔内部または鼻鏡部、眼瞼、陰門に出現。 1日以内 潰瘍・糜爛: 水泡の破裂。過度の流涎、舌鼓および採食廃絶、それに伴う体重の激減。重症例では、舌背面粘膜の大部分が脱落。急性の跛行(歩行困難)と運動の忌避。 10日程度 口腔病変は治癒に向かう。乳頭病変部は、二次感染による乳房炎を併発することがある。

豚における病気の経過 推定感染日 豚の潜伏期間は永い。潜伏期間中にウイルスを排出 平均10.6日 発熱、食欲不振および運動忌避 1日程度 水泡形成: 急性の跛行(歩行困難)、激痛および横臥を引起し、とくに硬い床で飼育されている場合には顕著である。水泡は、蹄冠、指間の皮膚、上爪、蹄球面に出現する。 1週間程度 蹄冠を囲む水泡は、蹄冠部からひづめの角質層の脱落を引起すことがある。そうでない場合、古い爪と新しい爪の分離線が1週間当り約1mmの速さで着実に下方に移動する。 推定感染日=病変の経過日数+平均潜伏期(10.6日)  (±2) 発症前排出日=病変の経過日数+発症前排出期間(2~10日) 

積極的発生動向調査( Active Surveillance )の概要 推定感染日前後に接触のあった関連施設の立入検査 発生農家周辺最低 3km を移動制限として積極的発生動向調査の対象とする。 発生農家からの通報を待つ受動的調査(Passive Surveillance)では、早期発見が難しく、病変の経過日数の判断もできない。家畜防疫員による関連施設の立入検査が封じ込めに不可欠である。 発生動向調査地帯 清浄地域 感染源を突き止める「遡及調査」とウイルス拡散先を突き止める「追跡調査」を同時に進める。 感染地区 潜伏 期間 病変の 経過日数 推定 感染日 推定 発症日 発生 確認日 発症前からウイルスを排出する ウイルス排出期間 遡及調査 汚染施設 A 推定感染日前後に接触のあった関連施設の立入検査 追跡調査 汚染施設 B 感染源 接触後2週間に亘る汚染施設の観察・検査 汚染施設 1

撲滅より個人情報保護? 口蹄疫発生農場の凡その位置関係 約10km 数字は発表順番 青:牛 赤:豚 都農町 川南町の飼養状況 戸数 23 153 数字は発表順番 青:牛 赤:豚 都農町 川南町の飼養状況 230 138 72 戸数 23 251 83 380 頭数 1,282 3,472 5,057 145,239 155,050 48 182 ⑥ 203 酪農 和牛繁殖 肥育牛 養豚 合計 ① 212 136 ⑧ 60 196 220 撲滅より個人情報保護? 234 154 53 189 103 108 160 199 156 107 225 215 142 ⑤ ④ ③ 89 ⑪ 155 88 173 151 82 90 40 ⑦ 47 139 43 92 149 37 45 109 75 87 ② 29 80 74 93 26 川南町 106 218 187 32 58 38 54 ⑬ 46 226 34 81 186 70 94 ⑩ 23 30 ⑫ 44 64 ⑱ 高鍋町の飼養状況 210 50 25 91 36 79 76 78 ⑲ 35 39 86 61 71 戸数 3 63 13 8 87 頭数 66 1,191 11,135 14,772 27,166 192 42 55 56 98 59 198 77 51 ⑯ ⑳ 52 40 31 67 約10km 57 104 21 96 24 酪農 和牛繁殖 肥育牛 養豚 合計 114 174 134 33 62 ⑭ 99 137 41 105 28 27 63 畜産試験場 84 95 148 49 65 85 69 207 211 ⑮ 180 201 ⑰ 110 147 162 209 66 97 120 150 194 117 165 116 217 231 127 224 219 176 159 152 214 123 121 181 206 115 100 102 木城町 135 132 190 118 122 232 125 126 179 223 145 193 113 191 161 221 129 185 73 133 167 172 204 128 175 112 111 208 163 140 西都市 尾八重 167 種牛6頭 101 高鍋町 124 144 157 143 171 158 213 130 178 177 164

初動対策もさることながら、蔓延防止対策が手遅れとなった! 蔓延防止の危機管理 牛は感受性が高くほぼ100%感染する(指標動物)。 豚は牛より感受性が低いが、発症すると牛の1000倍以上(呼気中は3000倍以上)のウイルスを排出する(増幅動物)。 4月28日に宮崎県畜産試験場川南支場 の豚の感染が判明。県有施設は民間農場よりも衛生管理が劣っているから(?)、周辺農場への感染はない ⇒ 緊急対策は講じられず ゴールデン・ウイーク突入 ⇒ 発生地帯を縦断する国道10号線等は、口蹄疫ウイルス拡散の絶好の通り道となった 初動対策もさることながら、蔓延防止対策が手遅れとなった! 指標動物 維持動物 増幅動物

南日本新聞 4月24日: 獣医師には常識

:その他 :豚 :牛 発生戸数 県家畜改良事業団 西都市 16 山 羊 14 県畜産試験場・えびの市 12 都城市 10 日向市 宮崎市 8 6 水 牛 4 2 4/20 4/28 5/1 5/6 5/15 5/20 5/26 5/29 6/3 6/17 6/10

発生頭数 処分頭数 補償交渉 千頭 30 25 20 :豚 15 :牛 10 5 25 20 15 10 5 4/20 4/28 5/1 5/19決定 5/22-26 ワクチン接種 30 発生頭数 25 20 :豚 15 :牛 10 5 25 処分頭数 20 補償交渉 15 10 5 4/20 4/28 5/1 5/6 5/15 5/20 5/26 5/29 6/3 6/17 6/27 6/10

未処分頭数の推移 補償交渉から埋却地問題へと難問が続く 10 万頭 未処分頭数の推移 補償交渉から埋却地問題へと難問が続く 8 豚の呼気中 ウイルスは 牛の3000倍 :豚 :牛 6 4 2 4/20 4/28 5/1 5/6 5/15 5/20 5/26 5/29 6/3 6/17 6/27 6/10

処分に要した日数(発生日別) 牛 半月以上もウイルスを排出し続けた 豚 戸数 処分に要した日数(発生日別) 12 :15以上 10 :8~14 :4~7 8 牛 :1~3 6 4 2 半月以上もウイルスを排出し続けた 8 豚 6 4 2 4/20 4/28 5/1 5/6 5/15 5/20 5/26 5/29 6/3 6/17 6/10

10件目までは人と車 A牧場 20件目以降は空気感染 えびの市

危機管理体制の調和 陸生動物衛生規約 8.5.2条 ワクチン接種が行われていない口蹄疫清浄国資格を得るための義務。 日本農業新聞 7月16日 8.5.2条 ワクチン接種が行われていない口蹄疫清浄国資格を得るための義務。 1. 定期的および迅速な動物疾病報告の記録を保持する。 2. 次の事項を明言した宣言書をOIEに送付する。 a. 過去12ヶ月間に口蹄疫の発生がなかった。 b. 過去12ヶ月間にFMDV感染の証拠が全く見つからなかった。 c. 過去12ヶ月間に口蹄疫に対するワクチン接種を行っていない。 d. ワクチン接種を中止して以降、ワクチン接種動物を全く入れていない。 3. 以下の事項について文書化された証拠を提出する。 a. 第8.5.40条から8.5.46条に従った口蹄疫およびFMDV感染についての発生動向調査が実施されている。 b. 口蹄疫の早期の発見、予防および制御のための法的措置が実施されている。

日本から国際獣疫局への報告 7月28日: 宮崎市の3件目の最後の発生地から半径10 kmの地域に おける最後の移動制限は、7月27日に解除された。疾病が存在しない ことは、発生地周辺半径3 km以内の地域および疫学的に関連する農 場で飼育されていた全ての感受性動物を対象とした血清学的発生動 向調査、ならびに、当該地域における全ての感受性動物を対象とした 臨床的発生動向調査によって証明された。 7月22日: 川南町周辺の緊急ワクチン接種地帯の移動制限は7月18 日に解除された。この地帯で飼育されていた全ての感受性家畜は、7 月17日までに殺処分された。全ての症例、擬似患畜およびワクチン 接種動物は6月30日までに殺処分された。 7月14日: 東諸県郡国富町の発生から半径10 kmの区域における移 動制限は7月8日に解除された。疾病が存在しないことは、当該地域 における全ての感受性動物を対象とした臨床的発生動向調査ととも に、発生地周辺半径3 km、ならびに、疫学的に関連する農場に飼育 されていた全ての感受性動物を対象とした血清学的発生動向調査に よって証明された。

OIE陸生動物衛生規約( EU理事会指令)に定義された用語 清浄地帯 3km以上 防御地帯 発生動向調査地帯 封じ込め地帯 制限地帯 感染地帯 搬出制限地帯 移動制限地帯 10km以上 清浄地帯(Free zone): 清浄資格の適合について陸生動物衛生規約に指定された要件によって証明された地帯を意味する。当該地帯とその境界内において、適切な公的獣医学的管理が動物および動物由来製品、ならびにそれらの輸送に効果的に適用されている。 感染地帯(Infected zone): 口蹄疫が確定診断された地帯を意味する。 封じ込め地帯(Containment zone): 疫学的要素と調査結果を考慮して、疑いまたは感染のある施設およびその周辺を含め、感染の拡大を防ぐための制御措置が適用された指定地帯を意味する。制限地帯(Restricted zone) 防御地帯(Protection zone): 清浄国または清浄地帯への口蹄疫ウイルスの広がりを防ぐために疫学に基づく措置によって、清浄国または清浄地帯における動物の衛生状態を保護するために設定された地帯を意味する。それらの措置には、ワクチン接種、移動制限、ならびに、強化された発生動向調査(surveillance)を含み、それだけに限定されない。発生動向調査地帯(Surveillance zone)

国内における封じ込め地帯から清浄地帯へ口蹄疫感受性動物の食 用と殺のための直接移送(ワクチン接種の有無に関わらず) 第8.5.11条 国内における封じ込め地帯から清浄地帯へ口蹄疫感受性動物の食 用と殺のための直接移送(ワクチン接種の有無に関わらず) 清浄地帯の資格を損なわないために、口蹄疫感受性動物は、以下の条件の下で、 防御地帯に位置する最も近い指定されたと畜場へ直接的に食用と殺のために機械 的輸送によって移送される場合にのみ封じ込め地帯を離れるようにしなければなら ない。 1. 封じ込め地帯は、第8.5.8の要件に従って公的に設定された。 2. その動物は、獣医当局の監督下で、積載前に清掃・消毒された車両によって、 その他の感受性動物と接触することなく原産施設からと畜場へ直接輸送されなけ ればならない。 3. そのようなと畜場は、封じ込め地帯からの動物の肉を扱っている期間、生肉の 輸出を認可されない。 4. 車両およびと畜場は、使用後直ちに完全に清掃・消毒されなければならない。 それらの動物に由来する全ての製品は、第8.5.25条第2点または第8.5.26条に従っ て処理されなければならない。当該動物から得られたその他の製品ならびにそれら と接触したあらゆる製品は、第8.5.34条から第8.5.41条に従って残存するウイルスを 全て殺滅する方法で処理しなければならない。 口蹄疫ウイルスの拡散を防ぐ蔓延防止措置

牛の系統的ワクチン接種義務を含めて公的な制御計画が存在する 口蹄疫感染国または地帯からの輸入に関する勧告 第8.5.25条 牛の系統的ワクチン接種義務を含めて公的な制御計画が存在する 口蹄疫感染国または地帯からの輸入に関する勧告 牛および水牛の生肉(足首、頭および内臓を除く)に対して、獣医当局は、食肉の全 ての出荷品が以下を立証する国際獣医療証明の提出を求めなければならない。 2. 骨抜きと体に由来する。 a. 主要なリンパ節が取除かれていた。 b. 除骨に先立って、と殺後少なくとも24時間+2℃以上の温度で熟成され、両方の 最長筋の中間点で測ったpHが6.0以下であった。 第8.5.26条 口蹄疫感染国または地帯からの輸入に関する勧告 反芻家畜および豚の肉製品に対して、獣医当局は、以下を立証する国際獣医療証 明の提出を求めなければならない。 1. 当該食肉の全ての出荷品は認可されたと畜場でと殺された動物に由来し、口蹄 疫についての生体検査と解体後検査を行い、陰性であった。 2. 当該食肉は、第8.5.34条に記載された手順の一つに基づいて口蹄疫ウイルスの 殺滅を確保するための処理が行われた。 3. 処理後に食肉が口蹄疫ウイルスの如何なる感染源とも接触しないために必要 な注意が払われた。 死後硬直に伴う pH 低下は筋肉中のウイルスを不活化する。農場で不顕性感染が見逃されても、ウイルス拡散を防げる。 陸生動物衛生規約 は発展途上国を含めたものであるから、規制が緩い?

口蹄疫の制御のための欧州共同体の措置に関する規定 欧州連合: 2003年9月29日の理事会指令2003/85/EC 口蹄疫の制御のための欧州共同体の措置に関する規定 第1節 通知 第2節 口蹄疫発生の疑い事例における措置 第3節 確定事例における措置 第4節 特別の事例に適用すべき措置 第5節 異なった疫学的生産単位から構成される施設および関連施設 第6節 制限地帯と発生動向調査地帯 第7節 地区割り、移動制限、ならびに、識別 第8節 ワクチン接種 第9節 口蹄疫とその感染に係る清浄資格の回復 第12節 緊急時対策計画と即時的警戒訓練 20世紀初頭に戦争のないヨーロッパ統合の構想が持ち上がってから、経済・産業分野での共同体設立を経て1992年にようやく欧州連合条約が署名され、1999年に単一通貨としてユーロが導入された。この過程で人の往来や物資の移動における国境の役割は少しずつ軽くなってきた。中世の暗黒時代にペストで人口の半分を失った欧州は検疫制度を創設し、伝染病の侵入を国境で防いできたのだが、統合によって国境の意義が薄れる中で伝染病の侵入をどのように防いでいるのか。 その解決策として、各国の衛生水準の格差をなくし、同等性を確保することが有力視され、そのために医療や獣医療などの品質の最小限の基準を設けてきた。医師や獣医師を養成する大学、医療体制や獣医療体制の整備が行われてきた結果として、欧州連合圏内の自由な往来や物流が確保されてきたのであり、この努力は通貨統合にも匹敵する難事業だったのではなかろうか。また、欧州連合内の自由化は、同時に、それ以外の地域からの伝染病の侵入を防ぐための統一政策の必要性を高めている。この内容は日本における今後の対策を考える上でも参考になるだろう。東北アジア経済圏を進める上で避けて通れない問題である。

口蹄疫発生時の保護を目的とする「種畜の登録制度」が必要! 第4節 特別の事例に適用すべき措置 第15条 感受性動物種を一時的または定期的に飼育する特別の施設の周辺 または内部における口蹄疫発生事例に適用すべき措置 1. 口蹄疫の発生が、研究所、動物園、野生動物公園、ならびに、指令 92/65/EECの第13条2項に従って認可された団体、機関およびセンターの柵で囲ま れた区域の感受性動物に感染する脅威があり、科学的目的または動物種や家畜 の遺伝資源の保護に関連する目的で飼育されている場合、関連する加盟国は、 それらの動物を感染から保護するために全ての適切な生物学的安全措置が採ら れることを保証しなければならない。それらの措置には、公的機関への立入制限 や立入に特別な条件を設けるなどが含まれる。 半径?kmへの立入制限 2. 第1項に記載された施設の一つに口蹄疫の発生が確認された場合、関連す る加盟国は、本共同体の基本的な利益、とくにその他の加盟国の動物衛生状態 が損なわれず、口蹄疫ウイルスが拡散するあらゆるリスクを防ぐために全ての必 要な措置が実施される条件で、第10条1項(a)からの除外を決定することができる。 3. 第2項に記載された決定は、直ちに本委員会に通知しなければならない。家 畜遺伝資源の場合、その通知には、品種の維持に不可欠な感受性動物種の繁殖 の核として所轄官庁が事前にそれらの施設を特定することによって、第77条2項(f) に従って設置された施設のリストの証明書を含まなければならない。 口蹄疫発生時の保護を目的とする「種畜の登録制度」が必要!

第54条 緊急ワクチンの接種開始からそのワクチン接種の完了以降少なくとも30 日経過するまでの期間にワクチン接種地帯において適用可能な措置 1. 加盟国は、第2項から6項に規定された措置が緊急ワクチンの接種開始からそ のワクチン接種の完了以降少なくとも30日経過するまでの期間を通してワクチン 接種地帯において適用されることを保証しなければならない。 2. ワクチン接種地帯内外の施設間における生きている感受性動物の移動は、禁 止しなければならない。前文に規定された禁止の適用除外によって、生きている動 物、ならびに、原産施設またはその動物の出荷施設の群の臨床検査後に、所轄 官庁は、ワクチン接種地帯内または例外的にその地帯に隣接したと畜場に向けた 即時と殺のための直接輸送を許可することができる。 3. 第1項に記載された期間にと殺されたワクチン接種動物から生産された生肉は、 以下の事項を満たさなければならない。 (a) 指令2002/99/ECに規定された刻印を押す (b) (a)点に記載された刻印のない肉とは別個に保管・輸送し、付属文書VII のPart A第1点に従った処理のために所轄官庁によって指定された施設に密閉容器に納 めて輸送しなければならない。 4. ワクチン接種動物から生産された乳および乳製品は、人の消費のまたは人の 消費以外のいずれかの最終的用途に応じて、付属文書IXのParts AおよびParts B に記載された処理の少なくとも一つを施されたことを前提に、ワクチン接種地帯内 外の市場に出荷することができる。

予防的ワクチン接種は1992年にEU全域で禁止され、加盟国はこの指令に従う義務がある 第8節 ワクチン接種 第49条 口蹄疫ワクチンの使用、製造、販売および管理 加盟国は、以下のことを保証しなければならない。 口蹄疫ワクチンの使用および口蹄疫に対する高度免疫血清の投 与は、本指令で規定された場合を除き、領土内で禁止されている。 予防的ワクチン接種は1992年にEU全域で禁止され、加盟国はこの指令に従う義務がある 第50条 緊急ワクチン接種の決定 1. 以下の条件の少なくとも一つが適用される場合に、緊急ワクチン 接種を決定することができる。 (a) 口蹄疫の発生が確認されており、その発生が確認された加盟国 内に広範に広がる恐れがある。 (b) 加盟国における報告された口蹄疫発生に関連して、別の加盟国 が地理的状況または季節的気象条件のためリスクに曝されている。 英国の2001年大流行を経て、殺処分を前提とする緊急ワクチン接種に疑問が上がり、マーカーワクチン開発もあって、「緊急ワクチン接種動物に由来する乳製品と肉製品は、関連するEUの法律とこの指令に従って市場に出すことができる」ようになった。

PART B 発生動向調査地帯に由来する感受性動物からの生産に適用可能な追加的措置 発症していなくても、感染した個体は農場段階で排除 付属文書 VIII  PART A 生肉の処理 1. 骨抜き生肉 指令64/433/EECの第2条(a)に記載された肉は、内臓を除き、骨および主要なリンパ節が除去されたものを言う。 3. 熟成   ● と体は、+ 2 ℃以上の温度で少なくとも24時間熟成   ● 背最長筋の中心におけるpH値は、6.0未満を記録 4. 交差汚染を避けるために効果的な措置を適用しなければならない 陸生動物衛生規約と同じ内容が2003年に定められた。 OIE は1924年にフランスで発足した国家間協定機関である PART B 発生動向調査地帯に由来する感受性動物からの生産に適用可能な追加的措置 1. 制限地帯および発生動向調査地帯の外側の市場への出荷を意図した頭部、腸管および内臓以外の生肉は、以下の追加的条件の少なくとも一つに従って生産されなければならない。 (a) 反芻動物の場合   (i) 動物は、第24条2項に規定された管理の対象とされ、かつ、   (ii) 肉は、Part Aの第1、3 および 4点に規定された処理の対象とされる 発症していなくても、感染した個体は農場段階で排除 第51条 緊急ワクチン接種の必要条件  3. 加盟国は、ワクチン接種された動物の肉、乳および乳製品の人の消費のための安全性について国民に知らせるため、広報計画を実施しなければならない。

発展途上国を含むOIEの陸生動物衛生規約だけでなく、欧州連 合においても、口蹄疫流行時に、ワクチン接種で発症を防いだ家畜 を、殺処分ではなく、食用と殺することが定められている。 日本においては、「人が感染することはなく、仮に口蹄疫にか かった家畜の肉を食べたり牛乳を飲んだりしても人体に影響はあり ません」と広報されているが、未発症の動物に由来する畜産物の流 通は行われていない。それは、清浄地帯への蔓延を防ぐ体制ができ ていないからである。多数の家畜を無駄にしないことは、動物福祉に 叶うだけでなく、飼育農家の気持ちを和らげ、廃棄処分の軽減にも 繋がる。 農場: 発生動向調査の強化による感染の特定と排除  マーカー・ワクチンの活用、県段階での検査体制の充実 食肉センター: 食肉検査体制の拡充、カット工程の骨・リンパ節除 去工程における交差汚染の制御、廃棄内臓および腸内容物の処理 腸内容物など液状物の処理は、活性汚泥法によって行われてい るが、口蹄疫ウイルスが存在した場合の不活化条件は?