生物環境物理学特論 Environmental Biophysics 小杉緑子

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過去の気温変化. Newton ムック 2005 地球大変動 pp.114 Newton ムック 2005 地球大変動 pp.115.
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気候 - 海・陸炭素循環結合モデルを用い た 地球温暖化実験の結果 吉川 知里. 気候 - 海・陸炭素循環 結合モデル.
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
1.ボイルの法則・シャルルの法則 2.ボイル・シャルルの法則 3.気体の状態方程式・実在気体
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
地球環境史(地球科学系) 現代地球科学(物理系学科)
医薬品素材学 I 1 物理量と単位 2 気体の性質 1-1 物理量と単位 1-2 SI 誘導単位の成り立ち 1-3 エネルギーの単位
医薬品素材学 I 3 熱力学 3-1 エネルギー 3-2 熱化学 3-3 エントロピー 3-4 ギブズエネルギー 平成28年5月13日.
化学反応式 化学反応:ある物質が別の物質に変化 反応物 → 生成物 例:酸素と水素が反応して水ができる 反応物:酸素と水素 生成物:水
物理化学(メニュー) 0-1. 有効数字 0-2. 物理量と単位 0-3. 原子と原子量 0-4. 元素の周期表 0-5.
生物環境物理学特論 Environmental Biophysics
気候-陸域炭素循環結合モデルの開発 加藤 知道 地球環境フロンティア研究センター 22nd Sep 2005.
資源の空間的不均一性がプランクトン群集の共存に与える影響: 格子モデルシミュレーションによる予測
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流体のラグランジアンカオスとカオス混合 1.ラグランジアンカオス 定常流や時間周期流のような層流の下での流体の微小部分のカオス的運動
*大気の鉛直構造 *太陽放射の季節・緯度変化 *放射エネルギー収支・輸送 *地球の平均的大気循環
In situ cosmogenic seminar
社会システム論 第5回 生態系(エコシステム).
13 室内空気環境 ○気温、気湿:アスマン通風湿度計 ○カタ冷却力:カタ温度計(カタ係数÷カタ温度計が38℃から35℃に下降するまでの時間)
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
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相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
連続体とは 連続体(continuum) 密度*が連続関数として定義できる場合
Chapter 26 Steady-State Molecular Diffusion
気候-陸域炭素循環結合モデル 2005年度まで ・モデル結合を完成 ・20世紀の炭素循環を再現 2006年度 ・21世紀の炭素循環の推定
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コケを用いた屋上緑化の ヒートアイランド緩和効果に関する屋外実験
CMIP3 マルチモデルにおける熱帯海洋上の非断熱加熱の鉛直構造 廣田渚郎1、高薮縁12 (1東大気候システム、2RIGC/JAMSTEC)
◎ 本章  化学ポテンシャルの概念の拡張           ⇒ 化学反応の平衡組成の説明に応用   ・平衡組成       ギブズエネルギーを反応進行度に対してプロットしたときの極小に対応      この極小の位置の確定         ⇒ 平衡定数と標準反応ギブズエネルギーとの関係   ・熱力学的な式による記述.
建築環境工学・建築設備工学入門 <空気調和設備編> <換気設備> 自然換気の仕組みと基礎
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これらの原稿は、原子物理学の講義を受講している
今後の予定 7日目 11月12日 レポート押印 1回目口頭報告についての説明 講義(4章~5章),班で討論
2006 年 11 月 24 日 構造形成学特論Ⅱ (核形成ゼミ) 小高正嗣
熱量 Q:熱量 [ cal ] or [J] m:質量 [g] or [kg] c:比熱 [cal/(g・K)] or [J/(kg・K)]
海洋研究開発機構 地球環境フロンティア研究センター 河宮未知生 吉川知里 加藤知道
風速 風向 気温・湿度 クローズドパス システムBOX 32m 積雪深 純放射量 m 地温 土壌水分量 地中 熱流量 cm 5cm ×4地点 水蒸気密度 吸気口 オープンパス 二酸化炭素濃度 三次元風速.
13 室内空気環境 ○気温、気湿:アスマン通風湿度計 ○カタ冷却力:カタ温度計(カタ係数÷カタ温度計が38℃から35℃に下降するまでの時間)
・Bernoulli(ベルヌーイ)の定理
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
電解質を添加したときの溶解度モデル – モル分率とモル濃度
共生2-3相関チャート ※共生2のグループ分け 炭素循環 陸域(炭素循環、 植生動態) 海洋 大気組成 大気化学 エアロゾル 寒冷圏モデル
落葉広葉樹林流域における 水文特性の比較 人工針葉樹林流域と 水利環境学研究室 久田 重太.
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生物環境物理学特論 Environmental Biophysics 小杉緑子 第1回:生物環境物理学の基礎・単位互換

生物環境物理学とはー 生物体と環境の間の運動量・エネルギー・物質の交換に関する研究分野である 生物物理プロセス 生態系構造・機能 大気気候システム 生物地球化学プロセス 運動量・熱・水・CO2フラックス 土壌圏からのCO2、CH4、N2O放出 Sellers et al.,1997を元に作成

生物環境物理学が扱うもの それは、「フラックス」です。 フラックス(flux)とはー 単位時間に単位面積を通して流れる熱や物質の交換量 生物と環境とは「フラックス」を通して相互作用している。 生態学・生物学・生理生態学・水文学・土壌学・環境学・気象学などの、様々な環境科学系の分野において、この視点を導入することが、今後の研究の発展・また自然界の理解とマネジメントの上で、非常に重要である。

フラックスの基本概念 定常状態における生物体と環境の間の物質とエネルギーの交換をあらわす基本概念 フラックス = 拡散係数 × 物理量の濃度勾配 この考え方にしたがって自然界を視ると、生物体のみ、あるいは環境のみを視てきた従来の研究とは違う、新しい視点による自然界の理解が可能になる。

エネルギーと質量の保存則 保存則=「通常のいかなる手段を用いても、質量やエネルギーは生成したり消滅したりしない」 エネルギー収支式 水収支式 炭素収支式 生物環境物理学の基礎概念であるこれらの収支式が、保存則に基づいて成り立つ。

エネルギー収支式 1. Rn = Sd – Su + Ld – Lu Rn :正味放射 (ある面におけるエネルギーの収支) Rn = H + lE + G + P Rn:正味放射 (ある面におけるエネルギーの収支) H :顕熱フラックス (空気を直接,加熱または冷却するエネルギー) lE : 潜熱フラックス (蒸発,凝結に伴いやりとりが行われるエネルギー) G :地中や植物体などへ蓄えられる熱 P:光合成で吸収される、あるいは代謝により供給されるエネルギー 1.2.式の各項はすべて熱エネルギーのフラックスで、単位はW m-2がよく使われる

地球(大気)のエネルギー収支 The Atmosphere’s Energy Budget Su Sd H lE Lu Ld Trenberth et al. 2009

水収支式 1.流出量(runoff)=降水量(precipitation)ー蒸発散量(evapotranspiration)-貯留変化量(Dstorage) 2.蒸発散量=遮断蒸発量(evaporation during and after rain)+蒸散量(transpiration)+土壌面蒸発量(evaporation from soil) 3.遮断蒸発量=遮断降雨量(interception)=林外雨量(precipitation)ー樹冠通過雨量(through fall)ー樹幹流量(stem flow) runoff precipitarion transpiration evaporation stem flow Dstorage through fall

地球の水収支 Trenberth et al, 2007, J. Hydrometeor, 8, 758-769

炭素収支式 GPP-REleaf-REstem-REsoil=NEP GPP GPP-REleaf-REstem-REroot=NPP RE REdec Discharge (DOC,DIC) GPP-REleaf-REstem-REsoil=NEP GPP-REleaf-REstem-REroot=NPP REsoil=REdec+REroot NEP-Discharge=-NEE GPP:Gross Primary Production NEP:Net Ecosystem Production NPP:Net Primary Production RE:Ecosystem Respiration NEE:Net Ecosystem Exchange 「森林生態学」(文永堂出版、1996)より転写

地球の炭素収支 http://earthobservatory.nasa.gov/Features/ 「地球環境サイエンスシリーズ③地球の大気と環境」(三共出版)より転写 http://earthobservatory.nasa.gov/Features/

生物圏の連続性 長波放射 水収支 + 短波放射 降水量 エネルギー収支 = = 潜熱 + 顕熱 + 貯留熱 + 光合成 = 純放射   + 短波放射 降水量 エネルギー収支 = = 潜熱  + 顕熱 + 貯留熱 + 光合成 = 純放射 (蒸発散量)  + 流出量 貯留変化量   - 生態系呼吸  -  DOC, DIC BVOC ⇔ CH4 ⇔ = -NEE ⇔窒素収支 ⇔ N2O 炭素収支 「生物環境物理学」(森北出版、2003)図1.1をベースに作成

単位 生物圏の連続性を理解し自らの研究に取り入れるためには、まず最初に、様々なフラックスの単位互換について考えてみることが有効である。 SI(国際単位系)の決まり: SI基本単位:m kg s K mol     (特例:℃ ) SI誘導単位:  力:N(m kg s-2)  圧力/面積:Pa (N m-2 = kg m-1 s-2)  エネルギー:J (N m = m2 kg s-2)  化学ポテンシャル: (J kg-1 = m2 s-2)  仕事:W (J s-1 = m2 kg s-3)  モルフラックス密度:mol m-2 s-1  熱フラックス密度:W m-2 SI接頭語:E(1018 ) P(1015 ) T(1012 ) G(109 ) M(106 ) k(103 ) h(102 ) d(10-1 ) c(10-2 ) m(10-3) m(10-6) n(10-9) p(10-12) f(10-15) a(10-18) (kg以外、誘導単位の分母には接頭語を使わない)

連続性と単位互換 (単位土地面積あたりの) 顕熱フラックス 潜熱フラックス 水フラックス(雨、流出量など) 二酸化炭素フラックス(群落光合成、土壌呼吸など) メタンフラックス   ・・・ (単位葉面積あたりの) 個葉蒸散速度 個葉光合成速度 (単位生物体乾重あたりの)  ・・・ これらは生物圏の連続性によりすべて繋がっており、 それゆえに基礎式にも互換性がある。

潜熱・顕熱フラックスの基礎式 輸送量(フラックス)は、拡散係数と物理量の平均勾配によって決まる。 H:顕熱フラックス[W m-2]、lE:潜熱フラックス[W m-2]、 l:潜熱[2,450 kJ kg-1]、E :蒸発散量(H2Oフラックス)[kg m-2 s-1]、cp:空気の定圧比熱[J K-1 kg-1]、ra:空気の密度[kg m-3]、g:乾湿計定数[hPa K-1]、w:鉛直風速[m s-1]、rv :水蒸気密度[kg m-3] Ts:表面温度、Ta:空気の温度、es(Ts):温度Tsにおける飽和水蒸気圧(hPa)、ea:空気の水蒸気圧(hPa)、rH:顕熱輸送に関わる抵抗(s m-1)、 rW:水蒸気輸送に関わる抵抗(s m-1)

個葉光合成・蒸散の基礎式 E:蒸散速度(mol m-2 s-1)、gbw:水蒸気拡散に関する葉面境界層コンダクタンス(mol m-2 s-1) 、 gsw:水蒸気拡散に関する気孔コンダクタンス(mol m-2 s-1)、Wi:葉の内部(細胞間隙)の水蒸気濃度(hPa)、Wa:大気水蒸気濃度(hPa) A:光合成速度(mmol m-2 s-1)、gbc:CO2拡散に関する葉面境界層コンダクタンス(gbw/1.37, mol m-2 s-1) 、gsc: CO2拡散に関する気孔コンダクタンス(gsw/1.6, mol m-2 s-1)、Ca:大気二酸化炭素濃度(mmol mol-1)、Ci:細胞間隙二酸化炭素濃度(mmol mol-1)

連続性とフラックス単位互換 水量(蒸発散量)・エネルギー(潜熱)フラックス・H2Oモルフラックスの相互関係 フラックス単位 l:気化潜熱(J kg-1), T:気温(℃) フラックス単位 g m-2 s-1 ⇒ mol m-2 s-1  対象気体のモル数で割る                 H2O:18 CO2:44 CH4:16  N2O:44 gCO2 m-2 s-1 ⇒ gC m-2 s-1  12/44掛ける m-2 やs-1の部分が違う単位の場合も多くある。該当する物理量間の換算係数を用いる。

フラックス関連単位の互換 コンダクタンス単位 m s-1 ⇒ mol m-2 s-1 空気のモル密度(mol m-3)を掛ける (乾燥)空気のモル密度はP/RT (P:大気圧(Pa)、R:ガス定数8.314(Pa m3 mol-1 K-1),T:気温(K)) 物質の違いによる分子拡散係数の違いとコンダクタンス比 Grahamの法則「物質の拡散係数の比は分子量比の平方根の逆数に等しい(CO2/H2O=0.639) また流体運動による輸送の割合が大きくなるほど、分子の大きさの違いは小さくなる。 分子拡散 (Dc/Dv)1  0.64ないし0.66程度 Dv/Dc=1.6がよく使われる 自然対流 (Dc/Dv)3/4   強制対流 (Dc/Dv)2/3 乱流輸送 (Dc/Dv)0 Biomass⇒炭素換算 0.4-0.5くらいの値でパーツにより異なる

フラックス関連単位・最近の動向 モルフラックス密度:mol m-2 s-1 熱フラックス密度:W m-2 コンダクタンス: mol m-2 s-1  濃度勾配: mol mol-1 最近、なぜモル単位を使用するのか 理由1:フラックス基礎式の係数が減り、より単純明快になる。 理由2:モル単位は生理生態の分野(特に光合成モデル)で広く使われており、これらと生物環境物理的視点を結合させるのに同一の単位系が役立つ。 理由3:コンダクタンスが温度と圧力から独立する 理由4:コンダクタンスが拡散する物質によって変わること(例えばH2OはCO2の1.6倍)が理解しやすくなる。 最近、なぜm2(単位土地ないし表面積あたり)を使用するのか  より大きなスケールでのフラックスを記述・理解する必要性が高まってきたため。 現在m2単位の潮流に追いついていない分野は、生態系呼吸・微量ガスなど。 最近、なぜs(毎秒あたり)を使用するのか ガスアナライザーの飛躍的な進歩により、短い時間解像度での測定が可能になり、このことが今日フラックスの応答特性までを解析することを可能にしている。sの使用はフラックス研究の飛躍的な進歩と新しいステージの象徴である。 CH4、N2O以下の微量ガスについても、今後同様にこの傾向をたどるであろう。

課題1 以下の文献中の様々なフラックス値を、同一単位(μmol m-2 s-1)に変換して比較せよ。

文献中のフラックス1森林群落の蒸発散 Kosugi and Katsuyama, 2007. Evapotranspiration over a Japanese cypress forest. II. Comparison of the eddy covariance and water budget methods. Journal of Hydrology 334, Fig. 4 and Table 1 ヒノキ林からの蒸発散735 mm yr-1, 夏場で3.5 mm d-1程度

文献中のフラックス2森林群落のCO2Flux m Kosugi et al, 2008. CO2 exchange of a tropical rainforest at Pasoh in Peninsular Malaysia. Agric. For. Met.148, 東南アジア(パソ)熱帯雨林のNEE(3年平均の日変化)、ピークのCO2吸収フラックスは-18mmol m-2 s-1程度。

文献中のフラックス3個葉の光合成 Kosugi et al, 2009. Midday depression of leaf CO2 exchange within the crown of Dipterocarpus sublamellatus in a lowland dipterocarp forest in Peninsular Malaysia, Tree Physiology, 29, Fig. 3 東南アジア(パソ)熱帯雨林樹冠構成葉の純光合成速度、ピークで10mmol m-2 s-1程度。(m-2は単位土地ではなく、単位葉面積あたりのフラックスを意味する)

文献中のフラックス4生態系呼吸 a 葉呼吸= 9.8 b 幹呼吸= 4.2 d 下層植生= 1.5 e CWD分解= 1.9 f 地上部リター分解= 2.6 g 根呼吸= 5.5 h SOM分解= 4.0 k 全生態系呼吸= 29.5 (単位Mg C ha-1 yr-1) Chambers et al, 2004. Respiration from a tropical forest ecosystem : partitioning of sources and low carbon use efficiency. Ecol. Appl. 14, Fig.9 and Table 2 より アマゾン熱帯雨林の生態系呼吸量見積もり

文献中のフラックス5 全球炭素収支 陸域での総光合成量123 GtC/yr、総生態系呼吸量120 GtC/yr 文献中のフラックス5 全球炭素収支 陸域での総光合成量123 GtC/yr、総生態系呼吸量120 GtC/yr 工場・車などからの排出量+土地改変 9 GtC/yr  地球の陸地面積130,105,900 km²  森林面積40,330,600 km2

文献中のフラックス6メタン土壌圏フラックス Itoh et al., 2009. Methane flux characteristics in forest soils under an East Asian monsoon climate, Soil Biol Biochem 41, Fig. 1 ヒノキ林不飽和土壌からのメタン放出フラックス -1.0~+2.0 mgCH4 m-2 day-1 Itoh et al., 2007. Hydrologic effects on methane dynamics in riparian wetlands in a temperate forest catchment, J. Geophys. Res 112, Fig. 5 ヒノキ林湿地からのメタン放出フラックス 0.1-1000 mgCH4 m-2 day-1

文献中のフラックス7BVOCフラックス Okumura et al. 2008. Isoprene emission characteristics of Quercus serrata in a deciduous broad-leaved forest. J. Agric. Met. 64, Fig.2 コナラ個葉からのBVOC(イソプレン)放出フラックス:最大値約50 nmol m-2 s-1

各フラックスの単位換算結果 ■蒸発散量が断トツで大きい。 ■ついで二酸化炭素フラックスが大きい。 値(mmol m-2 s-1) 有効数字2桁とした 蒸発散量(2002年平均) 1300 蒸発散量(夏場平均) 2300 森林群落CO2フラックスpeak -18 個葉CO2フラックスpeak 10 全球総光合成 2.5 全球総生態系呼吸 2.4 全球総CO2排出 0.18 アマゾン葉呼吸量 2.6 アマゾン幹呼吸量 1.1 アマゾン地上部リター分解量 0.69 アマゾン根呼吸量 1.5 アマゾンSOM分解量 アマゾン全生態系呼吸量 7.8 CH4フラックス(不飽和土壌) -0.00072 CH4フラックス(湿地) 0.72 BVOCフラックス(最大) 0.050 ■蒸発散量が断トツで大きい。 ■ついで二酸化炭素フラックスが大きい。 ■湿地からのメタンフラックスは、分解呼吸量とオーダーが近い。

←この図で、気孔から出て行くのは「酸素」、また水は「光合成の材料」として描かれている。(中学校理科の教科書どおりだが・・) ←林野庁HP「森林は二酸化炭素を吸収しています」より転写 H2O O2 生物環境物理学の視点からは、「植物は気孔からCO2を吸収し(光合成)、H2Oを出している(蒸散)」 実際のところは、むしろこんな感じになっている→ 大気中の組成 O2:H2O:CO2 = 550:100-25:1 気孔を通した出入り  O2:H2O:CO2 = 0.3:1000-10:-1 (呼吸で発生する水、蒸散で出て行く水、光合成で使われる水の比も同様)