C group Aki Nakamura・Takuya Kitta Kana Fujii・Kensuke Tanaka The breakaway from silver democracy . Consideration of a new election style. C group Aki Nakamura・Takuya Kitta Kana Fujii・Kensuke Tanaka
シルバー民主主義からの脱却 ~新たな選挙スタイルを考える~ Cグループ 中村愛季・橘田拓也 藤井伽奈・田中健介
構成 一章 少子高齢化と世代間格差 二章 1票の格差の現状 三章 世代間の一票の格差解消に向けて
一章 少子高齢化と世代間格差
高齢化率の推移 % 年 (出所)総務省統計局「国勢調査」 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成18 年12 月推計)」 5歳未満の人口は将来的にも減少すると算出されている。65歳以上の高齢者層総人口に占める人口比を高齢化率というが上記図表によると 2010年の高齢化率は23%だったが、2050年には40%まで上昇すると計算されている。つまり、人口減少は将来的にも進展していき、2010年時点では約4人に1人が高齢者(65歳以上)であった日本社会は、2050年の約40年後には約2.5人に1人が高齢者ということになる。 2050年の人口の約半分は高齢者が占めることになる。また高齢化のスピードは、65歳以上の人口の割合が7%から倍加年数で表される。 高齢化率が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」と呼ばれる。日本は1970年に7%に到達し、1994年に14%になるまでにたったの24年間しか要さなかった。日本の高齢化率はこれからも急速な勢いで上昇することが予測される。なお、高齢化率が20%以上の社会を「超高齢化社会」という。 年 (出所)総務省統計局「国勢調査」 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成18 年12 月推計)」 UN,World Population Prospects, The 2006 Revision Population Database
世代別人口の推移 20% 66% 14% 40% 52% 8% (出所) 統計局 「国勢調査・進行する少子・高齢化」より作成 5歳未満の人口は将来的にも減少すると算出されている。65歳以上の高齢者層総人口に占める人口比を高齢化率というが上記図表によると 2010年の高齢化率は23%だったが、2050年には40%まで上昇すると計算されている。つまり、人口減少は将来的にも進展していき、2010年時点では約4人に1人が高齢者(65歳以上)であった日本社会は、2050年の約40年後には約2.5人に1人が高齢者ということになる。 2050年の人口の約半分は高齢者が占めることになる。また高齢化のスピードは、65歳以上の人口の割合が7%から倍加年数で表される。 高齢化率が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」と呼ばれる。日本は1970年に7%に到達し、1994年に14%になるまでにたったの24年間しか要さなかった。日本の高齢化率はこれからも急速な勢いで上昇することが予測される。なお、高齢化率が20%以上の社会を「超高齢化社会」という。 (出所) 統計局 「国勢調査・進行する少子・高齢化」より作成
出生数・合計特殊出生率低下 1.38 107万人 67万人 -37% (出所)厚生労働省 人口動態統計より作成 1970年代まで200万人を超えていた日本の年間出生数は、80年代に入って150万人以下となった。最近は120万人内外とみられる。長期的に人口を維持するには、一人の女性が平均2.1人の子供を産む必要があるとされる。15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を積み上げたものを合計特殊出生率というが、日本の合計特殊出生率は1980年の1.71人を境に急低下して、2009年には1.38人まで落ち込んだ。 原因:婚姻率低下、平均初婚年齢の上昇(女性の晩婚化) (出所)厚生労働省 人口動態統計より作成
少子高齢化の原因 少子化 高齢化 少産少死 女性の社会進出 結婚の価値観の変化 医療技術の発達 →晩婚化 生活環境の改善 →平均寿命の伸び →晩婚化 教育費への負担感 経済的不安定の増大 →産み控え 医療技術の発達 生活環境の改善 →平均寿命の伸び 少産少死 少子化 女性の社会進出・晩婚化 教育費への負担感 結婚への価値観の変化 経済的不安定の増大 高齢化 医療技術の発達
少子高齢化によって生じる 世代間格差
世代間格差とは 受益と負担のバランスが 世代によって異なることから生じる格差 社会保険料 年金受給 医療保険 補助金 等 受益と負担のバランスが 世代によって異なることから生じる格差 社会保険料 年金受給 医療保険 補助金 等 一生の間に政治や自治体から受ける年金、社会福祉をはじめとするサービス(受益)と税や借金などによる負担の差が世代によって異なることから生じる格差
世代別の受益・負担バランス 千円 歳 2005年時点 (出所)2009年内閣府社会総合研究所調査
世代別の受益・負担バランス 千円 歳 2005年時点 (出所)2009年内閣府社会総合研究所調査
生涯純負担率 % 7%の受益 16.7%の負担 2005年時点 (出所)2009年内閣府社会総合研究所調査
2章 1票の格差の現状
1票の格差とは… 主に国政選挙などで有権者が 投じる票の有する価値の差のこと。 1票の重みの不平等ともいわれている。 民主主義の原則は1人1票で、1票の重さは同等であるべきである。しかし人口変動に合わせて議員定数の再配分や、選挙区の区割りの変更が行われない限り、1票の格差が生じてくる。
1票の格差 いまの日本の大きな問題… 最大2倍を超える格差が生じている “憲法違反の状態”
日本国憲法 第14 条【法の下の平等】 すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない 2ページ目に入れてもいいかも 日本国憲法にも、あるようにすべての国民はみな平等でなくてはなりません。 しかし、いまの日本の社会を見てみると、若者世代と高齢者世代では、投票における価値の差が生じています。
世代間投票率はどうなっているのか
世代間投票率 世代間投票率のグラフ 出所:統計局
1票の格差の現状 出所:統計局のデータなどをもとに作成
老年人口指数と1票の重さの関係 出所:総務省「統計でみる都道府県のすがた2011」及び「国会議員白書」 図表の中の直線は各プロット点の回帰直線である。傾きは右肩上がりだ。このため、老年人口指数が高い、つまり高齢化が進んでいる地域ほど、その地域で有権者が持つ1票の重さが大きい傾向を示している。これは若い世代が多い都市部よりも、老齢世代が多い地方の方が強い「政治的発言力」を持っていることを意味する。 出所:総務省「統計でみる都道府県のすがた2011」及び「国会議員白書」
1票の重さと1人当り歳出の関係 出所:総務省「統計でみる都道府県のすがた2011」及び「国会議員白書」 1票の価値が高い地域ほど、1人当り歳出が大きい 次に、図表2を見てほしい。この図表は、各都道府県の「1票の重さ(最小値)」と「1人当たり決算歳出」をプロットしたものである。この図表の回帰直線の傾きも右肩上がりである。これは、1票の重さが大きい、つまり「政治的発言力」の強い地域ほど、1人当りの歳出が大きくなる傾向を意味している。 図表1と図表2の結果を合わせると、若い世代が多い都市部よりも老齢世代が多い地方の方が強い「政治的発言力」を持ち、1人当りの歳出を高めている可能性が見て取れる。 通常、人口が集中する都市部の方が税収が多く、そうでない地方の方が税収は少ない。にもかかわらず、老齢世代が多い地方の方が1人当りの歳出を高めることができるのは、都市部から地方への「仕送り」である「地方交付税」などを通じて、都市部の税収を地方に移転することができるからである。老齢世代の多い地方の政治的発言力が、若い世代の多い都市部よりも強いほど、その移転量が大きくなるのは自然な結果かもしれない。 出所)総務省「統計でみる都道府県のすがた2011」及び「国会議員白書」 上記の因果関係とは別に、(若者が住みたがらない)過疎地の人口密度の低下が当該地域での「老年人口指数」や「1票の重さ」を高めている可能性は否定できない。しかし、それでも、人口減少が進む日本において、過疎地での「1人当り歳出」の増加は非効率である。というのは、人口減少経済では、都市部に人口を集中する方が効率的であり、経済成長にも寄与するからだ。この場合、過疎地の1人当り歳出が都市部よりも大きいことは望ましくない。むしろ、人口密度が低下する地域では、総歳出も低下させていく必要がある。 しかし、現実には、老齢世代が多い地方の1人当り歳出は高い。これは「1票の格差」がもたらす政治力にほかならない。この1票の格差を巡る問題については、2011年3月23日の最高裁判決が極めて重要である。というのは、最高裁はこの日、「一票の格差が最大2.3倍であった2009年8月の衆院選において、人口の少ない地方に多めに議席を配分する『1人別枠方式』は、投票の価値の平等を保障する憲法に反する」として「違憲状態」との判決を下したからだ。同方式の速やかな廃止を求める異例の見解を示した。最高裁は従来「1票の格差について3倍以内の格差は合憲」としてきた。 つまり、憲法が保障する投票価値の平等を確保するためには、選挙区割り・議員定数や選挙制度の見直しを行いつつ、1票の格差を是正していく必要がある。この格差の是正は、今の財政・社会保障がもたらす世代間格差の改善にも寄与することが期待される。 出所:総務省「統計でみる都道府県のすがた2011」及び「国会議員白書」
では、青年の政治に対する関心度はどうなのか?
青年の自国の政治に関する関心度 政治に関心のある 青年が約半数を 占めている! いずれの国も若者世代における、政治に対する関心度は高くないことがわかる。 サンプル数(n)=日本1090人・アメリカ1011人・韓国1000人 フランス1039人・イギリス1012人 出所:JCER 「もう一度投票の持つチカラ信じてみませんか?」より作成
国政選挙における2大政党の重要課題 自民党 民主党 1 2 3 2003年 年金・保険医療 国家安全保障 民営化 2005年 国際競争力 防衛 2007年 年金 公務員改革 教育 2010年 行財政改革 成長戦略・雇用 民主党 2010年にはもはや2大政党の重要課題の中で、年金問題は軽視されている。 1 2 3 2003年 行財政改革 年金 教育 2005年 公務員改革 2007年 雇用 行政改革 2010年 政治改革 外交・安全保障
ではなぜ格差が生じるのか…
少子高齢化 政治に対する 現役世代の プレゼンス低下 現役世代に向けた 政策の減少 投票率低下
3章 世代間の一票の格差解消に向けて これまでにご説明したように、世代間の一票の格差は非常に深刻で、是正が必要です。 3章 世代間の一票の格差解消に向けて これまでにご説明したように、世代間の一票の格差は非常に深刻で、是正が必要です。 では、そのためにはどのような方策が必要なのでしょうか。それを検討していきます。
日本国の投票原理 原則 考え方 普通選挙 秘密選挙 平等選挙 直接選挙 自由選挙 選挙権は一定の年齢に達した すべての国民に与えられる 誰が投票したかわからない 方式で行われる 平等選挙 一人一票 性別・財産・学歴等の差別はない 直接選挙 選挙人が直接代表者を選ぶ 自由選挙 選挙人の自由な意思によって 投票する
世代間格差解消への投票理論 名称 提唱者/実施例 理論 ① 選挙年齢引き下げ ② ドメイン投票方式 ③ 年齢別選挙区 アメリカ/イギリス ドイツ/フランス 現在の選挙年齢(20歳)を 18歳に引き下げる ② ドメイン投票方式 ポール・ドメイン 親が未成年の子の変わりに票を投じる ③ 年齢別選挙区 東京大学院教授 井堀利宏 各選挙区を地域だけでなく 年齢別にわける 現在提唱されている方策として、こちらの、選挙年齢の引き下げ、ドメイン投票方式、年齢別選挙区の導入の3つがあります。 この3つについてひとつずつ検討してみたいと思います。 まずは一つ目の選挙年齢の引き下げです。
①投票年齢引き下げ メリット デメリット 効果が低い 他の法整備も必要 若年層の 政治的関心向上 成人年齢との兼合い 国際的な流れとの 協調 デメリット 成人年齢との兼合い 効果を得るためには 5歳までの引き下げが必要 現在20歳の投票年齢は、国民投票法に基づいて18歳まで引き下げられる予定です。このような、投票年齢の引き下げ 少年法・民法の成人規定との兼合い 公職選挙法9条では参政権は20歳以上・民法も20歳以上=酒・たばこも20歳から 効果が低い 他の法整備も必要
世代間格差解消への投票理論 名称 提唱者/実施例 理論 ① ② ③ 年齢別選挙区 選挙年齢引き下げ アメリカ/イギリス ドイツ/フランス 現在の選挙年齢(20歳)を 18歳に引き下げる ② ドメイン投票方式 ポール・ドメイン 親が未成年の子の変わりに票を投じる ③ 年齢別選挙区 東京大学院教授 井堀利宏 各選挙区を 地域だけでなく 年齢別にわける
②ドメイン投票法 デメリット メリット 一人一票の原則 平等権との矛盾 技術的に容易 全ての若年層へ 実質的に選挙権を付与できる 一人一票の原則 平等権との矛盾 低所得世帯の軽視 憲法の原則との矛盾 効果の確実性の薄さ
世代間格差解消への投票理論 名称 提唱者/実施例 理論 ① 選挙年齢引き下げ ② ドメイン投票方式 ③ 年齢別選挙区 アメリカ/イギリス ドイツ/フランス 現在の選挙年齢(20歳)を 18歳に引き下げる ② ドメイン投票方式 ポール・ドメイン 親が未成年の子の変わりに票を投じる ③ 年齢別選挙区 東京大学院教授 井堀利宏 各選挙区を地域だけでなく 年齢別にわける
③年齢別選挙区 各世代選挙区を設定し、 20歳~30代の 「青年区」 40代~50代の 「中年区」 60代以上の 「老年区」に分類する 20歳~30代の 「青年区」 40代~50代の 「中年区」 60代以上の 「老年区」に分類する その世代の平均余命に応じて 議席数を配分する
③年齢別選挙区 メリット デメリット 新たな選挙区の 設定が必要 投票価値の平等 を確保できる 一人一票の原則 の遵守 投票価値の平等 を確保できる 一人一票の原則 の遵守 デメリット 新たな選挙区の 設定が必要 今回は、日本国の投票原理を重視した 生涯を通じた投票価値の平等を全ての人に保証できる点
日本の衆議院議員の年齢構造 衆議院議員 有権者 2005年 2009年 70代 4% 4.6% 19% 60代 23.1% 25.6% 15.9% 50代 32.5% 27.3% 17.3% 40代 28.5% 26.3% 15.4% 30代 11% 18.2% 20代 0.8% 14.3% 注 有権者数は総務省住民基本台帳に基づく人口、人口動態および世帯数より平成22年度3月31日現在 出所:日経ビジネスオンライン2011年7月7日
世代別選挙区制を導入した場合の議席配分 衆議院議員定数(480) 議員数 構成比 老年区(60代以上) 168 34.9% 中年区(40~50代) 157 32.7% 青年区(20~30代) 156 32.5% 出所:日経ビジネスオンライン2011年7月7日
世代間格差解消への投票理論 名称 提唱者/実施例 理論 ① ② ③ 年齢別選挙区 選挙年齢引き下げ アメリカ/イギリス ドイツ/フランス 現在の選挙年齢(20歳)を 18歳に引き下げる ② ドメイン投票方式 ポール・ドメイン 親が未成年の子の 代わりに票を投じる ③ 年齢別選挙区 東京大学院教授 井堀利宏 各選挙区を 地域だけでなく 年齢別にわける
有権者の人口構成比 2010年 2050年 60代以上 34.9% 52.6% 40~50代 32.7% 27.6% 20~30代 32.5% 19.8% 出所:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成18年)」より作成
まとめ 今後の選挙権は一人一票というルールを維持するか 否かで方向性が大きく変わってくる 現代の選挙制度では、少子高齢化に対応できていない 今後の選挙権は一人一票というルールを維持するか 否かで方向性が大きく変わってくる そのためには、ドメイン投票法などと組み合わせて 新しい選挙制度の構築が必要不可欠だろう
参考文献・URL 総務省統計局 厚生労働省 日経ビジネスオンライン JCER 「もう一度投票の持つチカラ信じてみませんか?」 他 谷口将紀 「現代日本の選挙政治」 2004年 東京大学出版会 少子化と若年層の投票率低下がもたらす高齢者向け政策バイアス (http://www.jcer.or.jp/report/econ100/pdf/econ100bangai20110713.pdf) 総務省統計局 厚生労働省 日経ビジネスオンライン JCER 「もう一度投票の持つチカラ信じてみませんか?」 他
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