入場規制を用いた効果的な 買い上げ率アップの研究

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入場規制を用いた効果的な 買い上げ率アップの研究 11-1-016-0917 松田 孝太

はじめに 私は現在、アパレルブランドで販売員をしている。アパレルの販売においては、何より売り上げを上げることが重要である。 普通に考えると入店客数が多ければ多いほど、売り上げは伸びる。 しかし、店のキャパを超える入店があったとき、何故か普段売れるものが売れなくなるという現象が起きる。 この原因を解明するために、本研究では店に入店するお客様の数を規制し(入場規制)、買い上げ率という指標を使って実験を行った。

買い上げ率とは 買い上げ率とは来店客数に対する購入客数の比率のことである。 計算式にすると (買い上げ客数÷入店客数)×100 で表される。 例えば 買い上げ客数30人、入店客数が500人の日は(30÷500)×100 となり、買い上げ率は6%ということになる。

目的 土日の忙しい時間帯(13時~17時位)には平日の3倍以上多くのお客様が来店されるが、売上的にはあまり伸びないことが多く、それどころか、売上げが下がっていることもある。 そこで本研究では入店するお客様の数を制限すること(入場規制)でどれだけ売上の変化があるのかということを研究する。

分析手順・方法 ① 入場規制を行わない月の買い上げ率の推移を分析する ② 買い上げ率データから売上が伸び悩む要因を分析する ① 入場規制を行わない月の買い上げ率の推移を分析する ② 買い上げ率データから売上が伸び悩む要因を分析する ③ 実験として入場規制を行いそれを時間帯別にグラフ化する ④ 買い上げ率の推移から最適な制限人数を割り出し、安定した売り上げが出せる環境を提案する

① 入場規制を行わない月の 買い上げ率の推移 ① 入場規制を行わない月の 買い上げ率の推移

② 売上が伸び悩む要因 先ほどの表から8月のお盆休みなどは5000人近くの来店があることがわかる。通常の平日で大体1日700人ほどであるからこの数字はかなりのものである。 販売員はいかにお客様と会話し信頼関係をつくりそれを売り上げに繋げるか、これが課題であるが、店がパンク状態にあっては接客はおろか、まともに声すらかけることができない。 また、普段は綺麗に畳んで並べられている商品のラックがワゴンセールのような状態でごった返しその修復に時間をとられたりしてしまっている。 このことより、入場制限を行い、 ① スタッフがお客様にきちんと接客できる ② 店内が常に綺麗な状態に保たれる ③ お客様の購買意欲の向上 ということを狙う。

③-1 1時間に入店する人数を500人に調節した場合(5分間におよそ40人) ③-1  1時間に入店する人数を500人に調節した場合(5分間におよそ40人)

③-2 1時間に入店する人数を400人に調節した場合(5分間におよそ33人) ③-2  1時間に入店する人数を400人に調節した場合(5分間におよそ33人)

③-3 1時間に入店する人数を300人に調節した場合(5分間におよそ2 5人) ③-3  1時間に入店する人数を300人に調節した場合(5分間におよそ2 5人)

③ 実験の分析 この結果から、 ③-1の500人では入場規制をしてもあまり意味がないことが分かった。 ③ 実験の分析 この結果から、 ③-1の500人では入場規制をしてもあまり意味がないことが分かった。 店内もやはり常に人で溢れている状態で、スタッフからも、もう少し入場客数を抑えたほうがいいのではないかという意見が出された。 ③-2の400人では、③-1に比べなんと平均で約1%ほどの買い上げ率の上昇が観測できた。 店内の状況は依然として賑わっていたが、フィッティングルームの待ちもそれほどなく、会計もスムーズに流れていたように感じる。そしてなにより、スタッフからこのくらいの人数が一番接客しやすいといった意見が聞かれた。 ③-3の300人では、③-2と比べるとそんなに大差ない結果となった。 実際、今まで1時間500人以上を経験してきたスタッフにとっては300人といった人数は物足りなく感じ、もう少し人数が来ても対応できるといった意見が出た。  

④-1 最適な制限人数の割り出し 実験結果をもとに1時間に入店する人数を350人に調節すると、 ④-1 最適な制限人数の割り出し 実験結果をもとに1時間に入店する人数を350人に調節すると、 今回の研究で一番買い上げ率の上昇が見られる結果が出た。

④-2 去年と今年との買い上げ率の比較 入場規制を行った2012年8月の買い上げ率は 土日祝日で言うと一年前に比べ ④-2 去年と今年との買い上げ率の比較 入場規制を行った2012年8月の買い上げ率は 土日祝日で言うと一年前に比べ 1%近く上昇したことが分かった。

結論 今回の研究で、入場規制が買い上げ率を上げることに直結するという結果を、具体的な数値とともに出すことができた。 また、入場規制を行うことで、入店するお客様を必然的に購買意欲の高い人に絞ることができるという新たなメリットを発見した。

さいごに 実験中の話であるが、入場制限について指摘を受けることもあった。特に、お客様が外から店内を見てそれほど混雑してなかった場合に、無理やり店内に入ろうとされることが多く、説明をしても理解が得られず帰られてしまうことが何回かあった。これは予想していたデメリットではあるが、いざその状況を経験すると申し訳ない気持ちでいっぱいになった。 そういった意味で、入場規制のやり方などはまだまだ改善の余地があるのではないかと感じた。