越境性動物疾病制御研究センター(TADセンター) 鹿児島市食育推進支援員 (黄色帯はリンクされています) 鹿児島市食育推進ネットワーク会議 いのちをいただく: 食の現状と課題 越境性動物疾病制御研究センター(TADセンター) 獣医公衆衛生学分野教授 岡本嘉六 鹿児島市食育推進支援員 (黄色帯はリンクされています) 国民の健全な食生活に係わる課題 安全性(Safety): 健康障害を起こさない 品質(Quality): 栄養価・風味・食感 自給(Security): 食料不足による健康障害の防止 防犯(Defense): 犯罪やテロによる意図的汚染の防止 食育(Education): 生命倫理の向上=命をいただく感謝
世界人口の推移と今後の予測 70億 60億 50億 12年 40億 12年 30億 13年 20億 15年 10億 32年 123年 2000 年前には、世界の人口は3 億人程度であった。人口が倍増して6 億人になるまでには1600 年かかった。 100 70億 2011 90 開発途上国で死亡率が低下するのに伴い、2000年には、1950 年の人口の約2.5倍にあたる推計61 億人に達した。 60億 1999 80 70 50億 1987 60 2050 年に前回の推計より多い93 億人になり、21 世紀末までには100 億人以上になるとみている。 12年 40億 1974 50 12年 30億 1959 40 13年 20億 1927 30 15年 10億 1804 20 32年 国連人口基金東京事務所 世界人口白書2011 10 123年 1800 1850 1900 1950 2000 2050 世界人口の推移と今後の予測
国際連合:新世紀の発展目標に関する報告 2005 目標 1: 極度の貧困と飢餓の克服 目標 2: 一般的な初等教育の達成 国際連合:新世紀の発展目標に関する報告 2005 2015年までに飢餓に苦しむ人口の割合を1990年の水準の半数に減少させる 目標 1: 極度の貧困と飢餓の克服 目標 2: 一般的な初等教育の達成 目標 3: 男女平等の推進と女性への公的権限の付与 目標 4 : 小児死亡率の低減 目標 5 : 母体の健康増進 目標 6 : HIV/AIDS, マラリアおよびその他の疾病の克服 目標 7 : 環境の持続性を確保 目標 8: 発展のための地球的規模での提携の推進 栄養不良の母体と胎児への影響は深刻である ミレニアム開発目標
FAO主催 「世界食料安全保障サミット」 2009年11月16日~18日 宣言文 2.我々は、現在、飢餓と貧困に苦しむ人口が10億人を超 えたことに不安を抱いている。これは世界の人口の6分の1 の生命、生計、尊厳における受け入れ難い障害であ る。・・・ 食料、金融及び経済危機によって、最近になり一 層悪化した。 4. 2050年には90億人を超えることが予想される世界人口 を養うためには、現在からそれまでに農業生産量を70%増 加させる必要があると推計される。 5. 気候変動は食料安全保障と農業セクターに対し追加的 な深刻なリスクをもたらす。
栄養不良人口の割合(%)、2005~2007 非常に高い(35%以上) 高い(25~34%) やや高い(15~24%) イラン アフガニスタン パキスタン インド 非常に高い(35%以上) 高い(25~34%) やや高い(15~24%) やや低い(5~14%) 非常に低い( 5%未満 ) データなし アフリカでは3人に一人、および南アジアでは4人に一人が栄養失調 The Millennium Development Goals Report 2011
体重が少ない5歳以下の子供の割合 南アジア 1990年と2009年 サハラ以南のアフリカ 「栄養不良人口の割合」および「1日1.25ドル以下で生活している人口」はサハラ以南のアフリカが深刻だが、小児の発育不良は南アジアが最も深刻。 食料の品質不良、絶対量の不足、感染症の流行、広範囲の栄養不良が複合的に影響。 トイレがない環境で汚れた水を飲んでいるため、慢性的下痢に見舞われている。 政情不安定が背景にある。 東南アジア 西アジア 東アジア 北アフリカ 中央アジア ラテンアメリカ 発展途上国 目標
カロリー供給量の食品別割合の比較 (2002年) 穀類 砂糖類 芋・豆・野菜 肉類 卵類 乳製品 魚介類 その他 インド 中国 エジプト 日本 イギリス ドイツ フランス 米国 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 1人1日当たりKcal カロリー供給量の食品別割合の比較 (2002年) (総務省統計局)
一人当たり年間摂取量の予測 牛肉 豚肉 鶏肉 乳 2020 年に向けての畜産 次なる食料革命 -5 10 20 30 40 50 60 1999, FAO -5 10 20 30 40 50 60 牛肉 豚肉 鶏肉 乳 先進国 途上国 100 200 300 400 500 600 肉(kg)、伸び率(%) 乳(kg) 一人当たり年間摂取量の予測 :1993年、 :2020年(推定)、 :伸び率=2020年/1993年
世界人口の推移と予測 牛肉 豚肉 鶏肉 鶏卵 大豆油 菜種油 食品1kgを生産するために必要な穀物量 (農水省試算) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 1950 1960 1970 1980 1990 2000 世界 先進国 発展途上国 世界人口の推移と予測 (総務省統計局) 億人 牛肉 豚肉 鶏肉 鶏卵 大豆油 菜種油 11 kg 7 kg 4 kg 3 kg 5 kg 2 kg 2010 2020 2030 2040 2050 食肉については、可食部の生産に必要なとうもろこし量。 油については、各原料の量。 食事内容が改善され、動物性蛋白や油脂の摂取量が増えると、そのまま食べる穀物量は相対的に少なくなる。かつては穀物輸出国であった中国が輸入国に転じた理由は、経済的発展による食事内容の改善であった(日本も同様)。 飼料摂取量 飼料要求率= 増体量 鶏肉の飼料要求率=約2
サハラ以南のアフリカにおける栄養不足人口(100万人) 1日当りカロリー摂取量 (2000 - 2002) メタボ 餓死 1969-71 92.8 1979-81 127.0 1990-92 169.0 1995-97 196.6 2001-3 206.2 サハラ以南のアフリカにおける栄養不足人口(100万人)
1. 安全性(Safety)と食育 「危害とは、ヒトに障害を起す可能性のある食品の、生物学的、化学的、あるいは物理学的因子、もしくは状態をいう。他方、リスクとは、食品中の危害の結果として起こる、暴露集団の健康に対する悪影響の発生確率と重篤度の推定値である。」「危害を減らすこととリスクを減らすことの関係を理解することは、適切な食品の安全性制御を発展させる上でとくに重要である。 不幸なことに、食品について『ゼロ・リスク』のような事態はありえない(その他の何についても言えることだが)。」 FAO 1998:: 「食品の品質と安全性システム( Food Quality and Safety Systems )」
2001年9月10日 BSE疑い事例発表 ➜ 国民的大パニック 2001年11月 BSE問題に関する調査検討委員会設置 食育基本法ができた経緯 2001年9月10日 BSE疑い事例発表 ➜ 国民的大パニック 2001年11月 BSE問題に関する調査検討委員会設置 2002年4月 委員会報告 ➜ 法整備 5)重要な個別の課題 ④ 食に関する教育いわゆる「食育」の必要性 今日の食品の安全性をめぐる事態に照らし、学校教育における食品の安全性や公衆衛生及びリスク分析などに係わる基礎的知識の習得・教育を強化する必要がある。農業や食品産業など、フードチェーン全般にわたる基礎的な知識および栄養や健康に関する教育も充実させる必要がある。 食品に、ゼロ・リスクはあり得ないこと、情報をもとに一人一人が選択していく能力を身に付けていくことの大切さの認識の普及が必要である。 第二十二条 内閣府に食品安全委員会を置く。 食品安全基本法 2003年5月 国民の食生活をめぐる環境の変化 栄養の偏り、 不規則な食事、 肥満や生活習慣病の増加、 過度の痩身志向 食の安全や海外依存の問題 食育基本法 2005年6月 国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむための食育を推進する。
食育推進基本計画 2006年3月 第1 食育の推進に関する施策についての基本的な方針 1.国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成 食育推進基本計画 2006年3月 第1 食育の推進に関する施策についての基本的な方針 1.国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成 2.食に関する感謝の念と理解 3.食育推進運動の展開 4.子どもの食育における保護者、教育関係者等の役割 5.食に関する体験活動と食育推進活動の実践 6.伝統的な食文化、環境と調和した生産等への配意及び農山漁村の活性化と食料自給率向上への貢献 7.食品の安全性の確保等における食育の役割 「いただきます」が言えた日 農水省 2003年7月 2.食に関する感謝の念と理解 現在、世界中で8億人を超える人々が飢餓や栄養不足で苦しんでいる一方で、我が国では、日常生活において食料が豊富に存在することを当たり前のように受け止め、食べ残しや食品の廃棄を大量に発生させており、世界に通じる「もったいない」という物を大切にする精神が薄れがちである。 「いただきます」が言えた日 農水省 2003年7月 農林水産省: なぜ食育?
「いのちの食べかた」オフィシャルサイト いのちの食べかた Trailer メタボ予防のために「バランスガイド」も重要だが、最も基本である「いのちをいただく」ことを理解することから全ては始まる。これが欠落した「食育」は、魂の入れてない木像を拝むに等しい。 食糧生産の姿が分からない中で、「私食べるヒト」と「作るヒト」を意図的に対立させる「タカリ屋評論家」が不安を煽ってきた。 「食べるヒト」は「危ない本」が出ると競って購入し、 「作るヒト」が儲けるために不必要な農薬を使っていると洗脳される。必要以上に家畜を虐待しているとののしる。自分で生産し、生活を維持した経験がない「タカリ屋評論家」に惑わされてはならない。 食生活情報サービスセンター
エネルギー(生態)ピラミッド 菌界 動物界 植物界 太陽 微生物の菌類・細菌類などが中心。生産者や消費者の遺体や排出物の有機物を無機物に分解し、もとの環境に返す。 一次消費者を食べる生物 肉食動物 二次消費者 菌界 動物界 生産者を直接食べる生物 草食動物 分解者 一次消費者 自分で栄養素を作る 光合成植物 植物界 生産者 大地・大気・水 エネルギー(生態)ピラミッド
ヒトはどのようにして食料を手にしてきたか? 数百万年続いた狩猟採取の生活はどんなだったか? 大気中ガス濃度 炭酸ガス CO2 酸素: 21% 窒素: 78% 炭酸ガス: 0.03% 酸素 O2 光合成を行うラン藻類(シアノバクテリア) 27 46 35 10 緑藻類などの真核生物 5.1 脊椎動物の出現 脊椎動物の上陸 3.7 人類の出現 500万年前 陸上植物の出現 4.4 ほ乳類の出現 2.1 地球誕生 原始生物 家畜化の時期 豚: 約8,000年前 牛: 約8,000年前 馬: 約5,000年前 鶏: 約4,000年前 耕作の始まり 稲作: 約15,000年 ライムギ: 約11,050年前 イモ類: 9,000年前 数百万年続いた狩猟採取の生活はどんなだったか?
「目で見る農業技術の発達」 現在の中国には、世界の豚の約半数が飼育されており、品種では7割以上とされている。 畜産技術発達史(畜産の歴史) テキスト版 現在の中国には、世界の豚の約半数が飼育されており、品種では7割以上とされている。 鹿児島黒豚は、1862年英国で改良されたバークシャーであるが、その祖先も中国である。 イノシシが家畜化された場所と時期
日本における種雄豚、種雌豚、肉豚の品種の移り変わり ヨークシャー バークシャー ランドレース 大ヨークシャー 2004 種雄豚 1990 1970 ハンプシャー デュロック その他 交雑種 2004 種雌豚 1990 1970 2004 肉豚 1990 1970 20 40 60 80 100 構成割合(%) 日本における種雄豚、種雌豚、肉豚の品種の移り変わり
三元交配による雑種強勢 L♀ × W♂ LW♀ × D♂ H♂ LWD × W♀ × L♂ B♂ WL♀ × D♂ WLD 原種豚 F1雌豚 繁殖・育成能力の優れた大型品種 産肉形質の優れた品種 L♀ × W♂ 原種豚 デュロック(D) ランドレース(L) ハンプシャー(H) F1雌豚 LW♀ × D♂ 大ヨークシャー(W) バークシャー(B) 肥育豚 三元交雑種 H♂ LWD × 純系 ホモ W♀ × L♂ B♂ 交雑種 ヘテロ WL♀ × D♂ 白の優性遺伝子は、ヘテロとなっても発現する WLD 赤の劣性遺伝子は、ヘテロとなることで発現しない 三元交配による雑種強勢
日本における養豚のあゆみ 一戸当り頭数 飼養戸数 飼養頭数 100 200 300 400 500 600 700 800 900 千戸 頭/戸 1000 1200 1400 1887 1926 1938 1945 1955 1960 1965 1970 1981 1985 1990 1995 2001 万頭 日本における養豚のあゆみ 一戸当り頭数 飼養戸数 飼養頭数 1960年代後半に養豚農家が専業化し、規模拡大が進んだ。品質と生産性が高まり、値段も安くなっただけでなく・・・・・
トキソプラズマ症 有性生殖 オーシスト(虫卵) 消化管寄生 糞便 砂場 飲用水 食品汚染 捕食 感染豚由来の豚肉 無性生殖 シスト(嚢子) 筋肉内寄生 一般健康人は 発病しない。 妊婦および 免疫低下者のみ 捕食
養豚業が専業化、大規模化し、衛生管理技術 が向上したことにより、豚の感染は激減した。 500 1000 1500 2000 2500 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 250 750 発生率(豚飼養1千万頭当り) 頭数 一戸当り飼養頭数 発生率 ブタにおけるトキソプラズマ症の発生推移
ウイルスの感染環: 矢印は小型アカイエカの吸血による伝播 日本脳炎 ウイルスの感染環: 矢印は小型アカイエカの吸血による伝播 ブタ ヒト 渡り鳥? 増幅動物 1960年代に激減にした理由 1.予防接種法に基づくワクチン接種が浸透した。 2.農地整理が行われ、コガタアカイエカが発生する水田地帯が様変わりした。 3.有畜農業から養豚業が専業化、大規模化し、水田地帯を離れ、山間部に移動した。 6000 5000 4000 3000 2000 1000 1950 55 60 70 75 80 65 年間患者数 養豚農家数と一戸当り飼養頭数の推移 300 600 900 千戸 頭/戸 日本脳炎患者数の推移
牛海綿状脳症(BSE)スクリーニング検査の検査結果 厚生労働省(平成23年10月分まで) 症状を呈する牛 30ヶ月齢以上 その他 計 BSE 確定 陽性/検査数 陽性/検査数 陽性/検査数 陽性/検査数 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 計 0/1,851 3/2,970 2/6,264 3/8,307 0/7,441 1/6,603 0/6,235 0/5,404 0/5,075 0/5,206 0/------- 9/57,900 19/215,529 23/517,744 4/494,983 12/472,718 7/465,676 7/473,535 1/471,230 0/475,062 0/457,279 1/454,031 0/----------- 74/4,752,031 40/306,152 18/733,053 7/1,252,617 15/784,565 2/759,126 2/738,137 2/750,788 0/761,286 0/770,142 0/757,238 0/----------- 86/7,521,230 59/523,532 44/1,253,767 13/1,252,617 30/1,265,590 9/1,232,243 10/1,218,275 3/1,228,253 0/1,241,752 0/1,232,496 1/1,216,475 0/------------- 169/12,331,161 3 2 4 22 確定診断されたのはこの内22頭(2001年9月の1例目を含む)で、死亡牛検査で確認された14例を含めると36頭。
12,331,161頭をスクリーニング検査して、169頭が偽陽性、その内22頭がBSEと確定診断された。牛1頭当たりの検査キット費用は01年度4089円、02年度以降3552円とすると、この11年間で44,081,420,556円を要した。検査を担当した獣医師の人件費を1頭当たり1万円とすると123,311,610,000円になる。 BSE検査費用は、合わせると1,673億円に達する。 食肉としての安全性は特定危険部位の排除に基づくものであり、全ての牛の特定危険部位は法律に基づいて廃棄している。「安心料」として1,673億円は妥当なのか? たとえば、毎年、世界で1500万人以上が狂犬病の疑いがある犬に咬まれて暴露後の予防処置を受けており、処置を受けられなかった55,000人以上が死亡している。この大半はアジアだが、日本への侵入リスクはないのか? 欧州では麻薬等の密貿易者が狂犬病の動物を持ち込んでいる。対策費用は予算化されているか? 検査施設すらない! 市民のための 環境学ガイド
1. 安全性(Safety)と食育 (まとめ) 「危害とは、ヒトに障害を起す可能性のある食品の、生物学的、化学的、あるいは物理学的因子、もしくは状態をいう。他方、リスクとは、食品中の危害の結果として起こる、暴露集団の健康に対する悪影響の発生確率と重篤度の推定値である。」「危害を減らすこととリスクを減らすことの関係を理解することは、適切な食品の安全性制御を発展させる上でとくに重要である。 不幸なことに、食品について『ゼロ・リスク』のような事態はありえない(その他の何についても言えることだが)。」 FAO 1998:: 「食品の品質と安全性システム( Food Quality and Safety Systems )」 食品の安全性については、科学的根拠に基づいて国際機関が基準を定めており、その基準達成は農場から食卓までの全ての関係者の協力によって確保される。その協力を破壊するような不信感を募らせることが、「不安」の根源となる。分業社会において他者を信頼できないならば、古代に戻って森での狩猟生活を送るしかないだろう。 「いのちをいただく」ことを通して、他者を信頼することができるようにすることが「食育」の要である。米は収穫まで88回もの手入れが必要だから、一粒も残さず食べよう・・・・
FAO主催 「世界食料安全保障サミット」 2009年11月 2. 自給率と食育 宣言文 2. 自給率と食育 FAO主催 「世界食料安全保障サミット」 2009年11月 宣言文 2.我々は、現在、飢餓と貧困に苦しむ人口が10億人を 超えたことに不安を抱いている。これは世界の人口の6 分の1の生命、生計、尊厳における受け入れ難い障害で ある。・・・ 食料、金融及び経済危機によって、最近にな り一層悪化した。 4. 2050年には90億人を超えることが予想される世界人 口を養うためには、現在からそれまでに農業生産量を 70%増加させる必要があると推計される。 5. 気候変動は食料安全保障と農業セクターに対し追加 的な深刻なリスクをもたらす。
世界の人口及び農産物輸入に占める日本の割合 2003年
主食用穀物(米、小麦、ライ麦、そば)自給率 飼料用を含む穀物全体の自給率 飼料自給率 農水省 日本の食料自給率 平成の米騒動 1993年 ウルグアイ・ラウンド妥結 1995年 1965 73 80 62 55 1985 53 69 31 27 1995 43 65 30 26 2010 39 59 27 25 供給熱量ベースの総合食料自給率 主食用穀物(米、小麦、ライ麦、そば)自給率 飼料用を含む穀物全体の自給率 飼料自給率
安い輸入品よりも、高くても 美味しく安全な国産品 カロリーベース総合食料自給率 39% 総供給熱量 2,458kcal / 人・日 国産供給熱量 946kcal / 人・日 安い輸入品よりも、高くても 美味しく安全な国産品 輸入飼料に よる生産部分 生産額ベース総合食料自給率 69% 国内消費仕向額合計 14兆1,333億円 国内生産額合計 9兆7,047億円
輸入に頼っていることに多くの人が不安を感じる 農業の担い手と農地面積の推移 国内農業は、担い手の減少や高齢化、農地面積の減少、使われていない農地の増加などにより、生産が減少している。日本の購買力がなくなったら、自給率40%とは食べる量を半分以下に減らさざるを得ないことを意味する。 輸入に頼っていることに多くの人が不安を感じる
日本で過去に発生した飢饉 日本で記録に残っている飢饉は、大小合わせて500回を超える。 養和の飢饉 1181年 西日本一帯、「源平盛衰記」や「方丈記」 干魃 寛喜の飢饉 1230~31年 長雨による異常冷夏、台風の襲来、冬の異常暖冬 北陸、近畿、四国 長禄・寛正の飢饉 1459~61年 大雨による水害と旱魃が交互に訪れた、虫害 西日本を中心に全国 寛永の大飢饉 1642~43 年 全国(特に東日本日本海側の被害が大) 全国的な異常気象(大雨、洪水、旱魃、霜、虫害) 中国・四国・九州地方の西日本各地、特に瀬戸内海沿岸一帯 享保の大飢饉 1732年 冷夏と虫害 天明の大飢饉 1782~87年 全国(特に東北地方) 浅間山の噴火による冷害 大雨、洪水と、それに伴う冷夏(稲刈りの時期に雪が降ったという記録がある) 天保の大飢饉 1833~39年 全国(特に東北、陸奥国・出羽国) 昭和東北大飢饉1930~34年 東北地方を中心 満州事変の契機 冷害
近年起きた食料供給の混乱の事例 食料の多くを輸入に頼っている日本では、国内外の様々な要因によって食料供給の混乱が生じる可能性がある。 昭和48年 1968 平成5年 1993 平成10年 1998 時期 地域 アメリカ 日 本 パナマ運河 品目 大 豆 米 飼料穀物 前年産の世界的な不作などによりアメリカ産の輸入大豆の価格が3倍に高騰 アメリカの輸出規制(73日間) 喫水制限が強化されて輸送に制限(110日間) 冷害による凶作 (作況指数74) 要因 ● 買占めや売惜しみの防止 ● 輸出の抑制の指導 ● 商品取引所での輸入大豆の取引停止 日本での対応 緊急輸入(255万トン) 便乗値上げの監視 備蓄の活用 食料の多くを輸入に頼っている日本では、国内外の様々な要因によって食料供給の混乱が生じる可能性がある。
植民地を支配してきた大英帝国の自給率は低く、1945年頃は約30%だった。 これからの食料危機において、日本の国際的地位はどうなる? 農林水産省「世界の食料自給率」 日本 英国 ドイツ フランス 1961 78 42 67 99 1971 58 50 73 114 1981 52 66 80 137 1991 46 77 92 145 2001 40 61 121 2006 39 69 植民地を支配してきた大英帝国の自給率は低く、1945年頃は約30%だった。
諸外国の食料安全保障政策 家庭レベルでの食料安全保障の確保に向け、食料品店へアクセスできない世帯の現状を把握 英国 フランス 米国 ①気候変動に対応した世界の農業生産の増大 ②石油、水、土壌等資源の効率的利用 ③英国内の農業生産力維持 ④輸入国の多様化 ①持続可能な世界の農業生産の増大 ②2050年の世界の食料需給予測の実施 生産性の向上、安定した輸入先の確保等を通じ、食料輸出国として世界の食料安全保障に貢献 供給面 ①国内貧困層の食料確保 ②食品ロス削減、畜産物摂取量減少等の食料消費の形態変化を重視 ③途上国の栄養不足人口削減のためのFAOにおける議論の主導 ①バウチャー支給等の支援による国内貧困層の食料確保 ②野菜、果実等の摂取を進める食生活ガイドラインの実現に必要な食料供給の確保への取組 需要面 「5 A DAY」等の取組を通じた野菜・果実を含む十分な食料供給と健康的な食生活の確保 ①港湾混乱に対応した代替輸入港確保 ②災害時の戦略的な道路確保 ③事業継続計画の確実な実施 ④全世帯の食料品店へのアクセス確保 家庭レベルでの食料安全保障の確保に向け、食料品店へアクセスできない世帯の現状を把握 アクセス面 関係省庁の連携による災害時等の食料供給対応 野菜や果物の摂取(1日5皿 350g以上)は、生活習慣病発症のリスクを抑える可能性が高いという科学的長に基づく運動 ファイブ・ア・デイ協会
国際貿易: 需給調整としての機能 グローバル化の進展、経済の高度化、食料品の生産流通の複雑化・高度化等に対応して、フードチェーンの各段階において食料の安定供給をおびやかす様々なリスクが生じるおそれがでてきている。 温暖化に伴う異常気象が世界各地で発生している 米国、オーストラリア、フランスなどの食料主要輸出国で自然災害や悪性伝染病が同時発生したら、国際貿易の混乱は計り知れない。 自然災害や悪性伝染病の発生で流通が止まったら・・・・ 全体的な供給不足時でなくても、輸出入経路が確保できなくなり貿易が止まったり、国内流通網が寸断される事態が発生する恐れがある。1998年のパナマ運河通航制限は人為的だったが自然災害だったら・・・戦争による海峡閉鎖が起きたら・・・ 世界の食料需給のひっ迫に伴い、他国の農地取得の動きが活発化 ○ 韓国 • 民間企業がロシア極東地域の穀倉地帯で1万haの農場を所有・運営する営農法人の株式67.6%を取得 • 公社が、タンザニア政府と、10万haの農業複合団地の造成事業を推進すると発表。うち5万haを無償借入予定 ○ 中国 • 民間企業がカメルーンで1万haを借り受け、米等を生産 • ザンビアでバイオ燃料用ジャトロファを200万ha生産することを計画
農林水産省: 食料安全保障とは 農産物貿易の不安定性と世界の食料需給の中長期的な見通し 消費についての見通し 生産についての見通し 農林水産省: 食料安全保障とは 「食料・農業・農村基本法」 第2条 (食料の安定供給の確保) 食料は、人間の生命の維持に欠くことができないものであり、かつ、健康で充実した生活の基礎として重要なものであることにかんがみ、将来にわたって、良質な食料が合理的な価格で安定的に供給されなければならない。 農産物貿易の不安定性と世界の食料需給の中長期的な見通し 農産物は天候などにより生産が大きく変動しやすく、また少数の特定の国・地域が主要な農産物輸出について大きな割合を占めており、世界の食料需給、農産物貿易は不安定な側面が強いという特性があります。 消費についての見通し 長期的には、世界の人口は、発展途上国を中心に大幅に増加し、現在の65億人が2015年には73億人、2050年には92億人に達すると見込まれています。 また、今後、発展途上国でも畜産物の消費が拡大することが予想されますが、畜産物の生産には大量の飼料穀物を必要とすることから、今後、世界の食料需要は大幅に増加するものと見込まれます。 生産についての見通し 供給については、今後は、農用地面積の拡大に限界があること、砂漠化の進行などの環境問題が深刻になってきていることから、生産の大幅な増加は困難となるおそれがあります。
FAO主催 「世界食料安全保障サミット」 2009年11月 2. 自給率と食育 (まとめ) FAO主催 「世界食料安全保障サミット」 2009年11月 2.我々は、現在、飢餓と貧困に苦しむ人口が10億人を超えたことに不安を抱いて いる。これは世界の人口の6分の1の生命、生計、尊厳における受け入れ難い障害 である。・・・ 食料、金融及び経済危機によって、最近になり一層悪化した。 4. 2050年には90億人を超えることが予想される世界人口を養うためには、現在か らそれまでに農業生産量を70%増加させる必要があると推計される。 5. 気候変動は食料安全保障と農業セクターに対し追加的な深刻なリスクをもたら す。 食料は無尽蔵にあり、金さえ払えば自由に食べられる・・・という 考え方は、改める必要がある。農業生産に打撃を与える自然災害の 多発が予測される中で、今後の世界人口を養うために、今何ができ るのか? 子供達の食料を確保するために、今何ができるのか? 超高齢化社会を迎える日本がこれまで通り世界の食料を買い付 ける資金が続くだろうか? 近海漁業を復活させるため、山の木を育 てることも選択肢の一つだろう。
食料の未来とわたしたちの“いま” 中学校教師用解説書 農林水産省∕食料の未来を描く戦略会議 「食料の未来を確かなものにするために」 私たちの命を支える食 今 大きな変化が訪れています... 日本の食料自給率は約4割...背景には私たちの食生活の変化...米などの国産農産物の需要が減り...農地面積も農家も減少... 食料をめぐる世界の状況は大きく変化...途上国の人口増加...中国などの経済発展...エネルギー問題...地球温暖化の進行... 今後、世界の食料問題がさらに深刻化すると見込まれる中で、食料を安定的に確保し、日本の豊かで確かな食を未来の子どもたちに残していくために、私たちは何をすればいいのでしょうか。 食料の未来とわたしたちの“いま” 中学校教師用解説書 単元1 社会科(歴史・公民) 「戦後日本の食料確保の歴史」 単元2 社会科(地理・公民) 「日本の食料輸入と世界」 単元3 社会科(公民) 「食料の未来と環境・世界」 単元4 家庭科(献立づくり・調理) 「サスティナブル・クッキング」 単元5 総合的な学習の時間 「日本の食が危ない!」
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