ファジィ論理と ファジィ構造モデリング 北海道工業大学 情報デザイン学科 三田村 保.

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ファジィ論理と ファジィ構造モデリング 北海道工業大学 情報デザイン学科 三田村 保

内容 ファジィ論理 ファジィ関係 ファジィ構造モデリング

2値論理 命題論理 命題A=「雪は白い」「日本の首都は京都である」 命題の真理値={真、偽}={1, 0} 論理演算(合成命題) 論理和(OR) A∨B “AまたはB” 論理積(AND) A∧B “AかつB” 否定(NOT) ~A “Aでない” 含意(Implication) A→B “AならばB”  =~A∨B

2値論理の公理系(1) ベキ等律 A∨A=A、 A∧A=A 交換律 A∨B=B∨A、 A∧B=B∧A 結合律 A∨(B∨C)= (A∨B)∨C 吸収律 A∨A∧B=A、 A∧(A∨B)=A 分配法則 A∨B∧C=(A∨B)∧(A∨C) 二重否定 ~(~A)=A ド・モルガン律~(A∨B)=~A ∧~B 最大元 A∨1=1、 A∧1=A 最小元 A∨0=A、 A∧0=0

2値論理の公理系(2) 相補律 A∨~A=1、 A∧~A=0 排中律 A∨~A=1 矛盾律 A∧~A=0

ファジィ論理 ファジィ命題A=「今日は天気が良い」 命題の真理値→区間値 {真、偽}→{真~偽} {1, 0}→[0, 1]

特性関数とメンバシップ関数 メンバシップ関数 特性関数 μA:X→[0, 1] ψA:X→{0, 1} 1.0 1.0 x x 20 20

ファジィ論理 代表的なファジィ論理演算 論理和(OR) A∨B = max(A, B) 限界和 A⊕B = min(1, A+B) 論理積(AND) A∧B = min(A, B) 限界積 A⊙B = max(0, A+B-1) 否定(NOT) ~A = 1-A 含意(Implication) A→B =min(1, 1-A+B)

ファジィ論理の公理系(1) 成立 ベキ等律 A∨A=A、 A∧A=A 交換律 A∨B=B∨A、 A∧B=B∧A 結合律 A∨(B∨C)= (A∨B)∨C 吸収律 A∨A∧B=A、 A∧(A∨B)=A 分配法則 A∨B∧C=(A∨B)∧(A∨C) 最大元 A∨1=1、 A∧1=A 最小元 A∨0=A、 A∧0=0

ファジィ論理の公理系(2) 非成立 二重否定 ~(~A)=A ド・モルガン律~(A∨B)=~A ∧~B 相補律 A∨~A=1、 A∧~A=0

関係 変数x、yを含む命題 例: 「 xとyは等しい」 「 xはyより大きい」 二項関係R aRb:”aはbに関係がある” a , b ∈ X aRb = {偽、真} ={0, 1}

ファジィ関係 変数x、yを含む命題 例:「xとyは似ている」「 xとyは親しい」 「xはyより好ましい」 ファジィ二項関係 aRb:”aはbに関係がある” a , b ∈ X μR(a,b) =[0, 1]

関係の諸性質 反射性=aRa 反対称性=aRb かつbRa→ a=b 推移性=aRb, bRc → aRc 対称性=aRb → bRa 半順序関係= 反射性、反対称性、推移性 因果関係、IF-THENルール 同値関係 = 反射性、対称性、推移性 同値関係、類似関係 前順序関係= 反射性、推移性

ファジィ関係の適用による問題解決 ファジィ構造モデリング システム工学への応用 対象となる問題を要素に分解する 要素間の関係概念(類似性、因果性、IF-THENルール)をファジィ関係としてモデル化する 対象問題の挙動をマクロ的に分析する ファジィ構造モデリング

ファジィ構造モデリング 定義 従来のファジィ構造モデリング 新しいファジィ構造モデリング ファジィ行列 ファジィ可到達行列 ファジィ部分行列 更新ルール

定義 要素集合X={x1, x2, ・・・, xn} ファジィ二項関係 aRb a, b ∈ X μR(a,b) =[0, 1] ファジィ二項関係の性質 ファジィ前順序関係 反射性 推移性 「ファジィ構造モデリングとは要素集合X上のファジィ前順序関係を決定すること」

ファジィ行列モデル

ファジィ前順序関係 ファジィ行列 1.0 反射性 1 0.2 2 推移性 0.5 0.1 3

ファジィ構造モデリング ファジィ行列 M 要素と要素の関係を入力 全一対比較 入力数: n(n-1) c a b d ファジィ可到達行列 (反射性・推移性)

ファジィ可到達行列生成 Fuzzy Warshall アルゴリズム 0.5 0.7 0.2 0.6 0.3 k j k j h i i h

従来のファジィ構造モデリング すべてのファジィ二項関係を入力する→入力コスト(n(n-1))がかかる ファジィ二項関係からファジィ可到達行列の生成→入力された関係の修正

対話型ファジィ構造モデリング(FISM/fuzzy) ファジィ部分可到達行列 ファジィ可到達行列 M(i,j) 入力 一対比較数の削減 全一対比較の20%~30% 入力された帰属度を尊重 帰属度の変更も可能 含意規則による行列更新

ファジィ部分行列 1 0.2 2 [0.0, 1.0] [0.5, 1.0] 3

メンバシップ関数 1.0

ファジィ部分可到達行列 反射性 部分可到達性

含意規則 M(i, j) i j m l M(l, m)

新しいファジィ構造モデリング 関係を入力するコストは削減される 入力された関係は修正されない 同時に複数個の関係を入力できない

参考文献 ファジィ論理・ファジィ関係 日本ファジィ学会編:講座ファジィ4 ファジィ論理、日刊工業新聞社 日本ファジィ学会編:講座ファジィ4 ファジィ論理、日刊工業新聞社 日本ファジィ学会編:講座ファジィ2 ファジィ集合、日刊工業新聞社 ファジィ構造モデリング 三田村保, 若林高明, 大内 東: ファジィ構造モデリングにおける階層グラフを用いた構造化法, 日本ファジィ学会誌, Vol.12, No.2:pp.321-328(2000.4) 三田村保, 若林高明, 大内 東: FISM/fuzzyによるレパートリーグリッドを用いたファジィ構造モデリング, 日本ファジィ学会誌, Vol.11, No.2:pp.298-308(1999.4) 三田村保, 大内 東: ファジィ構造モデリングの修正理論とアルゴリズム, 日本ファジィ学会誌, Vol.8, No.4:pp.725-733(1996.8) 三田村保, 大内 東: FISM/fuzzyの推移的具象化における戦略の検討, 日本ファジィ学会誌, Vol.7, No.2:pp.322-329(1995.4) 三田村保, 大内 東: ファジィ構造モデリングにおけるファジィ推移的具象化の理論とアルゴリズム, 情報処理学会論文誌, Vol.35 No.2, pp.301-308(1994.2)