校内支援体制の構築と その運用 茨城県守谷市立松前台小学校

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校内支援体制の構築と その運用 茨城県守谷市立松前台小学校   茨城県守谷市立松前台小学校 校内支援体制の構築と その運用   私たちが勤務しています守谷市は,茨城県の1番南にありすぐそばを利根川が流れています。 2002年2月に市制がしかれ守谷市になって4年が経ちました。昨年8月にはつくばエクスプレスが開通し,活気のある街です。  松前台小学校で7年間取り組んできました「校内支援体制の構築とその運用」について紹介いたします。

松前台小学校の支援の考え方 子どもたちの困難を適切に把握して、全職員でその解決に当たる      障害のある子どもも障害のない子どももいろいろな困難を抱えながら生きなければならないのが現代です。そのような子どもたち一人ひとりに適切な支援をし,楽しい学校生活が送れるようにしていくための組織が「校内委員会」です。 子どもたちがどんなことで困っているかをきちんと捉えよう,そして,それを全職員で解決していこうというのが私たちの考えです。

校内支援体制 1 校務分掌の再構築 校内委員会 「配慮を要する児童に対する 支援委員会」 整理統合 生徒指導「配慮を必要とする子ども」理解 校内支援体制 1 校務分掌の再構築 生徒指導「配慮を必要とする子ども」理解 保健安全「身体的に見守りたい子ども」理解 特殊教育「就学指導委員会」 校内委員会 「配慮を要する児童に対する    支援委員会」 整理統合 以前は,生徒指導部が中心の「配慮を要する児童」についての話し合いと、保健安全部が中心の「身体的に見守りたい児童」についての話し合い、それから、特殊教育部が中心の「校内就学指導委員会」の3つの会議を開いて子ども達を理解していたが、情報が共有できないことから、3つの組織を整理統合して「配慮を要する児童に対する支援委員会」いわゆる「校内委員会」を組織した。障害のある子どもだけを区別して実態把握するのではなく、特別な配慮が必要なすべての子どもの情報を全職員で共有することができるようにした。

校内支援体制 2 児童理解 「支援会議」 「配慮を要する児童に対する支援委員会」の3つの機能 学び合い・相互支援 「事例検討会」 校内支援体制 2 「配慮を要する児童に対する支援委員会」の3つの機能  児童理解      「支援会議」   学び合い・相互支援 「事例検討会」   自力解決      「ケース会議」 私たちは,校内委員会の名称を「配慮を要する児童に対する支援委員会」とし、「支援会議」「事例検討会」「ケース会議」の3つの会議を開いている。校内委員会の3つの機能はおもに①特別な配慮が必要な児童の実態把握 ②職員の学び合い・相互支援 ③自力解決である。

               支援会議 支援会議は,全職員による会議で,特別な配慮が必要な子どもの困難の状況や支援方法について協議する。5月,7月,12月,3月の年4回話し合いを持っている。私たちは,子どもがどのように変わってほしいのか,そのためにはどんな支援をすればよいのか,支援方法は有効だったのか,子どもはどのように変容したのかを継続してみていくことができるようになった。また,この会議で話し合われた支援の内容については,記録シートに継続して記録し、次年度に引き継げるようにしている。

    事例検討会 「職員の学びあい・相互支援」の機能に対応する会議が「事例検討会」である。事例検討会は全職員による会議で、年に4回開催する。支援会議で報告された子どもたちの中で、特に解決が困難だと思われる子どもや支援方法を知っておけば今後役に立つだろうと思われる事例を取り上げて全職員で検討会を開く(校長,教頭も含めて全職員参加)。私たちは、事例検討会にインシデントプロセス討議法を応用し,効果的な検討会ができるようになった。教師は支援のノウハウをたくさん持っているので,みんなで知恵を出し合いながら自己解決していくのが事例検討会の場だと考えている。

ケース会議 「自力解決」の機能に対応する会議が「ケース会議」である。ケース会議は,支援委員会で報告された急を要する問題や、事例検討会のあと、担任一人では解決が困難な問題について,その支援方法を具体的に検討する場としている。子どもの支援に直接かかわる職員が集まって随時会議を開く。ケース会議の結果、「いつ,誰が,何をするのか」が具体的になり,専門家や専門機関、保護者との連携が必要な場合は、支援推進委員が担任と共に連携が取れるようになった。

校内支援体制 3 「配慮を要する児童に対する支援委員会」年間計画 校内支援体制 3 「配慮を要する児童に対する支援委員会」年間計画 月 活動の内容 5 支援会議(1) 11 事例検討会(3) 校内就学指導委員会(2) 6 事例検討会(1) ⑦ 支援会議(2) 12 支援会議(3) ⑧ 事例検討会(2) 1 事例検討会(4) 10 校内就学指導委員会(1) ③ 支援会議(4) 「自力解決」の機能に対応する会議が「ケース会議」である。ケース会議は,支援委員会で報告された急を要する問題や、事例検討会のあと、担任一人では解決が困難な問題について,その支援方法を具体的に検討する場としている。子どもの支援に直接かかわる職員が集まって随時会議を開く。ケース会議の結果、「いつ,誰が,何をするのか」が具体的になり,専門家や専門機関、保護者との連携が必要な場合は、支援推進委員が担任と共に連携が取れるようになった。

校内支援体制 4 「支援推進委員会」の立ち上げ 構成員・・・生徒指導主事(1人) 養護教諭(1人) 特別支援教育担当者(4人) 校内支援体制 4 「支援推進委員会」の立ち上げ 構成員・・・生徒指導主事(1人)        養護教諭(1人)        特別支援教育担当者(4人) 役割・・・・・3つ会議の企画運営        専門機関や保護者との連携        子供への具体的な支援 「配慮を要する児童に対する支援委員会」をつくるにあたっては、特殊学級担任がキーパーソンとなりコーディネーターの役割を担ってきたが,校内委員会を組織としてさらに上手く機能させていくためには、会議を企画運営するワーキンググループが必要になってきた。そこで、支援に関係する校務分掌からメンバーを選出して「支援推進委員会」を組織した。(コーディネーターの複数化)

校内支援体制 5 校務分掌の位置づけ 支援推進委員会 配慮を要する児童に対する支援委員会 (全職員による会議) 特別支援教育 生活指導 校長 校内支援体制 5    校務分掌の位置づけ 支援推進委員会 (コーディネーター) 生活指導 校長 教頭 企画会 職員会議 生徒指導 教育相談 配慮を要する児童に対する支援委員会  (全職員による会議) 特別支援教育 研究推進委員会 学校保健委員会 就学指導委員会  「竹の子ルーム」  (オープン教室の運営) 特殊学級の経営 本校では、「配慮を要する児童に対する支援委員会」を、生徒指導と特別支援教育の間に位置づけている。私たちが支援しなければならない子どもたちには,障害のある子どもも障害のない子どももいるので,生徒指導と特別支援教育は一緒になって機能していくものだと考える。私たちは,新しい校務分掌を作るのではなく,今ある機能を見直し再構築することで校内委員会をつくった。

校内支援体制 6 オープン教室(竹の子ルーム) 目的 :学力を保証することで、二 次的な問題行動の軽減 学習内容:算数の四則計算 校内支援体制 6  オープン教室(竹の子ルーム) 目的  :学力を保証することで、二      次的な問題行動の軽減                  学習内容:算数の四則計算 対象児童:4~6年生の希望児童 指導時間:金曜日の放課後(45分) 指導者 :全職員で輪番 「竹の子ルーム」は校内委員会の役割の1つである。担任は,学習に遅れがある子どもに個別指導の必要性を感じていても時間がないのが悩みであった。そこで,オープルームを立ち上げた。私たちは,子どもの学力を保証することで二次的な問題行動の軽減が図れるだろうと考えている。勉強が苦手な子どもも「竹の子ルーム」に来ると,達成感を得たり,自信をつけたりする。このような学習支援が子どもたちのいろいろな問題の解決につながると考えている。

竹の子ルーム 現在,4~6年生の30名ほどの子どもたちを10名程度の職員で支援している。子どもたちは,「ここにくるといっぱい○をもらえるので嬉しい」「自分で頭が良くなったように感じる」などと言って,のびのびと学習している。

支援体制づくりのポイント ①校内委員会の必要性の共有 ②校内委員会の対象を障害がある子どもに限定しない ③校内委員会に自力解決機能を持たせる ④校務分掌の整理統合 ⑤コーディネーターの複数化 ⑥支援記録の蓄積と次年度への引き継ぎ ①研修などを通して、校内委員会は必要なんだということを全職員が認識しないと上手くいかない。②支援の必要な子どもに必要な支援ができるような体制作りをすることが望まれている。③専門家のタイムリーな助言が受けられない現状では,今いる職員ができる支援をしていこうと知恵を出し合うことが大切である。④校内委員会は、今ある組織を充実させたり、整理統合して再構築したりすれば、会議が多くなるという負担感を持たずにつくることができる。⑤1人で切り盛りするには大変な仕事であり、支援体制維持のために複数配置は重要である。⑥記録シートを使って、同じ観点で記録する。