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感染症対策 感染症対策について 役に立つ薬の情報~専門薬学
感染症とは 感染症成立の三大要因 病原菌 感染経路 感受性宿主 感染症を引き起こす原因微生物 病原体が新たに感染を起こす経路 感染症が成立するためには、主に「病原菌、感染経路、感受性宿主」の三つの要因が成り立つ必要があります。 まず一つ目が「病原菌」です。病原菌は感染症を引き起こす原因微生物のことです。病気を起こす菌がいるから感染症が起こるという考えです。 二番目が「感染経路」です。感染経路とは、病原体が新たに感染を起こすための経路のことです。この感染経路をシャットアウトすることが出来れば、病原菌による感染が起こることはありません。 三番目に「感受性宿主」があります。感受性宿主とは、私たちの免疫力のことを指します。病原菌による感染が起こったとしても、免疫力がしっかりしていれば感染症は起こりません。特に小児の免疫力は成人に比べて十分とは言えないため、年齢などの要因も関与します。 これら三つの要因が全て重なることで感染症が起こります。逆に言えば、どれか一つの要因でも取り除くことが出来れば感染症に罹ることはありません。そのため、これらの要因を取り除くことが感染症対策に繋がります。 宿主の免疫力が関与 小児の感染症 年齢などの要因も 感受性宿主 役に立つ薬の情報~専門薬学
患者・保菌者の排泄物・汚染物の消毒が重要 病原菌への対策 症状が出ている患者さんには、当然ながら注意が払われる 注意すべき点 病原菌が潜伏期間中に体外へ排泄されている場合 症状が落ち着いても、病原菌が体外に排泄され続ける場合 血液 HIV・C 型肝炎ウイルスなど かく たん 喀痰 結核菌、インフルエンザウイルスなど それでは、それぞれの要因について確認していきたいと思います。まずは病原菌への対策についてです。 症状が出ている患者さんには、当然ながら注意が払われます。ただし、注意すべき点があります。それは、「病原菌が潜伏期間中に体外へ排泄されている場合」、また「症状が落ち着いても、病原菌が体外に排泄され続ける場合」などです。 これらの患者さんでは、たとえ症状がなかったとしても病原菌を排泄していることになります。そのため、感染症の症状がでる前後でも気をつける必要があります。 血液にはHIV やC 型肝炎ウイルス、喀痰には結核菌やインフルエンザウイルス、便にはO-157 やノロウイルスが潜んでいる可能性があります。 そのため、患者・保菌者の排泄物・汚染物の消毒が重要となります。 便 O-157, ノロウイルスなど 患者・保菌者の排泄物・汚染物の消毒が重要 役に立つ薬の情報~専門薬学
感染経路 感染経路の種類 飛沫感染 空気感染 接触感染 感染疾患: ノロウイルス、 O-157 など インフルエンザなど 結核、麻しんなど 次に感染経路についてです。感染経路としては「飛沫感染、空気感染、接触感染」があります。 飛沫感染は、くしゃみなどをした時に出る細かい水滴、しぶきによって起こる感染です。インフルエンザなどが飛沫感染によって感染します。 次に空気感染です。空気感染は空気中を漂っている病原菌によって起こります。結核、はしかなどがこれに当たります。 三番目に接触感染です。接触感染は「病原菌が付着したタオル・容器」や「皮膚同士の接触」によって感染します。ノロウイルスやO-157 などが接触感染によって感染を引き起こします。 このように、感染経路には主に三つがあり、それぞれの感染経路によって対策が異なってきます。 感染疾患: ノロウイルス、 O-157 など インフルエンザなど 結核、麻しんなど 役に立つ薬の情報~専門薬学
飛沫感染と空気感染(飛沫核感染) 飛沫 飛沫核 水分の蒸発 飛沫とは 飛沫核とは ・ 直径5 mmより大きい 微粒子 微粒子 飛沫とは 飛沫核とは ・ 直径5 mmより大きい ・ すぐに床面に落下(約1 m) ・ 直径5 mm以下 ・ 長時間空中を浮遊 飛沫感染と空気感染の違いについて説明します。 飛沫はくしゃみなどにより、病原菌の周りに水分がくっついている状態を指します。飛沫は直径5 マイクロメートルより大きい粒であり、すぐに床へ落下します。この飛沫による感染が飛沫感染です。 飛沫の水分が蒸発すると、粒子が軽くなり、長時間空中を浮遊するようになります。直径は5 マイクロメートル以下であり、この軽くなった粒子を飛沫核と言います。この飛沫核による感染が空気感染です。 飛沫 飛沫感染を起こす 飛沫核 空気感染を起こす 役に立つ薬の情報~専門薬学
感染経路への対策 手洗い・手指消毒の実践 マスクや手袋の使用 これら備品の確保が重要 血液、体液、喀痰、尿、糞便など 触れる恐れ あらかじめ手袋を着用 手袋等を着用し、 次亜塩素酸ナトリウムで処理 床にこぼれたら このように感染経路の説明を行いましたが、これら感染経路への対策としては「手洗い・手指消毒の実践」、「マスクや手袋の使用」などがあります。感染経路対策にはこれら備品の確保が重要であり、適切な対処をする必要があります。 血液、体液、喀痰、尿、そして糞便など、これらの触れる恐れがある場合、あらかじめ手袋を着用します。床にこぼれた場合、手袋を着用し、次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒薬を使用します。実際に触れるときは、必ず使い捨て手袋を着用し、手袋を外した後も手洗いをする必要があります。 必ず使い捨て手袋を着用 手袋を外した後も手洗い 触れるときは 役に立つ薬の情報~専門薬学
感受性宿主への対策 小児への衛生教育の啓蒙と実践 手洗い・うがい、歯磨きなど生活習慣の改善 規則正しい睡眠と十分な栄養 ワクチンによる予防接種 免疫を与え、未然に感染症を防ぐ 定期接種 次に、感染症成立における三大要因の三番目に挙がっていた「感受性宿主への対策」についてです。 人体には病原菌と戦うための免疫機構が備わっており、健康状態の維持が必要です。特に、免疫力の強くない小児に対しての衛生教育の啓蒙と実践が重要となります。 具体的には手洗い・うがい、歯磨きなどの生活習慣の改善、規則正しい睡眠と十分な栄養を取るように指導します。 このように健康状態の維持が重要ですが、ワクチンによる予防接種によって免疫を与え、未然に感染症を防ぐも大切です。 ワクチンには「法律に基づいて実施される定期接種」と「希望する人のみに実施される任意接種」があります。定期接種には百日咳やジフテリア、破傷風などがあり、任意摂取には水痘やインフルエンザ、ロタウイルスなどがあります。 百日咳、ジフテリア、破傷風、日本脳炎、麻疹、結核 など 任意接種 水痘、インフルエンザ、ロタウイルス など 役に立つ薬の情報~専門薬学
標準予防策の実施 標準予防策 感染経路への対策 病原体への対策 感受性宿主への対策 感染症予防の基本は標準予防策!! (患者全員に対し、標準予防策を実施) 感染症の三大要因について説明しましたが、先ほど述べましたように病原体、感染経路、感受性宿主とそれぞれの対策の仕方があります。そして、これら全てに共通する対策として、標準予防策があります。 感染症予防の基本は標準予防策であり、患者全員に対して標準予防策を実施する必要があります。 具体的には、 「患者さんと接するときにはマスクをする」 また「使用済み針はキャップをする」などを行い、患者さんと医療従事者双方における感染の危険を減少させます。 具体的には: ・ 患者さんと接するときにはマスクをする ・ 使用済み針はキャップをする など 役に立つ薬の情報~専門薬学
問題となる病原菌 飛沫感染 インフルエンザウイルス 風しんウイルス マイコプラズマ など 空気感染 結核菌 麻しんウイルス マイコプラズマ など インフルエンザウイルス 空気感染 結核菌 麻しんウイルス 水痘・帯状疱疹ウイルス など 結核菌 接触感染 スライドには、それぞれの感染経路で問題となる病原菌を載せてあります。 飛沫感染ではインフルエンザウイルス、風しんウイルス、マイコプラズマなどがあります。空気感染では結核菌、麻しんウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルスなどが問題となります。接触感染ではノロウイルス、腸管出血性大腸菌、MRSA などが感染を起こします。 これら感染症の中で「飛沫感染を起こすインフルエンザ」、「空気感染を起こす結核菌」、「接触感染を起こすノロウイルス」に関して、詳しく説明していきたいと思います。 ノロウイルス 腸管出血性大腸菌 MRSA など ノロウイルス 役に立つ薬の情報~専門薬学
インフルエンザウイルス [ 潜伏期間 ] 1~3 日間 [ 熱 ] 38~40℃ [ 感染様式 ] 飛沫感染 [ 主な症状 ] [ 感染様式 ] 飛沫感染 [ 主な症状 ] 悪寒、発熱、筋肉痛、関節痛 インフルエンザウイルスの特徴ですが、潜伏期間が1~3 日で38~40 ℃の熱を出します。感染様式は飛沫感染です。 主な症状としては悪寒、発熱、筋肉痛、関節痛などがあります。 予防用法はうがい・手洗い、マスクとなります。飛沫は比較的粒子が大きいため、マスクによってシャットアウトすることができ、とても有効です。 また、インフルエンザワクチンによる予防も効果的です。 予防方法 うがい・手洗い、マスク インフルエンザワクチン 役に立つ薬の情報~専門薬学
インフルエンザによる入院者数 70~79 80~ (歳) 60~69 50~59 40~49 30~39 20~29 15~19 10~14 5~9 1~4 0~ 8000 (人) 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 スライドにはインフルエンザによる一年間の入院者数を示してあります。 ご覧の通り、小児でインフルエンザによる入院が多いことが分かります。これは、インフルエンザに対する免疫力が弱いため、小児の入院者数が多くなることが推測されます。 役に立つ薬の情報~専門薬学 厚生労働省 新型インフルエンザ対策関連情報
インフルエンザによる死亡者数 70~ (歳) 60~69 50~59 40~49 30~39 20~29 15~19 10~14 5~9 1~4 (人) 30 20 10 60 50 40 次にインフルエンザによる一年間の死亡者数についてです。 先ほど小児で入院患者が多いことを示しましたが、インフルエンザによる死亡者で考えると、生まれて年を追うごとに死亡者が少なくなり、20~29 歳を境として死亡者の増加が確認できます。 特に、死亡者は高齢者に多いことが分かります。高齢者になるほど糖尿病、心臓病などの基礎疾患を患っている可能性が高くなり、高齢という要因も重なって死亡者が多くなってしまうことが考えられます。 役に立つ薬の情報~専門薬学 厚生労働省 新型インフルエンザ対策関連情報
結核菌 [ 潜伏期間 ] 数ヶ月から年単位 [ 感染様式 ] 空気感染 [ 主な症状 ] 咳、痰、発熱 [ 治療方法 ] 3~4 種類の薬を6~9 ヶ月、毎日内服 結核菌の特徴ですが、潜伏期間が数ヶ月から年単位であり、空気感染によって感染症を起こします。 主な症状としては咳、痰、発熱であり、 3~4 種類の薬を6~9 ヶ月、毎日内服することによって治療します。 予防方法としてはBCG ワクチン、そして栄養状態、睡眠、ストレスなどのコントロールによる免疫力の維持があります。 予防方法 BCG ワクチン 免疫力の維持 栄養状態、睡眠、ストレスなど 役に立つ薬の情報~専門薬学
結核の発病予防 栄養状態・睡眠など、免疫力の維持が重要 [ 結核菌の感染力 ] 非常に強い(感染者との接触における予防は極めて難しい) 感染しても、発病するとは限らない : 10 人に1~2 人程度 発病 (初感染結核) 菌の増殖 感染 z z z 発病 (内因性再燃) 冬眠状態 結核菌の感染力は非常に強いです。結核菌の感染者が咳などで菌を排出してしまった場合、同じ部屋にいるほとんどの人は結核に感染してしまいます。そのため、普段の生活上で感染者との接触における予防は極めて難しいことが考えられます。 さらに、結核は数ヶ月から年単位の潜伏期間を経て発症することがあります。そのため、結核菌に感染してもすぐに分からない場合が多いです。 ただし、結核菌に感染しても、必ずしも発症するとは限りません。生涯のうち、結核菌に感染して実際に結核を発症するのは10 人に1~2 人程度と言われています。 結核には「結核菌に初めて感染し、すぐに菌が増殖して発病する場合」と「体内で何十年を過ごす冬眠状態を経て発病する場合」があります。 どちらの場合でも、重要なのは免疫力となります。高齢や糖尿病などの基礎疾患、栄養状態が悪いなどで免疫力が低下してしまうと、結核菌の増殖を抑えられない場合があります。 ・ 体内で何十年を過ごす 栄養状態・睡眠など、免疫力の維持が重要 役に立つ薬の情報~専門薬学
ノロウイルス [ 潜伏期間 ] 24~48 時間 [ 発生時期 ] 冬季(11月~3月)を中心 [ 感染様式 ] 接触感染 [ 主な症状 ] [ 感染様式 ] 接触感染 [ 主な症状 ] 悪心・嘔吐、下痢、腹痛 次にノロウイルスについて紹介します。ノロウイルスの特徴としては、潜伏期間が24 ~48 時間で、主に11 ~3 月の冬季に発生します。 感染様式は接触感染であり、悪心・嘔吐、下痢、腹痛などを主な症状とします。 ノロウイルスの予防方法は次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が基本であり、有効な薬・ワクチンはありません。そのため、ノロウイルスの感染症に罹った場合、輸液などの対症療法を行うしかありません。 予防方法 消毒(次亜塩素酸ナトリウム) 有効な薬・ワクチンはない 輸液などの対症療法 役に立つ薬の情報~専門薬学
ノロウイルス感染の概要 腸管で増殖 悪心・嘔吐、下痢、腹痛 ウイルスが口の中に カキなどの二枚貝 嘔吐物の飛散 消毒不十分 ウイルス感染 環境中へ排出 ノロウイルスが感染を起こす様式について載せてあります。 ノロウイルスはカキなどの二枚貝に蓄積されます。ノロウイルスを含むカキを十分に加熱せずに食べた場合、ウイルスが口の中に入って感染を起こします。 ノロウイルスは100 個以下の少ない量でも感染が成立する、非常に感染力の強いウイルスです。感染すると腸管で増殖し、悪心・嘔吐、下痢、腹痛などの症状を起こします。 感染者の嘔吐物や糞便などにノロウイルスが含まれるため、これらが環境中へ排泄され、嘔吐物の飛散、また消毒が不十分であった場合、ウイルスが他の人の口の中に入って感染を引き起こします。 このサイクルが繰り返されることで、ノロウイルスによる集団感染が発生します。 嘔吐物の飛散 消毒不十分 役に立つ薬の情報~専門薬学
感染症と起因菌 状況 頻度の多い起因菌 アルコール依存症 肺炎球菌、結核菌、アシネトバクター 二週間以上続く咳、 笛声様咳 百日咳菌 インフルエンザの 流行地域 インフルエンザウイルス、肺炎球菌、 黄色ブドウ球菌、ヘモフィルス 誤嚥 グラム陰性腸内細菌、口腔内嫌気性菌 静脈内薬物投与 肺炎球菌、結核菌、黄色ブドウ球菌 気管内閉塞 肺炎球菌、黄色ブドウ球菌 インフルエンザウイルス、結核菌、ノロウイルスと説明しましたが、その他の感染症と起因菌の関係について示します。 アルコール依存症であった場合、肺炎球菌や結核菌、アシネトバクターによる感染症の頻度が高くなります。他にも二週間以上続く咳であれば百日咳が疑われます。 インフルエンザの流行地域であれば、インフルエンザウイルス以外に肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、ヘモフィルスなどの感染症にも注意が必要となります。 このように、状況によって起因菌が異なってきます。 役に立つ薬の情報~専門薬学
感染症に罹らないために うがい・手洗い、マスク 病原菌からの感染、他人への感染を防ぐ 感染経路への対策 消毒薬の活用 病原菌の感染力をなくす 病原体・感染経路への対策 ワクチンの接種 それでは、感染症に罹らないための対策を三つに分けて紹介していきたいと思います。 まず始めに、うがい・手洗い、マスクについてです。これにより、病原菌からの感染、また他人への感染を防ぐことができます。これは、感染経路への対策となります。 次に消毒薬の活用です。消毒薬によって、病原菌の感染力をなくすことができます。これは、病原菌や感染経路への対策となります。 三番目にワクチンの接種についてです。ワクチンによって病原菌への免疫力を強めることができます。これは、感受性宿主への対策となります。 次のスライドから、それぞれの対策を「マスクについて」から詳しく見ていきたいと思います。 病原菌への免疫力を強める 感受性宿主への対策 役に立つ薬の情報~専門薬学
医療用マスク : サージカルマスク サージカルマスクとは 病気の予防に用いる医療用マスク サージカルマスクの性能 BFE : 細菌ろ過効率 細菌を含む粒子(約3 mm)が除去された割合(%) PFE : ポリエチレン粒子ろ過効率 微粒子(約0.1 mm)が除去された割合(%) それでは、マスクについて紹介します。ここでのマスクはサージカルマスクについてであり、サージカルマスクとは病気の予防に用いる医療用マスクのことです。 サージカルマスクの性能を表す指標としてはBFE(細菌ろ過効率)とPFE(ポリエチレン粒子ろ過効率)があります。 BFE とは、細菌を含む約3 マイクロメートルの粒子が除去された割合のことです。多くのサージカルマスクはBFE が95 %以上となっています。また、PFE とは約0.1 マイクロメートルの微粒子が除去された割合のことを指します。 ただし、サージカルマスクは鼻の周りや頬のセンター部分に隙間ができやすいです。そのため、自分の顔に合うマスクを選ぶ必要があります。 鼻の周り・頬のセンター部分に隙間ができやすい 自分の顔に合うマスクを選ぶ 役に立つ薬の情報~専門薬学
医療用マスク : N95 マスク N95 マスクとは 粒子用のマスク 塩化ナトリウムの試験粒子(0.3 mm)を95 %以上除去 元々は製造現場などで使用 結核、SARS などの感染防止に効果 医療現場でも使用されるように 粒子の大きさ比較 0.01 0.05 0.1 0.5 1 5 10 50 100 500 1000 鳥インフルエンザ 細菌 結核菌 ノロウイルス 花粉 人が認識できる大きさ 飛沫 (mm) PFE の基準 N95 の基準 BFE の基準 次に医療用マスクのN95 マスクについてです。N95 マスクとは粒子用のマスクのことであり、0.3 マイクロメートルの粒子を95 %以上除去できるようになっています。 N95 マスクはもともと製造現場などで使用されていましたが、このマスクによって結核やSARS などの感染防止に効果があることが分かりました。そこで、N95 マスクが医療現場でも使用されるようになりました。 粒子の大きさについてですが、前のスライドで説明した通り、飛沫感染で重要となる飛沫は大きさが5 マイクロメートルより大きいです。そのため、医療用マスクの基準であるBFE はこの数字を満たしており、飛沫感染に関しては問題なく防ぐことができます。 また、空気感染を起こす結核菌などの細菌であれば、N95 マスクで防ぐことができます。インフルエンザであれば、PFE の基準を満たす必要があることが分かります。 役に立つ薬の情報~専門薬学
サージカルマスクとN95 マスクの違い サージカルマスク 他人にうつさないために使用 手術時など、医療従事者が 患者さんに飛沫を飛ばさないため どうしても隙間ができ、自分への感染を防ぐには限界 N95 マスク 自分を守るために使用 サージカルマスクとN95 マスクの違いについて説明します。 サージカルマスクは、他人にうつさないために使用します。つまり手術時など、医療従事者が患者さんに飛沫を飛ばさないために使われます。サージカルマスクではどうしても隙間ができ、自分への感染を防ぐには限界があります。 それに対し、N95 マスクは自分を守るために使用します。医療従事者が患者さんからの飛沫・細菌を吸い込まないためです。N95 マスクはサージカルマスクよりも規格が厳しく、より感染症予防に適したマスクとなっています。 医療従事者が患者さんからの 飛沫・細菌を吸い込まないため サージカルマスクより規格が厳しい 役に立つ薬の情報~専門薬学
消毒薬の分類 分 類 成分名 抗微生物スペクトル 適応対象 一 般 細 菌 M R S A 緑 膿 菌 結 核 菌 真 菌 芽 胞 ウイルス 器具 環 境 手 指 ・ 皮 膚 粘 膜 中 型 サ イ ズ 小 型 サ イ ズ H I V 金 属 非 金 属 高 水 準 グルタラール ○ - フタラール △ 過酢酸 中 水 準 次亜塩素酸ナトリウム ポピドンヨード 消毒用エタノール イソプロパノール 低 水 準 塩化ベンザルコニウム 塩化ベンゼトニウム グルコン酸クロルヘキシジン 塩酸アルキルジアミノ エチルグリシン H C V B 次に、病原体・感染経路への対策として消毒薬を紹介します。 このスライドで一番押さえてほしいポイントとしては、一般細菌に対しては全ての消毒薬でマルが付いている点です。つまり、大腸菌などの一般細菌を殺したい場合であれば、どのような消毒薬を使用しても構いません。 ただし、MRSA や結核菌、ウイルスなど特殊な病原菌に関しては、それぞれに対応した消毒薬を使用する必要があります。 次に適応対象についてです。例えば、次亜塩素酸ナトリウムは金属腐食性をもつため、金属の殺菌には適応しません。他にも消毒用エタノールであれば、刺激性があるため粘膜には使用できません。 このように、金属に使用するのか非金属に使用するのか、また床や壁などの環境の消毒か、人体に使用したいのかなどによって使い分ける必要があります。 ○:有効 △:やや有効 -:無効 役に立つ薬の情報~専門薬学
消毒薬 一般細菌の消毒 どの消毒薬を使用しても良い 消毒薬を使い分ける病原菌の例 インフルエンザウイルスの消毒 ・ 消毒用アルコール、イソプロパノール ・ ポピドンヨード 先ほど申し上げました通り、大腸菌などの一般細菌に対してはどの消毒薬を使用しても良いです。 ただし、消毒薬を使い分ける必要のある病原菌があります。インフルエンザであれば、消毒用アルコールやイソプロパノール、ポピドンヨードなどがあります。 ノロウイルスの消毒であれば次亜塩素酸ナトリウムが多用されます。 ノロウイルスの消毒 ・ 次亜塩素酸ナトリウム 役に立つ薬の情報~専門薬学
ワクチンの歴史 ワクチンは感染症予防に大きな効果 1796 年 : 天然痘ワクチンが開発 世界初のワクチン その後、 1879 年 : コレラのワクチンが開発 1881 年 : 炭疽菌のワクチンが開発 1882 年 : 狂犬病のワクチンが開発 1890 年 : 破傷風のワクチンが開発 天然痘 : 最後の患者(1977 年)、根絶宣言(1980 年) ぎゅう えき 次にワクチンについて紹介していきたいと思います。 ワクチンの歴史ですが、1796 年に世界初の天然痘のワクチンが開発されたことから始まります。その後、1879 年にコレラのワクチン、1881 年に炭疽菌のワクチンが開発され、その後さまざまなワクチンが登場します。 天然痘はその感染力・致死率から恐れられた感染症ですが、ワクチンによって1980 年に根絶宣言がされました。また、牛などの家畜に感染する牛疫という感染症がありましたが、これも2011 年に根絶宣言がされました。 このように、ワクチンは感染症予防に大きな効果があります。 牛疫 : 最後の発生(2001 年)、根絶宣言(2011 年) ワクチンは感染症予防に大きな効果 役に立つ薬の情報~専門薬学
ワクチンの種類 生ワクチン 不活化ワクチン BCG 麻しんワクチン 風しんワクチン 水痘ワクチン ロタウイルスワクチン など インフルエンザワクチン Hib ワクチン HPV ワクチン など トキソイド 破傷風トキソイド よくあるQ & A Q. ワクチンを接種した後、次のワクチンはいつから打ってよいか 医療関係者の方はご存知の通り、ワクチンには生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイドの三種類があります。 よくあるQ&A としては「ワクチンを接種した後、次のワクチンはいつから打ってよいか」という質問があります。生ワクチンを接種した場合では、27 日以上あけて次のワクチンを打つ必要があります。不活化ワクチンを接種した後では、6 日以上あけます。 このように、ワクチンの種類によって次のワクチンを打つタイミングが変わってきます。特に乳幼児ではワクチンを打つ機会が多いため、ワクチンのスケジュール表に沿って、正しいタイミングでワクチンを接種することが大切です。 A. 生ワクチンを接種した後 27 日以上あける 不活化ワクチンを接種した後 6 日以上あける 役に立つ薬の情報~専門薬学
麻しんは理論上、天然痘と同じように撲滅可能 MR(麻しん・風しん)ワクチンの効果 健康小児に一回接種 効果の判定基準 予防に必要な抗体が 十分に作られている (陽性基準抗体価:8 倍) 中和法 HI 法 10 % 20 % 30 % 40 % 50 % 60 % 70 % 80 % 90 % 100 % 0 % 麻しん抗体 風しん抗体 MR ワクチンを 二回接種する理由 麻しん、風しんの 流行が減少 ・ ・ 先天性風疹 症候群の危険性 スライドには麻しんと風しんの混合ワクチンであるMR ワクチンの効果を示してあります。 効果の判定は、「予防に必要な抗体が十分に作られていること」を基準としています。健康小児にワクチンを一回接種した結果、麻しん・風しん両方とも90 %以上の効果があることがわかります。 なお、この麻しん・風しん混合ワクチンは二回接種する必要があります。この理由としては「麻しん・風しんの流行が減少し、普段の生活で病原菌に触れる機会が減ったこと」、「風しん感染症によって、赤ちゃんに先天的な異常をもたらす先天性風疹症候群の危険性があること」などがあります。 麻しんは「人のみに感染すること」、「有効なワクチンが存在すること」など、天然痘との共通点が多い病原菌です。そのため麻しんは理論上、天然痘と同じように撲滅可能な感染症です。 麻しんは理論上、天然痘と同じように撲滅可能 役に立つ薬の情報~専門薬学 MR ワクチン(麻しん・風しん混合ワクチン) インタビューフォーム
まとめ ① 感染症には三つの成立要因 病原菌 感染経路 感受性宿主 どれか一つでも防げば、感染症に罹らない ② 病原菌の種類によって、特徴が異なる 特徴が異なる例 感染経路 飛沫感染 : インフルエンザウイルス など 空気感染 : 結核菌 など 接触感染 : ノロウイルス など これまでの内容をまとめます。 一番目に、感染症には三つの成立要因があります。この要因としては「病原菌」、「感染経路」、「感受性宿主」があり、どれか一つでも防げば感染症に罹りません。 二番目としては、病原菌の種類によって特徴が異なる点です。例えば、感染経路を見てもインフルエンザは飛沫感染、結核菌は空気感染、ノロウイルスは接触感染と異なります。そのため、感染症によって予防策が異なることを確認して頂ければと思います。 感染症によって、予防策が異なる 役に立つ薬の情報~専門薬学
まとめ ③ うがい・手洗い、マスク、消毒薬が有効 予防したい感染症によって、マスクを使い分け 一般細菌の消毒では、どの消毒薬を使用しても良い 消毒薬は病原菌によって使い分ける必要も 例) インフルエンザウイルス : 消毒用エタノール ノロウイルス : 次亜塩素酸ナトリウム ④ ワクチンの活用 三番目に、うがい・手洗い、マスク、消毒薬があります。このとき、予防したい感染症によってマスクを使い分ける必要があります。 また一般細菌の消毒では、どの消毒薬を使用しても良いことを確認して頂きたいと思います。病原菌によって使い分ける必要がある例としては、消毒用エタノールを使用するインフルエンザウイルス、次亜塩素酸ナトリウムが多用されるノロウイルスなどがあります。 四番目としては、ワクチンの活用があります。これまでの歴史で、天然痘はワクチンによって撲滅されました。このように天然痘に限らず、ワクチンによって重篤な感染症を未然に防ぐことが可能となります。 天然痘はワクチンによって撲滅 重篤な感染症を未然に防ぐ 役に立つ薬の情報~専門薬学