富山県立大学短期大学部 環境システム工学科 奥川ゼミ

Slides:



Advertisements
Similar presentations
省エネ型有機性産業排水処理による水環境改善事業 【環境省 平成24年度アジア水環境改善モデル事業】
Advertisements

冷媒回路のしくみ<ヒートポンプを分解すると>
冷媒回路のしくみ<ヒートポンプを分解すると>
液体チッソ パートⅡ ‘07/01/31 kana.
1.ボイルの法則・シャルルの法則 2.ボイル・シャルルの法則 3.気体の状態方程式・実在気体
微粒子合成化学・講義 村松淳司 村松淳司.
環境表面科学講義 村松淳司 村松淳司.
高度生物処理システム(BBS) 環境改善と省エネルギー効果 ~バイオの力で地球を守る~ 環境事業部 大成企業株式会社
Electrospinning method
水処理工学(1) 水中の物質変化、水の汚れと富栄養化
嫌気性生物ろ床における排水からの窒素除去機構
一般社団法人火力原子力発電技術協会 船橋信之
化学的侵食 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
水の話 水分子の特徴 小さい分子なのに常温で液体 水(液体)から氷(固体)になると 体積が大きくなる。 電気陰性度が大きい原子は 分極
無機物質 金属元素 「金属イオンの分離」 3種類の金属イオン      をあてよう! 実験プリント 実験カード.
過マンガン酸カリウムと過酸化水素の反応 1.過マンガン酸イオンの反応式 MnO4-+8H++5e- → Mn2++4H2O -① (赤紫色) (無色) 2.過酸化水素の反応式 H2O2 → O2+2H++2e- -② (酸素発生) 3.①×2+②×5 2MnO4-+6H++5H2O2 → 2Mn2++8H2O+5O2.
大成企業株式会社 環境事業部 新活性汚泥技術研究会会員 〒 東京都府中市八幡町2-7-2
金箔にα線を照射して 通過するα線の軌跡を調べた ラザフォードの実験 ほとんどのα線は通過 小さい確率ながら跳ね返ったり、
活性化エネルギー.
NTS「ナノ・トリートメント・システム」
洗剤の適切な使用量とは ーー臨界ミセル濃度を調べるーー
公益財団法人 海洋生物環境研究所 研究参与 原 猛也
10 水環境(5)富栄養化 水の華(Water bloom) 赤潮 アメリカ カリフォルニア州 アオコ 神奈川 津久井湖.
緩衝作用.
固体電解コンデンサの耐電圧と漏れ電流 -アノード酸化皮膜の表面欠陥とカソード材料の接触界面-
「ピオロジェン(二酸化塩素)」のご案内 株式会社 富士テクノサービス
3)たんぱく質中に存在するアミノ酸のほとんどが(L-α-アミノ酸)である。
有害廃棄物管理棟(旧廃棄物管理施設) 指導教官: 町田 基(教授),天野 佳正(助教),鮫島 隆行(技官) 研究分野:
3.いろいろな気体.
科学的方法 1) 実験と観察を重ね多くの事実を知る 2) これらの事実に共通の事柄を記述する→法則 体積と圧力が反比例→ボイルの法則
化学的侵食 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
大気の構造とオゾン層             紫外線 酸素分子(O2)    →   オゾン(O3) オゾン層: 紫外線Bの 99%を吸収して熱に変える 20-40km 地表.
厨房内を衛生的にするために 厨房から汚い(不衛生な)場所をなくす グリストラップ内を綺麗に維持して、 厨房内の衛生維持管理のお手伝い
光触媒を用いた 効率的発生源対策技術の検討 金沢大学大学院 大気環境工学研究室 M1 吉田充宏.
第7回目 5月29日 平成30年度 環境浄化技術Ⅰ&衛生工学Ⅰ
水道施設のあらまし 浄水処理編 みんなでどうやって 水をきれいにするのか 学んでみましょう! 作成日 平成27年3月17日 改 訂
沈澱効率の向上策 ・沈殿池の表面積を増加させる ・Qを小さくする ・沈澱粒子の沈降速度を大きくする.
ボルタ電池 (-)Zn|H2SO4aq|Cu(+)
第5回目 5月15日 平成30年度 環境浄化技術Ⅰ&衛生工学Ⅰ 講義HP(今井担当):
早稲田大学理工学部 コンピュータネットワーク工学科 山崎研B4 大野遙平
微粒子合成化学・講義 村松淳司
緩衝液-buffer solution-.
IC/MS/MS法を用いた環境水及び水道水中のハロゲン酸分析法と 過塩素酸の検出
9 水環境(4)水質汚濁指標 環境基本法(水質汚濁防止法) ・人の健康の保護に関する環境基準 (健康26項目) 
9 水環境(4)水質汚濁指標 ・人の健康の保護に関する環境基準 (健康26項目) 環境基本法 地下水を含む全公共用水域について適用
静電気学会のプラズマ研究と 学会連携への期待
浄水処理過程で生成する臭素化消毒副生成物の濃度分布
22章以降 化学反応の速度 本章 ◎ 反応速度の定義とその測定方法の概観 ◎ 測定結果 ⇒ 反応速度は速度式という微分方程式で表現
化学的侵食 コンクリート工学研究室 岩城一郎.
汚 泥 減 量 装 置 BIPITTA SYSTEMのご説明 Presentation 株式会社エコ・クリエイティブ・ジャパン
「水道・下水道システムにおける設計製図 」
前のスライドの続き.
B A B S の ご 提 案 環境改善と省エネルギー効果 ~バイオの力で地球を守る~
平成30年度教員免許更新講習 小学校理科の実験講習 2.水溶液の性質.
大成企業株式会社 環境事業部 新活性汚泥技術研究会会員 〒 東京都府中市八幡町2-7-2
6.4.3電解法 (1)水溶液電解法 2種類: 直接法:板状の析出物→機械的に粉砕(Fe、Cr) *金属イオン濃度を低くする
環境表面科学講義 村松淳司 村松淳司.
1.細胞の構造と機能の理解 2.核,細胞膜,細胞内小器官の構造と機能の理解 3.細胞の機能,物質輸送の理解 4.細胞分裂過程の理解
モスハイジ成形品について.
化学1 第12回講義        玉置信之 反応速度、酸・塩基、酸化還元.
Z汚泥処理場BBS導入経過報告書 大成企業㈱環境事業部 平成30年3月.
(富大院 理工 劉 貴慶、米山嘉治、椿 範立) 多孔質セリウム化合物のテンプレート無し合成法と二酸化炭素吸着剤としての利用
日本エヌ・ユー・エス㈱ 勝山一朗 4. 海生生物対策技術の概要 日本エヌ・ユー・エス㈱ 勝山一朗
物質とエネルギーの変換 代謝 生物体を中心とした物質の変化      物質の合成、物質の分解 同化  複雑な物質を合成する反応 異化  物質を分解する反応 
彦 根 市 水 道 事 業 水 安 全 計 画 書 (概要版) 彦 根 市 上 下 水 道 部.
キャビテーションを応用した水質浄化方法に関する研究
フィルター利用 対象物は何か? 細胞をフィルターにかけるという従来技術は? どういった点で勝てそうか?夢ある応用は?
滋賀県立大学 工学部 材料科学科 金属材料研究室 B4 和田光平
ディーゼルエンジンについて 尾崎文香 基礎セミナー発表.
荷電粒子の物質中でのエネルギー損失と飛程
Presentation transcript:

富山県立大学短期大学部 環境システム工学科 奥川ゼミ ダ・ヴィンチ祭2005 リトル 模型でみる水処理ワールド 富山県立大学短期大学部 環境システム工学科 奥川ゼミ

生 物 処 理 微生物を付着、繁殖させた坦体に原水を接触させ、生物による酸化を利用した処理法。 水中のアンモニア性窒素や臭気などを除去する。 生  物  処  理 微生物を付着、繁殖させた坦体に原水を接触させ、生物による酸化を利用した処理法。 水中のアンモニア性窒素や臭気などを除去する。 生物接触ろ過方式、浸漬ろ床方式、回転円板方式などがある。

生物接触ろ過方式 接触槽内を粒状のろ材で満たし、原水を通過させるもので、ろ材表面に付着した生物膜と原水を接触させて浄化する方法。生物処理と同時に、ろ材と生物膜による物理的なろ過作用が加わった方法。 ろ材は微生物が付着しやすいセラミックやプラスチックで粒径2~8mmくらいが用いられる。 この方式の特徴は、必要とする面積を小さくできること及び洗浄排水を既存の設備の排水と一括で処理できることである。 原水 洗浄排水 ばっ気 空洗 処理水 逆洗 図.生物接触ろ過槽摸式図

浸漬ろ床方式 生物が付着しやすい物質を水中に浸し、表面に生物膜を形成させ、この働きでアンモニア性窒素などを除去する方法。 生物が付着しやすく有効面積が大きい物質としてハニコームがある。ハニコームは直径13~50mmの八角形の筒を、蜂の巣状に集合させたものである。 曝気を使わない水平方式と、曝気を行う垂直循環流方式がある。 構造が簡単で、接触槽内に駆動部分がないため、維持管理が容易である。 充填材 原水 処理水 排泥 図.浸漬ろ床槽模式図

回転円板方式 処理槽内で表面積の約40%が水没するように設計した円板をゆっくりと回転させ、円板に付着した生物膜の働きで原水中のアンモニア性窒素などを除去する方法である。 生物膜は空気と水に交互に接触し、水中では栄養を吸収し、空中では酸素を取り入れて酸化分解する。 この方式の特徴は、駆動方式が水面上にあり維持管理が容易であること、機械的手段などによる酸素補給を必要としないこと、目詰まりがなく洗浄の必要がないことなどである。 酸素 酸素 原水 処理水 図.回転円板方式模式図

酸 化 処 理 酸化処理にはオゾン、塩素、過マンガン酸カリウム、二酸化塩素、空気中の酸素などを用いる方法がある。 酸 化 処 理 酸化処理にはオゾン、塩素、過マンガン酸カリウム、二酸化塩素、空気中の酸素などを用いる方法がある。 この中からオゾン、塩素、二酸化塩素、空気(酸素)について説明する。

オゾン処理 オゾンを利用して水中の無機物及び有機物などの酸化や微生物の不活化を行う。塩素などの他の酸化剤に比べて強力な酸化力を持つ。 異臭味及び色度の除去、消毒副生成物の前駆物質の減少を目的としている。 この処理の特徴として、アンモニア性窒素と反応しないことが挙げられる。 排オゾン処理塔 空気冷却装置 オゾン発生器 排風機 ブロア 除湿機 空気源設備 オゾン発生設備 オゾン反応設備 排オゾン処理設備 図.オゾン処理フロー例

塩素処理 液化塩素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、生成次亜塩素酸ナトリウムを用いる。 殺藻、殺菌、ウィルスの不活化、有機物・無機物の酸化、異臭味の除去を目的としている。 多くの種類の副生成物ができる。また、緩速ろ過の前処理では用いることができない。 P

二酸化塩素処理 二酸化塩素を使用して水中の無機物及び有機物などを酸化する。 異臭味の除去、殺藻、殺菌、ウィルスの不活化に使用される。 この処理の特性は、アンモニア性窒素と反応せず、トリハロメタンなどの消毒副生成物の生成を抑制できることである。

エ ア レ ー シ ョ ン 空気と水を常時接触させて、水中の気化し易い汚染物質を水中から大気に放出するもの。 エ ア レ ー シ ョ ン 空気と水を常時接触させて、水中の気化し易い汚染物質を水中から大気に放出するもの。 空気中の酸素の酸化力を利用することもできる。酸化力は弱い。

瀑布式 段塔式 5~10m程度の水頭を利用し、瀑布(滝)状または階段状に水を落下させて曝気を行う。 階段状に塔内を落下させる方式で外見的には充填塔に似ているが、分散形式は異なる。

ノズル噴水式 固定または回転式のノズルにより霧状に噴水させる方式。 構造は単純で建設費が比較的安く、気体の圧力損失は少ない。 水の噴霧にかなりの動力を必要とし、水の飛沫が空気に同伴されることが欠点。

充填塔式 空気吹き込み式 塔内に充填材を入れ、原水と空気を接触させる方式。 構造が簡単で、圧力損失が小さい。気液接触効率も優れている。 曝気槽の底部から散気板(管)により空気を吹き込む方式。

回転噴射式 高速回転する羽根に対象水を衝突させ、霧状とし、空気と強制混合撹拌し、気液接触させる方法。 動力は必要とするが、装置は最もコンパクトである。

活 性 炭 処 理 活性炭の吸着力を利用して、通常の浄水処理では除去できない物質を除去するプロセス。 活  性  炭  処  理 活性炭の吸着力を利用して、通常の浄水処理では除去できない物質を除去するプロセス。 異臭味、色度や残留農薬などの微量有害有機成分、界面活性剤などの化学物質の除去に極めて有効である。 粉末活性炭処理、粒状活性炭処理、生物活性炭処理の3つの処理方法がある。

粉末活性炭処理 着水井などに粉末状の活性炭を投入して不純物を吸着させ、その後、凝集処理をして粉末活性炭を懸濁質として沈殿ろ過し、吸着された溶解性成分ともども除去する方法。

粒状活性炭処理 直径が0.5~2mmくらいの粒状活性炭を層状にし、砂ろ過池と同様に水を通して吸着を行う方法。

生物活性炭処理 活性炭の吸着力に加え、その上に成長した微生物による有機物分解作用により、活性炭の吸着能力を維持させ、再生までの期間を長くする処理方法。

イ オ ン 交 換 イオン交換能を有する物質(イオン交換体)のイオンと水中のイオンとを交換することにより、目的イオンを除去する方法。 イ  オ  ン  交  換 イオン交換能を有する物質(イオン交換体)のイオンと水中のイオンとを交換することにより、目的イオンを除去する方法。    イオン交換樹脂(イオン交換前)   イオン交換樹脂(イオン交換後) 原水 NO3-  Cl- Cl-   Cl-    NO3- NO3-           処理水 通 Cl- NO3- NO3-                        Cl-    水                            Cl-  NO3-        NO3-  Cl- Cl-        Cl- NO3- NO3- NO3-               Cl-    NO3- NO3- R Cl- Cl- R R R

膜 ろ 過 化学反応も相変化も伴わず圧力差よって、膜に水を通し、懸濁物質やコロイド、分子などを物理的に分離するプロセス。 膜    ろ    過 化学反応も相変化も伴わず圧力差よって、膜に水を通し、懸濁物質やコロイド、分子などを物理的に分離するプロセス。 分離対象物の大きさから分類され、大きいものから精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜に分類される。

精 密 ろ 過 (MF,micro-filtration) 膜には、0.01~10μm程度の孔径を用いる。浄水処理では0.1~0.3μm程度。 懸濁粒子、菌体の除去を目的として使用される。

限 外 ろ 過 (UF,ultra-filtration) コロイド、蛋白などの大きさのものを除去することが目的であり、これよりも小さい分子量の物質やイオンなどは分離できない。

ナ ノ ろ 過 (NF,nano-filtration) 限外ろ過膜と逆浸透膜の中間に位置する浸透膜を用いる。 分子量が最大数百程度までの低分子物質を対象としている。

逆   浸   透 水を通し、溶質を通さない半透膜の片側の被処理水に圧力を加えることにより、反対側に純水を得る方法。

緩  速  ろ  過 ろ過池に敷き詰めた砂層と、その砂層表面に増殖した微生物群(生物膜)によって水中の浮遊物質を捕捉し、溶解性物質を酸化分解することを利用したプロセス。 濁度やアンモニア性窒素、鉄、マンガン、臭気等の溶解性物質もある程度除去される。

緩速ろ過のフロー図 砂上水深 生物膜 原水 ろ過水 砂層 砂利層