4 時 限 目 第2章 機械・電気・計装設備の役割と維持管理 2.2  機械設備の役割と維持管理 2.2.1 ポンプ 2.2.2 ポンプ用電動機 2.2.3 バルブ類 2.2.4 水処理機械 2.2.5 薬品注入設備 2.2.6 紫外線処理設備 2.2.7 オゾン処理設備 2.2.8 活性炭吸着設備.

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4 時 限 目 第2章 機械・電気・計装設備の役割と維持管理 2.2  機械設備の役割と維持管理 2.2.1 ポンプ 2.2.2 ポンプ用電動機 2.2.3 バルブ類 2.2.4 水処理機械 2.2.5 薬品注入設備 2.2.6 紫外線処理設備 2.2.7 オゾン処理設備 2.2.8 活性炭吸着設備 2.2.9 排水処理設備 4時限目は,以下のようなカリキュラムで行います。 第2章 機械・電気・計装設備の役割と維持管理 2.2  機械設備の役割と維持管理 2.2.1 ポンプ 2.2.2 ポンプ用電動機 2.2.3 バルブ類 2.2.4 水処理機械 2.2.5 薬品注入設備 2.2.6 紫外線処理設備 2.2.7 オゾン処理設備 2.2.8 活性炭吸着設備 2.2.9 排水処理設備

2.2 機械設備の役割と維持管理 2.2.1 ポンプ 水道施設のポンプ設備には,取水ポンプ,導水ポンプ,浄水場内の各種ポンプ,送水ポンプ,配水ポンプなど多種多様なポンプが使用されています。 取水施設には、河川等の水源から原水を浄水場に取り入れる取水ポンプがあります。 浄水施設には、ろ過池の洗浄工程において逆流洗浄水や表面洗浄水を供給するためのポンプ、凝集処理・消毒処理において薬品を移送・注入するためのポンプ、浄水工程で発生した排水を排水処理施設に移送するためのポンプなどがあります。 配水施設には、浄水池等から別の配水池に送水するポンプ、直接給水区域に増圧配水するポンプがあります。 2

ポ ン プ の 分 類 分類 用途 ターボ形 遠心ポンプ ディフューザ式・渦巻式 斜流ポンプ 軸流ポンプ ディフューザ式 容量形 取水・送水・加圧設備 斜流ポンプ 軸流ポンプ ディフューザ式 容量形 往復動ポンプ ピストンポンプ 次亜塩素注入設備 プランジャポンプ 自家発電設備 ダイヤフラムポンプ 薬品注入設備 回転ポンプ 歯車ポンプ ねじポンプ 汚泥圧入用 特殊形 その他 渦流ポンプ、気泡ポンプ、水中ポンプ等 ポンプは,ターボ形,容量形等があります。 このうち最も一般的なのがターボ形です。 ターボ形は,羽根車の形状や水流方法によって,遠心ポンプ,斜流ポンプ,軸流ポンプに分類できます。 容量形は、往復動ポンプと回転ポンプがある。往復動ポンプには次亜塩素注入設備等で使用されているピストンポンプ等があります。 回転ポンプには、自家発電設備の油移送に使用されている歯車ポンプ等があります。 3

ターボ型ポンプの分類 分類 適用 揚程 (高さ) 口径 (水量) 遠心ポンプ 20~200m 20~2000mm 斜流ポンプ 5~60m ディフューザ式・渦巻式 20~200m 20~2000mm 斜流ポンプ 5~60m 150~5000mm 軸流ポンプ ディフューザ式 1~30m 300~6000mm ターボ形は,遠心ポンプ,斜流ポンプ,軸流ポンプに分類できます。 遠心ポンプは,羽根車からの吐出流が,主軸に対して垂直方向になるポンプであり,ターボ形ポンプのなかでも,最も一般的に用いられているポンプです。 斜流ポンプは,羽根車からの吐出流が主軸を中心線とする円錐面方向になるポンプです。 軸流ポンプは,羽根車からの吐出流が主軸方向になるポンプです。 遠心ポンプは高い場所まで送水できますが、送水量は少なくなります。 軸流ポンプは高い場所まで送水できませんが、送水量は多くなります。 斜流ポンプは遠心ポンプと軸流ポンプの中間的なポンプです。 遠心ポンプ 斜流ポンプ 軸流ポンプ 4

Ht(全揚程) =Ha(実揚程)+h吸 (吸込管損失)+h吐(吐出管損失) ポ ン プ の 揚 程 ポンプの能力は、どの高さまで送水できるかを示す「揚程」と、どれくらいの水量を送水できるかを示す「吐出量」で表すことができます。 まず、揚程については、第一配水池から第二配水池に送水する場合,全く損失がない状態なら,ポンプに必要な揚程は,第二配水池の最大水位から,第一配水池の最低水位を差し引いた高さHaになります。 これを実揚程といいます。 しかし、管路には必ず損失が存在する。このため、ポンプは損失分を実揚程に加算した揚程が必要になります。 こうしたことから、ポンプのHt(全揚程)は、 Ha(実揚程)とh吸 (吸込管損失)とh吐(吐出管損失)の合計値で示すことになります。 それから、「吐出量」については、送水するエリアの一日最大給水量等から算定することになります。 Ht(全揚程) =Ha(実揚程)+h吸 (吸込管損失)+h吐(吐出管損失) 5

ポ ン プ の 性 能 曲 線 H:揚程 仕様点 全揚程 吐出量 Q:水量 仕様点 ポンプのQ-Hカーブ 仕様点 Q-Hカーブ外側 当該ポンプでは不可能 ポンプのQ-Hカーブ 仕様点 Q-Hカーブ線上 当該ポンプが最適 全揚程 仕様点 Q-Hカーブ内側 当該ポンプでも可能 ポンプは,高い揚程を確保すれば,その分,吐出量が減少する。吐出量を多くすれば,揚程が減少します。 このため,ポンプの検討を進めるにあたっては,必要な吐出量と揚程の両方を満足する能力を備えたポンプを選定する必要があります。 図は,ポンプの吐出量に対する揚程を示したもので,Q-Hカーブと呼ばれている。設計上の吐出量と全揚程(これを仕様点と呼ぶ)が,Q-Hカーブ上にあれば最適です。 Q-Hカーブより内側であれば,選定したポンプは施設に適合していることになります。 もし,仕様点がQ-Hカーブの外側になる場合は,そのポンプは不適合になります。 吐出量 Q:水量 6

ポ ン プ の 構 造 ポンプは、ケーシング、羽根車、軸封、軸受、主軸、軸継手で構成されています。 このうちケーシングは,耐摩耗性と高い圧力に対する変形や振動に耐える強度が必要であり,材質としては,ねずみ鋳鉄(FC),球状黒鉛鋳鉄(FCD)などが使用されています。 また,水道用ポンプは,特に内面が腐食しないよう塗装に留意する必要があり,エポキシ樹脂塗料を塗布するのが一般的となっています。 7

ポ ン プ の 部 品 羽根車(インペラ) 主軸 軸継手(カップリング) 軸受(ベアリング等) 軸封(グランドパッキン等) グランドパッキンを 主軸に巻きつける 羽根車は,水流と圧力に対する変形や振動に耐える強度に加え,耐久性と耐食性が必要であり,材質としては,青銅(CAC),ステンレス鋼鋳鋼(SCS)などが使用されています。 羽根車は,外径を大きくすると吐出量も揚程も増大します。また,同じ外径の羽根車でも,回転数を速くすると吐出量も揚程も増大し,羽根車の数を多くすると揚程が高くなります。 主軸は,ねじれ,引張,曲げ応力に対する強度と耐食性が必要であり,材質としては,機械構造用炭素鋼鋼材(S××C),ステンレス鋼(SUS)などが使用されています。 軸継手は,ポンプ主軸と電動機軸の継ぎ手で、円盤同士をボルトにより接続するものです。 軸受は一般的にベアリングよばれています。 軸封装置は,液体がポンプの外部へ漏れることを防止するとともに,ポンプ内部へ空気が入ることを防ぐもので、一般にグランドパッキンを使います。 グランドパッキンは,潤滑剤を染込ませた綿,炭化繊維等を,断面が矩形型のリングに成形したもので,主軸とケーシングとの隙間に巻き付けて使用します。価格が安価であることから,一般的に用いられている軸封です。 主軸 主軸 軸受(ベアリング等) 軸封(グランドパッキン等) 8

2.2.2 電動機 電動機 ポンプ 電動機は,ポンプ等の機械に動力を供給する装置であり、回転子、固定子、外被で構成されています。 9

電動機の分類 かご形回転子 巻線形回転子 防滴保護形 全閉外扇形 電動機は,回転子の構造により,かご形と巻線形に分類されます。 また、異物や水に対する保護方式や冷却方式によっても分類されており,これらの組み合わせにより,形式が設けられています。 一般的には,防滴保護形,全閉外扇形を使用し,電動機からの発熱量を抑える必要があるときは全閉内冷形を使用します。 かご形回転子 巻線形回転子 防滴保護形 全閉外扇形 10

ポンプ電動機の出力 P=0.163γQH 揚程 ポンプのQ-Hカーブ 全揚程H 仕様点 水量 吐出量Q Q:吐出量(m3/min) 電動機の出力は,1kgの水を毎秒1m押し上げるために必要なエネルギーを基にしています。 このため、ポンプのところで説明した全揚程、吐出量に、比重、係数0.163を乗じ、ポンプ効率、余裕率を考慮したものが電動機出力になります。 Q:吐出量(m3/min) H:全揚程(m) γ(ガンマ):液体密度:水の場合は1 P:水動力(kW) ※電動機出力は水動力にポンプ効率、余裕率を加味して決定 11

起動方式の分類 かご形 巻線形 直入 スターデルタ リアクトル コンドルファ 出力 大 小 電動機は起動方式によっても分類できます。 かご形は,電源電圧を直接電動機に投入する直入方式が最もシンプルですが、これでは、始動時の電流が定格電流に比べ著しく大きいため,電動機に損傷を与えたり,電圧不足を発生させたりする可能性があります。 このため,出力に応じて、始動電流や始動トルクを抑える必要がある場合、始動方式を変更します。 電動機出力に応じて、スターデルタ方式,リアクトル方式,コンドルファ方式を選択するのが一般的です。 巻線形は,回転子巻線にスリップリングを介して二次抵抗を接続し,抵抗値を回転速度の上昇に伴い変化させることにより,電流をほぼ一定に制御することができます。 出力 大 小 12

吐出量と水圧・電力の関係 運転状況 水量 軸動力 ① 吐出弁 全閉 無送水 極小 ② 絞り運転 少 小 ③ 通常運転 通常 ④ H:水圧 損失曲線A ① 損失曲線B ② ③ ④ 損失曲線C 運転状況 水量 軸動力 ① 吐出弁 全閉 無送水 極小 ② 絞り運転 少 小 ③ 通常運転 通常 ④ 管路損失が極小の場合 多 過負荷 の可能性 Q-Hカーブ P:電力 Q-Pカーブ 最後にポンプについて吐出量と水圧、電力の関係を示します。 まず、①の状態。吐出弁を全閉にすると、水量はゼロになり、水圧は締切圧になり、最も高くなります。 水量ゼロということは電動機が全く仕事をしていないことになり、電力としては最も小さくなります。 次に、②の状態。吐出弁を絞って運転すると、水が送水されます。水量が増加するにつれ、水圧は減少し、電力は大きくなります。 次に、③の状態。吐出弁を全開にします。 水量は増加、水圧は減少し、電力は更に大きくなります。 ③の状態が通常運転になります。 最後に④の状態は、例えば、水の使用量が想定以上に増え、管路による損失が少なくなった場合などです。 この時、電力は通常よりも上昇し、電動機が過負荷になる可能性があります。 こうした事態が発生した場合、吐出弁を絞り込む必要があります。 ④ ③ ② ① 0 Q:吐出量 13

2.2.3 バルブ類 仕切弁(遮断) ソフトシール形仕切弁の特徴 ・弁箱底部がフラット ・弁体はゴムライニング ①弁棒を回転 2.2.3 バルブ類 仕切弁(遮断) ソフトシール形仕切弁の特徴 ・弁箱底部がフラット ・弁体はゴムライニング ・内外面ともにエポキシ樹脂粉体塗装 ①弁棒を回転 ②弁体中に弁棒が入りこむ ③弁体が上昇 弁棒 バルブは,弁体,弁箱,弁座,弁棒,操作部で構成されており,これら構成部品の構造により様々なバルブが存在します。 最も代表的なものが仕切弁です。 材質としては,鋳鉄,鋼,青銅製等があります。 仕切弁には,内ねじ式と外ねじ式があり、図は内ねじ式を示しています。弁体内にねじが切ってあり,弁棒が弁体内を出入りすることにより,弁体を上下させる機構になっています。 弁棒上端が動かないので,埋設用として有効です。 また、仕切弁は、現在、ソフトシール形が一般的です。 ソフトシール形は,①弁箱底部に溝がない構造となっており,従前の仕切弁のように異物が堆積しない,②弁体はゴムライニングを施しているため耐食性に優れている,③内外面ともにエポキシ樹脂粉体塗装なので耐食性に優れている等,多くの利点をもっています。 弁箱 従前の仕切弁 ソフトシール形仕切弁 弁体 14

バタフライ弁(遮断・流量調整) 全閉(遮断) 弁体が回転→開(流れる) 開度調整→流量調整 弁棒 ボルトナット 弁体 ゴム弁座 軸受 ※上部から見た場合 弁体 弁棒 ボルトナット 弁体 弁体が回転→開(流れる) バタフライ弁は,弁体が回転することによって開閉するバルブです。 先ほどの仕切弁同様、一般的なバルブです。 流量調整可能なバルブであり、止水性も良いため,仕切弁同様に遮断用バルブとしても多く使用されています。 材質は鋳鉄製や鋼製等があります。 開度調整→流量調整 ゴム弁座 軸受 ゴム弁座押え 15

その他のバルブ コーン弁(流量調整) 逆止弁 減圧弁(水圧調整) 空気弁(排気・給気) 安全弁(水圧調整) 緊急遮断弁 上室 下室 弁棒 駆動部 弁箱 弁体 弁棒 弁体 弁体 逆流時 逆流防止 自動で開閉 弁箱 コーン弁(流量調整) 逆止弁 減圧弁(水圧調整) 空気孔弁座 フローセンサー 錘 弁棒 仕切弁、バタフライ弁以外にも多種多様なバルブがあります。 例えば、流量調整に優れた「コーン弁」があります。 また、バルブには、ポンプの吐出管等の逆流を防止するための「逆止弁」、給水エリア内の水圧調整を行うための「減圧弁」、管路内に混入した空気の排気等に使用する「空気弁」、管路内の水圧が上昇した時に自動的に開放する「安全弁」があります。 また、地震発生時に配水管が折損した場合、過流量を検知して自動的にバルブを閉止して、配水池に飲料水を備蓄できる「緊急遮断弁」等もあります。 用途に応じて適切なバルブを選定することが重要です。 水圧上昇 ⇒排水 フロート 弁箱 弁体 弁箱 弁体 油圧シリンダ 空気弁(排気・給気) 安全弁(水圧調整) 緊急遮断弁 16

2.2.4 水処理機械 凝集沈澱池の概要 着水井 混和池 フロック 形成池 沈澱池 取水池 除塵設備 フラッシュミキサ フロキュレータ 2.2.4 水処理機械 凝集沈澱池の概要 着水井 混和池 フロック 形成池 沈澱池 排水処理施設へ 取水池 ゴミ 除塵設備 フラッシュミキサ フロキュレータ 汚泥掻寄機 撹拌設備 次は,水処理機械です。 水道施設で使用する水処理機械には,ゴミを除去するための除塵設備やフロックを形成するための撹拌設備(フラッシュミキサ,フロキュレータ等),沈澱池に堆積した汚泥を除去するための汚泥掻寄機などがあります。 水処理機械は,浄水処理を適正に行うために必要な設備であり,送配水ポンプや薬品注入設備と同様,適切に管理する必要があります。

除 塵 設 備 断面のイメージ 正面のイメージ レーキ スクリーン ゴミはベルトコンベアへ レーキが回転して, ベルトコンベア ゴミをかき揚げる。 ベルトコンベア (ホッパーへ) 水の流れる方向 断面のイメージ 正面のイメージ レーキ 除塵設備は,原水に含まれるゴミ・木片・藻類などを浄水処理施設に入る前に除去するための設備です。 除塵設備には図に示すようなスクリーンに付着したゴミをレーキで掻き揚げる方式のレーキ式と,スクリーン自体が回転しゴミを除去するロータリースクリーン方式があります。 除去されたゴミはベルトコンベアで,ホッパーに移送され処分されます。 スクリーン 18

撹 拌 設 備 フラッシュミキサ (混和池) フロキュレータ (フロック形成池) 撹拌設備には急速攪拌のためのフラッシュミキサや,緩速撹拌のためのフロキュレータがあります。 フラッシュミキサの代わりに急速攪拌ポンプを利用することもあります。 故障などにより撹拌機が停止すると,フロック形成が不十分となり処理水質に影響が出ます。 フラッシュミキサ (混和池) フロキュレータ (フロック形成池)

リンクベルト式 汚泥掻寄機 排泥池へ ホッパ (汚泥集めて 一定間隔で引き抜く) 沈澱した汚泥を掻き寄せる リンクベルト式 汚泥掻寄機 沈澱した汚泥を掻き寄せる ホッパ (汚泥集めて 一定間隔で引き抜く) 排泥池へ 汚泥搔寄機は,沈殿池に堆積したフロックをホッパに集めるための設備です。 沈澱池の形状によって,何種類かの汚泥搔寄機が使われます。 図に示しているのは,リンクベルト式汚泥搔寄機で,これは掻寄板を連続してゆっくり動かし,汚泥をホッパに掻き寄せるものです。 汚泥搔き寄せ機は,移動速度が速いと堆積した汚泥を巻き上げてしまうので,巻き揚げない程度にゆっくりと動かす必要があります。

ミーダ式 汚泥掻寄機 戻るときは掻寄板を 掻寄板で 水面に上げて移動 汚泥を集める 掻寄板 沈澱した汚泥を掻き寄せる ミーダ式 汚泥掻寄機 沈澱した汚泥を掻き寄せる 戻るときは掻寄板を 水面に上げて移動 掻寄板で 汚泥を集める 掻寄板 次に示すのは,ミーダ形汚泥搔き寄せ機と呼ばれるもので,クラリファイヤとも呼ばれます。 この搔き寄せ機は,沈澱池の末端から掻き寄せ板を下ろして沈澱池入口まで汚泥を搔き寄せて,入口に到達すると,搔き寄せ板を水上に上げて,沈澱池末端まで戻ります。 クラリファイヤは通常1日1回や2日に1回など,連続ではなく間欠的に動きます。 汚泥搔き寄せ機には,このほかに,水中けん引式や,モノレール式,回転式などがあります。

2.2.5 薬品注入設備 薬品注入設備の注入方式 電磁流量計・調節弁方式 計量注入ポンプ方式 ・自然流下による注入方式 ・シンプルな構成で保守管理が容易 ・注入量の制御は流量調節弁の開度調整により行う。 電磁流量計・調節弁方式 計量注入ポンプ方式 ・ポンプのストローク長やその頻度を注入量とみなす方式 ・薬品を注入点にそのまま注入 ・液中ポンプ,ダイヤフラムポンプ,一軸ねじ式ポンプなど ① 電磁流量計・調節弁方式 薬品貯蔵槽と注入点の高低差を利用した自然流下による注入方式であり,機械的機構を持たないため,保守管理面において優位でシンプルな構成です。注入量の制御は電磁流量計で流量を計測し流量調節弁の開度調整により行います。 ② 計量ポンプ方式 計量注入ポンプのストローク長やその頻度を注入量とみなす方式や,一軸ねじ式ポンプなどの回転速度を演算して注入量とみなす方式で,薬品を注入点にそのまま注入します。 計量注入ポンプは液中ポンプ,ダイヤフラムポンプ,一軸ねじ式ポンプなどがあります。 計量注入ポンプ方式 22

薬品注入設備の種類 調節弁類 薬品貯蔵槽 ・薬品貯蔵槽はタンクローリで受け入れた薬品を備蓄するために用いる。 ・他に,万一漏洩した場合に備えるための防液堤,中和装置,廃液貯留槽等がある。 ①調節弁類 調節弁は,流量計と組み合わせて薬品の注入量を調節するために用います。 調節弁の駆動部は計器から信号を受けて,その信号の変化量に応じてインナーバルブを上下させて弁開度を調節し,注入量(流量)を調節します。 ②薬品貯蔵槽 薬品貯蔵槽はタンクローリで受け入れた薬品を備蓄するために用います。薬品貯蔵槽の材質は,コンクリート製,鋼製,ステンレス製,プラスチック製(FRP)などがあります。 薬品貯蔵槽の他には,万一漏洩した場合に備えるための防液堤,中和装置,廃液貯留槽等があります。 硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウムは腐食性が高いため,耐酸用のライニングを施すかFRP製の薬品貯蔵槽が用いられています。 硫酸等の酸剤の貯蔵設備は耐食性の高い材料を使用し,空気中の水分を吸収して鋼材などの腐食が生じないよう槽内の乾燥を保つための対策を施す必要があります。 アルカリ剤のうちカセイソーダは「毒物及び劇物取締法」により劇物指定を受けています。 紛失,盗難,飛散,漏液しないように注意が必要です。カセイソーダは,空気中の二酸化炭素を吸収して質が劣化するため,タンクは密閉式とします。 ・調節弁の駆動部は流量計から信号を受けて,インナーバルブを上下させて弁開度を調節し,注入量を調節 23

次亜塩素酸ナトリウム注入設備の配置例 前次亜注入設備(1系) 前次亜注入設備(2系) 送水流入 (他浄水場より) 10m3 10m3 前次亜注入設備(2系) 10m3 沈澱池 急速攪拌槽 10m3 ※1m3 =1,000L 1,000L 沈澱池 急速攪拌槽 浄水施設には,施設規模や浄水方式を問わず必ず消毒設備を設けることとなっています。注入設備は末端の給水栓まで消毒効果を保つための設備であり,浄水処理工程や配水工程で注入を行います。 急速ろ過方式における塩素注入設備は,前塩素注入設備,中間塩素注入設備,後塩素注入設備があります。 また,配水施設の各所に追加塩素消毒設備を設け,給水エリア毎にきめ細かな塩素注入を行うことで,残留塩素濃度を抑えた「安全でおいしい水」を提供できます。 沈澱集合 処理水渠 ろ過水渠 24

薬品注入設備の維持管理 酸剤・塩素消毒剤 液体水酸化ナトリウム カセイソーダ ・ほとんどの金属を腐食させる強い酸化作用があり、腐食により配管から漏洩することがある。 カセイソーダ ・48%水溶液は10℃以下で固化することがある。 薬品注入設備で使用する薬品は,強い酸性又はアルカリ性であるため,薬品の性質に応じた維持管理が必要となります。 維持管理は,定期的に消耗部品の交換や,結晶化した薬品の除去を目的とした分解清掃を行い,また,計器の表示量と実際の注入量に誤差が無いかを確認しておく必要があります。 さらに,点検整備中に注入を停止できない施設については,予備機や予備配管を設置しておくことが望ましいです。 (1)維持管理における基本的事項 ア)薬品貯蔵槽,配管等 ① 配管・弁類,貯蔵槽の状態を確認します。(劣化,漏れ,つまりなど) ② ストレーナを定期的に清掃します。 ③ 貯蔵槽内部を定期的に点検整備します。 ④ 受け入れ時は受け入れ量と液位の確認を行います。 ⑤ 薬品注入配管は,管外面の劣化状況及び継手部からの漏液の有無などを,定期的に調査します。 酸剤・塩素消毒剤 ・ほとんどの金属を腐食させる強い酸化作用があり、腐食により配管から漏洩することがあります。 液体水酸化ナトリウム(カセイソーダ) ・48%水溶液は10℃以下で固化することがあります。 ・希釈する場合や酸を中和する場合は,発熱を伴うので,攪拌しながら水酸化ナトリウム液を徐々に加えます。 ・水酸化ナトリウムの濃厚溶液に水や酸を加えると,突沸をおこす恐れがあり極めて危険であります。 25

Q&A(おいしい水の要件) おいしい水の水質要件(抜粋) 水 質 項 目 数 値 説 明 残留塩素 0.4 mg/L以下 数 値 説  明 残留塩素 0.4 mg/L以下 ・水道水中に残留している,消毒用塩素 ・衛生上,水道水は塩素が0.1mg/L以上残留していなければならない ・残留塩素の濃度が高すぎると,「カルキ臭」の原因となる。 水 温 最高20℃ 以下 ・冷たい水は,生理的においしいと感じる。 ・水を冷やすとカルキ臭などのにおいが気にならなくなるため,水をおいしく飲むことができる。 臭気強度 3以下 ・水についているにおいの強さを表す。 ・カビ臭や藻臭など,水に不快なにおいが付いていると,まずく感じる。 1984年、当時の厚生省(現・厚生労働省)は『おいしい水研究会』を発足させ,全国の水道水の水質や水に含まれる成分などから、「おいしい水」とはなにかを検討しました。 水道水中に残留する塩素は,水にいわゆるカルキ臭を与えます。わずかな残留塩素は,一般にはあまり気になりませんが,濃度の高い場合には水の味をまずくし,特に,緑茶の味を悪くします。 また,原水中に含まれている物質と結びついて,塩素臭を強めたり,特に不快なにおいを付けたりすることがあります。 おいしさを感じる条件は,味だけではなく,「におい」も大きな要素です。 また,天候や温度など,水を飲むときの条件も影響を与えます。 「おいしい水研究会」(厚生省)が示した水質要件の抜粋は,表の通りです。 26

2.2.6 紫外線処理設備 紫外線処理設備の役割 耐塩素性病原生物であるクリプトスポリジウムやジアルジア等の不活化を目的に使用する。 2.2.6 紫外線処理設備 紫外線処理設備の役割  耐塩素性病原生物であるクリプトスポリジウムやジアルジア等の不活化を目的に使用する。 紫外線処理設備 紫外線処理設備の役割です。 水道法で消毒は塩素に限られていることから、紫外線処理を単独で消毒に適用することはできませんが、我が国では主に耐塩素性病原生物であるクリプトスポリジウムやジアルジア等の不活化を目的に使用されます。 敷地面積が小さくできるなど,建設費及び維持管理費は,一般のろ過施設(急速ろ過,緩速ろ過,膜ろ過等)と比較して安価です。 また,薬品等の物質を添加しない(ただし,処理後の次亜注入は必要)ので,残留物がなく新たな耐性菌を作り出しません。 運転監視については,紫外線強度計等の計測機器を設置することにより,自動運転,連続処理が可能です。 27

紫外線処理設備の概要 (1)紫外線処理設備の構成 ① 紫外線照射槽 ② 付帯制御盤 紫外線処理設備の構成 制御盤 紫外線照射槽 紫外線処理設備の概要です。 (1)紫外線処理設備の構成 紫外線処理設備は,紫外線照射槽と付帯制御盤とで構成されます。 紫外線照射槽とは,紫外線ランプ,ランプスリーブ(保護管),自動洗浄装置,紫外線強度計などを組み込んだものです。 一方,付属制御盤は制御用電気機器やランプ安定器等を装備したものであり,ランプ点灯や異常検知等の運転機能管理が行われます。 紫外線処理設備の構成 28

(2)紫外線照射槽の構造 紫外線照射槽の構造例 水の流れ 水の流れ 紫外線照射装置 ランプスリーブ 自動洗浄機構 紫外線ランプ (2)紫外線照射槽 ア)紫外線照射槽の構造 紫外線照射槽とは,紫外線照射における一定の機能を保持できるよう機材をハウジングに装填して一体化したものです。 水流に変動が生じないようにし,所定の滞留時間が得られるような構造となっています。 イ)ランプ (次のページで詳細を説明します。) ウ)ランプスリーブ ランプスリーブは,紫外線ランプを破損から保護し,最適な動作温度を保つためのものです。 エ)自動洗浄装置 ランプスリーブ外面には,主に水に含まれる硬度成分や金属イオンが原因となってスケールが付着するため,洗浄によって定期的に除去する必要があります。 洗浄にはオフライン薬品洗浄とオンライン機械洗浄があり,自動洗浄とすることが望ましいです。 オ)紫外線強度計(紫外線モニター) 紫外線強度計は,照射槽内の紫外線強度を測定する感光検出器であり,照射槽内の特定位置の紫外線強度を監視することで,不括化のために有効な照射量を常時確保するためのものです。 カ)温度計 紫外線照射槽には,発熱及び紫外線強度の監視を目的として,常時水温等を測定する温度計を設置することが望ましく,異常が発生した場合には,紫外線照射設備を速やかに停止し状況を確認することが求められます。 洗浄用モニター 29

紫外線ランプの種類 項 目 低圧紫外線ランプ 中圧紫外線ランプ 波長 単色光(253.7nm) 多色光(253.7nm含む)  紫外線ランプの種類 項  目 低圧紫外線ランプ 中圧紫外線ランプ 波長 単色光(253.7nm) 多色光(253.7nm含む) 点灯時の水銀蒸気圧 1~10Pa程度 4~400kPa程度 動作温度 40~200℃ 600~900℃ 電気入力 0.4~10W/cm 50~250W/cm 殺菌に有効な紫外線出力 0.15~3.5W/cm 5~30W/cm 電力から不括化に有効な光への変換効率 20~40% 10~20% アーク長 10~150cm 5~120cm ランプ本数 多い 少ない ランプ寿命 8,000~12,000時間 4,000~8,000時間 紫外線ランプの種類です 紫外線消毒に用いられる紫外線ランプは,紫外線照射槽に内装されます。 ランプ内部には,アルゴンやネオンなどの不活性な希ガスとともに水銀が封入されており,電極から発せられた電子線が水銀蒸気に当たり,電子の運動エネルギーが光エネルギーに変換されて紫外線を放射します。 ランプ内への水銀蒸気の封入圧の違いによって低圧,中圧に分類され,封入圧が異なると発生する紫外線の波長分布に違いが生じます。 浄水の消毒には,一般的に低圧水銀ランプ,中圧水銀ランプが使用されます。 30

(3)付属制御盤内機器 (4)運用上の留意点 3)維持管理上の留意点 ア)紫外線照射量 イ)対象水の水質 ウ)紫外線強度のモニタリングなど エ)臭素酸の生成への配慮 3)維持管理上の留意点 (1)紫外線強度 (2)流量 (3)運転時間 (4)水温 (3)付属制御盤内機器 ◇安定器 低圧紫外線ランプや中圧紫外線ランプの放電は,電流が増えると電圧が下がる負性抵抗を示すため,放電を安定させるために安定器を用います。 (4)運用上の留意点 ア)紫外線照射量 紫外線照射槽を通過する水量の95%以上に対し,波長253.7nm付近の紫外線の照射量を常時10mJ/cm2(照射強度(mW/cm2)×照射時間(s))以上とします。 低圧紫外線ランプから発生する紫外線10mJ/cm2を水に照射することにより,水中のクリプトスポリジウムを99.9%不活化できます。 また,紫外線5mJ/cm2では,その水中のジアルジアを99%不活化できます。 イ)対象水の水質 濁度2度以下,色度5度以下に保つようにする。紫外線(波長253.7nm付近)の透過率は75%を超えるようにする(紫外線吸光度が0.125abs/10mm未満)。 ウ)紫外線強度のモニタリングなど 十分に紫外線が照射されていることを常時確認可能な紫外線強度計を設置します。 また,原水の濁度を常時測定可能な濁度計を設置します。 エ)臭素酸の生成への配慮 臭化物イオンと残留塩素が存在する水に紫外線を照射した場合,臭素酸の生成が促進される可能性があります。 臭素酸の生成は,臭化物イオンや残留塩素濃度が高く,紫外線照射量が多く,また,水温が高くなる場合に促進されると考えられます。 このため,塩素注入の後段に紫外線処理の設備を導入しようとする場合,実験等によって臭素酸生成量,処理対象水中の臭化物イオンの存在状況等を把握する必要があります。 3)維持管理上の留意点 (1)紫外線強度 紫外線強度計の測定値をチェックし,所定の照射量が確保されているかを確認,記録します。 (2)流量 紫外線照射装置に設計流量以上の処理水を流すと所定の処理性能が得られないため,適正流量であるかを確認,記録します。 (3)運転時間 紫外線ランプは点灯時間の経過とともに紫外線強度が低下します。 ランプには寿命があり,これを超えて使用すると所定の処理性能を得ることができない恐れがあるため,ランプの点灯積算時間を確認,記録します。複数のランプを使用している装置においては,各々のランプについて実施します。 (4)水温 紫外線照射槽には、発熱及び紫外線強度の監視を目的として、常時水温等を測定する温度計を設置することが望ましく、設計水温の範囲を超えた場合は紫外線照射装置を速やかに停止して装置の状態を確認します。 31

2.2.7 オゾン処理設備 1)オゾン処理設備の役割 オゾン処理設備の導入目的 特 徴 ①臭気の除去 ②色度の除去 2.2.7 オゾン処理設備 1)オゾン処理設備の役割 オゾン処理設備の導入目的 ①臭気の除去 ②色度の除去 ③トリハロメタン前駆物質の低減 特 徴 ①原則としてオゾン処理には粒状活性炭(生物活性炭)を後段に設置する。 ②鉄、マンガン、有機物等を酸化するため、塩素要求量を減少させる。 ③微生物に作用して強い不活化力を持つ。 ④水中の有機物や臭化物イオンと反応して副生成物を生成する。 ⑤設備の使用材料は高い耐食性が必要である。 ・オゾン処理は、臭気の除去、色度の除去、トリハロメタン等消毒副生成物の前駆物質の低減対策として主に導入されます。 ・原則としてオゾン処理には粒状活性炭を後段に設置しなければならず、粒状活性炭だけでは目的とする処理対象物質が目標値まで処理できない場合に採用されます。 ・オゾン処理は異臭味、色度除去に優れた効果を発揮し、有機物の生物分解性を向上させ後段の粒状活性炭処理(生物活性炭)と合わせて、有機物の除去性を向上させます。 ・塩素注入に先立ってオゾンを注入すれば鉄、マンガン、有機物等を酸化するため、塩素要求量を減少させます。 ・微生物に作用して強い不活化力を持ちます。 ・水中の有機物や臭化物イオンと反応して副生成物を生成します。 ・設備の使用材料には高い耐食性が必要です。 32

2)オゾン処理設備の概要 浄水処理で多く用いられる空気原料によるオゾン処理設備は,原料ガス装置,オゾン発生装置,接触槽,排オゾン処理装置などで構成されている。 オゾン処理設備機器の配置図 空気 2)オゾン処理設備の概要 浄水処理で多く用いられる空気原料によるオゾン処理設備は,図の左からブロワと除湿機からなる原料ガス装置,オゾン発生装置,接触槽,排オゾン処理装置などで構成されています。 オゾンの原料となるガス装置には,空気法,購入純酸素法,発生純酸素法,酸素富化空気法があります。 ここでは空気法について示します。 33

オ ゾ ン 処 理 設 備 の 構 成 オゾン処理設備は,以下の設備で構成される。 ①空気源設備 ②オゾン発生設備 ①空気源設備      ②オゾン発生設備 ③オゾン反応設備    ④排オゾン処理設備 オゾン処理設備フロー オゾン処理設備は,以下の設備で構成されます。 ①空気源設備 ②オゾン発生設備 ③オゾン反応設備 ④排オゾン処理設備

(1)原料ガス装置(空気源設備) 加熱再生型除湿機 空気源ブロワ 原料ガス装置はオゾン発生器へ安定した乾燥空気(露点-60 度以下)を連続的に供給するもので一般的には空気源ブロワ,空気冷却装置及び加熱再生形の除湿装置を用いた方式が中・大容量オゾン処理に使用されている。 1)原料ガス装置 原料ガス装置はオゾン発生器へ安定した乾燥空気(露点-60度以下)を連続的に供給するもので一般的には空気源ブロワ,空気冷却装置及び加熱再生形の除湿装置を用いた方式が中・大容量オゾン処理に使用されています。 ア)空気原料用ブロワ オゾン発生に必要な,風量並びに圧力を供給します。写真は空気原料用ブロワの例(ルーツ式)の全景の写真です。 イ)加熱再生形除湿機  湿気を含む空気を発生器内に送ると,故障の原因となるため,原料空気を乾燥させる。原料用の空気を吸着性能の良い吸着剤を充填した除湿筒の中を通過させ原料空気中の水蒸気を吸着剤の微細な穴に吸着させ,除湿させる。吸湿した吸着剤は,自動的にヒーターで加熱した熱風で乾燥させて再使用する。このほか,ヒーターを使用せずに乾燥空気で吸着剤を乾燥させるものもある。 加熱再生型除湿機 空気源ブロワ 35

(2)オゾン発生器 オゾン発生器外観 オゾン発生器内部 (2)オゾン発生器 放電管と接地管の隙間に高電圧を印加し無声放電を行い,この放電を行っている隙間に酸素(空気中の酸素)を通すことによりオゾンを発生させます。 オゾン発生器は電源装置,冷却装置及びオゾン発生器本体で構成され通常は無声放電方式が採用されています。 本体は写真に示すように放電管と接地管(本体)で構成されており,放電管が多数取り付けられています。 オゾン発生器内部 36

(3)オゾン接触槽 オゾン接触槽は,オゾンを混和・接触させる接触槽と反応をさらに進める滞留槽で構成される。接触方式には散気管方式,下方注入方式等がある。 (3)オゾン接触槽 オゾン接触槽は,オゾンを混和・接触させる接触槽と反応をさらに進める滞留槽で構成されます。 接触方式には,ディフューザ方式,下方注入方式等があります。 ディフューザ方式接触槽 下方注入方式接触槽 37

(4)排オゾン処理装置 ①オゾン接触槽内の溶解しきれなかった,オゾンを排オゾン装置により取り除き大気へ放出する。 ②活性炭法による装置は,活性炭を内蔵する分解塔,排風機等で構成され,定期的に活性炭の補充又は交換を行う。 (2)排オゾン処理設備 オゾン接触槽内の溶解しきれなかった,オゾンを排オゾン装置により取り除き大気へ放出します。 排オゾン処理装置は,活性炭分解法と触媒分解法及びその併用したものが使用されています。 活性炭法による装置は,活性炭を内蔵する充填塔,排風機等で構成され,定期的に活性炭の補充又は交換を行います。 触媒法による装置は,マンガン等の触媒を内蔵する充填塔,ミストセパレータ(排オゾンには湿気が多く含まれるため湿気を取り除く),加熱ヒーター(触媒の活性を確保するため加温する),排風機等で構成されます。 図は活性炭と触媒を組み合わせた例で,充填塔の下部に触媒,上部に活性炭を充填しています。 排オゾン処理装置の機器構成図 排オゾン処理装置 38

点 検 時 の 留 意 点 ◯原料ガス装置 ◯加熱再生形除湿機 ①吐出圧や,振動,異音,本体の温度に注意する。 ②潤滑油の劣化状況やVベルト張り具合などを定期的に点検整備する。 ③水冷式の場合は冷却水量を確認する。 ◯加熱再生形除湿機 ①吸着剤は加熱・冷却が繰り返し行われるため運転の継続に伴い劣化し除湿性能が低下するので,定期的に吸着剤を交換し所定の露点を確保する。 ②外観,振動,異音,異臭,原料空気の温度,圧力などを確認 ③加熱再生用のブロワの潤滑油,除湿再生工程の切り替え確認 ④露点の確認 点検時の留意点です。 原料ガス装置は,以下のとおりです。 ①吐出圧や,振動,異音,本体の温度に注意します。 ②潤滑油の劣化状況やVベルト張り具合などを定期的に点検整備します。 ③水冷式の場合は冷却水量を確認します。 加熱再生形除湿機 ①吸着剤は加熱・冷却が繰り返し行われるため運転の継続に伴い劣化し除湿性能が低下するので,定期的に吸着剤を交換し所定の露点を確保します。 ②外観,振動,異音,異臭,原料空気の温度,圧力などを確認します。 ③加熱再生用のブロワの潤滑油,除湿再生工程の切り替え確認します。 ④露点の確認します。 39

点 検 時 の 留 意 点 オゾン発生器 ①放電管には保護ヒューズが取り付けられており,万が一放電管が破損した場合は放電管の電源が切れる。点検窓より放電状態を目視点検することでも確認できる。 ②発生器などを設置している所ではオゾンが漏洩していないか確認する。 ③オゾン化空気量の指示値の確認 ④発生器本体内部にオゾンガスが残っている場合は点検窓などの分解は行わない。 ⑤オゾン発生器の点検や清掃は誤って放電管を破損する恐れがあるため取り扱いには注意が必要。 ⑥冷却水の交換等は定期的に行い,水量の点検も実施する。 オゾン発生器での留意点は、以下のとおりです。 ①放電管には保護ヒューズが取り付けられており,万が一放電管が破損した場合は放電管の電源が切れます。点検窓より放電状態を目視点検することでも確認できます。 ②発生器などを設置している所ではオゾンが漏洩していないか確認します。 ③オゾン化空気量の指示値の確認します。 ④発生器本体内部にオゾンガスが残っている場合は点検窓などの分解は行わない。 ⑤オゾン発生器の点検や清掃は誤って放電管を破損する恐れがあるため取り扱いには注意が必要です。 ⑥冷却水の交換等は定期的に行い,水量の点検も実施します。 40

点 検 時 の 留 意 点 オゾン接触槽 散気管の目詰まり状況 ①オゾン接触槽の内部点検時には,オゾン発生器を停止後一定時間,オゾンを発生せず原料空気を送り,オゾンガスと原料ガス(空気又は酸素)と置き換えるパージ運転を行う。 ②パージ運転は,接触槽内が正圧や負圧となっているため残圧が無いことを確認してから点検口の開放を行う。 ③散気管の目詰り状態を確認しその状況によっては,交換又は薬品洗浄を行う。 ④オゾンは酸化力が強いことから槽内のコンクリート劣化状態や配管の状態などの点検を行う。 オゾン接触槽は、以下のとおりです。 ①オゾン接触槽の内部点検時には,オゾン発生器を停止後一定時間,オゾンを発生せず原料空気を送り,オゾンガスと原料ガス(空気又は酸素)と置き換えるパージ運転を行います。 ②パージ運転は接触槽内が正圧や負圧となっているため残圧が無いことを確認してから点検口の開放を行います。 ③散気管の目詰り状態を確認しその状況によっては,交換又は薬品洗浄を行います。 写真は,散気管の目詰りしたものと新品です。 ④オゾンは酸化力が強いことから槽内のコンクリート劣化状態や配管の状態などの点検を行う。 ※詳細は水道維持管理指針2006 P632~634参照 散気管の目詰まり状況 41

点 検 時 の 留 意 点 排オゾン処理装置 排オゾン処理内部 触 媒 ①内部の点検は,オゾン発生器同様に十分パージ運転を行いオゾンの残留をなくしてから作業する。 ②ミストセパレーターは,メッシュ部及びドレンタンク部に汚れや付着物が堆積するため,定期的な点検清掃を行う。 ③加温用ヒーターは,外観点検,絶縁抵抗の測定を行い,必要に応じて交換する。 ④充填塔の活性炭や触媒能力が低下した場合は,速やかに交換する。 ⑤活性炭は,オゾンと接触していると灰化(オゾンにより徐々に燃焼し灰となる)することで,白っぽくなることから,点検窓でも劣化状態が確認できる。 排オゾン処理装置は、以下のとおりです。 ①内部の点検はオゾン発生器同様に十分パージ運転を行いオゾンの残留をなくしてから作業します。 ②ミストセパレーターはメッシュ部及びドレンタンク部に汚れや付着物が堆積するため,定期的な点検清掃を行います。 ③加温用ヒーターは外観点検,絶縁抵抗の測定を行い必要に応じて交換します。 ④充填塔の活性炭や触媒能力が低下した場合は速やかに交換します。 ⑤活性炭はオゾンと接触していると灰化(オゾンにより徐々に燃焼し灰となる)することで,白っぽくなることから,点検窓でも劣化状態が確認できます。 写真は,分解塔内の活性炭と触媒です。 排オゾン処理内部 触 媒 42

2.2.8 活性炭吸着設備 通常の浄水処理で除去出来ない物質の除去 ①異臭味原因物質(ジェオスミン,2-MIB) ②陰イオン界面活性剤 2.2.8 活性炭吸着設備 通常の浄水処理で除去出来ない物質の除去 ①異臭味原因物質(ジェオスミン,2-MIB) ②陰イオン界面活性剤 ③フェノール類 ④トリハロメタンの前駆物質 ⑤トリクロロエチレン等の低沸点有機塩素化合物 ⑥農薬などの微量有害物質 ⑦水源域での事故等による一時的に混入する化学物質 ⑧その他の有機物等 活性炭吸着設備は、凝集,沈澱,砂ろ過という通常の浄水処理で除去できない、 ・異臭味原因物質(2ーMIBジェオスミン) ・陰イオン界面活性剤 ・フェノール類 ・トリハロメタンの前駆物質 ・トリクロロエチレン等の低沸点有機塩素化合物 ・農薬などの微量有害物質 ・水源域での事故などによる一時的に混入する化学物質 ・その他の有機物等 の除去を目的として適用されます。 粉末活性炭処理は、通常凝集処理の前に注入し、混和、接触させることによって吸着処理行うので、処理後活性炭は凝集沈殿及び砂ろ過により除去されます。 43

活性炭吸着設備概要 粉末活性炭注入設備の機器構成図 乾式 湿式 2)活性炭吸着概要 活性炭はその形状から,粉末活性炭と粒状活性炭に分けられます。 粉末,粒状活性炭は処理形態によって使い分けられますが活性炭としての物性,吸着機構は同様です。 応急的,あるいは短期間使用の場合は粉末活性炭処理が適し,年間連続あるいは比較的長期間使用の場合は,粒状活性炭処理の方が経済的です。 粉末活性炭と粒状活性炭は使用目的や処理期間によって維持管理,経済性が異なります。 粉末活性炭吸着設備の注入方式には,粉末のまま計量,注入する乾式と一定濃度のスラリー液として注入する湿式があります。 注入された粉末活性炭は通常凝集沈澱,ろ過によって除去されますが,微細な粉末であり高濃度注入時や急速ろ過の持続時間が長くなるとろ過水中に活性炭が漏出しやすくなります。 特に冬季は凝集効果が低下するので注意が必要です。 図に乾式と湿式の粉末活性炭注入設備を示します。 粉末活性炭注入設備の機器構成図 44

湿式活性炭の注入設備 湿式活性炭の注入設備 ①定期的に分解点検 ②注入後及び定期的に配管内の洗浄 湿式活性炭の注入設備は,溶解槽,注入設備,集塵装置及び袋詰め又はフレキシブルコンテナ(フレコンパック)で運搬された湿式活性炭を搬入するためのホイストで構成されます。 特徴としては,主としてウエット炭を使用し注入量は流量計によりスラリー液を計量します。 搬入は袋詰め又はフレコンパックにより行います。袋詰めや落とし込み等の手作業が多く自動化には適しません。 湿式活性炭注入の留意点 各種ポンプ,バルブ・配管類,インジェクタ等活性炭と接する部分は定期的に分解点検します。 溶解槽の活性炭スラリー取出し管は活性炭が沈降,閉塞することがあるので注入後や定期的に洗浄しておきます。 水質異常時に対応できるようになっている場合が多く,通常はあまり運転されていないため,異常時に速やかに運転できるように,定期的に水による模擬運転などを実施し機器が正常に運転できるか確認しておきます。 粉末活性炭(50%ドライ)の溶解作業時に飛散した活性炭を吸い込まないように防塵マスク着用などの労働安全に留意します。 ①定期的に分解点検 ②注入後及び定期的に配管内の洗浄 ③定期的に水による模擬運転による機器の運転確認 ④粉末活性炭(50%ウエット)の溶解作業時の労働安全に留意 45

乾式活性炭注入設備 乾式活性炭の注入設備 ①粉面計や重量計の精度を確認 ②貯槽内点検時には酸素欠乏に注意し十分な換気を行う。 乾式活性炭の注入設備は,大規模になると貯蔵槽(サイロ)を使用し,粉末軽量機,溶解槽,注入設備,空気源設備などで構成されます。 特徴としてはドライ炭を使用し,搬入はジェットパック車により密閉型の貯蔵槽に充填し,注入量は粉末のまま計量器により活性炭の量を計量します。自動運転化が可能で大量注入に適しています。 乾式活性炭は、活性炭貯蔵量の測定に粉面計や重量計などを使用している場合,活性炭の受け入れごとにトラックスケールの検収重量と比較し精度を確認し定期的に校正します。 活性炭スラリの注入用の各種ポンプ,バルブ等の一般的な留意点は湿式に準じます。 粉末の活性炭は常温付近で空気中の酸素を徐々に吸収するため、酸素欠乏に注意が必で、貯槽内での点検時には十分な換気を行います。 乾式活性炭の注入設備 ①粉面計や重量計の精度を確認 ②貯槽内点検時には酸素欠乏に注意し十分な換気を行う。 46

粒状活性炭吸着設備 組み合わせ方式 吸着設備 ①前塩素処理+砂ろ過+オゾン処理+粒状活性炭 ②オゾン処理+粒状活性炭(微生物)+砂ろ過 ①流動層式:整流床の上に粒状活性炭を充填した炭層に,処理対象水を上向流で通水、下部整流装置を清浄で良好な状態を維持するために空気を吹き込む ②固定層式:構造については通常の砂ろ過池に準じる。下向流で重力式は大規模な設備に適し,加圧式は中小規模の設備に適する。 ①粒状活性炭処理方式 粒状活性炭の吸着効果を主体とした方式と生物活性炭吸着方式とがあります。 ア)粒状活性炭の吸着効果を主体とした方式 粒状活性炭処理の前に塩素処理を行い粒状活性炭の吸着効果を主体として処理対象物質を除去する方式です。 粒状活性炭は数ヶ月程度で交換・再生する場合もありますが,処理効果の確保と運転管理は容易です。 イ)生物活性炭吸着方式 粒状活性炭処理の前に塩素処理を行わず,粒状活性炭槽内に繁殖した微生物の作用を利用して粒状活性炭の吸着効果を長期間持続させる方式です。 アンモニア態窒素の硝化にも利用され,塩素処理の低減にもつながります。 しかし,微生物の漏出や低水温期では,生物処理効果が低下する可能性があるため,対策が必要です。 ウ)オゾンと組み合わせる方法 オゾン処理を導入する場合には副生成物対策として,粒状活性炭処理を後段に配置しなければなりません。 オゾンと組み合わせることで,臭気やトリハロメタン前駆物質などの除去性能を高くできます。 オゾン処理により溶存酸素や分解されやすい有機物が増加し分解されにくい有機物の除去性が増加します。 47

流 動 層 式 吸 着 設 備 ・流動層式吸着設備は,整流床の上に粒状活性炭を充填した炭層に,処理対象水を上向流で通水させて活性炭を流動化させます。下部整流装置を清浄で良好な状態に維持するために空気を吹き込みます。 活性炭処理施設は,活性炭吸着槽と操作室,電気室,ブロワ室,流出入井で構成されています。設備としては,空気洗浄用のブロワ並びにポンプ,活性炭の交換時等に使用する排水ポンプや弁,配管類で構成されています。活性炭設備フロー例を図に示します。   活性炭設備のフロー例 48

静止界面(通水停止) 流動界面(通水状態) 空 気 吹 込 み 状 態 イ)点検時の留意点 ①ポンプの潤滑油劣化状況やベルト駆動の場合は,Vベルトの張り具合などを確認する。必要に応じて整備を行います。 ②ブロワの風量,電流値,各部の温度を確認します。 ③各弁類の作動状態及び配管類の確認を行います。 ④流動界面の点検は通常点検窓より目視にて行うが,通水量や水温によって流動界面高さが変化するので,日頃の状態を把握,記録しておく必要があります。 写真の流動界面 ⑤定期的に静止界面(通水停止状態)高さを測定し,活性炭減少量などの確認を行います。 左の写真が通水を止めた状態です。通水することによって活性炭の高さが高くなります。 ⑥空気吹込み状態を写真に示すように定期的に確認し,点検結果を記録します。 この写真では、左側は空気の量が少なく、右側が通常の状態です。 ⑦活性炭全量入替時には,下部装置や壁面コンクリート割れ,詰まり,活性炭による磨耗などがないか,活性炭吸着槽内の点検を行います。 ⑧活性炭の取替え又は補充後は十分に洗浄を行い,水質検査を行った後に通水します。 空 気 吹 込 み 状 態 49

固定層式吸着設備 活性炭槽内部 (活性炭を取り除いた状態) ・固定層式活性炭吸着設備は、通常の砂ろ過池に準じた構造をしており、図の左側はろ過中の状態、右側は洗浄中の状態を示しています。 ・洗浄は、空気洗浄と逆洗を併用します。

排水処理施設のフロー例 排水処理の方法には浄水施設との関連、原水の水質、排水の量と質、スラッジの性状、発生ケーキの処分方法、維持管理の難易、用地面積、建設費及び地域環境を考慮し,①天日乾燥、②機械脱水③熱乾燥から選定することが基本となります。 浄水場から場外に排出される排水は水質汚濁防止法の特定施設に指定され、これらの施設を設置する特定事業所(浄水場)から排出水には水質汚濁防止法等の規制を受けます。 脱水ケーキは産業廃棄物として、産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律の適用を受けます。 台風、集中豪雨等により原水が高濁度となることが予想される場合は、排水処理施設の運転強化を行なって、スラッジの処理体制を整えておく必要があります。 1)排水処理設備の役割 排水処理施設は、浄水処理過程から排出される沈澱池のスラッジ、ろ過池の洗浄排水及び洗砂排水等を適切に処理することにより、排水の固液を脱離水とケーキ(固形物)とに分離するものです。 分離した脱離水は返送して再利用するか公共用水へ放流します。ケーキは有効利用するか埋め立て処分します。 2)排水処理設備の概要 排水処理設備は、排水池、排泥池、濃縮、脱水、処分(有効利用)の一部又は全部で構成されています。図に排水処理施設フロー例を示します。 このフローの場合、排泥池を持たず沈澱スラッジは直接濃縮槽へ送られます。 また天日乾燥と機械脱水の両方により処理されています。 51

(1)加圧脱水機 ①加圧脱水の前処理 消石灰を注入する方式と無薬注の方式とがある。 ②消石灰を注入する方式  消石灰を注入する方式と無薬注の方式とがある。 ②消石灰を注入する方式  脱水効率は良くなるが、発生ケーキのpH値が高くなり埋立処分の場合は管理型の最終処分場での対応が必要となる。 ③水道で使用される加圧脱水機はフィルタープレス型が多い。 加圧脱水機はその原理から図のようにフィルタープレス型、ベルトプレス型、スクリュープレス型に分類され、フィルタープレス型はさらに加圧と加圧圧搾に分けられます。 加圧脱水の前処理として、消石灰を注入する方式と無注中の方式とがあります。 前者の場合、脱水効率は良くなるが、発生ケーキのpH値が高くなり埋立処分場合は管理型の最終処分場での対応が必要となります。 水道で使用される加圧脱水機はフィルタープレス型が多いです。 52

無薬注長時間型加圧圧搾型の脱水機 凡例 スラッジの配管 圧縮空気の配管 ろ液の配管 圧力水・洗浄水の配管 脱水機設備は脱水機本体とスラッジ圧入ポンプ、スラッジ圧入槽、ケーキコンベヤやトラックスケール等周辺機器で構成されています。 ここでは、無薬中長時間型加圧圧搾型の脱水機設備のフローを示します。 オレンジ色はスラッジの供給するための配管で、青色は圧力水または洗浄水を示しています。 黒の2重線は圧縮した空気を供給する配管で、黒色はろ液の配管を示しています。 53

(2)主な機器構成 差圧槽 油圧ポンプユニット 脱水機本体 長時間型加圧圧搾型脱水機の主な構成機器を示しています。 本体 写真のような差圧槽、油圧ポンプユニット、締付シリンダなどで構成されています。 本体 差圧槽 油圧ポンプユニット 脱水機本体 54

各 装 置 の 役 割 スラッジ圧入槽 スラッジ圧入ポンプ 各装置の役割は ア)スラッジ圧入ポンプ 圧入ポンプは、調整槽からスラッジを引き抜き、脱水機に供給するためのポンプで、この脱水機の場合、低圧、中圧各30分程度、高圧は10数時間と3段階で圧力をかえて供給します。 イ)スラッジ圧入槽 圧入槽は、圧入ポンプの運転・停止と脱水機へのスラッジを連続供給を行うための、緩衝槽(クションタンク)です。 この槽では圧力スイッチによりスラッジ圧入ポンプが運転・停止を行う。 ウ)差圧槽 圧搾膜(ダイヤフラム)に急激な圧力変動や衝撃を与えないようにスラッジの圧入圧との差圧を吸収するための槽です。 エ)油圧ポンプユニット 脱水機の締付けシリンダに圧力をためのポンプです。 スラッジ圧入槽 スラッジ圧入ポンプ 55

脱 水 工 程 運転サイクルは、低圧による圧入~排出または洗浄までを1つのサイクルとしており、長時間型の場合数十時間要します。 ここでは、長時間型の加圧圧搾工程について説明します。 図に脱水工程の概要を示します。 ①締付けシリンダーによりろ板,締め付けろ板との間にろ室を形成します。 ②ろ室にスラッジを低圧(0.25Mpa程度)で約30分、中圧(0.60Mpa程度)で30分、高圧(0.95Mpa程度)にて数10時間圧入しろ過します。 なお、夏期と冬期ではスラッジの性状や水温により脱水性が異なり、夏期は冬期に比べ高圧での時間が短くなります。(脱水性が良くなります。) ③低圧~高圧までの行程(圧入行程)が終了後、ダイヤフラム(圧搾膜)内に圧力水を供給し、ろ過ケーキに圧搾をかけ、低水分のケーキにします。 ④ろ室にスラッジを供給するラインに残留したろ液を洗浄水と圧縮空気を用いてブローすると共に、ダイヤフラム内の水を排出します。 ⑤ろ板を開き、脱水ケーキをケーキコンベヤによりケーキヤードへ搬出します。 ⑥スラッジによる、ろ布の目詰りを軽減させるために、ポンプによりろ布の洗浄を行います。 56

点 検 時 の 留 意 点 排水処理設備 ①ポンプ、空気圧縮機、油圧ポンプユニットなどの運転状態を確認する。 ②漏液など配管、弁類の状態を確認する。 ③油圧関係から漏れ出た油が、排水ピットなどから浄水処理工程へ返送されば、大きな浄水処理の障害となる可能性があるため、注意が必要である。 ④圧搾、ろ布の洗浄など脱水機の運転状態を確認する。 ⑤取引又は計量用のトラックスケールは検定と定期検査を受検する必要がある。 ①ポンプ、空気圧縮機、油圧ポンプユニットなどの運転状態を確認します。 ②漏液など配管、弁類の状態を確認します。 ③油圧関係から漏れ出た油が、排水ピットなどから浄水処理工程へ返送されば、大きな浄水処理の障害となる可能性があるため、注意が必要です。 ④圧搾、ろ布の洗浄など脱水機の運転状態を確認します。 ⑤取引又は計量用のトラックスケールは検定と定期検査を受検する必要があります。 57