青空、夕焼け、朝焼け、     虹のできかた     青空、夕焼け、朝焼け       虹のできかた  日本気象予報士会・静岡支部  日本気象予報士会・静岡支部.

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  青空、夕焼け、朝焼け、     虹のできかた     青空、夕焼け、朝焼け       虹のできかた  日本気象予報士会・静岡支部  日本気象予報士会・静岡支部

 紺碧の青空に白く輝く雲・・・・・・夏空の魅力の一つです。何故、夏空は青く輝き、雲は白く輝くのでしょうか?それには謎があります。かって空が青く輝く謎に挑戦した一人の物理学者がいました。イギリスの物理学者ジョン・ウィリアム・ストラット(1842年11月12日 - 1919年6月30日)です。又はレイリー卿、レーリー卿あるいはレーリ卿とも呼ばれています。      レイリー卿(ノーベル物理学賞・受賞)

レイリー散乱 ミー散乱

1871年、レイリーは波長より十分小さい粒子による光の散乱を表す式を導いた。これはレイリー散乱と呼ばれています。  レイリー散乱  1871年、レイリーは波長より十分小さい粒子による光の散乱を表す式を導いた。これはレイリー散乱と呼ばれています。  光の波長よりも小さいサイズの粒子による光の散乱です。透明な液体や固体中でも起きますが、典型的な現象は気体中の散乱で、太陽光が大気で散乱されて、空が青くみえるのはレイリー散乱によるものです。  散乱の量は粒子の大きさと光の波長による。散乱係数は波長の4乗に反比例します。レイリー散乱の散乱係数ks は下式のようになります。大体、大気中の粒子の大きさが光の波長の1/10以下になるとレイリー散乱が主となります。それより大きくなると後で述べるミー散乱が主となります。           nは粒子数           dは粒子径           mは反射係数           λは波長

 晴れた大気の場合、散乱をおこす粒子はほとんどが空気の分子のみ(このような大気をレイリー大気という。この大気中では太陽光の可視波長よりも粒子サイズが波長の短い青十分小さいためは赤よりも多く散乱されます。そのため空は青く見えます。 しかしながら夕方になると光線の入射角が浅くなり、大気層を通過する距離が伸びる。すると青色光は障害物に衝突する頻度が増し、かえって吸収されるなどの理由から地表に到達しにくくなります。代わって黄(約580nm)、橙(約610nm)、赤などの長波長光線が散乱され、太陽が沈む方向の空が赤く見えることになります。  夕焼けは日没の頃、西の地平線に近い空が赤く見える現象のことです。日の出の頃に東の空が同様に見えるのは朝焼けといいます。夕焼けの状態の空を夕焼け空、夕焼けで赤く染まった雲を夕焼け雲といいます。

朝焼けは雨、夕焼けは晴れ 天気は西から東へ移動します。その結果、夕焼けが起こる=太陽光  天気は西から東へ移動します。その結果、夕焼けが起こる=太陽光 が空気層を長く通過している=西側に光を遮る雲はなく晴れている= 明日も晴れそう! 逆に、朝焼けが起こる=東側は雲はなく晴れている=そろそろ西側か ら雲がやってきそう=雨が降るかも!

    夕焼け

朝焼け

空気大きさ     水素原子            0.1nm     分子               1nm     大きな分子及び高分子  10nm  空気中は主に窒素分子N2、酸素分子O2、及び水蒸気分子H2O、アルゴン Ar等が含まれる混合物です。 散乱をおこす粒子がほとんどが空気の分子のみ(レイリー大気)の場合、その粒子のサイズは1nm台と考えて良い。 しかし大気は時に種々のサイズの浮遊微粒子(エーロゾル)を含んでいる事があります。 

エアロゾルの大きさ エアロゾル:    大気中を浮遊する微粒子 です。これは雲ができるさい水蒸気が凝結するに必要な核(凝結核、氷晶核)として大事な働きをしている。 エイトケン核(半径0.005μm~0.2μm)     (5nm~200nm) 大核(半径0.2μm~1μm) 巨大核(半径1μm以上) エアロゾルの起源  土壌粒子、海塩粒子、火山噴火、人間活動による汚染粒子、微量ガス もや・霧・雲の発生から見て重要なのが吸湿性および水に溶けやすいエアロゾルです。    エアロゾルのうちエイトケン核のように小さいものは空気分子と同じサイズでレイリー散乱を起こしているが、それより大きい光の波長(380nm~780nm、約0,4μm~0,8μm)に近いものはミー散乱を起こす。晴れた日、雲がないのに青空が白っぽくみえるのはこのためです。

ミー散乱  ミー散乱は、光の波長程度の大きさの球形の粒子による光の散乱現象です。粒子のサイズが非常に大きくなると、ミー散乱よりも幾何光学的屈折に類似するようになります。  光の波長と粒子(散乱体)がほぼ同じ大きさの場合は回折散乱(ミー散乱)ですが、光の波長の1/10以下になるとレイリー散乱が適用されます。  雲が白く見える一因です。 これは雲を構成する雲粒の半径が数μm~数十μmの大きさで、太陽光の可視光線の波長にたいしてミー散乱の領域と なり、可視域の太陽放射がどの波長域でもほぼ同程度に散乱される為で す。

空気と雲と雨の大きさの比較 浮遊微粒子を含まない大気(レイリー大気)はおおよそ数nmである。 雲粒の直径は大体、数μmである。  浮遊微粒子を含まない大気(レイリー大気)はおおよそ数nmである。 雲粒の直径は大体、数μmである。 雨粒の大きさは、普通の雨で直径数mm程度  ここで空気、雲、雨の大きさを比べてみると大ざっぱに空気の約1000倍が雲、雲の1000倍が雨と理解できる。この三者は各々1000倍のスケールの違いがあることが分かる。  散乱係数の波長と散乱粒子の大きさに関わるパラメータとしてサイズパラメータがある。                      D:粒子直径                      λ:波長  Α≪1はレイリー散乱、 α1はミー散乱、α≫1は幾何光学近似で表現できる。  これより空気(レイリー大気)はレイリー散乱による青空、雲はミー散乱により白、雨は幾何光学的な屈折による虹が見られる。 

主虹 副虹 幾何光学的

虹のでき方 虹蛇 女神イリス(ギリシャ神話)      虹蛇           女神イリス(ギリシャ神話)  にわか雨が過ぎたあと、まだ黒雲が去りやらぬ中天に虹があらわれます。その淡い色合いが詩的、情緒的な魅力を持っています。山野を背景に淡い虹がかかると幻想的で、虹が英語では rainbow雨の弓といわれる理由がよく分かります。

 「虹」を意味する漢字は、虹のほか虫偏がつくものが多い。主虹である「虹」を雄とし、副虹たる雌を「蜺ゲイ」と呼んだ。漢字の虹は、何故、虫偏なのか。『広辞苑』の解字では「虫」(へび)+「工」(天地をつらぬく)です。虹を、空にかかる大蛇に見たててできた文字と記されています。中国語では、虹を蛇や竜の一種と見なす風習が多く、龍虹という地名もあります。古代中国人にとって虹は大蛇又は竜が空にアーチを架けているように見えていたと考えられます。この蛇(にじへび、こうだ)にちなむ伝説は、中国だけでなく、オーストラリアや、北アメリカ、西アフリカでも知られています。  一方ギリシャ神話ではギリシャ神話に登場する虹の女神イリスは、ゼウスの后ヘラに仕える使者です。背中に生えた羽とアンクレットがお洒落な虹の女神です。ギリシャ神話の中に登場する女神の中でもっとも心の優しい女神といわれています。神さまの間でもっとも人気があって、美しい女神、従順で善良な女神、それが、虹の女神イリスなのです。 イリス、英語ではアイリスと発音し、瞳の中の虹彩や、アヤメをさす言葉です。イリジウムという物質の名前もイリスから来ています。その化合物が色々の色調を帯びるため名付けられました。

ルネ・デカルト( 1596年3月31日 - 1650年2月11日)フランス生まれの哲学者・自然哲学者(自然学者)・数学者。

 神話や伝説を離れて虹を科学的に研究し、解明したのは「我思う、ゆえに我あり」と述べたルネ・デカルトと万有引力の法則で有名なサー・アイザック・ニュートンです。  屈折光学を始めとする光学現象をはじめて機械論的に取り扱おうとしたのはデカルトです。なぜ,互いに色順が反対の2つの虹ができるのか。また,どうして虹はいつも決まった高度にアーチをえがくのだろうか。こうした虹の不思議をも,デカルトはみごとに解明しました。彼は,図1の水滴中でBCDEとFGHIKEの経路を通って屈折・反射した太陽光線が,それぞれ虹を生じると説明しました。そして,水滴表面のさまざまな点に入射する光線のうちで,どの角度の光線が最も多く私たちの目に達するのかを,数学的に求めた。  すると,約41~42度と約51~52度の高度に虹ができる計算結果になり,観測事実とも一致しました。このようにして主虹及び副虹の出来方を幾何 光学的に証明しました。しかしどうして種々の色に見えるのかは証明されなかった。これは後にサー・アイザック・ニュートンがプリズムを使った実験で光が様々の色のスペクトルに分解されることで証明されました。

    図1 デカルトの虹の説明図

サー・アイザック・ニュートン(1642年12月25日 - 1727年3月20日)は英国・イングランドの自然哲学者、数学者

図2 プリズムを使ったニュートンの実験   プリズムによる白色光の色分解

ニュートンとプリズム  ニュートン(1642-1727)は,1666年に,プリズムで白色光が色づくという当時広く知られていた現象を観察してみようと思いたった。図2に示すように窓にあけた小穴から暗くした部屋に日光を導き,プリズムを通って壁に映る色帯に見とれていた。このように白色光がスペクトルに分けられることを発見した。色によって屈折率の違い(屈折率 赤<紫)がありその為スペクトルにわかれることを証明した。又逆にこのスペクトルを合わせることによって白色光ができることを観察した。ニュートンはこの結果から、光は種々の色からなっており、又光は様々な粒子の混合体であるという「光の粒子説」を唱えたが、光の「波動説」を提唱するロバート・フックやクリスティアーン・ホイヘンスなどから激しく批判された。しかし今日では種々の実験データから光の粒子説及び波動説はともに正しいとされています。  ニュートンはこのように光が幾つかの色に分割されることをプリズムの実験で証明しましたが、虹の色数が七色であると言ったのは彼が最初です。趣味として音楽に造詣が深かったため遊び心で色を単純に1オクターブに振り分けてみた。そのためド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シから七という数字に落ち着いたものでした。

主虹と副虹 下が主虹・上が副虹     主虹                      副虹

 主虹(しゅこう、しゅにじ)、又は1次の虹と呼ばれるはっきりとした虹の外側に、副虹(ふくこう、ふくにじ)、又は2次の虹と呼ばれるうっすらとした虹が見られることがある。主虹は赤が一番外側で紫が内側という構造をとるが、副虹は逆に赤が内側、紫が外側となる。これは主虹では「太陽―水滴―観察者」の角度が赤>紫になり、副虹では角度が赤<紫になるためである。  主虹は水滴内で屈折二回、反射が一回で「太陽」-「水滴」-「観察者」のなす角度(又は「虹」―「観察者」―「円弧の中心」のなす角度)が約41~42度となる位置に見られる。このため、虹は太陽の反対側にみられ、太陽が高い位置にあるときは小さな虹が、夕方など太陽が低い位置にあるときは大きな虹が見られる。また、副虹は水滴内で屈折二回、反射が二回でスペクトルが主虹と逆転する。反射が一回多いため、光りはその分暗くなる。「太陽」-「水滴」-「観察者」のなす角度(又は「虹」―「観察者」―「円弧の中心」のなす角度)が約51~52度となる位置に見られる。水滴内で三回以上反射する場合は光は暗くなるため虹として確認できない。

虹と類似の現象  大気中には虹と似た美しい色彩を示す現象が幾つかあります。それらの幾つかについて述べてみます。虹が雨上がりに観察者にとって太陽と反対側の水平線近くに美しい半円形で現れるがこれらの現象は太陽のそばに現れることが多い。 ●日暈、月暈 ●彩雲 ●環水平アーク

日暈、月暈  暈(かさ)とは、太陽や月に薄い雲がかかった際にその周囲に光の輪が現れる大気光学現象のことです。ハローともいいます。特に太陽の周りに現れたものは日暈(ひがさ、にちうん)、月の周りに現れたものは月暈(つきがさ、げつうん)という。 虹のようにも見えることから白虹(はっこう、しろにじ)ともいいます。暈は雲を形成する氷晶がプリズムとしてはたらき、太陽や月からの光が氷晶の中を通り抜ける際に屈折されることで発生します。暈を生じさせる雲は多くの場合、対流圏上層に発生し氷晶からなる巻層雲や巻積雲、巻雲です。それらの雲を形成する氷晶は多くの場合、単純な六角柱状の形をしている。氷晶のそれぞれの面は60度、90度、120度のいずれかの角を成しているため、氷晶は頂角60度、90度、120度のいずれかのプリズムとしてはたらきます。

      日暈                     月暈  太陽を中心とした半径(視半径)約22度の円として見える。実際には、半径22度の円の外側にも明るい部分が見え、外側に行くほど暗くなる。これを内暈(ないうん、うちがさ)または22°ハローという。  光線が六角柱状の氷晶の底面から入射し側面から出る場合、あるいは側面から入射し底面から出る場合には、この2つの面は90度の角を成しているため、氷晶は頂角90度のプリズムとしてはたらく。このとき氷晶の向きがランダムになっていると、屈折された太陽からの光が、太陽を中心とした半径(視半径)約46度の円として見える。これを外暈(がいうん、そとがさ)または46°ハローという。  

      彩雲  彩雲(さいうん)は、太陽の近くを通りかかった雲が、緑や赤に彩られる現象です。瑞雲、慶雲、景雲などともいいおめでたい現象とされている。 この現象は、日光が雲に含まれる水滴又は氷晶で回折又は干渉し、生ずるもので、大気光学現象の一つです。雲の水や氷の粒が大きさが少しずつ違いながら規則正しく並んでいると雲に帯状の色が付きます。巻積雲や高積雲、風でしきられた積雲などに見えることが多いです。虹と似た現象ですが、その発生メカニズムは虹とは異なります。

 環水平アーク 環水平アーク(かんすいへいアーク)とは、大気中の氷粒に、太陽光が屈折し、ほぼ水平な虹が見える光学現象である。虹などと同じ大気光学現象の一種で、水平弧、水平環 とも呼ばれる。日本国内では年に数十回観測されます。  上空の氷の結晶の方向がほぼそろったときに、この結晶で屈折した太陽光により見える現象で、一般の虹が太陽とは反対の方向に見えるのに対し、環水平アークは太陽と同じ方向に、ほぼ水平に現れる。ただし、低空に雲があると見えない。前述の彩雲との鑑別が難しい場合があります。