画像処理工学 2011年10月27日 担当教員 北川 輝彦
前回のおさらい
2.1 人間の視覚システム ディジタル画像処理はなんのために存在? ⇒人が利用するため 人間の視覚システムを理解することで、 2.1 人間の視覚システム ディジタル画像処理はなんのために存在? ⇒人が利用するため 人間の視覚システムを理解することで、 人間にとって何が良い処理かを理解できる。 2.1 人間の視覚システム
2.1.1 視覚システムの構成 目と脳 目だけではモノを見たことにはなりません ⇒ 脳で目に入った情報を処理 ⇒知覚へと変換 2.1.1 視覚システムの構成 目と脳 目だけではモノを見たことにはなりません ⇒ 脳で目に入った情報を処理 ⇒知覚へと変換 2.1 人間の視覚システム
2.1.1 視覚システムの構成 光受容器は2種類 桿体細胞:1億個程度 光強度に感度が高い(光の強さ) 錐体細胞 :600-700万個 2.1.1 視覚システムの構成 光受容器は2種類 桿体細胞:1億個程度 光強度に感度が高い(光の強さ) 錐体細胞 :600-700万個 長中短波長光に感度が高い(色の識別) 2.1 人間の視覚システム
2.1.2 知覚 人間が感じる心理的情報と物理的情報には違い 5つの特徴 2.1 人間の視覚システム
2.1.2 知覚 5つの特徴 1.明るさの知覚 2.明るさの恒常性 3.明るさの対比 4.マッハバンド効果 5.空間処理特性 2.1.2 知覚 5つの特徴 1.明るさの知覚 2.明るさの恒常性 3.明るさの対比 4.マッハバンド効果 5.空間処理特性 2.1 人間の視覚システム
2.1.2 知覚 明るさの知覚 光強度(輝度)が2倍 ≠ 明るさ2倍 目に入る光強度と知覚する光強度:対数的 2.1 人間の視覚システム
2.1.2 知覚 明るさの恒常性 対象に対する照度変化があっても、 一定の明るさで感じる能力 2.1 人間の視覚システム
2.1.2 知覚 明るさの対比 システムが周辺の平均光強度に基づいて知覚の強度応答を調整 2.1 人間の視覚システム
A、Bのタイルの色は同じ
2.1.2 知覚 マッハバンド効果 明るいところから暗いところへ ⇒明るさが増してから暗く 暗いところから明るいところへ 2.1.2 知覚 マッハバンド効果 明るいところから暗いところへ ⇒明るさが増してから暗く 暗いところから明るいところへ ⇒暗さが増してから明るく 2.1 人間の視覚システム
2.1.2 知覚 空間処理特性 人間の資格システムには解像度での限界が比較的低いものもある ⇒コントラストに依存 2.1 人間の視覚システム
2.2 ディジタル画像処理の基本機能 画像強調 :image enhancement 画像復元 :image restoration 2.2 ディジタル画像処理の基本機能 画像強調 :image enhancement 画像復元 :image restoration 画像解析 :image analysis 画像圧縮 : image compression 画像合成 : image synthesis 2.2 ディジタル画像処理の基本機能
2.3 階層的画像処理解法 応用課題に対する解法 まずは求められる解法の階層を知ること。 1. 応用 2. 基本機能 3. 操作 2.3 階層的画像処理解法 応用課題に対する解法 まずは求められる解法の階層を知ること。 1. 応用 2. 基本機能 3. 操作 4. アルゴリズム 2.3 階層的画像処理解法
3 ディジタル画像の基礎 3 ディジタル画像の基礎
3.1 ディジタル画像の生成 画像: 2次元の可視像 視覚にて知覚する画像… カラー( )、アナログ 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 画像: 2次元の可視像 視覚にて知覚する画像… カラー(RGB)、アナログ 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 画像: 2次元の可視像 今回からしばらくは 白黒画像、アナログを対象 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 画像:白黒画像、アナログ 説明の簡単化のため:カラーは又後ほど 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 アナログ(連続)画像では ○○○が大きすぎる! まずは計算機(コンピュータ)で使用可能に 3.1 ディジタル画像の生成 まずは計算機(コンピュータ)で使用可能に アナログ(連続)画像では ○○○が大きすぎる! 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 アナログ(連続)画像では 情報量が大きすぎる! まずは計算機(コンピュータ)で使用可能に なので… 3.1 ディジタル画像の生成 まずは計算機(コンピュータ)で使用可能に アナログ(連続)画像では 情報量が大きすぎる! なので… 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 アナログ(連続)画像を ○○○○○画像に変換 まずは計算機(コンピュータ)で使用可能に 3.1 ディジタル画像の生成 まずは計算機(コンピュータ)で使用可能に アナログ(連続)画像を ○○○○○画像に変換 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 アナログ(連続)画像を ディジタル画像に変換 まずは計算機(コンピュータ)で使用可能に 3.1 ディジタル画像の生成 まずは計算機(コンピュータ)で使用可能に アナログ(連続)画像を ディジタル画像に変換 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 アナログ(連続)画像を ディジタル(離散)画像に変換 まずは計算機(コンピュータ)で使用可能に 3.1 ディジタル画像の生成 まずは計算機(コンピュータ)で使用可能に アナログ(連続)画像を ディジタル(離散)画像に変換 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 アナログ(連続)画像を 標本化(sampling) ⇒ 量子化(quantization) 離散化するプロセス 3.1 ディジタル画像の生成 離散化するプロセス アナログ(連続)画像を 標本化(sampling) ⇒ 量子化(quantization) 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 離散化するプロセス 標本化(sampling): 等間隔の格子で画像を分割 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 離散化するプロセス 標本化(sampling): 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 離散化するプロセス 標本化(sampling): 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 標本化(sampling): 等間隔の格子で画像を分割 (…が多い。が、別に形は何でも良い。 3.1 ディジタル画像の生成 離散化するプロセス 標本化(sampling): 等間隔の格子で画像を分割 (…が多い。が、別に形は何でも良い。 その他多角形で分割する例もあり) 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 標本化(sampling): 離散化するプロセス 六角形に分割した例 (隣接面が正方形より多い) 3.1 ディジタル画像の生成 離散化するプロセス 標本化(sampling): 六角形に分割した例 (隣接面が正方形より多い) 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 標本化(sampling): 等間隔の格子で画像を分割 ⇒分割された小区画:標本区画 離散化するプロセス 3.1 ディジタル画像の生成 離散化するプロセス 標本化(sampling): 等間隔の格子で画像を分割 ⇒分割された小区画:標本区画 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 離散化するプロセス 標本化(sampling): 正方形一つ一つが標本区画 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 離散化するプロセス 標本化(sampling): 正方形一つ一つが標本区画 画素、ピクセルとも 3.1 ディジタル画像の生成 離散化するプロセス 標本化(sampling): 正方形一つ一つが標本区画 画素、ピクセルとも …ペル? (初めて聞いた。 動画像で使われるとか) 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 アナログ(連続)画像を 標本化(sampling) ⇒ 量子化(quantization) 離散化するプロセス 3.1 ディジタル画像の生成 離散化するプロセス アナログ(連続)画像を 標本化(sampling) ⇒ 量子化(quantization) 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 離散化するプロセス 量子化(quantization): 標本区画を数値化 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 標本区画を数値化 代表濃淡値を取り出す 離散化するプロセス 量子化(quantizatiion): 3.1 ディジタル画像の生成 離散化するプロセス 量子化(quantizatiion): 標本区画を数値化 代表濃淡値を取り出す 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 標本区画を数値化 代表濃淡値を取り出す 皆ならどうする? 3.1 ディジタル画像の生成 離散化するプロセス 量子化(quantizatiion): 標本区画を数値化 代表濃淡値を取り出す 皆ならどうする? 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 標本区画を数値化 代表濃淡値を取り出す 平均濃淡値 中心の濃淡値 最大濃淡値 最小濃淡値 …etc 3.1 ディジタル画像の生成 離散化するプロセス 量子化(quantizatiion): 標本区画を数値化 代表濃淡値を取り出す 平均濃淡値 中心の濃淡値 最大濃淡値 最小濃淡値 …etc 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 標本区画を数値化 代表濃淡値に置き換える 平均濃淡値 中心の濃淡値 最大濃淡値 最小濃淡値 …etc 3.1 ディジタル画像の生成 離散化するプロセス 量子化(quantizatiion): 標本区画を数値化 代表濃淡値に置き換える 平均濃淡値 中心の濃淡値 最大濃淡値 最小濃淡値 …etc 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 標本区画を数値化 画素数 M ライン数 N M画素×Nラインの画像 3.1 ディジタル画像の生成 離散化するプロセス 量子化(quantizatiion): 標本区画を数値化 画素数 M ライン数 N M画素×Nラインの画像 22 176 200 128 133 190 210 23 190 220 20 180 200 21 193 144 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 標本区画を数値化 代表濃淡値に置き換える 濃淡をどれだけ 細かく分割するか ⇒階調値(8bitだの16bit) 3.1 ディジタル画像の生成 離散化するプロセス 量子化(quantizatiion): 標本区画を数値化 代表濃淡値に置き換える 濃淡をどれだけ 細かく分割するか ⇒階調値(8bitだの16bit) 22 176 200 128 133 190 210 23 190 220 20 180 200 21 193 144 3.1 ディジタル画像の生成
3.1 ディジタル画像の生成 画素数、ライン数、 階調値 画像解像度 離散化するプロセス 量子化(quantizatiion): 22 3.1 ディジタル画像の生成 離散化するプロセス 量子化(quantizatiion): 22 176 200 128 133 190 210 画素数、ライン数、 階調値 23 190 220 20 180 200 画像解像度 21 193 144 3.1 ディジタル画像の生成
3.2 空間解像度 3.2 空間解像度
3.2.1 空間密度と空間周波数 空間解像度: 光景の空間的細部をディジタル画像が 表現するために必要な画素数 3.2.1 空間密度と空間周波数 空間解像度: 光景の空間的細部をディジタル画像が 表現するために必要な画素数 3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数 空間解像度 ⇒ 空間密度 と 光学系解像度 に関係 3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数 空間解像度 ⇒ 空間密度 と 光学系解像度 に関係 3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数 空間密度 画像の粗密。 ディジタル画像においては 単位面積辺りの画素数。 3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数 光学的解像度 元の光景の空間的細部を表現できる能力 光学系解像度 > 空間密度 3.2.1 空間密度と空間周波数 光学的解像度 元の光景の空間的細部を表現できる能力 光学系解像度 > 空間密度 空間解像度:空間密度で決まる。 (いわゆるボトルネックだねー) 3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数 空間周波数 空間解像度: 人間が観察して十分≠計算機処理で十分 直感的ではない概念 3.2.1 空間密度と空間周波数 空間周波数 空間解像度: 人間が観察して十分≠計算機処理で十分 直感的ではない概念 3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数 空間周波数 画像情報:明から暗、暗から明へ 輝度(濃淡値)の変動 ⇒ 無ければ単一の色の板に過ぎない 3.2.1 空間密度と空間周波数 空間周波数 画像情報:明から暗、暗から明へ 輝度(濃淡値)の変動 ⇒ 無ければ単一の色の板に過ぎない 3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数 空間周波数 画像情報:明から暗、暗から明へ 輝度(濃淡値)の変動 空間周波数:反復度合いのこと 3.2.1 空間密度と空間周波数 空間周波数 画像情報:明から暗、暗から明へ 輝度(濃淡値)の変動 空間周波数:反復度合いのこと 3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数 空間周波数 標本化の格子の繰り返しの空間周波数で決定 ⇒ 標本化周波数 3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数 標本化周波数 空間的細部をどれほどまで表現したいか ⇒ 標本化定理 3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数 標本化周波数 空間的細部をどれほどまで表現したいか ⇒ 標本化定理 3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数 標本化定理 画像に含まれる最高空間周波数の倍の周波数にて画像を標本化 3.2.1 空間密度と空間周波数 標本化定理 画像に含まれる最高空間周波数の倍の周波数にて画像を標本化 …できれば全ての情報を画像として表現できるが、大抵はそこまで必要無い。 3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数 標本化定理 光学的には数mmの物体 集合写真等では必要? ⇒ 目鼻がしっかり確認できれば良い 3.2.1 空間密度と空間周波数 標本化定理 光学的には数mmの物体 集合写真等では必要? ⇒ 目鼻がしっかり確認できれば良い 状況に応じて使い分け 3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数 標本化定理 必要な標本化周波数を満たす性能の カメラシステムを選択 3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数 標本化定理 必要な標本化周波数を満たす性能の カメラシステムを選択 オーバーサンプリング 無駄に大きな容量 3.2.1 空間密度と空間周波数 標本化定理 必要な標本化周波数を満たす性能の カメラシステムを選択 オーバーサンプリング 無駄に大きな容量 計算コストが大きい とは言え、 3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.1 空間密度と空間周波数 標本化定理 ダウンサンプリングしすぎて、 情報が潰れては意味は無いが。 3.2.1 空間密度と空間周波数 標本化定理 ダウンサンプリングしすぎて、 情報が潰れては意味は無いが。 エリアシング、チェッカーボード効果の問題 3.2.1 空間密度と空間周波数
3.2.2 空間エリアシング 空間エリアシング: 画像細部の空間周波数の2倍以下で 標本化したときに発生しうる現象 3.2.2 空間エリアシング 空間エリアシング: 画像細部の空間周波数の2倍以下で 標本化したときに発生しうる現象 3.2.2 空間エリアシング
3.2.2 空間エリアシング 空間エリアシング: 画像細部の空間周波数の2倍以下で 標本化したときに発生しうる現象 3.2.2 空間エリアシング 空間エリアシング: 画像細部の空間周波数の2倍以下で 標本化したときに発生しうる現象 情報を失うだけではなく、 新たな望まない情報が発生することも。 ⇒偽信号(alias) 3.2.2 空間エリアシング
3.2.2 空間エリアシング 空間エリアシングが連続的に発生 ⇒ モアレパターン(縞状の斑紋) 現画像には存在しない構造物 3.2.2 空間エリアシング 空間エリアシングが連続的に発生 ⇒ モアレパターン(縞状の斑紋) 現画像には存在しない構造物 3.2.2 空間エリアシング
3.3 輝度分解能 標本区域内の輝度、濃淡強度(値)の 分解能 ⇒何段階の色(の濃さ)に分割しているか 3.3 輝度分解能
3.3 輝度分解能 輝度分解能の低下 ⇒ 擬似輪郭が発生 人間の一般的な視覚:8[bit]で十分 3.3 輝度分解能 輝度分解能の低下 ⇒ 擬似輪郭が発生 人間の一般的な視覚:8[bit]で十分 …が、医療用など特殊用途では12[bit]が用いられることも。 3.3 輝度分解能
次回予告 3.4 カラー画像 3.5 ディジタル画像系列 3.6 ディジタル画像の品質 4 画像強調と復元(単一画像) 次回予告