19世紀ヨーロッパは 西ヨーロッパにおいて、工業化が一つ の生活様式として確実に勝利を収めた

Slides:



Advertisements
Similar presentations
2013 現代文明論 第4回第4回 1492 年 世界システムの始まり. 世界地図を描いてみよう.
Advertisements

2.一極集中と多極分散. 連携の在り方 都市の発生 分業の発生規模の経済 ・地域特化の経済 ・都市化の経済 集積 大都市の形成.
経常収支とは?  一国の国際収支を評価する基準の一つ。  この 4 つのうち、 1 つが赤字であっても他で賄え ていれば経常収支は黒字となる。 貿易収支 モノの輸出入の 差 所得収支 海外投資の収益 サービス収支 サービス取引額 経常移転収支 対価を伴わない 他国への援助額 これらを合わせたものが経常収支.
制度経済学Ⅰ ①. 制度経済学とは何か 制度 institutions 最も根本的な制度は・・・・ 言語、法、貨幣 いずれも経済、そして経済学に関係する それらなしに、経済は成立しない.
なぜ貧しい国はなくならないのか 第4章 飢餓は是が非でも避けた い 堀佑太. 第1節 経済発展と農業問題 第一の農業問題 食糧不足 人口増加により未開の耕地が減少、また畑の休閑 期間が短くなり、土地の肥沃度が減少する にもかかわらず、生産性を上げる技術が開発され ないと食糧不足が起こる.
2節 福利厚生の現状 現金給与と現金以外の給付の関係 [ データ ] 一人一ヶ月平均労働費用額と構成 (226 ページ参照 ) ⇒労働費用総額に占める現金給与の割合は、 8 割強が現金、 2 割弱が現金以外で支払われている ※小規模企業になるほど現金給与の割合が増加する傾向にある 企業規模計 1000.
1.欧州. 特許会社  特許会社とは …. 経営権が国に保留されている事業の、 一部または全部の経営権を、法律などに より付与された会社。  世界で最初の特許会社 モスクワ会 社.
少子高齢化 高橋香央里 加藤裕子 松本結 海老澤優.
~国民経済的な視点から見た社会保障~ 2000/6/14 木下 良太
工業発展期のヨーロッパ 技術変化と資源需要増加
日本海学(第4回) 中国経済発展の光と影.
組織の経営学 第1章 ニモ・クルー・からあげ.
地域社会論 第5回 Ⅴ.国際環境 11月9日.
第16章 総需要に対する 金融・財政政策の影響 1.総需要曲線は三つの理由によって右下がりである 資産効果 利子率効果 為替相場効果
東南アジアの伝統農法 農耕の型 p27~p35 3種類の米耕作 焼畑農業 氾濫での直播 苗(稲)を鋤かれた、あぜがある田圃に移植する
Web.sfc.keio.ac.jp/~thiesmey/shakainote.htm.
外国ジャーナリズムⅠa NZ社会をみる ニュージーランド(1)  イメージ 国勢 住民  歴史 外国ジャーナリズムIa.
食料自給率の「なぜ?」             著者 末松広行 稲葉ゼミ  06a2139z 半田哲也.
W杯(ワールドカップ)について 崎山 康介.
トルコ及び中欧からの人の移動とそのEU加盟問題に与える影響
第2章 バブル崩壊後における経済の長期停滞の原因をどうみるか
なぜ貧しい国はなくならないのか 第2章 貧困は減っているのか
第7章 途上国が「豊か」になるためにすべきこと
新学期にあたって 作花 一志.
<キーワード> 生産関数、労働、資本 限界生産物
トウモロコシの動向 2班.
狂牛病(BSE).
日本の農業の問題点 1126599c 野喜崇裕.
なぜ貧しい国はなくならないのか 第3章 なぜ貧困を撲滅できないのか?.
(景気が良くなり)ハンバーガーの需要が拡大すると
世界に広がるフランス語: 5大陸で話されるフランス語ーその経緯と現実
  世界の地域           05210163.
地方公共財とクラブ財.
14・文化の偏差と変化  青山・文化人類学.
生物多様性の危機 「精神のモノカルチャー」の説明 経済開発が削減した知識体系・ローカルな知識: 生態系と共同体との間の体系
自動車の現状と未来.
手に取るように金融がわかる本 PART6 6-11 09bd139N 小川雄大.
2004年度入門経済学2A 担当教員:奥井克美.
2013 現代文明論 10 3つめの原理 資本主義.
資源ナショナリズムについて 2012/01/20 長谷川雄紀.
食糧自給率低下によって 日本が抱える危機とその対策
マクロ経済学 II 第10章 久松佳彰.
日中自動車産業と環境問題 第一章 中国自動車企業の発展 01w713 コウシュンエン 第二章 日本自動車メーカーの中国戦略
Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 【 社会科 】 小中一貫教育系統図 地理的分野 歴史的分野 公民的分野 13 【小学3年】 【小学4年】 【小学5年】
社会主義の教育理論.
地域発展戦略 第一次5カ年計画( ) 集権的計画経済システム/重工業優先 内陸部 大躍進期と経済調整期( )
東アジア文化論(11/6) 『成長するアジアと日本の位置づけ』.
ドイツをもっと知ろう! 二択クイズ   正解はどいつ?.
国際貿易の外観.
総合商社 について 04w193 ハンフンス 04w178 野村朋克 04w122 田中学
中国の石油戦略 張世鎬.
図3 地球環境変動の中核的課題と動向 自然圏(Natursphäre) 人類圏(Anthropophäre) 生物圏 大気圏 水文圏 土壌圏
VI 短期の経済変動.
世界の食糧問題 ~国際社会という視点から慢性的飢餓に どう立ち向かうか~
科学・技術と社会 ◎科学・技術: 現代社会の基礎; 人類の物質生活を豊かにするもの
各化石燃料の輸入先とホルムズ依存度(2013年)
国家.
ラテンアメリカとカリブ海地域には多くの独立国家と非独立地域がある
グローバリゼーションは 国際的画一化なのか
スイスベルン州の概要 友好提携の動機及び経過
図表で見る環境・社会 ナレッジ ボックス 第2部 環境編 2015年4月 .
様々な主体や取組みを「つなぐ」仕組みの構築
日本のエネルギー資源 2008-09-13 MK6328 白石 彩奈.
2013/5/25 3.人による自然の利用(世界).
労働市場 国際班.
アメリカのプロパテント政策 2002.10.11.
2017 現代文明論 第5回 1492年 世界システムの始まり.
サハリン開発と天然ガス 新聞発表 5月14日 上野 雅史 坂中 遼平 松崎 翔太朗 河原塚 裕美 .
国際教育論1 オリエンテーション.
現代資本主義分析 資本主義という見方.
Presentation transcript:

19世紀ヨーロッパは 西ヨーロッパにおいて、工業化が一つ の生活様式として確実に勝利を収めた 概説世界経済史学習ノート 第8章 19世紀の経済発展 :基本的決定要因 19世紀ヨーロッパは 西ヨーロッパにおいて、工業化が一つ の生活様式として確実に勝利を収めた 近代的工業形態  イギリスに発し   ベルギー、フランス、   ドイツ、その他のヨーロッパ諸国へ 更に、アメリカへ 遅れて世界の他の地域にまで拡大 ロシア 日本

経済とは 人間の衣・食・住 である生活行動 に伴う生産・流通・消費の 社会関係総体 産業の近代化 人口増大 生産拡大 流通拡大

近代化とは、産業化を中心として、 それに関連した 政治的・社会的・心理的その他、さまざまな変化 農耕社会から産業社会へと変化する過程 近代化とは、産業化を中心として、 それに関連した 政治的・社会的・心理的その他、さまざまな変化 農耕社会から産業社会へと変化する過程 生産性の向上 投資の拡大 規制緩和 技術革新 工業化

19世紀 工業化の歴史 農業を主体とする社会から工業主体の社会への転換 経済発展における三つの活動領域 1.農業 2.金融と銀行 3.経済に対する国家の役割 「この変革は地域ごと国ごとで、それぞれの地域固有の環境、工業化開始のタイミングの違いによって、異なった形をとった。」 (第8章 19世紀の経済発展:基本的決定要因)

コロンブス交換(Columbian Exchange) 1.農業 西欧の中世から近代への契機 新航路の発見→南北アメリカ大陸へ 西欧人による征服戦争 銃による先住民を虐殺 ヨーロッパ人が持ち込んだ病原体 →原住民へ感染による大量死 先住民からの金の略奪→ヨーロッパへ 新発見の植物・動物・食物→ヨーロッパへ コロンブス交換(Columbian Exchange) 19世紀の経済における構造変化の特徴 農業の生産性の向上

人口 17世紀初期or半ばから18世紀半ば=停滞 → 1740年頃からふたたび増加 ヨーロッパの人口   → 1740年頃からふたたび増加 ヨーロッパの人口 1800年:約2億人(推定世界総人口約9億人の1/5強に増加)→19世紀にはヨーロッパの人口増が加速 1900年:4億人超(世界総人口約16億人の1/4) 1950年: 5億5000万人超(世界人口25億人の1/5強) ヨーロッパ系人口の比率 世界人口の30%以上に膨張(アメリカ、イギリスの自治領,ラテンアメリカ等の諸地域を含める)

工業化と人口増加の関係 19世紀: イギリス、ドイツの成長率: 年1%で1世紀で、 イギリスは2.6倍弱、 ドイツは2.3倍弱  イギリスは2.6倍弱、  ドイツは2.3倍弱  フランスは1.4倍強 最も工業化の遅れていた国 ロシアの成長率:年2%で 人口増は3倍である。 「もう一つの重要な工業国であるフランスは、19世紀初めには西ヨーロッパ最大の人口を擁していたが、 とくにその世紀の後半に他の国に大きく水をあけられることになり、19世紀全体ではその増加率は年平均約0.4%程度にとどまった。したがって、工業化と人口成長のあいだには明確な相関関係はないことになる。」 (第8章 19世紀の経済発展:基本的決定要因P5)

世界人口の増加の趨勢 19世紀における農業生産の飛躍的増加理由  「世界界人口は農業の発明から18世紀末まで、ほぼ1000年ごとに倍増してきた。19世紀にはヨーロツパの人口は100年も経たないうちに2倍となり、20世紀になると世界全体の人口の増加はこの増加率さえも上回った。現在の自然増加率でいくと、世界の人口は25年から30年で2倍に増えることになろう」 19世紀における農業生産の飛躍的増加理由 1.耕作地の面積が拡大:特に未占有地が豊富なロシア   及び東ヨーロッパの一部、スウェーデン。   西ヨーロッパでさえ、休閑地の廃止や,以前の限界地や   荒地が耕作された。 2.新しい、科学的な技術の導入で農業生産性(1人あたり   産出量)が増加した。

人口の移動が容易化 土壌化学の知識の進歩、 また肥料においても―最初は 天然のもの、後には化学の一の使用量増加により、今  土壌化学の知識の進歩、 また肥料においても―最初は  天然のもの、後には化学の一の使用量増加により、今  までの耕地での産出量が増加。荒地も耕作し、収穫可  能に。鉄のコスト低下で、効率的な道具や農具の利用を  促進。蒸気で動く脱穀機や刈り取り機などの農業機械も、  その世紀の後半に登場。(第8章 19世紀の経済発展:基本的決定要因) 人口の移動が容易化 1.海外からの食料の大量輸入可能にする輸送の改善 2.安価な輸送費はまた人口の移動を容易にした。 3.イギリスでは、移動に国内移動,国際移動の二つのタ   イプがあった。 1815年~1914年の間、移民として約   6000万人がヨーロッパを去った。   ブリテン諸島(アイルランドを含む)は約1800万人、   最大の数の移民を送った。

7.フランスは、イタリア人、スペイン人、スイス人、ベルギー人をも引き寄せた。 8.イングランドもヨーロッパの各地から移民を受入れた。 4.イギリスの国際移動のタイプとその内訳 ①アメリカ合衆国→3500万人、②カナダ→500万人、 ③ラテンアメリカ→約1200万人~1500万人(主にアルゼンチンとブラジル)④残りの大部分はオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカに向かった。 5.ドイツ、スカンディナヴィア諸国では  1890年頃からイタリア、オーストリア=ハンガリー、ロシア  帝国(ポーランド含む)からも多数の人々が去っていった。 6.ヨーロッパ内での移動では、  一時的なものもあったが、多数のポーランド人、スラヴ  人、ユダヤ人がドイツ、フランスなどへ移動した。 7.フランスは、イタリア人、スペイン人、スイス人、ベルギー人をも引き寄せた。 8.イングランドもヨーロッパの各地から移民を受入れた。

5.国内移動のタイプ =19世紀経済発展過程の基本的な要因 1)都市への人口集中: 19世紀初め~ 最も根本的な変化は、人口の都市集中シフト   =19世紀経済発展過程の基本的な要因 1)都市への人口集中: 19世紀初め~ 最も根本的な変化は、人口の都市集中シフト 人口の約30%は2000人以上の住民のいる集住地で暮らしていた。(イングランドはすでに最も都市化していた) 首都アムステルダムは、1700年には約20万人と急増。そ後150年程度はほぼ横ばい。首都アムステルダムの支配するホラント州では50%以上にのぼった。 イタリアの長い都市の伝統をもつ低地地方もおそらく同様な比率であった(都市の伝統をもつが、近世には主要都市は人口減少に見舞われ、19世紀初めには、都市人口はおそらく総人口の1/4~1/5を占める程度に。 フランスやドイツでも比率はこれとほぼ同じであった。

9.ロシアでは、ロシア皇帝が1861~1914年の間 1)シベリアに強制定住→多くの犯罪人・政治的流刑者と 約150万人の小農民家族。   約150万人の小農民家族。 2)上記の強制移動以外は、ほとんどは自発的なもの   だった。 3)政治的な告発や弾圧を逃れる移民もあったが、大多数 は国内での経済的圧力、海外での生活向上を目指して  の移動。 4)1845年のジャガイモ飢饉(8年間続く)  アイルランド人120万人以上→①アメリカ合衆国へ  ②イギリスへ③カナダ、オーストラリア、ニュージーランド   へ(ほとんど空地といっていいような海外の土地も,続々   と移入民一ほとんどはブリテン諸島から) 5)イタリア人、ドイツ人では、南アメリカの経済的に最も先   進的な諸国となる地域に移動。

都市への人口集中 「産業革命後、工業の集積でロンドンが巨大化。数百万人規模の都市となり、19世紀中葉において世界最大の都市となった。その後、各地で工業化が進むにつれ、人口100万人を越える大都市が複数生まれた。」(ウィキペディア) ヨ ―ロッパの他の殆どの国、或いは世界の他の地域 都市人口は総人口の精々10%程度 「1800 年当時の諸都市の人口は、ロンドン86 万人、北京90 万人、上海5万人、パリ54 万人、ニューヨーク6万人と推定されている」 http://www.toukei.metro.tokyo.jp/jugoki/2002/02qdj210003.pdf 都市化は19世紀に工業化と歩調をあわせて進行した。イギリスはこの点でも先陣を切った。1850年にはイギリスの人口の半分以上が2000人以上の都市や町に住んでおり、1900年にはその比率は3/4にも達した。

世界の他の地域との比較  「この頃には他のほとんどの工業国も少なくとも50%は都市化され、農業中心の国でさえも都市化への強い傾向を示すようになった。たとえば、帝政ロシアでは、全体としてみれば人口のせいぜい125%が都市部に住んでいる程度だったが、モスクワとサンクト・ペテルブルクは100万以上の人口を誇ることができた。  工業国の人々は、ただ都市に住んでいればよいといぅゎけではなく、大都市に住むことを好んだ。たとぇば、イングランドとウェールズでは、小都市(2000人から2万人の住民からなる)に住んでいる人口の比率は、19世紀の初めから現在まで約15%とほぼ一定しているのに対し、大都市(2万人以上)に住む者の比率は27%から70%へと増加した。

 1800年には10万人の人口をもつ都市はヨーロッパに20あるかないかで、西半球には一つもなかったが、1900年にはその規模の都市はヨーロッパと北アメリカで150以上、1950年には600以上にもなった。20世紀中頃には、人口100万人以上(それよりはるかに大きな規模のものもある)の都市の数は、1800年における10万人の人口をもつ都市の数よりも多くなった。」(第8章 19世紀の経済発展:基本的決定要因)

前工業化社会の非農業人口(職人・役人等)の大部分 近代経済成長における資源の重要性 前工業化社会の非農業人口(職人・役人等)の大部分 農村地域に居住。 工場制度の勃興 都市集中 あらゆる職種の職人等の労働力集中 食糧や原料等 織物・鉄等工業の 工業の最終生産物 運輸・交通の改善 食糧・原料の運搬 遠隔地市場に運ぶ 安上がり 都市の成長の要因は経済的なもの イングランドのブラック・カントリー、 ドイツのルール地方、北フランスのリール川辺地域、アメリカのピッツバーグといった、最大級の工業中心地のいくつかが石炭埋蔵地またはその近辺で生まれた。

 「人が都市に住みたがるのには多くの社会的、文化的理由がある。歴史的にいえば、都市の成長を制限するおもな要因は経済的なものであった。つまり大きな都市人口に生活必需品を供給できない、 といぅことである。近代工業の技術改良にともなって、この制限は緩和されたばかりでなく、経済的な理由で都市の成長が必要とされるような場合もあった。前工業化社会では、非農業人口でさえその大部分は農村地域に住んでいた。織物とか鉄とかいった工業の最終生産物を遠隔地の市場に運ぶほうが、職人の集中する地域へ食糧や原料を運ぶよりも安上がりだった。蒸気力と工場制度の導入、製鉄用燃料の木炭からコークスヘの転換、さらに運輸・交通の改善により、状況は一変した。工場制度の勃興は労働力の集中を必要とした。石炭の重要性が新たに高まったため、イングランドのブラック・ヵントリー、 ドィッのルール地方、北フランスのリール川辺地域、アメリカのピッツバーグとぃった、最大級の工業中心地のいくつかが石炭埋蔵地またはその近辺で生まれた。これらの例はまた、近代経済成長における資源の重要性を予告するものである。」 (第8章 19世紀の経済発展:基本的決定要因)