現代人口政策の可能性 島根大学 廣嶋清志 シンポジウム「歴史の中の『少子化』」 コメント2 比較家族史学会研究大会 第51回大会 2009年6月20日(土)大阪大学 シンポジウム「歴史の中の『少子化』」 コメント2 現代人口政策の可能性 島根大学 廣嶋清志
目次 世界の人口問題と人口政策 人口変動要因としての人口政策 人口政策の基盤 社会経済,政府,人々の意識 現代日本の人口政策の展開と特質 人口変動要因としての人口政策 人口政策:「人口変動に対して影響を及ぼすように意図された方策」 (国際人口学会1994) 「人口に対する目標(たとえば、人口置き換え水準への回復)を明示しなければ人口政策とは言えない」(大淵2005、『少子化の政策学』p.23)。 人口政策の基盤 社会経済,政府,人々の意識 現代日本の人口政策の展開と特質 1970年以後の出生率低下要因と政策
World Population Policies 2007 United Nations, 2008
日本の人口問題意識 廣嶋清志, 1983,「人口問題の質的側面」南亮三郎・濱英彦編『人口問題の基本考察』千倉書房
第1回,2回人口問題に関する意識調査1990,95年(厚生省人口問題研究所)
第1回,2回人口問題に関する意識調査1990,95年(厚生省人口問題研究所)
第1-1-1図 出生数及び合計(特殊)出生率の年次推移 少子化社会白書 2008年版 第1-1-1図 出生数及び合計(特殊)出生率の年次推移 少子化社会白書 2008年版 2007年 出生数1,089,745 1.34
第1-2-1図 少子化対策の経緯少子化社会白書 2008年版 第1-2-1図 少子化対策の経緯少子化社会白書 2008年版
1996年人口問題審議会 97年 「少子化に関する基本的考え方」 2002年 将来人口推計(夫婦出生力低下の認識) 少子化政策の展開 第1期 1977-1989年 少子化対策の開始前 国民の過剰人口意識 出生率計測の問題(~2000年) テンポ効果論の問題 *晩婚化についての経済要因論(2003年復活) 第2期 1990-1996年 少子化対策の開始 1991年育児休業法 ←夫婦出生力低下の認識 1992年 国民経済白書 1994年 エンゼルプラン 第3期 1997-2001年 少子化対策の本格化 1996年人口問題審議会 97年 「少子化に関する基本的考え方」 第4期 2002年- 少子化対策の確立 2002年 将来人口推計(夫婦出生力低下の認識) 2003年 少子化社会対策基本法 次世代育成支援対策推進法 2007年2月 「子どもと家族を応援する日本」重点戦略 12月 「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」
国民生活白書1992年版
国民生活白書1992年版 時系列分析1971-1990年
少子化社会対策基本法 2003年 前文:「急速な少子化の進展は、...人口構造にひずみを生じさせ、...深刻かつ多大な影響をもたらす」 「子どもを安心して生み、育てる環境を整備し、」 「少子化に歯止めをかけることが...求められている」 →=「人口政策」 国会の審議では,「人口政策」ではないと再三回答されている。人口政策は人口増加を目指す(強制的な)政策 次世代育成支援対策推進法 2003年 石毛委員「育成支援策であって人口政策ではないということの御確認をいただきたい」
第1-2-1図 少子化フローチャート少子化白書2004年版 第1-2-1図 少子化フローチャート少子化白書2004年版
第1-2-2図 少子化社会対策大綱の3つの視点と4つの重点課題 (少子化社会白書2008年より) 第1-2-2図 少子化社会対策大綱の3つの視点と4つの重点課題 (少子化社会白書2008年より) 2004年
第1-2-8図 重点戦略の検討体制(構成員)少子化社会白書2008年 第1-2-8図 重点戦略の検討体制(構成員)少子化社会白書2008年
第1-2-9図 重点戦略と憲章・行動指針の策定に向けての検討経緯及び体制(中間報告以降)少子化社会白書2008年 第1-2-9図 重点戦略と憲章・行動指針の策定に向けての検討経緯及び体制(中間報告以降)少子化社会白書2008年
第1-2-14図 重点戦略策定の視点少子化社会白書2008年 第1-2-14図 重点戦略策定の視点少子化社会白書2008年
第1-3-13表 行動指針で設定された数値目標少子化社会白書2008年 第1-3-13表 行動指針で設定された数値目標少子化社会白書2008年
第1-2-22図 包括的な次世代育成支援の枠組みの構築等 社会保障審議会に少子化対策特別部会を設置少子化社会白書2008年 第1-2-22図 包括的な次世代育成支援の枠組みの構築等 社会保障審議会に少子化対策特別部会を設置少子化社会白書2008年
まとめ ○少子化対策の発展過程と人口学的家族研究 ・夫婦出生力低下の認識 第2期,4期での役割 ・未婚化の要因としての「若者の経済状態」の認識 第1期,4期 ○少子化人口政策の必要性と合意形成の難しさ (家族政策と称すべきか?) ○少子化関連二法の限界 「雇用環境の整備」↔ 「子どもを生み、育てる者が充実した職業生活を営みつつ豊かな家庭生活を享受することができるよう」な給与水準 ○「少子化対策」問題意識の福祉分野での役割
報告者への質問: 現代の人口動向において,人口への政策的な働きかけ,とくに近年における少子化対策を,どのように考えるか? 無視できる-できない 必要-不要 有効-無効