産業組織論入門 5 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2013年11月28日 2013/11/28 産業組織論入門 (5) 消費者余剰 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2013年11月28日

お買い得感を需要曲線で表す 前から気に入っていた洋服がバーゲンで安く売っていた！お買い得で嬉しい． 人々は財に異なった満足度を得るが 産業組織論入門 5 お買い得感を需要曲線で表す 前から気に入っていた洋服がバーゲンで安く売っていた！お買い得で嬉しい． 人々は財に異なった満足度を得るが 支払う価格は同じ．取引をした後の満足度は？ 実際に価格を支払ったときの財からの満足度の残りを見たい．残りを余剰という． 洋服が5000円までだったら買ってもよい． バーゲンで3000円で売られていた．この満足度の残り 5000-3000=2000 が消費者余剰 2013/11/28 産業組織論入門 5

アイスショーへの支払意欲 5000円を支払うつもりが支払意欲(支払許容額)だ 産業組織論入門 5 2013/11/28 アイスショーへの支払意欲 5000円を支払うつもりが支払意欲(支払許容額)だ ある財の支払意欲とは，それ以下の価格なら一単位購入する．しかし，それを上回れば購入しないという金額を表している．価格が支払い意欲と同額ならば買っても買わなくても良いと思っている イチローはアイスショーを一回見るか見ないかを検討している．イチローの一回のアイスショーの視聴に対する支払意欲は10,000円としよう アイスショー価格が7,000円ならば見る．12,000円ならば見ない 2013/11/28 産業組織論入門 5 丹野忠晋

支払意欲から需要表を作る もしイチローが価格7000円でアイスショーのチケットを購入したら 10000-7000=3000 産業組織論入門 5 2013/11/28 支払意欲から需要表を作る もしイチローが価格7000円でアイスショーのチケットを購入したら 10000-7000=3000 支払意欲から購入価格を差し引いた3000円がイチローが得る消費者余剰だ イチロー以外にも石川遼，ダルビッシュ，北島康介，亀梨がアイスショーを見ようと考えている ダルビッシュの支払意欲は8000円，石川遼は5000円，北島は4000円，亀梨3000円． 価格7000円ならばイチロー、ダルビッシュ購入 2013/11/28 産業組織論入門 5 丹野忠晋

買い手 支払意欲(円) イチロー 10000 ダルビッシュ 8000 石川遼 5000 北島康介 4000 亀梨和也 3000 産業組織論入門 5 2013/11/28 買い手 支払意欲(円) イチロー 10000 ダルビッシュ 8000 石川遼 5000 北島康介 4000 亀梨和也 3000 2013/11/28 産業組織論入門 5 丹野忠晋

消費者余剰 消費者余剰は取引をした後の満足度を表す 実際に価格を支払ったときの財からの支払い意欲の残り（余剰） 産業組織論入門 5 消費者余剰 消費者余剰は取引をした後の満足度を表す 実際に価格を支払ったときの財からの支払い意欲の残り（余剰） 正確には支払ってもよいと考えている金額から実際に支払った金額を差し引いた値が消費者余剰 消費者余剰＝支払い意欲ー価格 英語で Consumer Surplus と言う 消費者余剰をCS と略す 支払い意欲のグラフから消費者余剰を図示しよう 2013/11/28 産業組織論入門 5

支払い意欲のグラフ イチローの支払い意欲 ダルビッシュの支払い意欲 石川遼の支払い意欲 北島康介の支払い意欲 亀梨和也の支払い意欲 産業組織論入門 5 支払い意欲のグラフ 支払い意欲(円) 枚数 1 2 3 4 5 イチローの支払い意欲 ダルビッシュの支払い意欲 10000 石川遼の支払い意欲 8000 北島康介の支払い意欲 5000 亀梨和也の支払い意欲 4000 3000 2013/11/28 産業組織論入門 5

アイスショーのチケットは何枚売れる 価格が低ければ沢山売れる 価格＜支払い意欲 → 購入 価格＞支払い意欲 → 購入しない 産業組織論入門 5 2013/11/28 アイスショーのチケットは何枚売れる 価格が低ければ沢山売れる 価格＜支払い意欲 → 購入 価格＞支払い意欲 → 購入しない 実際に売れる枚数 → 価格＝支払い意欲 価格が7000円だったら何枚売れる？ 2013/11/28 産業組織論入門 5 跡見学園女子大学　丹野忠晋

支払い意欲のグラフ 2枚まで売れるだろう 価格は7000円 3枚目は売れない 支払い意欲(円) 枚数 1 2 3 4 5 10000 産業組織論入門 5 支払い意欲のグラフ 支払い意欲(円) 枚数 1 2 3 4 5 2枚まで売れるだろう 10000 8000 価格は7000円 5000 4000 3000 3枚目は売れない 2013/11/28 産業組織論入門 5

支払い意欲のグラフ 価格は7000円 購入量 支払い意欲イコール価格は購入量を表す 価格7000円⇒2枚購入 産業組織論入門 5 支払い意欲のグラフ 支払い意欲(円) 枚数 1 2 3 4 5 支払い意欲イコール価格は購入量を表す 価格7000円⇒2枚購入 支払い意欲は需要曲線と同じ機能を持つ 10000 8000 価格は7000円 5000 4000 3000 購入量 2013/11/28 産業組織論入門 5

支払い意欲のグラフ イチローの支払い意欲 ダルビッシュの支払い意欲 価格は7000円 需要量 支払い意欲のグラフは需要曲線である 産業組織論入門 5 支払い意欲のグラフ 支払い意欲のグラフは需要曲線である 支払い意欲(円) 枚数 1 2 3 4 5 イチローの支払い意欲 ダルビッシュの支払い意欲 10000 8000 7000 価格は7000円 5000 4000 3000 需要量 2013/11/28 産業組織論入門 5

産業組織論入門 5 需要曲線（価格から数量へ） 価格 需要曲線 P Q 数量 2013/11/28 産業組織論入門 5

需要曲線＝支払い意欲曲線 最後の一個の支払い意欲と費用(価格)が同じときはそれを購入すると考えていく 産業組織論入門 5 需要曲線＝支払い意欲曲線 最後の一個の支払い意欲と費用(価格)が同じときはそれを購入すると考えていく 支払い意欲を大きいほうから並べて価格と支払い意欲が一致している支払い意欲の個数が需要量 価格＝支払い意欲⇒購入量 これは需要曲線と同じ 価格に対して購入しようとする数量 支払い意欲曲線は各数量から1単位増えたときに支払っても良い金額 2013/11/28 産業組織論入門 5

支払い意欲曲線と需要曲線 各棒グラフは個人の支払い意欲 需要曲線 価格(円) 枚数 1 2 3 4 5 10000 8000 5000 産業組織論入門 5 支払い意欲曲線と需要曲線 価格(円) 枚数 1 2 3 4 5 各棒グラフは個人の支払い意欲 10000 8000 需要曲線 5000 4000 3000 2013/11/28 産業組織論入門 5

支払い意欲と消費者余剰 イチローの消費者余剰＝10000-7000＝3000 ダルビッシュの消費者余剰 ＝8000-7000＝1000 産業組織論入門 5 支払い意欲と消費者余剰 支払い意欲(円) 枚数 1 2 3 4 5 イチローの消費者余剰＝10000-7000＝3000 ダルビッシュの消費者余剰 ＝8000-7000＝1000 10000 8000 価格は7000円 7000 5000 4000 3000 需要量 2013/11/28 産業組織論入門 5

需要曲線と消費者余剰 需要曲線 消費者余剰 価格は7000円 価格(円) 枚数 1 2 3 4 5 10000 8000 7000 5000 産業組織論入門 5 需要曲線と消費者余剰 価格(円) 枚数 1 2 3 4 5 需要曲線 10000 消費者余剰 8000 価格は7000円 7000 5000 4000 3000 2013/11/28 産業組織論入門 5

消費者余剰 支払ってもよいと考えている金額から実際に支払った金額を差し引いた値が消費者余剰 消費者余剰を表す面積＝△ABCの面積 需要曲線 産業組織論入門 5 消費者余剰 支払ってもよいと考えている金額から実際に支払った金額を差し引いた値が消費者余剰 消費者余剰を表す面積＝△ABCの面積 価格 A 需要曲線 C Q 消費者余剰 B 価格 P 数量 2013/11/28 産業組織論入門 5

個別消費者余剰と総消費者余剰 市場全体の消費者余剰は総消費者余剰と呼ばれる イチローやダルビッシュの消費者余剰は個別消費者余剰と呼ばれる 産業組織論入門 5 2013/11/28 個別消費者余剰と総消費者余剰 市場全体の消費者余剰は総消費者余剰と呼ばれる イチローやダルビッシュの消費者余剰は個別消費者余剰と呼ばれる 各個人の消費者余剰は正確には個別消費者余剰 消費者余剰は個別消費者余剰と総消費者余剰の両方の意味でしばしば使われる．個別と総の省略 どちらなのか自分で判断 2013/11/28 産業組織論入門 5 跡見学園女子大学　丹野忠晋

価格の下落の効果 物の値段が下がると嬉しい．消費者余剰でどう表現できるか？ アイスショーの価格が4500円に下落した 産業組織論入門 5 2013/11/28 物の値段が下がると嬉しい．消費者余剰でどう表現できるか？ アイスショーの価格が4500円に下落した イチローのCS＝10000-4500=5500 余剰は3000円から2500円分増加した ダルビッシュのCS＝8000-4500=3500 余剰は1000円から2500円分増加した 既存の買い手は価格下落分だけ余剰が増加 新たに石川遼が購入する 石川遼のCS=5000-4500=500 2013/11/28 産業組織論入門 5 丹野忠晋

価格下落と消費者余剰 イチローの消費者余剰の増加 ダルビッシュの消費者余剰の増加 石川遼の消費者余剰 元の価格は7000円 産業組織論入門 5 価格下落と消費者余剰 イチローの消費者余剰の増加 価格(円) 枚数 1 2 3 4 5 ダルビッシュの消費者余剰の増加 10000 石川遼の消費者余剰 8000 元の価格は7000円 7000 5000 新しい価格は4500円 4500 4000 3000 新しい需要量 2013/11/28 産業組織論入門 5

価格の下落は既存と新規の消費者への効果をもたらす 産業組織論入門 5 2013/11/28 価格の下落は既存と新規の消費者への効果をもたらす 既に買っている人には均等に価格下落分だけの消費者余剰が増える 価格下落によって新たな消費者を獲得できる 新たな消費者の消費者余剰は価格下落分よりは小さい 2013/11/28 産業組織論入門 5 丹野忠晋

価格下落と消費者余剰 既存の買い手の消費者 余剰の増加 新たな買い手の消費者 余剰の発生 需要曲線 元の消費者余剰 価格 A C B 産業組織論入門 5 価格下落と消費者余剰 価格 元の消費者余剰 既存の買い手の消費者 余剰の増加 A 新たな買い手の消費者 余剰の発生 C B 元価格 P 新価格 P’ E 需要曲線 D 数量 Q 2013/11/28 産業組織論入門 5

復習 消費者余剰は取引による消費者の利益 消費者余剰は需要曲線と水平な価格線の間 価格の下落によって消費者余剰は増える 産業組織論入門 5 復習 消費者余剰は取引による消費者の利益 消費者余剰は需要曲線と水平な価格線の間 価格の下落によって消費者余剰は増える 元から買っている消費者は価格下落分だけ利益を得る 新たな買い手は価格下落分よりも小さい消費者余剰が発生する 2013/11/28 産業組織論入門 5