ホスピス外来における STAS-Jを活用した看護の実際

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実践編 次のような処方箋と簡単な患者情報とともに在宅訪問依頼が来 た。 さて、何を準備し、何をチェックし、どのように多職種と連携 をとることが求められるか。 ワークシートを参考に考えてみましょう。
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2015年症例報告 地域がん診療連携拠点病院 水戸医療センター
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資料2 北信医療圏における 平成29年度病床機能報告等の状況について.
     【症例2:91歳女性】  認知症、胆管がん 20XX年 1月(90歳): ・アルツハイマー型認知症の疑い、骨粗鬆症、変形性膝関節症で近医にて加療 ・黄疸のため近隣の病院にて入院加療。胆管ステント留置し退院 ⇒加療が奏功し、全身状態は比較的安定 ・サービス付き高齢者向け住宅に入所し療養 ・廃用により体幹・下肢筋力低下。ほぼベッド上での生活。移動はストレッチャ型車いす.
ケアマネジャーの皆様 利用者さんのことでの悩みや困りごと ありませんか? 地域の訪問看護ステーションに ぜひ、ご相談ください ☎
医療機関用 共同診療計画表 (肝がん) 施設名 : ○は必須項目 △は必要時実施項目 患者情報 背景 : HBV HCV NBNC
SWOT分析 看護師 転職例 強み (Strengths) 弱み (Weaknesses) 機会 (Opportunities)
在宅医療施策の取組状況と今後の展開(案)
STAS-J症状版の作成と 評価者間信頼性の検討
STAS導入を試みての 経過報告と今後の課題
がん地域連携パスについて (連携医療機関向け) 連絡先・お問合せ先 徳島大学病院 がん診療連携センター 担当:宮越・兼子
在宅医療をご存じですか? 編集:○○○○○ 訪 問 診 療 往 診 在宅医療を利用できる方(例) 在宅医療で受けられる主なサービス
ケアセンターいぶきの今後、 伝えたいこと 地域包括ケアセンターいぶき  畑野 秀樹.
衛生委員会用 がんの健康講話用スライド.
在宅医療をご存じですか? 編集:○○○○○ 訪 問 診 療 往 診 在宅医療を利用できる方(例) 在宅医療で受けられる主なサービス
私のカルテ 発熱性好中球減少に対する予防的G-CSF製剤使用のための地域連携パス(通称:G連携)
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ホスピス外来における STAS-Jを活用した看護の実際 淀川キリスト教病院ホスピス 田村恵子 前滝栄子 市原香織

ホスピス外来でのSTAS-Jの導入 ホスピス外来は火曜日午後に行っている. 患者は通常2週間毎に通院している.

研 究 方 法 初回再診での評価 1回目入院前の評価 退院後初回再診の評価 2回目入院前の評価 2回目入院 初診 1回目入院 1回群 2回群

対象者の背景 男性:8名 女性:15名 平均年齢:70.1歳 疾患:膵臓がん6名 肺がん,胃がん,大腸がん 各3名, その他 9名 男性:8名 女性:15名 平均年齢:70.1歳 疾患:膵臓がん6名    肺がん,胃がん,大腸がん 各3名,    その他 9名 通院回数:平均7.8回(最大20回 最小2回) 入院回数:1回16名(1回群)          2回 6名(2回群)          在宅死1名 

  入院が1回のみの患者の経過(1回群)

 入院が2回の患者の経過(2回群)

事例紹介 患者氏名:B氏 60歳代 女性 疾患名:肺腺がん 脳転移 外来受診までの経過: 疾患名:肺腺がん 脳転移 外来受診までの経過:   X年5月血痰出現.12月Kセンター受診.左胸水と腫瘍を認める.X+1年1月入院し胸水ドレナージ・胸膜癒着術施行.腺がん,StageⅢBと診断される.化学療法は希望せず,2月初旬退院後自宅療養をしていたが,痛みが出現,緩和ケアを希望して,8月8日ホスピス外来受診となる.

B氏の全経過でのスコアの変化

B氏の1回目入院までの病状と看護の経過 3月22日入院 薬剤使用の抵抗感が強い 情報の理解が充分でない ふらつき出現 痛みも持続 在宅療養困難 症状は増強傾向 患者の不安増強 薬剤についての説明 これまでの病状説明の 確認 予測される症状の説明 オピオイドの服薬指導 緊急時の連絡方法 訪問看護の呈示 感冒症状で あると判断 入院の説明 急変時の連絡方法 ふらつき持続 痛みも持続 腫瘍による影響 症状と付きあっていく 3月22日入院 オピオイドの服薬指導 検査の説明 緊急時の連絡方法 呼吸困難増強 不安は強いが 病状認識のズレは 少なくなっている 身体的変化はなし 年越しは自宅で 休診中の連絡方法

B氏の2回目入院までの病状と看護の経過 6月11日死亡 4月3日退院 呼吸困難増強 呼吸困難増強 6月9日 食事摂取時、のどのつまり 体調変わりなく経過 最後まで在宅療養を希望 食事の形態及び 摂取時の注意 夫へのねぎらい 6月11日死亡 在宅療養について の説明と調整

まとめ ホスピス外来でのSTAS-Jの活用により、 患者と家族の全体像を短時間に把握できる. 前回の状態との比較を行った上で、現在の患者と家族の問題点が明らかになる. 患者と家族が在宅療養を続けるために必要な看護が提供できる.