群論とルービックキューブ 白柳研究室 5512090 水野貴裕.

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群論とルービックキューブ 白柳研究室 5512090 水野貴裕

概要 置換パズルである3×3×3のルービックキューブは、数学的に解析することができる。解析方法として、 ・群論 ・ケーリーグラフ ・アダマール行列 本研究では、計算機代数システムのSAGEを利用した群論を用いる解法とLayer By Layer法(略称LBL法)による解法に対して、両者の手数を比較した。

解析に使用する群の定義 置換群 剰余群 生成元 準同型 自由群

ルービックキューブ ・1974年にハンガリーの建築学者エルノー・ルービックが考案した。 ・48面の置換群ととらえることができる。 また、センターキューブは1面体、エッジキューブは2面体、コーナーキューブは3面体と言われることもある。

ルービックキューブ群の構造 48個の小面に1,2,…,48の番号を付ける。 1 6 4 3 5 8 2 7 U 9 14 12 11 13 16 10 15 L 17 22 20 19 21 24 18 23 F 25 30 28 27 29 32 26 31 R 33 38 36 35 37 40 34 39 B 41 46 44 43 45 48 42 47 D

互いに素な巡換記法で表したルービックキューブの6個の面に対応する標準的な生成元は次の通り。  互いに素な巡換記法で表したルービックキューブの6個の面に対応する標準的な生成元は次の通り。 F = (17,19,24,22)(18,21,23,20)( 6,25,43,16)( 7,28,42,13)( 8,30,41,11) B = (33,35,40,38)(34,37,39,36)( 3, 9,46,32)( 2,12,47,29)( 1,14,48,24) L = ( 9,11,16,14)(10,13,15,12)( 1,17,41,40)( 4,20,44,37)( 6,22,46,35) R = (25,27,32,30)(26,29,31,28)(3,38,43,19)(5,36,45,21)(8,33,48,24) U = ( 1, 3, 8, 6)( 2, 5, 7, 4)( 9,33,25,17)(10,34,26,18)(11,35,27,19) D = (41,43,48,46)(42,45,47,44)(14,22,30,38)(15,23,31,39)(16,24,32,40)

互いに素な巡換記法で表したルービックキューブの6個の面に対応する標準的な生成元は次の通り。  互いに素な巡換記法で表したルービックキューブの6個の面に対応する標準的な生成元は次の通り。 F = (17,19,24,22)(18,21,23,20)( 6,25,43,16)( 7,28,42,13)( 8,30,41,11) B = (33,35,40,38)(34,37,39,36)( 3, 9,46,32)( 2,12,47,29)( 1,14,48,24) L = ( 9,11,16,14)(10,13,15,12)( 1,17,41,40)( 4,20,44,37)( 6,22,46,35) R = (25,27,32,30)(26,29,31,28)(3,38,43,19)(5,36,45,21)(8,33,48,24) U = ( 1, 3, 8, 6)( 2, 5, 7, 4)( 9,33,25,17)(10,34,26,18)(11,35,27,19) D = (41,43,48,46)(42,45,47,44)(14,22,30,38)(15,23,31,39)(16,24,32,40) 1 6 4 3 5 8 2 7 U 9 14 12 11 13 16 10 15 L 17 22 20 19 21 24 18 23 F 25 30 28 27 29 32 26 31 R 33 38 36 35 37 40 34 39 B 41 46 44 43 45 48 42 47 D

キューブ理論の第1基本定理 定理 次の決定過程によってルービックキューブの配置は決定される。 (a)2面体がどのように置換されたか。 F U R + 5 4 9 10 7 3 D F R + 5 8 7 2 4 3 定理 次の決定過程によってルービックキューブの配置は決定される。 (a)2面体がどのように置換されたか。 (b)3面体がどのように置換されたか。 (c)どの2面体の印が(基準参照印に対して)反転したか (d)どの3面体の印が(基準参照印に対して)どれだけ(時計回りに120度   または240度)回転したか。

キューブ理論の第2基本定理  

実験 SAGEを使い、コンピューターを用いて求める解の手数と、LBL法を用いて人の手によって求める解の手数を比べる。 ・任意の手数でキューブの配置をランダムに変えて、それを初期状態に戻す手数を数える。 ・キューブの配置はコンピューターと人で同じにする。 ・手順は時計回り、もしくは反時計回りに90°回転させる操作を一回と数える。 ・キューブの配置を変える手数は30,40,50,60,70,80,90,100回で行った。

アルゴリズム SAGEにおいて実装されているルービックキューブの解法アルゴリズムは以下の通り。 (1)6つの面に対する手の生成元による自由群を構成し、生成元が満たすべき関係の適切な集合を計算 (2)ルービックキューブ群からこの自由群の剰余群への準同型を計算 (3)ルービックキューブの配置を群の元とみて、それを自由群の商に写像 (4)生成元の関係及び組み合わせ群論の手法を使って、この写像された元に対する「語の問題」を解く。

実験結果 回数 コンピューター 人 30 28 82 40 76 50 66 60 63 70 80 29 83 90 100

考察 コンピューターの手数の平均は約29手、LBL法の手数 の平均は約75手   平均29手であるコンピューターには及ばない。 使うアルゴリズムによって手数が決まるであろう。

今後の展開 コンピューターの群論以外の解析方法を考察する。 人による解法の別のアルゴリズムを検討する。 任意の状態から初期状態に戻すプログラムの作成。