新星:変わりものランキング 加藤 万里子 (慶応大)
変わりものランキング ? 「変わりもの」の定義ー新星らしくない 新星らしいとは 観測的:増光(>15mag), スペクトル, P-Cyg profile、膨張速度、減光の様子などから 理論的:白色矮星上での核爆発である 光度曲線の普遍則にのる (パンダのぬいぐるみをかぶっていても人間は人間。 光度曲線がもこもこしていても、普遍則が隠れている)
いろいろな新星 V1668 Cyg (1978) 光度曲線が普遍則に きれいに乗る 典型的な新星 V1668 Cyg (1978) y mag: Gallagher et al (1980) UV :Cassatella et al (2002) Model: Kato & Hachisu (2007)
いろいろな新星 光度曲線のプラトー は降着円盤のためで 変ではない 回帰新星 U Sco プラトー Hachisu et al. 1999
すごく 速い V838 Her (1991 菅野さん発見) WD mass:1.35Mo 光度曲線が普遍則に きれいに乗る。 速いが変わっては いない。 OPT: IAUC, IUE Vfes IR: IAUC, Harrison & Stringfellow WD mass:1.35Mo for X=0.55, O=0.03, Ne=0.07, Z=0.02 Kato, Hachisu & Cassatella (2009)
GQ Mus (1983) すごく 遅い X-rays: ROSAT Orio et al (2001) Shanley et al (1995) すごく 遅い 光度曲線が普遍則に きれいに乗る。 遅いが変では ない。 0.75 Mo for X=0.55, CNO=0.2 0.7 Mo for X=0.45, CNO=0.35 0.65 Mo for X=0.35, CNO=0.3 Hachisu, Kato, Cassatella, (2008) ApJ,687,1238
形が 変な天体いろいろ ヘン おそい新星 変な新星の候補だが、まだ モデルを作って ないので、はずす ダストによる減光は 変ではない。回復後に普遍則にのる Payne-Gaposchkin (1957)
非常に遅い 光度曲線 2 ランキング2位 V445 Pup (2000 金津さん発見)
V445 Pup (2000) C, Na, Fe,Ti, Cr, Si, Mg, etc.の輝線が強い H lines が無い 水素がない V445 Pup (2000) Iijima & Nakanishi (2008) H lines が無い C, Na, Fe,Ti, Cr, Si, Mg, etc.の輝線が強い P Cyg profile 遅い新星に似ている => これでも新星の一種 iijima & Nakanishi (2008) A&Ap Hα 6563 A .
新星風理論 質量放出率、光球温度:正確に決まる 定常、球対称 方程式: 運動、連続, 拡散、エネルギー保存 定常解の系列をつくり、進化を追う 変な新星だが 新星には違いないので モデルを計算しました。 新星風理論 水素がなくて ヘリウムだけと仮定 ガスが光球の内側で加速される 定常、球対称 方程式: 運動、連続, 拡散、エネルギー保存 定常解の系列をつくり、進化を追う 質量放出率、光球温度:正確に決まる Kato & Hachisu (1994) ApJ,437,802 新星の光度曲線を計算する唯一の方法
自由-自由放射 光球 加速 自由-自由 放射 WD He O 清田さんの観測
理論的な光度曲線 -- 自由-自由放射 加藤、蜂巣、清田、斉尾 (2008) ApJ
Light curve fitting of V445 Pup MWD > 1.35 Mo Dust formation
WDの質量 がとても重い ( > 1.35 Mo) Ia 型超新星の候補天体である 伴星がヘリウム星で、連星系の進化 として特殊 受賞理由 2 WDの質量 がとても重い ( > 1.35 Mo) Ia 型超新星の候補天体である 伴星がヘリウム星で、連星系の進化 として特殊 3つとも めずらしい 理由 加藤、蜂巣、清田、斉尾 (2008) ApJ
1 PU Vul 1979年 桑野・本田さんにより独立発見 ちっとも新星らしくない Kanamitsu et al. (1991)
異常な 光度曲線 1 PU Vul (1979) UV
スペクトル: 初期1982-83 異常な スペクトル Kanemitsu et al. (1991) 吸収線ばっかり これでnova か? スペクトル: 初期1982-83 異常な スペクトル Kanemitsu et al. (1991) 吸収線ばっかり これでnova か? 4000 4500 5000
スペクトル: 初期 1986 異常な スペクトル Kanemitsu et al. (1991) 4000 4500 5000
スペクトル: 中期 1989 Kanemitsu et al. (1991) やっと輝線 でも細い 4000 4500 5000
理論曲線を計算しました ただし 質量放出が ないと仮定 これは かなり異常 0.7 Mo X=0.7 Z=0.01
質量放出がある場合とは 質量放出がない場合 Optically thick wind: 輻射圧による加速 → 核反応で出たエネルギーフラックスが外へ流れていく途中で、20万度のところにある OPACITY のピークでブロックされ、加速される MWD が大きいとかならず起こる 質量放出がない場合 輻射圧による加速が抑えられる 密度構造が違うとき MWD が小さいとき
新星のHR 図 質量放出がおこらない 質量放出と 静止解が 共存する領域 X=0.35, Y=0.33 C=0.1, O=0.2 Z=0.02 Wind mass loss fast nova 質量放出と 静止解が 共存する領域 moderately fast nova slow nova 質量放出がおこらない
静水圧平衡解と質量放出解 白色矮星質量が同じ WD大気の質量も同じ 2種類の解がある (内部構造が違う) MWD=0.6 Mo 2種類の解がある (内部構造が違う) MWD=0.6 Mo 2.3E-5 Mo Kato & Hachisu (2009) ApJ, 699, 1293
受賞理由: なんと 質量放出が起こってない! 受賞理由: なんと 質量放出が起こってない! 1 Optically thick wind モデルは 0.7 Mo X=0.7, Z=0.01 加藤ほか準備中