iPP分子の分子内ポテンシャルエネルギーの最も低い分子構造(コンフォメーション)

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iPP分子の分子内ポテンシャルエネルギーの最も低い分子構造(コンフォメーション) trans-gauche+-trans-gauche+・・・ 3/1 helix (R) 3/1 helix (L) trans-gauche--trans-gauche-・・・

iPP分子の結晶状態での4つのコンフォメーション R u d L CH 3 C

C2/c Lu/d a b Ru/d P2 /c 1 Rd Ru Ld Lu iPPのa1相とa2相の結晶構造 a1 a2 Table Crystal systems and lattice parameters of iPP in the a1 and a2 phases. crystal system  space group a [Å]  b [Å]  c [Å]  β [°] monoclinic     C2/c    6.65   20.83 6.5   99.8 monoclinic     P21/c   6.65  20.73 6.5   99.8

iPPのa相のX線回折プロファイル h, k, l: h + k = odd ×20 Tc = 150˚C Tc = 110˚C a2 rich a1 rich

iPPのa1相とa2相の自由エネルギー G T a1 a2 liquid

II. 実験 iPP試料: サンアロマー社製 低分子量iPP 等温結晶化 time temperature/˚C 50 100 150 50 100 150 200 250 (in situ) Tc tc XRD 110˚C – 2 h 120˚C – 2 h 130˚C – 4 h 135˚C – 24 h 140˚C – 24 h 145˚C – 24 h 150˚C – 288 h

X線回折 ブルカー・エイエックスエス DIP220 発生装置:回転対陰極(18 kW) 出力  :40 kV – 250 mA X線   :Cu-Kα(グラファイトモノクロメータ) スリット:1.0/1.0mmφ 検出器 :イメージングプレート カメラ長:170 mm 露光時間:1800 s (30 min) 試料  :粉砕→1mmφガラスキャピラリ

iPPのX線回折パターンの結晶化温度依存性 Mw = 58,700 Mn = 14,700 Mw/Mn = 4.0 [mmmm]=98.4

III. X線回折法による結晶多形分率の導出プロセス 2.ピーク分離・各Bragg反射の積分強度導出 3.データ補正 4.温度因子(構造の乱れ)の見積り 5.積分強度の温度因子補正 6.Bragg反射強度比から結晶多形分率導出 モデルの選択

例:高分子材料の場合では選択配向性を考慮することは重要 1.X線回折プロファイル測定 得ようとしている量を適正に得ることのできるような手法を使うことが大切 例:高分子材料の場合では選択配向性を考慮することは重要 通常使うプレート状、フィルム状試料には少なからず選択配向性がある。 試料に等方性を持たせる 選択配向性を考慮してX線回折プロファイルを測定・強度を補正

2.各Bragg反射ピークへの分離・積分強度の導出 ①バッググランド ②アモルファスハロー ③各Braggピーク ①、②、③でX線回折プロファイルを再現 ブラッグ反射ピークのプロファイル関数 Pseudo-Voigt関数(=ガウス関数+ローレンツ関数)

background amorphous Mw = 58,700 Mn = 14,700 Mw/Mn = 4.0 [mmmm]=98.4 110 040 130 g117 111 -131, 041 150, 060 background amorphous

Iobs:実測生強度 Icor:補正後強度 L:ローレンツ因子 P:偏光因子 R:画像解析手法に基づく補正因子 I:斜入射補正 3.積分強度の補正 Iobs:実測生強度 Icor:補正後強度 L:ローレンツ因子 P:偏光因子  R:画像解析手法に基づく補正因子 I:斜入射補正 装置特有の補正・・・測定に使用するする光学系、検出器の特徴、装置が出力するデータの意味を熟知しなければならない メーカー提供のソフトウェアはその装置の光学系・検出器によって「適正」に測定して得たデータに合わせられていることが多い  ①適正に測定できる方法で測定する ②出力されているデータ特性を熟知する

理論計算値と比較できる実測値を得る 4.温度因子(構造の乱れ)の見積り ウィルソンプロット法など 等方性 or 非等方性 B = 16.8 Å2 Å 5.積分強度の温度因子補正 理論計算値と比較できる実測値を得る

6.Bragg反射強度比からα2分率を導出 観測事実に合う構造モデルの選択 通常想定されているモデル Rietveld, etc a1 a2 すべての補正が終わったデータ 多重度 a2分率W a2

order domain eduction model Hikosaka-Setoモデル M. Hikosaka and T. Seto, Polymer Journal, 5, 111-127 (1973). order domain eduction model crystallite a2 a1 L l a2 a1 L L h + k = even ∝L-1 ∝L-1 ∝L-1 h + k = odd ∝L-1 ∝l-1 extinction

∝L-1 L h + k = even h + k= odd + superlattice ?

Fhkl:hklの結晶構造因子 温度因子大

IV. 結果 a2分率と結晶化度の温度依存性 Mw = 58,700 Mn = 14,700 Mw/Mn = 4.0 [mmmm]=98.4