JCHO東京新宿メディカルセンター 内科 地域連携・総合相談センター 溝尾 朗 第65回 新宿食支援研究会 チーム医療 JCHO東京新宿メディカルセンター 内科 地域連携・総合相談センター 溝尾 朗
チーム医療に必要な5つの条件 ○WG, 勉強会 ○WG △ ○SKTS: 最期まで × ① 高い専門性 ② 十分なコミュニケーション 専門職種としての教育と他職種への理解 研修会、研究結果発表の機会 ○WG, 勉強会 ○WG ② 十分なコミュニケーション 情報交換だけでなく、議論・調整が必要 △ ③ 目的と情報の共有 電子カルテ、定型化した書式による情報共有 厚生労働省 チーム医療推進会議より ○SKTS: 最期まで 口から食べられる街新宿 ④ 理念の一致 × ⑤ 治療・ケアの均てん化(標準化)
チーム医療の3つの機能 ② つなげる ③ 結果を出す ① 見つける プライマリナース 2つの医療チーム
急性期病院の2つのチーム医療 ① 専門部隊型チーム医療 WG ② 病棟配置型チーム医療 ? 呼吸器内科ケース カンファレンス NST 呼吸器内科 循環器内科 外科 整形外科 ・・・ ② 病棟配置型チーム医療 NST ? 厚生労働省 チーム医療推進会議より
6つの病棟配置型チーム医療 糖尿病(DM)診療チーム 栄養サポート(NST)チーム 褥瘡対策チーム 摂食嚥下対策チーム 感染制御(ICT)チーム 緩和ケアチーム
糖尿病で通院中の87歳男性が 誤嚥性肺炎で入院した 嚥下困難食 患者 (87歳男性) プライマリナース ICTeam DM Team 陳旧性脳梗塞+嚥下障害 主治医, MSWなど 抗生物質投与 インスリン投与 嚥下困難食 ICTeam DM Team NSTeam 摂食嚥下Team プライマリナース
糖尿病診療チームラウンド 院内各病棟における糖尿病患者のケアに 関する問題点を抽出 関する問題点を抽出 問題の内容に応じて適宜,糖尿病診療チームスタッフが適切な解決策を提供 (医師,看護師,栄養士,検査技師,理学療法士) 従来の診療依頼(外来,往診)と異なり,依頼の発信・対応の対象は病棟(看護師中心) 主治医の治療方針を尊重
年度 のべ観察患者数 介入件数 ラウンド回数 2013 4123 1071 51 2014 4577 1512 52 2015 4594 1345 46.5 1回平均 82.2 22.5 医師4人 認定看護師 栄養士
事例紹介① 低血糖症例 点滴内インスリン混注量調整 事例紹介① 低血糖症例 点滴内インスリン混注量調整 70才代 男性 脳腫瘍(膠芽腫)にて 脳外科で手術目的にて入院 入院時HbA1c9.6%(NGSP値) 薬物療法:ノボラピッド30MIX(朝14単位、夕6単位) 【経過】高カロリー輸液(フルカリック1号560kcal)へインスリン 混注(ヒューマリンR28単位混注)で対応していた。 肝障害のため高カロリー輸液を中止したが、血糖値高く “ブドウ糖を含まない輸液”にヒューマリ ンRを混注した 結果、低血糖発作出現。 【介入】 “ブドウ糖を含まない輸液”から、インスリンの混注を 中止指示。その後低血糖発作はなくなった。
事例紹介② 高血糖症例 ステロイド大量投与へインスリン対応 事例紹介② 高血糖症例 ステロイド大量投与へインスリン対応 70才代 女性 悪性リンパ腫にて 血液内科に化学療法目的で入院 入院時HbA1c6.5%(NGSP値)、Hb 8.5 g/dl 薬物療法:特になし 【経過】化学療法にて、プレドニン80㎎/日の大量投与。 開始当初は血糖値100㎎/dl台だったが、第5病日に 夕食前血糖値>400㎎/dlと高値となった 【介入】化学療法は今後も繰り返す予定であったため、 ステロイド使用時にはインスリン投与を行うように主治医 へ相談し、その後インスリン固定注射が開始された。
事例紹介③ 内服薬併用注意症例 SU薬と即効型インスリン促進薬の併用中止 60才代 男性 脳梗塞にて脳神経血管科に脳血管内治療目的で入院 入院時HbA1c6.2%(NGSP値)、Hb 8.5 g/dl 薬物療法:メトグルコ(250) 3T3X、スターシス(90)3T3X 【経過】脳血管治療後、即効型インスリン分泌促進薬(スターシス)に加えて DPP-4阻害薬(トラゼンタ)を内服していたが、全体的に血糖高めであった ためスターシスをSU薬(インスリン分泌薬、アマリール)へ変更。 その後日中の血糖値高値であったためスターシス再開とし、 アマリールと併用していた。 【介入】食後血糖値を改善することを目的とし、スターシスから α-GI(セイブル)への変更を主治医に勧めた。 内服変更後血糖値は安定。
ICTチームラウンド 血液など無菌環境からの培養陽性患者 耐性菌検出患者 ・ 看護師からの要請患者 2015 758 598 51 年度 医師(ICD) 薬剤師 認定看護師 細菌検査技師 事務 年度 のべ観察患者数 介入件数 ラウンド回数 2015 758 598 51
治療中に39℃の発熱、末梢カテーテル感染と診断 30歳代女性、突発性難聴にて耳鼻咽喉科入院 入院後ステロイド点滴投与開始 5日目から39℃前後の発熱出現 主治医の指示で抗菌薬(FMOX)開始 血液培養からグラム陰性桿菌検出報告あり→ICT介入 末梢カテーテル関連または尿路感染からの菌血症疑い 検尿異常なく、末梢カテーテル感染が疑われた 末梢カテーテルの交換、アルコール綿:パック型から単包型へ 看護師の輸液関連技術の確認と指導 翌日血液培養はセラチア菌と同定され、抗菌薬変更し解熱した 1ヶ月後、20歳代の女性が突発性難聴で入院 治療中に39℃の発熱、末梢カテーテル感染と診断 血液培養からマルトフィリア検出 病棟の末梢静脈カテーテル管理徹底
大腸手術後手術部位感染(SSI) サーベイランス 手術 当院 ベンチマークJHAIS H19年 H20年 結腸 22.0% 30.1% 15.4% 直腸 45.0% 19.2%
改善点 注意喚起 閉創セットの使用(腸管吻合に使った器械は閉創時に使わない) 腹壁縫合に抗菌性合成吸収糸(バイクリルプラス)を使用 皮下洗浄を開始 出来るだけ閉鎖式ドレーンを使用 注意喚起 手術開始時までに抗生剤を点滴し終わること 手術中の抗生剤(3時間毎)を忘れずに処方 手袋の2-3時間毎交換
その結果・・・ 手術 当院 ベンチマークJHAIS H19年 H20年 H21年 結腸 22.0% 30.1% 12.9% 15.4% 直腸 45.0% 17.9% 19.2% 劇的に低下! ベンチマークより低くなった!
褥瘡対策チームラウンド 2015 1104 359 51 アルブミン:2.23±0.40(前)→2.72±0.54(後) 年度 皮膚科医師3名 認定看護師 栄養士 PT 院内認定 褥瘡予防看護師 薬剤師 年度 のべ観察患者数 介入件数 ラウンド回数 2015 1104 359 51 アルブミン:2.23±0.40(前)→2.72±0.54(後)
新宿食支援研究会に求められるもの 治療・ケアの均てん化(標準化) ガイドラインやマニュアルの作成 見つける機能をどこが担うのか? ガイドラインやマニュアルの作成 見つける機能をどこが担うのか? デイサービス、デイケア 相談機能?高齢者施設?介護士・ヘルパー? 横串のチーム医療 それぞれのWGをつなぐ新たなチーム構築