JCHO東京新宿メディカルセンター 内科 地域連携・総合相談センター 溝尾 朗

Slides:



Advertisements
Similar presentations
今 日 の ポ イ ン ト今 日 の ポ イ ン ト 糖尿病人口は予備群を含めると 2,050 万人1.1. 糖尿病は血糖値が高くなる病気 ただし自覚症状がほとんどありません 2.2. 血糖値が高い状態を「高血糖」といいます3.3. インスリンの作用が弱くなったために高血糖に なったのですが、高血糖は必ず改善できます.
Advertisements

第1回 吉永医院 在宅医療連絡相談会 コンセンサス・ミーティング 褥瘡の対処について 医療法人 社団永仁会 吉永医院 内 科 吉永 治彦.
Infection Round Check List
ADL維持向上等体制加算の 算定状況に関する実態調査
アンケート① 病院組織.
A case of pneumatosis cystoides intestinalis attributed
DM・ HYBRID療法 (簡単・糖尿病初期寛解療法) (内科開業医御用達バージョン)
新宿食支援研究会とは 「食べられる街づくり」のための 地域連携を作る「コラクリ」 ワーキンググループ(WG)
平成26年度 診療報酬改定への要望 (精神科専門領域) 【資料】
当施設における       尿路感染の現状報告 介護老人保健施設 恵仁荘    看護師 木下 孝一.
経管栄養の技術      及び関連するケア.
第3回はままつCDE研究会 アンケート集計結果
平成25年6月7日(金) 医療保健政策区市町村包括補助事業 台東区 口腔ケア連携推進事業 台東区健康部健康課.
愛知県統一がん地域連携パス プロジェクト ~がんの地域連携確立にむけて~
最近の肺結核の治療と診断 浜松医大救急部           白井 正浩.
PROGRAM 情報提供 15:00 ~ 15:20 塩野義製薬株式会社 オープニングリマークス 畠山医院  畠山 重秋 先生
治療法は主に手術、薬物療法、放射線治療があります。
検体採取等に関する 厚生労働省指定講習会(主催:日臨技) 実施要項①
がんの家族教室  第3回 緩和ケアには何が出来るのか? 愛知県がんセンター中央病院 緩和ケアセンター 下山 理史(医師) 松崎 雅英(薬剤師)
アンケート② 病棟体制.
2型糖尿病患者におけるナテグリニドと メトホルミン併用療法の有効性と安全性の検討
1. 病気になると血糖値が 高くなりやすくなります 2. 最も注意が必要なのは 糖尿病の「急性合併症」 3. シックデイの対応
1. 経口薬(飲み薬)による治療が 必要なのは、どんなとき? 2. 糖尿病の飲み薬の種類と特徴 3. 飲み薬による治療を正しく
愛知県統一がん地域連携パス プロジェクト ~がんの地域連携確立にむけて~
在宅ホスピスケア実施におけるSTAS-Jの有用性
肝がん連携パス 大阪府立成人病センター 大阪府がん診療連携協議会 ~ 0~.
DCC エボラウイルス病(EVD, エボラ出血熱) 対応フローチャート(テンプレート)
退院後を支えてこそ 医療連携から地域連携へ
1. 血糖自己測定とは? 2. どんな人に血糖自己測定が 必要なのでしょうか? 3. 血糖自己測定の実際 4. 血糖自己測定の注意点
インスリンの使い方 インターンレクチャー.
糖尿病 かかりつけ医 紹 介 専門医 医療連携の紹介・逆紹介のポイント 逆紹介(返送を含む) 専門的な治療や指導等
地域緩和ケア推進のための 情報共有ツールの開発と運用
小松市民病院     臨床研修プログラム.
第9回ハイリスクリウマチ膠原病ネットワークセンター 学術講演会のご案内
「低血糖」とは? 糖尿病治療中、どなたにもおこる可能性があります。対処をすれば回復しますので、慌てずに。 ★「低血糖」とは
独立行政法人国立病院機構 舞鶴医療センター認知症疾患医療センター 川島 佳苗
持参薬変更時の注意点 平成23年4月 日本薬剤師会.
肥満の人の割合が増えています 肥満者(BMI≧25)の割合 20~60歳代男性 40~60歳代女性 (%)
緩和ケアチームの立ち上げ ー緩和ケア医の立場からー
Diabetes & Incretin Seminar in 福井
2015年症例報告 地域がん診療連携拠点病院 水戸医療センター
脳卒中・循環器疾患における 課題と検討の方向性について
伊藤大樹 あおばクリニック 福岡東在宅ケアネットワーク
「特定行為に係る看護師の研修制度」における特定行為(案)
「“人生の最終段階における医療” の決定プロセスに関するガイドライン」
トータス往診クリニック 国立がん研究センター東病院 血液腫瘍科 大橋 晃太
当施設における排泄ケアの取り組み ~尿路感染症予防を目指して~ 介護老人保健施設 恵仁荘 看護師 本田喜美子.
【「患者のための薬局ビジョン」における薬剤師・薬局の機能概要】
座長 慶應義塾大学病院 腫瘍センター長 北川 雄光 同 副センター長 高石 官均 1.『当院におけるがん患者の地域連携』
血栓性血小板減少性紫斑病 TTP 溶血性尿毒素症候群 HUS
1.
肝がん地域連携パス ―患者さん用― 治療後経過観察パス (Ver. 1.0) あなたのお名前 さん 連携パス登録番号 かかりつけ医
肺炎診断の最新知見と ガイドラインに基づく治療戦略 ~カルバペネム系抗菌薬を中心に~
2015年症例報告 地域がん診療連携拠点病院 水戸医療センター
緩和ケアチーム介入患者の STAS-Jによる評価 -外来化学療法室での取り組みと今後の課題-
~ 獣医師の皆さん、抗菌剤の慎重使用等対策を進め、
筑波メディカルセンター病院 緩和ケア病棟 佐々木智美
今後めざすべき基本目標 ―「ケアの流れ」を変える―
公立松任石川中央病院 公立松任石川中央病院.
外来化学療法室におけるSTAS‐Jの活用と今後の課題
資料2 北信医療圏における 平成29年度病床機能報告等の状況について.
1. 低血糖とは? 2. 低血糖の症状 3. がまんは禁物。すぐにブドウ糖や、 炭水化物を口にする 4. 低血糖を減らすコツやアイデア 5.
表1.入院医療から在宅療養への移行期での評価
合成抗菌薬 (サルファ剤、ピリドンカルボン酸系)
~ 生産者の皆さん、抗菌剤の慎重使用等対策を進め、
公立松任石川中央病院 公立松任石川中央病院.
在宅医療をご存じですか? 編集:○○○○○ 訪 問 診 療 往 診 在宅医療を利用できる方(例) 在宅医療で受けられる主なサービス
目 次 第1章 大阪府保健医療計画について 1.医療計画とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
三重大学医学部附属病院 総合診療部 竹村 洋典
在宅医療をご存じですか? 編集:○○○○○ 訪 問 診 療 往 診 在宅医療を利用できる方(例) 在宅医療で受けられる主なサービス
Presentation transcript:

JCHO東京新宿メディカルセンター 内科 地域連携・総合相談センター 溝尾 朗 第65回 新宿食支援研究会 チーム医療 JCHO東京新宿メディカルセンター 内科 地域連携・総合相談センター 溝尾 朗

チーム医療に必要な5つの条件 ○WG, 勉強会 ○WG △ ○SKTS: 最期まで × ① 高い専門性 ② 十分なコミュニケーション     専門職種としての教育と他職種への理解     研修会、研究結果発表の機会 ○WG, 勉強会 ○WG ② 十分なコミュニケーション     情報交換だけでなく、議論・調整が必要 △ ③ 目的と情報の共有     電子カルテ、定型化した書式による情報共有 厚生労働省  チーム医療推進会議より ○SKTS: 最期まで 口から食べられる街新宿 ④ 理念の一致 × ⑤ 治療・ケアの均てん化(標準化)

チーム医療の3つの機能 ② つなげる ③ 結果を出す ① 見つける プライマリナース 2つの医療チーム

急性期病院の2つのチーム医療 ① 専門部隊型チーム医療 WG ② 病棟配置型チーム医療 ? 呼吸器内科ケース カンファレンス NST 呼吸器内科 循環器内科 外科 整形外科 ・・・ ② 病棟配置型チーム医療 NST ? 厚生労働省  チーム医療推進会議より

6つの病棟配置型チーム医療 糖尿病(DM)診療チーム 栄養サポート(NST)チーム 褥瘡対策チーム 摂食嚥下対策チーム 感染制御(ICT)チーム 緩和ケアチーム

糖尿病で通院中の87歳男性が 誤嚥性肺炎で入院した 嚥下困難食 患者 (87歳男性) プライマリナース ICTeam DM Team 陳旧性脳梗塞+嚥下障害 主治医, MSWなど 抗生物質投与 インスリン投与 嚥下困難食 ICTeam DM Team NSTeam 摂食嚥下Team プライマリナース

糖尿病診療チームラウンド 院内各病棟における糖尿病患者のケアに 関する問題点を抽出     関する問題点を抽出 問題の内容に応じて適宜,糖尿病診療チームスタッフが適切な解決策を提供 (医師,看護師,栄養士,検査技師,理学療法士) 従来の診療依頼(外来,往診)と異なり,依頼の発信・対応の対象は病棟(看護師中心) 主治医の治療方針を尊重

年度 のべ観察患者数 介入件数 ラウンド回数 2013 4123 1071 51 2014 4577 1512 52 2015 4594 1345 46.5 1回平均 82.2 22.5 医師4人 認定看護師 栄養士

事例紹介① 低血糖症例 点滴内インスリン混注量調整 事例紹介① 低血糖症例 点滴内インスリン混注量調整  70才代  男性 脳腫瘍(膠芽腫)にて 脳外科で手術目的にて入院 入院時HbA1c9.6%(NGSP値) 薬物療法:ノボラピッド30MIX(朝14単位、夕6単位) 【経過】高カロリー輸液(フルカリック1号560kcal)へインスリン 混注(ヒューマリンR28単位混注)で対応していた。 肝障害のため高カロリー輸液を中止したが、血糖値高く      “ブドウ糖を含まない輸液”にヒューマリ ンRを混注した      結果、低血糖発作出現。 【介入】 “ブドウ糖を含まない輸液”から、インスリンの混注を      中止指示。その後低血糖発作はなくなった。

事例紹介② 高血糖症例 ステロイド大量投与へインスリン対応 事例紹介② 高血糖症例 ステロイド大量投与へインスリン対応  70才代  女性 悪性リンパ腫にて 血液内科に化学療法目的で入院 入院時HbA1c6.5%(NGSP値)、Hb 8.5 g/dl 薬物療法:特になし 【経過】化学療法にて、プレドニン80㎎/日の大量投与。      開始当初は血糖値100㎎/dl台だったが、第5病日に 夕食前血糖値>400㎎/dlと高値となった 【介入】化学療法は今後も繰り返す予定であったため、 ステロイド使用時にはインスリン投与を行うように主治医 へ相談し、その後インスリン固定注射が開始された。

事例紹介③ 内服薬併用注意症例 SU薬と即効型インスリン促進薬の併用中止 60才代  男性 脳梗塞にて脳神経血管科に脳血管内治療目的で入院 入院時HbA1c6.2%(NGSP値)、Hb 8.5 g/dl 薬物療法:メトグルコ(250) 3T3X、スターシス(90)3T3X 【経過】脳血管治療後、即効型インスリン分泌促進薬(スターシス)に加えて DPP-4阻害薬(トラゼンタ)を内服していたが、全体的に血糖高めであった ためスターシスをSU薬(インスリン分泌薬、アマリール)へ変更。 その後日中の血糖値高値であったためスターシス再開とし、 アマリールと併用していた。 【介入】食後血糖値を改善することを目的とし、スターシスから α-GI(セイブル)への変更を主治医に勧めた。 内服変更後血糖値は安定。

ICTチームラウンド 血液など無菌環境からの培養陽性患者 耐性菌検出患者 ・ 看護師からの要請患者 2015 758 598 51 年度 医師(ICD) 薬剤師 認定看護師 細菌検査技師 事務 年度 のべ観察患者数 介入件数 ラウンド回数 2015 758 598 51

治療中に39℃の発熱、末梢カテーテル感染と診断 30歳代女性、突発性難聴にて耳鼻咽喉科入院 入院後ステロイド点滴投与開始 5日目から39℃前後の発熱出現 主治医の指示で抗菌薬(FMOX)開始 血液培養からグラム陰性桿菌検出報告あり→ICT介入 末梢カテーテル関連または尿路感染からの菌血症疑い 検尿異常なく、末梢カテーテル感染が疑われた 末梢カテーテルの交換、アルコール綿:パック型から単包型へ 看護師の輸液関連技術の確認と指導 翌日血液培養はセラチア菌と同定され、抗菌薬変更し解熱した 1ヶ月後、20歳代の女性が突発性難聴で入院 治療中に39℃の発熱、末梢カテーテル感染と診断 血液培養からマルトフィリア検出 病棟の末梢静脈カテーテル管理徹底

大腸手術後手術部位感染(SSI) サーベイランス 手術 当院 ベンチマークJHAIS H19年 H20年 結腸 22.0% 30.1% 15.4% 直腸 45.0% 19.2%

改善点 注意喚起 閉創セットの使用(腸管吻合に使った器械は閉創時に使わない) 腹壁縫合に抗菌性合成吸収糸(バイクリルプラス)を使用 皮下洗浄を開始 出来るだけ閉鎖式ドレーンを使用 注意喚起 手術開始時までに抗生剤を点滴し終わること 手術中の抗生剤(3時間毎)を忘れずに処方 手袋の2-3時間毎交換

その結果・・・ 手術 当院 ベンチマークJHAIS H19年 H20年 H21年 結腸 22.0% 30.1% 12.9% 15.4% 直腸 45.0% 17.9% 19.2% 劇的に低下! ベンチマークより低くなった!

褥瘡対策チームラウンド 2015 1104 359 51 アルブミン:2.23±0.40(前)→2.72±0.54(後) 年度 皮膚科医師3名 認定看護師 栄養士 PT 院内認定 褥瘡予防看護師 薬剤師 年度 のべ観察患者数 介入件数 ラウンド回数 2015 1104 359 51 アルブミン:2.23±0.40(前)→2.72±0.54(後)

新宿食支援研究会に求められるもの 治療・ケアの均てん化(標準化) ガイドラインやマニュアルの作成 見つける機能をどこが担うのか?   ガイドラインやマニュアルの作成 見つける機能をどこが担うのか?   デイサービス、デイケア    相談機能?高齢者施設?介護士・ヘルパー? 横串のチーム医療   それぞれのWGをつなぐ新たなチーム構築