色素増感太陽電池を作って 発電実験をしてみよう

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色素増感太陽電池を作って 発電実験をしてみよう 東京理科大学理学部応用物理学科4年 1508135番 松田 峻

目的 エネルギー・環境教育は重要となってきている。 太陽電池そのものの作成といった授業実践は少ない。 しかし,実験を通して学ぶ科学的な学習教材が豊富とはいえない。 例えば,実際に吹く風を利用した風力発電実験, 太陽電池そのものの作成といった授業実践は少ない。 色素増感太陽電池を実際に作成することを通じて学ぶ エネルギー・環境教育の授業実践について報告。

研究背景 高等学校学習指導要領(平成21年公示) 科学と人間生活 自然と人間生活とのかかわり及び科学技術が人間生活に 果たしてきた役割についての学習を踏まえて, これからの科学と人間生活とのかかわり方について考察させる。 →例えば,エネルギー,環境負荷軽減技術,自然とのかかわり 物理基礎 様々な物理現象とエネルギーの利用に関する探究活動 物理 物理学の成果が様々な分野で利用され,未来を築く新しい 科学技術の基盤となっていることを理解する。

研究背景 色素増感太陽電池について考察していく。 高等学校学習指導要領(平成21年公示) 科学と人間生活,物理基礎,物理のどの科目においても 自然と科学技術と人間生活のかかわりについて考察させる。 先日,東日本大震災が起こり,2次災害として原子力発電所が 大きなダメージを受け,放射線をはじめ様々な問題が起きた。 →2つの教訓 ①物理に関する正しい知識②安全なエネルギー源 ここでは,太陽光を用いた 色素増感太陽電池について考察していく。

研究背景 色素増感太陽電池 スイスのグレッツェルらが開発,植物の光合成に 似ているため,光合成型太陽電池とも呼ばれる。 主原料 電気伝導性ガラス,二酸化チタン,有機色素,ヨウ素溶液 現在普及している太陽電池はアモルファスシリコンが主流。 →製造のためのエネルギー量が膨大,高い技術力が必要など 教材としては不向きである。 →色素増感太陽電池は低コスト,小規模施設で作成可能, 環境への負荷が比較的少ない。

研究内容 色素増感太陽電池とは… 光エネルギー→電気エネルギー

研究内容 色素増感太陽電池 材料 電気伝導性ガラス2枚 二酸化チタンの粉末(歯磨き粉) 酢酸 中性洗剤 植物色素(ハイビスカス,紫キャベツ,ブルーベリー等) 黒鉛(鉛筆の芯) クリップ2個 ヨウ素溶液(うがい薬) テスター カセットコンロ 金網 小皿 電子メロディー 太陽電池式電卓 →主に手軽に入手できるものが多い。

研究内容 色素増感太陽電池の具体的構造… マイナス極                   プラス極 ①二酸化チタンを塗布する ②焼き固める ③色素につける ①黒鉛を塗布する

研究内容 色素増感太陽電池の具体的構造… マイナス極                   プラス極 電解質溶液として ヨウ素溶液(うがい薬) マイナス極 プラス極

研究内容 色素増感太陽電池の具体的構造… 電子メロディ マイナス極 プラス極

研究内容 色素増感太陽電池を作成し,発電実験を行う授業は 色素増感太陽電池の作成過程を確認してきた。 主に手軽に入手できるものが多い。 作製工程は危険が少なく,簡単である。 色素増感太陽電池を作成し,発電実験を行う授業は 実験を通してエネルギー・環境学習を行える科学的な学習教材で あるといえる。 →色素増感太陽電池を用いた授業実践を実際に行った。

研究内容 色素増感太陽電池の授業実践…

研究内容 色素増感太陽電池の授業実践…

研究内容 色素増感太陽電池の授業実践… この3時間目は,生徒の独創性を養う授業である。 いろいろな色素を集め,発電効率や光の当て方などの比較を行う。 →生徒たちが自分たちなりの「ぷち発明」を行う授業展開。

研究内容 色素増感太陽電池は学校教育のみならず,社会教育の現場での 利用が考えられる。 →エネルギー・環境教育はすべての人に関係している。 老若男女問わず多くの人に理解して,考えてもらいたい。 高校物理ではエネルギー学習の教材として明確に位置づけられ,高等学校理科用文部科学省検定済教科書物理Iにも掲載。 中学校では総合的な学習の学習教材としても注目を集めている。

結果 色素増感太陽電池を教材として用いた授業を行って… 長野市立桜ケ岡中学校(2時間100分) 鳥取県立青谷中学校(1時間50分) SPPの認定を受けて授業を行った。 →いずれの学校でも,太陽電池を自分で作れることを体験して, 発電実験が成功したときは感動し喜んでいた。 →色素増感太陽電池の発電実験を生徒と共有することで, エネルギー・環境問題に,生徒自身が科学技術を用いて 貢献できることを体感したと考えられる。

結果 いろいろな植物色素での発電実験結果

考察 今回の実験教室以外(子供たちのための科学実験教室やSSHの認定を受けた京都教育大学の科学技術の授業など)においても,太陽電池を自分たちで作って発電し,身近な材料で実体験した。 発電実験を通じて,エネルギー問題や地球環境問題に対する 興味・関心を高められた。 →エネルギー・環境分野における先端科学技術をベースにした 実験教材を児童・生徒に提供することは,エネルギー・環境教育を 推進するうえで重要であり,高い学習効果が得られる。

考察 電気伝導性ガラス 二酸化チタンの粉末 色素増感太陽電池について 現時点では,入手のしやすさや値段の面で… この2つの存在がネックである。 改善策として… 電気伝導性ガラスは,携帯電話やPCの液晶で代用できる!? 二酸化チタンは歯磨き粉で代用できる!? →秋葉原へ GO!! →薬局へ GO!!

考察 論文への評価 この論文の内容から,児童・生徒が先端科学技術である 色素増感太陽電池を作成できるため,驚きや感動を与えられた。 「花の力で発電できるってロマンチックで夢を感じた」 「太陽電池はとても面白く,その方面の研究をしてみたくなった」 いろいろな色素による比較や光の当て方など生徒がぷち発明を 行うことで,探究心や興味・関心を刺激することとなる。

考察 論文から学べる知見 生徒に環境問題や科学技術を身近に感じてもらうことに 意味があり,実際に体験してもらいたい →ハイテクな実験器も必要であるが,生徒自身が実験を行うことで 科学的に探究する能力と態度を育てることとなる →太陽電池の作成や比較対象実験を行い,発表させることで クラスで議論でき,精度を良くする方法やよりよい実験方法などの 発見に繋がる

考察 論文を読んだ結果として将来やっていきたい授業 前段階として,地球温暖化や酸性雨などの環境問題についての 授業を行い,生徒たちに「地球にやさしいエネルギー源」について 考えさせる。 →クリーンなエネルギー源について考察。 太陽光発電や風力発電,水力発電などが挙がる。 実際に色素増感太陽電池を作成し,先端科学技術に触れる。 世界との比較を行い,エネルギーについて考察する。

まとめ 色素増感太陽電池を実際に作成することで地球環境問題を 児童・生徒に身近なものに感じてもらうことができる。 →エネルギー・環境教育を身近に考えることができるようになり, 先端科学技術を実体験することで,今後の生活において科学 技術とのかかわりを考えるようになる。