格子QCDによる核力ポテンシャル 石井理修 (東京大学) 2007年3月28日日本物理学会(都立大)45分講演、日本語.

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格子QCDによる核力ポテンシャル 石井理修 (東京大学) 2007年3月28日日本物理学会(都立大)45分講演、日本語

核力 原子核物理の出発点 NN 散乱データ: 散乱位相差 (ELab < 350 MeV) 重陽子 現実的核力 4000個以上のデータ 18コのパラメータ χ2/dof ~ 1 核構造、核反応、核物質、 状態方程式、 中性子星、超新星爆発、etc.

核力 長距離部分 (r > 2 fm) OPEP [H.Yukawa(1935)] (One Pion Exchange) 中間距離 (1 fm < r < 2fm) multi-pion, 引力  原子核束縛に必須 近距離 (r < 1 fm) 斥力芯 [R.Jastrow(1950)] 斥力芯 引力

斥力芯 いろいろなものに重要 かに星雲 その物理的起源は決着がついていない。 vector meson exchange バリオン数に結合する"photon"みたいなもの斥力 Pauli forbidden state + color magnetic interaction 核子系ではcolorの自由度のため同じ軌道をしめられる。 入った軌道にはcolor magnetic interactionによる斥力が働く。 α-α散乱の例(Pauli forbidden state) α粒子は閉核s軌道はいっぱい。 同じ軌道を閉められない。 αα散乱には斥力の芯が現れる。 二つの核子が重なり合うほどの近距離  核子の内部構造が反映される QCDによる研究が重要な役割を担うことが期待される。

Bethe-Salpeter (BS) 波動関数 QCDにおいて量子力学のNN波動関数は本当は近似的な概念である。 この概念に最も近いものが、 同時刻 Bethe-Salpeter(BS)波動関数である。 xで3つのクォーク、yで別の3つのクォークを見つけるamplitude |x-y|→大で次の漸近形を持つ。 すべてのエネルギーでBS波動関数を出すようにポテンシャルを定義する。 そのポテンシャルは散乱位相差に忠実なポテンシャルとなる。  量子力学のNN散乱波動関数と同じ形 (s-wave) Effective Schrodinger equation

対称性からくる様々な要請を課した後、微分展開する。 最低次(微分を含まない項)までとる。 JP=1+ の例 [中心力 (1S0)] (微分展開最低次での中心力を求める公式)

格子QCD (格子化された時空上のQCD) 基本的自由度 クォーク:(attached on sites) グルーオン:SU(3) link variable(attached on links) Action: 局所ゲージ変換 β inverse gauge coupling K: hopping parmeter  inverse quark mass 上のactionはこの変換について不変。

格子QCD (格子化された時空上のQCD) Plaquette gauge action. β= 6/g2 = 5.7(⇔ゲージ結合定数) 格子間隔: a ~0.14 fm 体積: 324 lattice (L~4.4 fm Wilson quark action κ=0.1665(⇔クォーク mass): mπ ~0.53 GeV, mρ~0.88 GeV, mN~1.34 GeV (Monte Carlo 計算は quark massが軽いほどどんどん難しくなる) Blue Gene/L @ KEK 格子化された時空上のQCDを強力なスーパーコンピュータを用いて解く。 クェンチQCD (真空中のqqbar loopをsuppressする近似)

波動関数 ★ 近距離でのshrink ⇒ 斥力の存在

中心力 定性的な性質は よく再現されている 中間距離の引力 ~ 30 MeV 近距離の斥力芯 ~ 500~600MeV 重い mπ のせいで引力が弱くなっている。. ⇒ mπ が軽くなると、virtual pion は 長距離をpropagateできるようになる。 ⇒ stronger attraction. 近距離の斥力芯 ~ 500~600MeV constituent quark model によると、 軽いquark mass 領域で enhance される。

正味の相互作用は引力 ⇒ ★ ボルン近似の公式を使うと 理由が理解しやすい。 ポテンシャルのrangeの外のs-wave波動関数は、低エネルギー(E → 0)で次のように近似される。 散乱長 a0 は rφasy(r)のlinear fitの r-切片になる。 r-切片は原点よりも左側にある。 a0 = 0.066(22) fm (attractive) 正味の相互作用は引力. r 切片 1S0 ★ ボルン近似の公式を使うと 理由が理解しやすい。 ⇒ 体積要素 r2dr のせいで近距離のコアの影響が薄まっている。 散乱長 a0 はこのように斥力芯と周辺部の引力が相殺した結果 である。それゆえ、慎重に取り扱わなければならない。

テンソル力

テンソル力 背景 現象論的に重要 原子核の安定性 や 飽和密度 原子核構造に多大の影響 s波とd波の結合  重陽子 原子核の安定性 や 飽和密度 原子核構造に多大の影響 s波とd波の結合  重陽子 その形はπとρの寄与がキャンセルして生じる(OBEP) 近距離での実験的決定には不定性がある。 from R.Machleidt, Adv.Nucl.Phys.19

d波のBS波動関数 格子上では次のように分解する。 JP=1+ (I=0) の(BS)波動関数は二つの寄与がある。 s-wave (L=0) and d-wave (L=2) L=1,3,5,… is not allowed due to parity  L=0,2,4,… S=0 is not allowed due to Pauli principle.  S=1 (I=0: anti-sym) x (S=1: sym) x (parity: even) = (totally anti-sym) 格子上では次のように分解する。 s-wave d-wave 90度回転群による平均

d波のBS波動関数 角度依存性  多価性 ほぼ一価関数  は"d波"が支配的 d波 “spinor harmonics” JP=1+, M=0 JP=1+, M=0 devide it by Ylm and by CG factor 角度依存性  多価性 ほぼ一価関数  は"d波"が支配的 d波 “spinor harmonics” NOTE: (0,1) [blue]  E-representation (0,0) [purple]  T2-representation これらの違い 回復しないSO(3)の破れ

Schrodinger方程式 (JP=1+(I=0)) テンソル力 微分展開 Schrodinger方程式 (JP=1+(I=0)) VC(r) と VT(r) を求める公式 (s-wave) (d-wave)

近距離に芯なし。(近くは離散化誤差の影響が心配) r = 0.5 fm あたりの突起は、球面調和関数のゼロ点によるもの テンソル力 Ishii,Aoki,Hatsuda,PoS(LAT2008)155. 定性的性質は よく再現されている。 近距離に芯なし。(近くは離散化誤差の影響が心配) r = 0.5 fm あたりの突起は、球面調和関数のゼロ点によるもの 求まらない点:

2+1 flavor QCD (フルQCD) generated by PACS-CS Collaboration Iwasaki gauge action O(a) improved (clover) Wilson quark action 格子間隔:a=0.0905 fm 一辺: L=32a ~2.9 fm 大きな体積。 物理的クォーク質量までカバーする。 原子核を格子QCDで研究するのに  現在最も適しているゲージ配位。

フルQCD クエンチ NNポテンシャル クェンチと比べて、 斥力芯もテンソル力も非常に強くなっている。 (Reasons are under investigation) 中間距離の引力はほぼ同じくらい。

クォーク質量依存性 クォーク質量が軽くなるにつれ、 斥力芯が強くなる。 中間距離の引力が強くなる。 テンソル力が強くなる。

ポテンシャルから求めた位相差 合理的形。

ポテンシャルから求めた位相差 合理的形。しかし、実験値と比べて非常によわい。  物理的クォーク質量での格子QCD計算が非常に重要 このクォーク質量では、 重陽子がまだできていない 合理的形。しかし、実験値と比べて非常によわい。  物理的クォーク質量での格子QCD計算が非常に重要

まとめ 格子QCDにより核力を計算した。 大きな斥力芯があるけれども、正味の相互作用は引力。 中心力もテンソル力も、定性的な性質はよく再現されていた。 フルQCDの効果 斥力芯・テンソル力が強化される。 (原因:現在探索中) クォーク質量が小さい領域で、 斥力芯拡大 中間距離の引力増大 テンソル力増大 ポテンシャルから求めた位相差: 形や振る舞いは合理的 実験値に比べて強さが全然足りない。 物理的質量の格子QCD計算が重要である。

General form of NN potential ★ By imposing following constraints: Probability (Hermiticity): Energy-momentum conservation: Galilei invariance: Spatial rotation: Spatial reflection: Time reversal: Quantum statistics: Isospin invariance: The most general (off-shell) form of NN potential is given as follows: [S.Okubo, R.E.Marshak,Ann.Phys.4,166(1958)] where ★ If we keep the terms up to O(p), we are left with the convensional form of the potential in nuclear physics: