日本物理学会第60回年次大会 @東京理科大学野田キャンパス

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日本物理学会第60回年次大会 @東京理科大学野田キャンパス 講演者所属 高エ研, 阪大RCNPA, 阪大理B, 京大理C, 福井大工D, 防衛大理工E, AlbertaF, UBCG, BNLH, FNALI, IHEPJ, INRK, UNML, Stony BrookM, TRIUMFN 講演者氏名 吉岡瑞樹, 大橋永治, 小林正明,小松原健, 笹尾登C, 新川孝男E, 杉本章二郎, 関口哲郎, 玉川洋一D, 常見俊直, 中野貴志A, 能町正治B, 野村正C, 藤原庸博C, 溝内健太郎C, 村松憲仁A, 吉村喜男, 他BNL-E949 CollaborationA-N Contents : - Introduction - BNL-E949 Experiment - Offline Analysis - Results - Conclusion 3/27/2005 日本物理学会第60回年次大会  @東京理科大学野田キャンパス http://www.phy.bnl.gov/e949

日本物理学会第60回年次大会 @東京理科大学野田キャンパス Physics Motivation カイラル摂動理論(低エネルギーQCDの有効場理論)の  実験的検証。 - 特異な運動量分布 (confirmed by previous experiment) - 高次の補正の有無 (not confirmed yet)  静止K+ 崩壊からのπ+ 運動量分布 今回の 探索領域 zoom >213MeV/c 実線 : 高次補正有り  破線 : 高次補正無し             は高次補正の有無を確認するのに良い領域。 3/27/2005 日本物理学会第60回年次大会  @東京理科大学野田キャンパス

日本物理学会第60回年次大会 @東京理科大学野田キャンパス Experimental Status 静止 K+崩壊から生成される荷電粒子の運動量分布 π+π0 - バックグラウンド K+→π+π0 ;π0 →γγ (Kπ2崩壊) - 終状態が同一 - 分岐比 21% E787(前実験) : 探索領域を2つに分割 3/27/2005 日本物理学会第60回年次大会  @東京理科大学野田キャンパス

Experimental Status(Cont.) Results from E787 PRL79(97)4079 観測された31事象はカイラル摂動論を支持。 しかしながら、高次補正なしと矛盾しない。 → Kπ2 peak より上の領域で探索を続行 (BNL-E949実験) 3/27/2005 日本物理学会第60回年次大会  @東京理科大学野田キャンパス

日本物理学会第60回年次大会 @東京理科大学野田キャンパス BNL-E949 Experiment 側面図 • Stopped Kaon Experiment  K+ を測定器中で静止させ、 その崩壊を観測する。 • E949検出器  円筒形、1-テスラの磁場中に設置  (図:側面図、断面図の上半分) • Barrel Photon Detector 鉛/scinti. のサンプリング・カロリメター   オフライン解析でフォトンの再構成 (クラスタリング)に使用。 γ π+ K+ 断面図 γ π+ 3/27/2005 日本物理学会第60回年次大会  @東京理科大学野田キャンパス

Offline Signal Identification (1) 荷電粒子に対する要求  - 運動学的パラメータ(運動量・レンジ・ 運動エネルギー)がK+→π+π0 崩壊 のπ+ より高い 。 - 荷電粒子がπ+ である(Particle ID)。 Signal Signature π+ track (2) フォトンに対する要求 - バレル領域で再構成されたフォトン・  クラスターの数が1個、または2個。 - エネルギーが高い方のフォトンはπ+    に対して反対側で検出される。 Higher Energy Photon Lower Energy Photon (3) 入射ビームに対する要求 - ターゲット中でK+ が静止・崩壊した。 - 他の入射ビームがK+ の崩壊時間に Beamline 検出器で同時計測されない。 Photon Cluster in Barrel 3/27/2005 日本物理学会第60回年次大会  @東京理科大学野田キャンパス

Background Estimation 運動量 vs レンジ バックグラウンドをそのメカニズム  により分類し、実データを用いて  各バックグラウンドを評価。 Search Region source Background Level Kpi2 0.017 ± 0.006 events Overlap 0.065 ± 0.065 events Muon 0.090 ± 0.020 events 1Beam 0.025 ± 0.014 events 2Beam < 0.006(90% C.L.) events Total 0.197 ± 0.070 events イベント再構成後の荷電粒子 の運動量・レンジの2次元分布 図中  は信号領域。 3/27/2005 日本物理学会第60回年次大会  @東京理科大学野田キャンパス

日本物理学会第60回年次大会 @東京理科大学野田キャンパス Opening-the-Box Real Data Monte Carlo 信号領域 No signal event is found Kπ2 backgrounds - 全選択条件を課した後の荷電粒子のレンジ・運動エネルギー分布 3/27/2005 日本物理学会第60回年次大会  @東京理科大学野田キャンパス

Single Event Sensitivity • Single Event Sensitivity (S.E.S) - Acceptance : 1.655×10-5(補正無し)、1.550×10-4(補正有り) - Target中でのK+ の静止効率 : 0.7541 - # of K+ beam : 1.192×1012 Br(Theory) (10-9) S.E.S (10-9) Expected(events) 補正無し 3.50 67.2 0.05 補正有り 11.8 7.18 1.64 カイラル摂動理論の高次補正が存在すれば、S.E.S は予言値 に達しており、1.64イベント観測が期待できた。 3/27/2005 日本物理学会第60回年次大会  @東京理科大学野田キャンパス

日本物理学会第60回年次大会 @東京理科大学野田キャンパス Results カイラル摂動論及びPhase Spaceを仮定した場合各々について 90% Confidence Levelの上限値を得た。 信号領域の下限値 高次補正の有無によらず、 いずれもカイラル摂動論の 予言値と矛盾しない結果と なった。 前実験より崩壊分岐比に対  して7.6倍厳しい上限値を  与えた。  90% U.L. ChPT O(p6) 3/27/2005 日本物理学会第60回年次大会  @東京理科大学野田キャンパス

日本物理学会第60回年次大会 @東京理科大学野田キャンパス Conclusion カイラル摂動理論の高次補正の有無を確認するため、  BNL-E949実験が2002年に収集したデータを用いて                     の探索を行った。 今回収集したデータから信号は観測されず、信号領域  でのバックグラウンドの合計は(0.197±0.070) イベントと  見積もられた。 -        崩壊分岐比に対する上限値(90% C.L.)は、  となり、 この崩壊モードに対して最も厳しい上限値を得た。 3/27/2005 日本物理学会第60回年次大会  @東京理科大学野田キャンパス