突然ですが、質問です・・・ 「ヒバク」という漢字、二通りで書けますか?
被爆 1.爆撃をうけること。 2.特に原水爆の被害をうけること。 被曝 放射線や化学物質にさらされること。
2011年3月11日14時46分
原発立地県民、隣接県民として知っておきたい5つのコト 正しく知って、正しく考える 原発立地県民、隣接県民として知っておきたい5つのコト 学校教育学類 教育基礎専修 3年 小島 隆久
原子力発電のしくみ 沸騰水型炉 炉心で水を沸騰させて、その蒸気で直接タービンを回す →「直接サイクル」 加圧水型炉 炉心で水を沸騰させて、その蒸気で直接タービンを回す →「直接サイクル」 加圧水型炉 炉心を循環する水は、熱を取り出すためだけにつかい(一次冷却水)、その熱を二次冷却水に伝え、水を沸騰させタービンを回す →「間接サイクル」
原子力発電のしくみ 核分裂反応 沸騰水型炉 加圧水型炉 一次冷却水 二次冷却水 放射能汚染が 一次冷却系に限定 汚染された水蒸気がタービンに ↓ 整備、点検で被曝に注意 東京電力、東北電力、中部電力 中国電力、北陸電力 関西電力、北海道電力、四国電力 九州電力
核分裂反応 核分裂 中性子 中性子 ウラン
核分裂反応 連鎖反応
核分裂反応 核が分裂する際に熱を発生 →原子力発電の熱源 天然ウラン中には核分裂を起こしやすいウラン235と、起こしにくいウラン238が存在 しかし、ウラン235は全体の0.7%程しかない →ウラン濃縮(ウラン235、3~5%に)
第一問 放射能と放射線の違いは何ですか?
放射能と放射線 放射能 1.放射線を出すもの。(=放射性物質) 2.またその現象。 放射線 放射性物質から放出されるα線、β線、γ線の総称。
放射能と放射線 中性子(平均2.4個) ストロンチウム90 キセノン143 など 放射能(放射性物質)
放射能と放射線 α線 β線 放射能は崩壊する ベータ崩壊 アルファ崩壊 γ線 キセノン143 ウラン235
放射能と放射線 紙 薄い金属板 鉛の厚い板 α線 放射線 β線 γ線
第二問 ベクレルとシーベルトって何ですか?
ベクレルとシーベルト セシウム137 バリウム137
ベクレルとシーベルト ベクレル 放射線物質が放射線をだす能力、放射能の強さを 表す単位 1秒間に放射性物質が崩壊する個数 放射線物質が放射線をだす能力、放射能の強さを 表す単位 1秒間に放射性物質が崩壊する個数 100ベクレル(Bq) →1秒間に100個の放射性物質が崩壊している
ベクレルとシーベルト 半減期 放射能の強さが半分なるまでの時間
ベクレルとシーベルト 半減期 ヨウ素131(8日) イットリウム96 ストロンチウム90(29年) キセノン143 セシウム137(30年) ルビジウム97 2
ベクレルとシーベルト シーベルト 1.放射線の線量を表す単位 2.人が放射線を浴びて被曝した時の健康への影響 を表す 1シーベルト(Sv) 1.放射線の線量を表す単位 2.人が放射線を浴びて被曝した時の健康への影響 を表す 1シーベルト(Sv) →1000ミリシーベルト(mSv) →1000000マイクロシーベルト(μSv)
ベクレルとシーベルト 原爆の被爆による寿命の減少は証明されず 放射線量と人体への影響 20mSv以下 →目立った症状なし 500mSv →目立った症状なし 500mSv →リンパ球の一時的な減少 3000~5000mSv(3~5Sv) →50%の人が死亡 7000~10000mSv(7~10Sv) →100%の人が死亡 原爆の被爆による寿命の減少は証明されず
ベクレルとシーベルト 長期低量被曝 1.低い線量でも線量に比例したリスク →「しきい値なし直線仮説(LNT)」 2.国際放射線防護委員会(ICRP)の考え るリスクが低い説 3.細胞には傷を修復する力があるので、 この効果のために実際のリスクはもっと 低くなるという説 4.低い放射線はかえって健康にいい →「ホルミシス効果」 5.「バイスタンダー効果」、「ゲノム不安定」 →リスクが増加する説
第三問 高速増殖炉「もんじゅ」、 「高速」「増殖」炉とは何ですか。
高速増殖炉「もんじゅ」 ウラン濃縮 天然ウラン 核燃料 使用済み核燃料 ウラン234(0.00577%) ウラン235(3~5%) プルトニウム(1%) ウラン235(1%) ウラン235(0.7%) ウラン238(90%以上) ウラン238(99.3%) 核分裂片(3%)
高速増殖炉「もんじゅ」 核燃料中の大半を占める、核分裂しにくいウラン238から、プルトニウム239を生産 →「増殖」 中性子 →「増殖」 中性子 プルトニウム239 ウラン238
高速増殖炉「もんじゅ」
高速増殖炉「もんじゅ」 軽水炉 ウラン235→中性子 2.4個 「減速材」→水(軽水) 高速増殖炉 プルトニウム239→中性子 3~4個 ウラン235→中性子 2.4個 「減速材」→水(軽水) 高速増殖炉 プルトニウム239→中性子 3~4個 「減速材」→ナトリウム ウラン235 ウラン238 プルトニウム239 ウラン238
高速増殖炉「もんじゅ」 水(軽水) 減速 高速 減速 ナトリウム
高速増殖炉「もんじゅ」 「高速」 ウランよりも中性子を多く出すプルトニウムを使用 中性子を減速させず高スピード、高エネルギーで利用 「増殖」 ウランよりも中性子を多く出すプルトニウムを使用 中性子を減速させず高スピード、高エネルギーで利用 「増殖」 核分裂しにくいウラン238に中性子を吸収させ、 プルトニウム239を生産
プルサーマル計画
高速増殖炉とプルサーマル計画 プルサーマル 原子力発電所の軽水炉で、ウラン燃料とプルトニウム 原子力発電所の軽水炉で、ウラン燃料とプルトニウム 燃料を混合したMOX(mixed oxide)燃料を利用すること。 MOX(mixed oxide)燃料 →混合化合物燃料 核燃料のウラン235の代わりに、 プルトニウム239を4~9%混ぜた燃料 2009年12月、九州電力玄海原発 2010年3月、四国電力伊方原発 プルトニウム239 ウラン235
高速増殖炉とプルサーマル計画 核燃料サイクル 「北陸中日新聞」2012年1月5日より
第四問 福島第一原子力発電所事故、 放射線による死者は何名ですか。
ゼロ
被曝を考える 広島・長崎の原爆の生存者のデータ 200mSv以上 癌のリスクの上昇が確認 100~200mSv 僅かに癌で死亡するリスク上昇 癌のリスクの上昇が確認 100~200mSv 僅かに癌で死亡するリスク上昇 100mSv以下 癌リスクの上昇確認できず
被曝を考える 100mSv以下の被曝 「1シーベルト被曝すると5%の確率で放射線を原因とする癌により死亡する。 そしてこの危険率は被曝量に比例する。」 →100mSv 5%×0.1Sv=0.5%
被曝を考える 悪性新生物(癌) 全死亡者数の内30% →100mSv被曝 30+0.5=30.5% *タバコに伴う肺癌リスク 全死亡者数の内30% →100mSv被曝 30+0.5=30.5% *タバコに伴う肺癌リスク 男性 2倍、女性 1.6倍 厚生労働省ホームページより
被曝を考える 10Svの被曝 →100%死亡 白血病治療 →12Sv被曝 (2Sv 1日2回 3日連続) 宇宙から0.3mSv/年 →100%死亡 白血病治療 →12Sv被曝 (2Sv 1日2回 3日連続) 宇宙から0.3mSv/年 大地から0.5mSv/年 食べ物から0.3mSv/年 大気中のラドン原子から1.2mSv/年 →平均2.4mSv/年
被曝を考える ブラジルのガラパリ、イランのラムサール 年間10mSv(10年で100mSv、癌リスク0.5%上昇) →放射線に起因する健康被害は確認されず 2011年10月、世田谷の民家で年間30mSvという高い放射線観測 →放射線による健康被害確認されず
被曝を考える 1Sv被曝 約32年(3.5mSv/h) 1Sv被曝 約5年(24mSv/h) 1Sv被曝 約140年(0.8mSv/h)
原子力発電と火力発電、どちらが危険ですか。 第五問 原子力発電と火力発電、どちらが危険ですか。
火力発電と大気汚染 日本の火力発電 出力調整が容易 →昼夜の電力需要調整 石油、石炭、LNGを燃料 7割弱、火力に依存
火力発電と大気汚染
火力発電と大気汚染 火力発電は原子力発電よりも危険? 石炭採掘→多数の死者 中国の公式統計で毎年数千人が崩落事故等で死亡 石炭採掘→多数の死者 中国の公式統計で毎年数千人が崩落事故等で死亡 炭鉱の有毒物質による長期的な健康被害 「採掘作業中の死亡は、自分たちとは関係ない?」
火力発電と大気汚染 大気汚染 WHO(世界保健機関)の統計 →年間115万人が死亡 (5割自動車からの排ガス、3割火力発電) →年間115万人が死亡 (5割自動車からの排ガス、3割火力発電) →年間30万人が死亡 日本の大気汚染 年間3~5万人が大気汚染が原因の病気で死亡 6000人前後の人が火力発電の大気汚染で死亡
火力発電と大気汚染 地球温暖化問題 地球温暖化の主な原因 →化石燃料起源の二酸化炭素などの温室効果ガス 日本全体年間12億tの二酸化炭素 地球温暖化の主な原因 →化石燃料起源の二酸化炭素などの温室効果ガス 日本全体年間12億tの二酸化炭素 →国民一人当たり9t排出
火力発電と大気汚染 過去100年で地球の温度は1℃上昇 21世紀末までに2~6℃上昇 1.5~2.5℃の上昇 →2.30%の動植物が絶滅 1.5~2.5℃の上昇 →2.30%の動植物が絶滅 →生態系の変化、水、食物の供給に影響 海面の上昇(4~7m)
「北陸中日新聞」2012年3月28日より 「北陸中日新聞」2012年3月19日より
福島第一原子力発電所の事故があって以来、 多くの国民が原子力発電と日本のエネルギーについて考えるようになった。 そして、「脱原発」が正義で、「再稼働」が悪であるという単純な解釈がでまわっている。 しかし、それは先の事故にたいしての一時の感情論になってしまってはいないだろうか。 これからの原子力発電の在り方を考えるにあたり、国民一人ひとりが正しい知識の元で判断していかなければならない。
<参考文献> 『日本の原子力施設全データ』 北村行孝 三島勇 講談社 2011年 『騙されたあなたにも責任がある』 小出裕章 幻冬舎 2012年 『放射能 地震 津波を正しく怖がる100知識』 小出裕章 坂本廣子 石原哲 藤岡篤子 河田惠昭 集英社 2011年 『原子力と共存できるか』 小出裕章 足立明 かもがわ出版 1997年 『からだのなかの放射能』 安斎育郎 合同出版 2011年 『自分と子どもを放射能から守るには』 ウラジミール・バベンコ 世界文社 2011年 『「反原発」の不都合な真実』 藤沢数希 新潮新書 2012年 『原発を終わらせる』 石橋克彦 岩波新書 2011年 『原発大崩壊!』 武田邦彦 ベスト新書 2011年 『原発のウソ』 小出裕章 扶桑社新書 2011年 気象庁ホームページwww.jma.go.jp/(2012年5月23日閲覧) 電気事業連合会ホームページwww.fepc.or.jp/(2012年5月20日閲覧)