統率・束縛理論2
格理論 GBにおける格の概念 格フィルター NPが音形を持ち、格をもたないならば *NP GBでは各名詞は格を付与される 名詞が格の付与される位置になければ非文 格フィルター NPが音形を持ち、格をもたないならば *NP
格理論 格付与 INFLがTNSを含む場合、主格が[NP,S]に付与される 動詞が[NP,VP] に対格を付与する 前置詞が[NP,PP]に対格、または斜格を付与する 名詞と形容詞([+N]の範疇)は格を付与しない 格は属格を除き、統率されている要素に付与される
格理論 移動 文中の移動を義務的に行う 例)We spoke to him. He was spoken to by us. 受動化形態素によって、動詞の格付与力、外的θ役割を付与する能力をうばう。 格フィルター He was spoken to by us.
移動の種類と補文構造のまとめ GBで許される移動 A移動 wh-移動、すなわちA位置に対する移動 A 移動 格フィルターの結果義務的に生じる移動 ー ー
移動の種類と補文構造のまとめ A移動の性質 ー θ役割と格を両方付与される位置からの移動 移動によって、θ役割と格を欠いたA位置が生じる θ役割と格を両方付与される位置からの移動 移動によって、θ役割と格を欠いたA位置が生じる 生じる連鎖(α、e )はθ役割と格を一つだけ受け るが、これはどちらも移動によってできた空範疇に 付与される。 ー ー
移動の種類と構文構造のまとめ A 移動 θ役割は付与されているが、格は付与されていない 位置からの移動 θ役割は付与されているが、格は付与されていない 位置からの移動 移動先は格は持つが、θ役割はもたない位置 (=主語 位置でありA位置) 生じる連鎖(α、e )はθ役割と格をそれぞれ一つだ け受けるが、前者は移動で生じる空範疇eに、後者 はαに付与される
移動の種類と構文構造のまとめ 受動形態素の効果 Kiss ,V,<NP>, (動作主、主題)、対格を付与する Kiss-en,V,<NP>,(主題)、格を付与しない
移動の種類と構文構造のまとめ 主語から主語への繰り上げ IT seems Max is sick. Maxi seems ei to be sick. seem , V, <S’ ⇒ S>, 命題 d: [NP ] INFL seem [s’ Max INFL VP] s: Maxi INFL seem [s ei INFL VP] θ 格
移動の種類と構文構造のまとめ 主語から目的語への繰り上げ I believe [that Mary is genius]. I believe Maryi [ei to be genius]. Believe, V, <S’ ⇒S>, (動作主,命題), 対格を付与する I INFL believe [s Mary INFL VP ] θ 格
空範疇原理(ECP) 空範疇原理(ECP) 移動によってできた空範疇に適用される条件 他のA位置は、語彙的主要部に統率されるが、 主語位置は、INFLによってしか統率されない INFLだけでは空範疇の存在を認可できない INFLは真統率子ではない
空範疇原理(ECP) 空範疇原理 痕跡は真統率されなければならない 真統率 αがβを真統率するのは、 αがβを統率し、かつαは語彙範疇である(N,V,A,P)か、または、 αがβを局所的にA束縛するときに限る ー
空範疇原理(ECP) A束縛子 ある範疇αの中で、A位置にありαと同一指標を持ち、 αをc-統御するような範疇 ー
束縛とNP のタイプ 束縛理論 束縛(binding) αがβを束縛するのは、 αがβをc-制御し、かつ αとβが同じ指標を持つ場合、 また、そのときだけに限る
束縛とNPのタイプ NP素性 再帰代名詞[+a,-p] [照応的(anaphoric)] 先行詞を持たなければならないもの [代名詞的(pronominal)] 先行詞を持ってもよいもの 人称代名詞[-a,+p] 再帰代名詞[+a,-p] そのほかのNPは[-a,-p]でR-表現 ※[+a,+p]のNPは存在しない
束縛とNPのタイプ 束縛理論と空範疇のタイプ分け -a +a -p wh-痕跡 NP痕跡 +p pro PRO
束縛とNPのタイプ 束縛理論 原理A:照応詩([+a])は、統率範疇内で束縛される 原理B:代名詞([+p])は、統率範疇内で自由である 原理C:R-表現([-a,-p])は自由である
束縛とNPのタイプ 統率範疇 いくつかの束縛過程に関係する「局所領域」という 概念は、束縛理論では、統率範疇として表される。 概念は、束縛理論では、統率範疇として表される。 βにとっての統率範疇とは、βおよびβの統率子を 含む最小のNPまたはSである
束縛とNPのタイプ [+a,-p] 再帰形、NP痕跡に当てはまる NP痕跡は、原理Aに従う Maryi was impressed ei. Maryi seems [s ei to be happy]. *Mary seems [s’ that [s ei is happy]].
束縛とNPのタイプ [-a,+p] 代名詞、空範疇pro 原理Bに従う [Maryi’s father] took to the movies. Maryi brought a present for [heri father]. これに対応する空範疇proは、英語には現れない
束縛とNPのタイプ [-a,-p] R-表現とwh-痕跡はどちらもあらゆる領域でA自由 *He likes Maxi. *Who does hei like ei. *Hei thinks that I like Maxi. *Whoi does hei think that I like ei.
束縛とNPのタイプ [+a,+p] 原理Aと原理Bに従う →矛盾 →統率範疇を持たない PROは束縛されない →矛盾 →統率範疇を持たない PROは束縛されない Mary hopes [s’ PRO to win]. [s’ PRO to err] is human.