大阪府都市基盤施設維持管理技術審議会 第1回 河川港湾公園部会 ~戦略的な維持管理の推進について~ 資料2-2 大阪府都市基盤施設維持管理技術審議会 第1回 河川港湾公園部会 ~戦略的な維持管理の推進について~ 《港湾・海岸》
1.施設の現状 1-1 検討対象施設 ①港湾 係留施設は鋼矢板式やケーソン式が多く、外郭施設はケーソン式やコンクリート擁壁が多い 1-1 検討対象施設 ①港湾 係留施設は鋼矢板式やケーソン式が多く、外郭施設はケーソン式やコンクリート擁壁が多い 係留施設(岸壁・物揚場) 外郭施設(防波堤) 港湾の主な施設として、係留施設(岸壁・物揚場)、外郭施設(防波堤、護岸)、緑地の写真となります 2 外郭施設(護岸) 緑地
1.施設の現状 1-1 検討対象施設 ②海岸 大阪北中部は人工海岸が多く、大阪南部は半自然海岸が多い 防潮堤 突堤 離岸堤 3 養浜・砂浜 1-1 検討対象施設 ②海岸 大阪北中部は人工海岸が多く、大阪南部は半自然海岸が多い 防潮堤 突堤 海岸の主な施設として、防潮堤、突堤、離岸堤、砂浜の写真となります 離岸堤 3 養浜・砂浜
1.施設の現状 1-2 港湾施設の現状 高度経済成長期に集中的に建設されたものが多く、10年後には建設後50年以上経過施設が全体の約4割 1-2 港湾施設の現状 高度経済成長期に集中的に建設されたものが多く、10年後には建設後50年以上経過施設が全体の約4割 種 別 施設名 施設数 建設年度 不明施設数 現状 建設後50年 超過施設数 10年後 20年後 係留施設 岸壁・物揚場 104 5 16 44 68 外郭施設 防波堤 55 15 1 13 22 護岸 131 72 1 29 31 計 290 92 18 86 124 (建設年度不明施設数除く) 合 計 198 ( 9%) 18 (44%) 86 (63%) 124 H24年度時点 係留施設(岸壁・物揚場) 大阪府が管理する港湾は、国際拠点港湾である堺泉北港、重要港湾である阪南港、6つの地方港湾と併せて8港となります。 港湾施設(岸壁・物揚場、防波堤、護岸)の現状として、建設後40年以上経過施設が全体の約4割を占めてる状況であります ※国際拠点港湾⇒国際海上輸送網の拠点として特に重要として政令により定められていた港湾(全国18港) ※重要港湾⇒国際海上輸送網又は国内海上輸送網の拠点となる港湾その他の国の利害に重大な関係を有する港湾で政令で定められた港湾(全国103港)
1.施設の現状 1-2 海岸施設の現状 ・大阪府が管理する海岸延長は 74 ㎞ 1-2 海岸施設の現状 (施設の現状) ・大阪府が管理する海岸延長は 74 ㎞ ・1961(S36)年9月の第2室戸台風による災害を契機に、災害復旧事業として高潮対 策を実施。1960(S40)年代に建設されたものが多く、建設後40年以上経過施設が 約50%。 防潮堤期間別整備率 大阪府が管理する海岸延長は74㎞ 昭和36年9月の第2室戸台風による災害を契機に昭和40年代に建設された施設が多く、建設後40年以上経過施設が約50%占めております
1.施設の現状 1-3 施設の劣化、損傷状況(港湾施設) ●岸壁、物揚場 飛沫部による塩害 エプロン陥没(補修前) 鋼矢板の孔食 (補修前) 1-3 施設の劣化、損傷状況(港湾施設) ●岸壁、物揚場 飛沫部による塩害 エプロン陥没(補修前) 港湾施設の岸壁での劣化、損傷状況の事例の写真となり 左上の写真は桟橋式上部工の写真となります。 右上の写真はエプロン陥没状況で補修前の写真です。下の左右の写真は鋼矢板の孔食状況の補修前の写真になります。 鋼矢板の孔食 (補修前) 6
1.施設の現状 1-3 施設の劣化、損傷状況(港湾施設) ●防波堤、護岸 捨石工の損傷 剥離・鉄筋露出 護岸ひび割れ 上部工グレーチング破損 1-3 施設の劣化、損傷状況(港湾施設) ●防波堤、護岸 捨石工の損傷 剥離・鉄筋露出 港湾施設の防波堤、護岸の損傷状況写真となります。 7 護岸ひび割れ 上部工グレーチング破損 7
1.施設の現状 1-3 施設の劣化、損傷状況(海岸施設) ●防潮堤・突堤 老朽化による突堤の損傷(補修前) 剥離・鉄筋露出(補修前) 1-3 施設の劣化、損傷状況(海岸施設) ●防潮堤・突堤 老朽化による突堤の損傷(補修前) つづきまして、海岸施設の劣化、損傷状況写真となります。 左の写真は、防潮堤のコンクリート剥離や鉄筋露出の補修前の写真となります。 右の上の写真は突堤の損傷状況写真になります。因みに現在は補修済となっております。 右の下の写真は砂浜における陥没状況の写真となります。 剥離・鉄筋露出(補修前) 8 砂浜陥没
1.施設の現状 1-3 施設の劣化、損傷状況(港湾施設) 1-3 施設の劣化、損傷状況(港湾施設) ★老朽化施設(維持管理計画 総合評価Aランク)が多数あり、予防保全型の維持管理に移行出来ず、現状は事後保全型の維持管理の運用となっている。 ※総合評価:各部材ごとの点検診断結果をもとに、施設全体の性能をA~Dの4段階で評価する(総合的な劣化度 Aランク⇒施設の性能が低下している状態) ●老朽化施設で補修対応が出来ない施設 ⇒ 利用制限せざるを得ない状況 利用制限中の施設 塩浜1号物揚場(L=237mのうち18m) 大浜6号岸壁(L=292mのうち100m) 汐見3号岸壁(L=555mのうち20m) 浜寺1号物揚場(全面) 小松3号物揚場(L=400mのうち4m) 小松6号物揚場(L=432mのうち65m) 助松1号物揚場(L=170mのうち6m) 岸和田15号物揚場(L=290mのうち250m) 港湾における老朽化施設が多数(約20箇所)ありまして、現状まずはAランク施設の補修を行っている状況であります。 Aランク施設とは、各部材ごとの点検診断結果をもとに施設全体の性能をA~Dの4段階で評価しており、施設の性能が低下している状態であります。 その中でも予算の都合上、補修が追い付いていない施設は利用制限をかけている状況であります。 岸壁の利用制限状況
2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-1 点検の種類 ①港湾・海岸 一般定期点検 日常点検 緊急点検 詳細定期点検 点検分類 点検内容 頻度 2-1 点検の種類 ①港湾・海岸 一般定期点検 日常点検 緊急点検 詳細定期点検 1回/5年 劣化度Aランク施設は1回/年 1回/10年 1回/1週~1月 平成25年度実績 ・港湾施設緊急点検 ・海岸施設緊急点検 ・照明灯緊急点検 3人以上/班 点検分類 点検内容 頻度 班体制 施設数 点検延べ人数 - 2~4人/班 体制 直営 委託 ・防潮堤等 約74㎞ 4名/班×3班×5日=60人 職員が徒歩により陸上及びボート等により海上から目視点検を実施 一般定期点検 ・岸壁・物揚場 104施設 ・防波堤 55施設 ・護岸 131施設 ・緑地 10箇所 4名班×4班×13日=208人 詳細点検を実施 海中部は潜水調査を実施 週1回~月1回程度 車両及び船舶により点検を実施 ・養浜 約3㎞ 4~5名/班×3班×1日=14人 ・点検の種類として、職員による直営点検を一般定期点検とし、職員が徒歩により陸上からとボート等により海上から目視点検を5年に1回実施しております。 一般定期点検による班体制や日数、職員の延べ人数を記載しております。 ・詳細定期点検として、委託発注により潜水調査等を10年に1回実施しております。 ・日常点検として、職員により車両及び船舶で目視点検を実施しております。 ・緊急点検として、地震後や台風後等に徒歩、車両、船舶により目視点検を実施しております。因みに今年度は港湾及び海岸施設緊急点検を実施しております。 地震後や台風後に徒歩、車両及び船舶により点検を実施 3人以上/班
2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-1 点検の種類 ●陸上からの目視点検 ①港湾 陸上よりエプロン部、附帯施設(車止め等)の点検を実施。 2-1 点検の種類 ●陸上からの目視点検 ①港湾 陸上よりエプロン部、附帯施設(車止め等)の点検を実施。 職員による点検状況になります。 鋼矢板岸壁等につきましては、陸上から電位測定を実施しております。 陸上から電位測定を実施し、電気防食効果の点検を実施。
2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-1 点検の種類 ●海上からの目視点検 ①港湾 2-1 点検の種類 ●海上からの目視点検 ①港湾 職員による船舶やボートからの点検状況になります 海上より鋼矢板岸壁の腐食状況、桟橋式上部工(コンクリート部)の背面部、附帯施設(防舷材等)の点検を実施。
2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-1 点検の種類 ●陸上からの目視点検 ②海岸 防潮堤のクラックや目地開き等の確認 2-1 点検の種類 ●陸上からの目視点検 ②海岸 海岸施設の点検状況になります。 砂浜の空洞化確認を鉄筋で行っています。 防潮堤のクラックや目地開き等の確認 養浜・砂浜における空洞化確認を実施
2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-1 点検の種類 ●不可視部分等の点検 2-1 点検の種類 ●不可視部分等の点検 平成18年のエプロン陥没事故を契機に、平成18~20年度の3箇年で、岸壁及び物揚場のエプロン部について、空洞化を確認するためにレーダー探査を実施 平成18年のエプロン陥没事故を契機に、平成18~20年の3箇年でレーダー探査による空洞化調査を実施しております。 レーダー探査後、空洞化の可能性がある箇所について、削孔により空洞化調査を実施し、47施設中、10施設で空洞化を確認しております。 (内、7施設は利用制限中) レーダー探査後、空洞化の可能性がある箇所について、削孔により空洞化調査を実施 47施設中、10施設で空洞化を確認
2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-1 点検の種類 ○点検の視点:致命的な不具合を見逃さない ① 使用性・安全性・第3者被害の視点 2-1 点検の種類 ○点検の視点:致命的な不具合を見逃さない ① 使用性・安全性・第3者被害の視点 ② ①のうち、過去の被災事例から追加した視点 ⇒ 岸壁背面部であるエプロン部等の不可視部について空洞調査を実施 《点検項目》 点検項目になります。 致命的な不具合を見逃さないことで、使用性・安全性・第3者被害の視点からも点検をおこなっております。
2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-2 効率的・効果的な点検に向けた取り組み ①港湾施設 【総合評価結果一覧表】 2-2 効率的・効果的な点検に向けた取り組み ①港湾施設 【総合評価結果一覧表】 一般定期点検診断及び詳細定期点検診断結果から各部材を劣化度判定(a~d)を行い、各施設全体の劣化度など総合評価(A~D)を決定する。 ※総合評価:各部材ごとの点検診断結果をもとに、施設全体の性能の低下を施設の重要度などと併せて総合的に判断する。 ◆総合評価結果一覧表記載事項 ・施設諸元 ・施工履歴 ・設計諸元 ・日常、定期点検結果 港湾施設のうち岸壁、物揚場の係留施設と外郭施設の防波堤については、一般定期点検診断及び詳細定期点検診断結果から各部材を劣化度判定(a~d)を行い、 各施設全体の劣化度を総合的に評価(A~D)しております。 この総合評価は、国が定める維持管理計画(長寿命化計画)策定マニュアルを参考に「大阪府港湾施設 維持管理基本計画」に基づき作成しております。 ※総合評価:各部材ごとの点検診断結果をもとに、施設全体の性能の低下を施設の重要度などと併せて総合的に判断しております。 《判定区分》 Aランク:施設の性能が低下している状態 Bランク:放置した場合に、施設の性能が低下する恐れがある状態 Cランク:施設の性能にかかわる変状は認められないが、継続して観察する必要がある状態 Dランク:異常は認められず、十分な性能を保持している状態
2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-2 効率的・効果的な点検に向けた取り組み ①海岸施設 【点検結果調書】 2-2 効率的・効果的な点検に向けた取り組み ①海岸施設 参考例(防潮堤) 【点検結果調書】 一般定期点検診断及び詳細定期点検診断結果からを劣化度判定(A~D)を決定する。 ◆点検結果調書 記載事項 ・施設諸元 ・日常、定期点検結果 《判定区分》 Aランク:施設の変状が大きく防潮機能や安全上問題有りと判断される状態 Bランク:施設の変状が中程度で現時点では防潮機能や安全上は問題なしと判断できる状態 Cランク:施設の変状が小さく、現時点では防潮機能や安全上は問題なしと判断できる状態 Dランク:変状なし 海岸施設の点検結果調書になります。
2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-3 点検データの蓄積内容・利用 ①港湾・海岸施設 【データとして蓄積】 【一般定期点検】 蓄積 活用 2-3 点検データの蓄積内容・利用 【データとして蓄積】 ①港湾・海岸施設 【一般定期点検】 蓄積 活用 《蓄積内容》 ・点検日 ・施設名 ・所在地 ・損傷内容 港湾・海岸施設の一般定期点検のチェックリストになります。 エクセル作成しており、データと紙の両方で蓄積しておりますが、建設CALSなどシステムには蓄積しておりません。 ・状況写真 ・平面・横断図 (ポンチ絵) ・損傷度 《活用方法》 ・損傷個所の経過観測
3.維持管理手法の検証 3-1 現在の維持管理の流れ ①港湾施設(維持管理計画) 点検 日常点検 緊急点検 評価 補修 計画的補修 3-1 現在の維持管理の流れ ①港湾施設(維持管理計画) 点検 一般定期点検 日常点検 緊急点検 5年1回、職員が徒歩、ボート等により目視点検を実施 週1回~月1回程度、職員が車両及び船舶により点検を実施 地震後や台風後に職員が徒歩、車両及び船舶により点検を実施 評価 総合的に評価を行い A、B、C、Dランクに区分 補修 総合評価及び優先度に応じて補修工事を実施 計画的補修 各部材の損傷度に応じてa、b、c、dランクに区分 損傷度評価 10年に1回、委託発注により詳細点検を実施 詳細定期点検 施設の重要度及び利用状況等により区分 影響度評価 港湾施設の維持管理の流れとしまして、点検を行い、点検結果を基に施設の評価を港湾局内で行っております。 補修につきましては、健全度評価と施設の優先度に応じて、補修工事を行っている状況です。 損傷箇所の経過観察 緊急補修 早急に補修を必要とする場合に工事を実施
3.維持管理手法の検証 3-1 現在の維持管理の流れ ②海岸施設 点検 日常点検 緊急点検 評価 劣化指標評価 補修 計画的補修 影響度評価 3-1 現在の維持管理の流れ ②海岸施設 点検 一般定期点検 日常点検 緊急点検 5年1回、職員が徒歩により目視点検を実施 週1回~月1回程度、職員が車両により点検を実施 地震後や台風後に職員が徒歩、車両により点検を実施 評価 劣化度に応じてA、B、C、Dランクに区分 劣化指標評価 補修 優先度に応じて補修工事を実施 計画的補修 10年に1回、委託発注により詳細点検を実施 詳細定期点検 影響度評価 防災の観点から重要度により区分 同様に海岸施設の維持管理の流れとしまして、点検を行い、点検結果を基に施設の評価を港湾局内で行っております。 緊急補修 損傷箇所の経過観察 早急に補修を必要とする場合に工事を実施
3.維持管理手法の検証 3-1 現在の維持管理の流れ ○港湾施設 点検による損傷度の判定基準 分類 判定基準 損傷例 Aランク 3-1 現在の維持管理の流れ ○港湾施設 点検による損傷度の判定基準 分類 判定基準 損傷例 Aランク 施設の性能が低下している状態 ・鋼矢板の腐食による孔食 ・電気防食による陽極が完全消耗 ・岸壁等の背面の土砂流失 ・桟橋上部工の床版・梁部についてコンクリート剥離 や鉄筋露出が発生し、上部工の耐力が低下 など Bランク 放置した場合に、施設の性能が低下する恐れがある状態 ・鋼矢板の亀裂、衝突痕 や鉄筋露出が一部発生 など Cランク 施設の性能にかかわる変状は認められないが、継続して観察する必要がある状態 ・ひび割れ等のわずかな損傷 ・鋼矢板の被覆防食の一部剥離 など Dランク 異常は認められず、十分な性能を保持している状態 ― 港湾施設の点検による損傷度の判定基準になります。
3.維持管理手法の検証 3-1 現在の維持管理の流れ ○海岸施設 点検による損傷度の判定基準 分類 判定基準 損傷事例 Aランク 3-1 現在の維持管理の流れ ○海岸施設 点検による損傷度の判定基準 分類 判定基準 損傷事例 Aランク 施設の変状が大きく防潮機能や安全上問題有りと判断される状態 ・部材背面まで達するひび割れ、亀裂 ・広範囲に部材の深部までの剥離・損傷 ・転倒又は欠損 ・広範囲にわたる砂浜の決壊や浜崖の形成 など Bランク 施設の変状が中程度で現時点では防潮機能や安全上は問題なしと判断できる状態 ・複数方向に幅数 mm 程度のひび割れ ・表面だけでなく部材の深部までの剥離・損傷 ・移動に伴う目地開きが大きく水の浸透あり ・浜崖形成の兆候 など Cランク 施設の変状が小さく現時点では防潮機能や安全上は問題なしと判断できる状態 ・1方向に幅数mm程度のひび割れ ・広範囲であっても部材の表面の剥離損傷 ・目地ずれがあるが水の浸透なし など Dランク 変状なし ― 同様に海岸施設の点検による損傷度の判定基準になります。
3.維持管理手法の検証 3-2 現在の維持管理手法 港湾管理施設 検討項目 現在の 保全手法 現状の保全手法の考え方 係留施設 3-2 現在の維持管理手法 港湾管理施設 検討項目 現在の 保全手法 現状の保全手法の考え方 係留施設 (岸壁・物揚場) (鋼構造) 状態監視 5年/1回実施する定期点検結果から、健全度を評価し、詳細調査を行い補修を実施 (コンクリート) 外郭施設 (防波堤・護岸) 水域施設(航路・泊地) 5年/1回実施する定期点検結果及び施設利用者等からのヒアリングにより浚渫を実施 港湾施設につきまして、現在の保全手法は各施設とも状態監視となっております。 ※総合評価(劣化度)Aランク施設については、1年/1回点検を実施。
3.維持管理手法の検証 3-2 現在の維持管理手法 海岸管理施設 検討項目 現在の 保全手法 現状の保全手法の考え方 防潮堤(コンクリート) 3-2 現在の維持管理手法 海岸管理施設 検討項目 現在の 保全手法 現状の保全手法の考え方 防潮堤(コンクリート) 状態監視 5年/1回実施する定期点検結果から、健全度を評価し、補修を実施 突堤・離岸堤・導流堤・ 潜堤(コンクリート) 養浜・砂浜等 1年/1回(GW前)実施する定期点検結果から、健全度を評価し、補修を実施 海岸施設につきましても現在の保全手法は各施設とも状態監視となっております。
3.維持管理手法の検証 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因:岸壁・物揚場(鋼構造) ①港湾施設 ○鋼矢板の腐食 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因:岸壁・物揚場(鋼構造) ①港湾施設 ○鋼矢板の腐食 鋼矢板の集中腐食により開口ができ、背後の裏込材が流出したため、岸壁背後に空洞化が生じエプロン部が陥没。 土砂流出 エプロン陥没 平成18年に起こった、鋼矢板の腐食により背後の裏込材が流出しエプロン部が陥没した事例になります。 補修済になります。 裏込材流出 空洞化が進行 鋼矢板
3.維持管理手法の検証 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因:岸壁・物揚場(コンクリート) ①港湾施設 ○塩害・科学的浸食 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因:岸壁・物揚場(コンクリート) ①港湾施設 ○塩害・科学的浸食 塩害により桟橋上部工の床版・梁部についてコンクリート剥離や鉄筋露出が発生し、上部工の耐力が低下し、岸壁の利用を一部制限 コンクリート剥離鉄筋露出 利用制限 飛来塩分 汐見3号岸壁の桟橋上部工の損傷事例になります。 損傷の激しい箇所につきましては、上部工部に印を付け利用制限をかけている状況です。 今年度から補修に着手したところです。 桟橋式岸壁 耐力が低下
3.維持管理手法の検証 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因:鋼材 ①鋼材の腐食 【材料劣化】 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因:鋼材 ①鋼材の腐食 【材料劣化】 海水の飛沫帯において、腐食環境にさらされた金属がほぼ均一に減肉したり、鋼の特定の部位に深い浸食を発生させるもの。 なお、腐食環境とは、大気中、飛沫帯、干満帯、水中、底面土中部、背面土中部に区分される。 無防食鋼材の腐食速度は、飛沫帯が最大であり、ついで水中のM.L.W.L(平均干潮面)直下部、それ以下の水中の順に減少する。 開孔状況 一般的な鋼材の腐食の事例になります。 出典:港湾構造物防食・補修マニュアル(2009年版) 陽極消耗状況
3.維持管理手法の検証 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因:コンクリート ①塩害 【材料劣化】 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因:コンクリート ①塩害 【材料劣化】 コンクリート中における塩化物イオンの存在により、コンクリート中の鋼材の腐食が進行し、腐食生成物の体積膨張によりコンクリートのひび割れや剥離・剥落、あるいは鋼材の断面減少が生じ、構造物の性能低下につながる現象。 塩化物イオンは海水や凍結防止剤のように構造物の外部環境から供給される場合と、コンクリート製造時に材料から供給される場合が考えられる。 同じく、事例紹介になります。 出典「コンクリート診断技術’13[基礎編]」
3.維持管理手法の検証 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因:コンクリート ②中性化 【材料劣化】 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因:コンクリート ②中性化 【材料劣化】 大気中の二酸化炭素がコンクリート内に侵入し、水酸化カルシウムなどセメント水和物と炭酸化反応を引き起こすことにより、コンクリート空隙中のpHを低下させる現象。 これにより、内部の鋼材表面の不動態被膜が失われ、酸素と水分の供給により腐食が進行する。 さらに鋼材の腐食により、ひび割れの発生、かぶりの剥落、耐力の低下などが起こる。 同じく、事例紹介になります。 出典「コンクリート診断技術’13[基礎編] 」
3.維持管理手法の検証 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因:コンクリート ③ASR(アルカリシリカ反応) 【材料劣化】 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因:コンクリート ③ASR(アルカリシリカ反応) 【材料劣化】 ある種のシリカ鉱物もしくはガラス質物質を含有する骨材が、コンクリート中の強アルカリ性の水溶液と反応し、コンクリートに異常な膨張及びそれに伴うひび割れを発生させる現象。 同じく、事例紹介になります。 出典「コンクリート診断技術’13[基礎編] 」
3.維持管理手法の検証 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因(まとめ 1/3) 事業 工種 劣化機構・要因 損傷事象 長寿命化のために 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因(まとめ 1/3) 事業 工種 長寿命化のために 注視すべき要因 劣化機構・要因 損傷事象 材料劣化 損傷要因 港湾 係留施設 (岸壁・物揚場) [鋼矢板式係船岸・横桟橋式] ○ 鋼材の腐食 肉厚減少・孔食による裏込土砂の流出 船舶及び漂流物の衝突 鋼矢板の亀裂・損傷による裏込土砂の流出 上載荷重・荷役作業 過積載などによるエプロンの損傷 圧密沈下 裏埋土の沈下によるエプロンの損傷 水圧変動・乾湿繰返し コンクリートのひび割れ・剥離・さび汁・ 鉄筋露出・漏水・表面劣化 塩害・化学的侵食 中性化・かぶり不足 ASR(アルカリシリカ反応 施設毎の主たる損傷・劣化要因をまとめた表になります。
3.維持管理手法の検証 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因(まとめ 2/3) 事業 工種 劣化機構・要因 損傷事象 長寿命化のために 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因(まとめ 2/3) 事業 工種 長寿命化のために 注視すべき要因 劣化機構・要因 損傷事象 材料劣化 損傷要因 港湾 係留施設 (岸壁・物揚場) [重力式係船岸] ○ 波浪、潮位差 裏埋土の吸出しによるエプロンの沈下・損傷 船舶・漂流物の衝突 エプロン・附帯設備破損 上載荷重・荷役作業 圧密沈下 裏埋土の沈下 外郭施設 (防波堤、護岸)(混成堤) 波浪 本体の滑動、マウンド捨石等の散乱・沈下、地盤の洗掘、本体工のひび割れ、損傷 施設毎の主たる損傷・劣化要因をまとめた表になります。
3.維持管理手法の検証 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因(まとめ 3/3) 事業 工種 劣化機構・要因 損傷事象 長寿命化のために 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因(まとめ 3/3) 事業 工種 長寿命化のために 注視すべき要因 劣化機構・要因 損傷事象 材料劣化 損傷要因 海岸 堤防、護岸 ○ 波浪、潮位差 洗掘等による消波工、堤体の沈下、損傷 圧密沈下(上載荷重) 堤体のずれ、目地開き 船舶・漂流物の衝突 堤体の損傷 塩害・化学的侵食 コンクリートひび割れ・剥離・さび汁・ 鉄筋露出・漏水・表面劣化 中性化・かぶり不足 ASR 養浜 波浪、風、潮位差等 沈下 砂浜の浸食、堆積、吸出しによる陥没 施設毎の主たる損傷・劣化要因をまとめた表になります。
3.維持管理手法の検証 3-4 長寿命化に向けた維持管理の方向性 ①港湾 ○係留・外郭施設(鋼構造)《腐食》 3-4 長寿命化に向けた維持管理の方向性 ①港湾 ○係留・外郭施設(鋼構造)《腐食》 鋼材の劣化予測は、点検結果(肉厚測定調査)より得られる鋼材腐食速度を用いて、設計肉厚(腐食代)から残存寿命を推定するため、今後も、水中調査による肉厚調査を継続的に実施し、維持管理データを蓄積し劣化曲線の精度を高め、予測計画型の維持管理を行う。 ○係留施設(コンクリート:上部工)《塩害、化学的浸食》 桟橋式上部工における床版、梁の劣化予測は、点検結果(塩分量調査)より得られる塩化物イオン濃度の推計を用いて、鉄筋腐食時期を推定する予測計画型の維持管理手法が考えられることから、劣化要因として塩害が顕著な区間にあるものについては、データを蓄積することで、予測計画型の維持管理の検討を行う。 ○係留・外郭施設(コンクリート)《塩害、化学的浸食》 施設の補修については、定期点検結果から劣化や変状を評価し、必要と認められた場合に補修を行う状態監視型の維持管理を行っている。 また、損傷の状態から補修タイミングの判断において、これまでは点検者の判断によるばらつきが多いことから、判断基準の明確化を図るべく、維持管理データを蓄積し、損傷度判定の精度を高めていく。 長寿命化に向けた維持管理の方向性としてまして ・係留・外郭施設(鋼構造)につきましては、点検結果(肉厚測定調査)により鋼材の劣化予測を行っていますが、現状は劣化予測データを活用出来ず状態監視での維持管理となっておりますが 水中調査による肉厚調査を継続的に実施し予測計画型の維持管理を行いたいと考えております。 ・係留施設の桟橋式上部工につきましては、塩分量調査による点検結果から、塩化物イオン濃度の推計を用いて、鉄筋腐食時期を推定する予測計画型の維持管理手法が考えられることから、 劣化要因として塩害が顕著な区間にあるものについては、予測計画型の維持管理の検討を行いたいと考えております。 ・コンクリート構造物については、定期点検結果から劣化や変状を評価し、必要と認められた場合に補修を行う状態監視型の維持管理を行いたいと考えております。
3.維持管理手法の検証 3-4 長寿命化に向けた維持管理の方向性 ①海岸 ○防潮堤等(コンクリート)《塩害、化学的浸食》 3-4 長寿命化に向けた維持管理の方向性 ①海岸 ○防潮堤等(コンクリート)《塩害、化学的浸食》 施設の補修については、定期点検結果から劣化や変状を評価し、必要と認められた場合に補修を行う状態監視型の維持管理を行っている。 また、損傷の状態から補修タイミングの判断において、これまでは点検者の判断によるばらつきが多いことから、判断基準の明確化を図るべく、維持管理データを蓄積し、損傷度判定の精度を高めていく。 防潮堤等のコンクリート構造物については、定期点検結果から劣化や変状を評価し、必要と認められた場合に補修を行う状態監視型の維持管理を行いたいと考えております。
3.維持管理手法の検証 3-5 現在の課題からみた今後の維持管理手法 ①港湾施設 課題 目指すべき 維持管理手法 把握すべき事項 取得すべき 3-5 現在の課題からみた今後の維持管理手法 ①港湾施設 課題 目指すべき 維持管理手法 把握すべき事項 取得すべき データ 係留施設 (岸壁・物揚場) (鋼構造) 最適な補修 タイミング 予測計画型 劣化損傷の進行要因 ・鋼材の腐食、亀裂、損傷 ・被覆防食工の状況 ・電位測定、肉厚測定 ・背面部の内部空洞化調査 ・定期点検データ (コンクリート) 状態監視型 ・コンクリート調査 外郭施設 (防波堤・護岸) 水域施設 (航路・泊地) 事後保全型 港湾施設の今後の維持管理手法について、表に纏めたものになります。 36
3.維持管理手法の検証 3-5 現在の課題からみた今後の維持管理手法 ②海岸施設 課題 目指すべき 維持管理手法 把握すべき事項 取得すべき 3-5 現在の課題からみた今後の維持管理手法 ②海岸施設 課題 目指すべき 維持管理手法 把握すべき事項 取得すべき データ 防潮堤 最適な補修 タイミング 状態監視型 劣化損傷の進行要因 ・天端高さ調査 ・水叩き部の内部空洞化調査 ・定期点検データ ・コンクリート調査 突堤、離岸堤、導流堤、潜堤 養浜、砂浜 洗掘及び消滅の要因 ・空洞化調査 海岸施設の今後の維持管理手法について、表に纏めたものになります。
4. 重点化指標 重点化指標(優先順位)の設定 ①港湾 ・効率的かつ効果的に維持管理を行うために、不具合が発生した場合の重点化の 重点化指標(優先順位)の設定 ①港湾 ・効率的かつ効果的に維持管理を行うために、不具合が発生した場合の重点化の 考え方を設定する。 【健全度】 ・施設の劣化状況や損傷の程度 最重点化 重点化 悪 健全度 【社会的影響度】 《岸壁等》 ・災害発生後の緊急物資輸送に重要な役割を果たす 耐震強化岸壁 ・入港船舶数、取扱貨物量の多い主力岸壁 ・旅客船フェリー接岸岸壁 重点化指標としまして、縦軸を健全度、横軸を社会的影響度としております。 ・健全度は施設の劣化状況や損傷の程度 ・社会的影響度は、岸壁であれば… 防波堤であれば… 護岸であれば… 《防波堤》 ・津波・高潮による減災効果の大きい第一線防波堤 良 《護岸》 ・災害時に甚大な被害を及ぼす懸念のあるコンビナート地区及び廃棄物護岸 社会的影響度 小 大
4. 重点化指標 重点化指標(優先順位)の設定 ②海岸 ・効率的かつ効果的に維持管理を行うために、不具合が発生した場合の重点化の 重点化指標(優先順位)の設定 ②海岸 ・効率的かつ効果的に維持管理を行うために、不具合が発生した場合の重点化の 考え方を設定する。 最重点化 重点化 悪 【健全度】 ・施設の劣化状況や損傷の程度 健全度 【社会的影響度】 《防潮堤》 ・背後地盤高が低く、浸水被害が大きい ・背後地が人家隣接で人口密集地 重点化指標としまして、縦軸を健全度、横軸を社会的影響度としております。 ・健全度は施設の劣化状況や損傷の程度 ・社会的影響度は、防潮堤を例としまして、背後地盤高が低く、浸水被害が大きい。人家隣接で人口密集地。 良 社会的影響度 小 大
5. 更新時期の見極めの検討 更新判定フロー(案) ①港湾及び海岸 施設毎の要因 ≪検討する範囲≫ START 物理的要因 から更新が必要 更新判定フロー(案) ①港湾及び海岸 ≪検討する範囲≫ START 物理的要因 から更新が必要 機能的・社会的 要因を考慮した判断 更新 LCCを考慮した場合に 更新が必要か 不必要 必要 なし あり 施設毎の要因 物理的要因 機能的要因 社会的要因 係留施設 岸壁・物揚場 (鋼構造) 肉厚減少 背面土流出 孔食 等 設計基準の見直し 利用形態 施設性能 防災機能 など (コンクリート) ひび割れ・圧密沈下 背面部空洞化等 外郭施設 防波堤・護岸 地盤の洗掘等 ひび割れ・損傷、地盤の洗掘等 防潮堤等 沈下による天端高さ不足 水叩き部空洞化 係留及び外郭施設 (コンクリート) 防潮堤等 更新せず補修補強で対応 更新判定フローになります。 係留及び外郭施設 (鋼構造)