食の安全ナビ検定 市民編の解説 ~原発事故と健康影響~ 2012年6月改定版 開発責任者:NPO法人食品保健科学情報交流協議会 関澤 純 8.shokkakyo@ccfhs.or.jp
ポイント 問題 1 放射性物質の新基準値 (単位:ベクレル/㎏) ・飲料水 ・牛乳 ・一般食品 ・乳児用食品 10 50 100 放射性 ポイント 問題 1 放射性物質の新基準値 (単位:ベクレル/㎏) 食品群 ・飲料水 ・牛乳 ・一般食品 ・乳児用食品 基準値 10 50 100 放射性 セシウム (*) (※)放射性ストロンチウム、プルトニウム等を含め設定
もっと詳しく知ろう1 放射能物質の新基準値は大人だけでなく乳児、幼児も考慮してつくられています。 (2)ふだん摂取している食品は自然の放射性 物質カリウム(半減期*約12億年)が 放射性セシウムの基準値のほぼ数分の1 ほどの線量で含まれ、私たちは知らない うちに常に内部ばく露されています。 *放射性カリウムが壊れて半分に減るための時間
ポイント 問題 2 放射線とは・・・ 放射性物質 崩 壊 放射線
ポイント 問題 3 放射線に関する単位 単 位 名 定 義 ベクレル グレイ シーベルト 1秒間に原子核が崩壊する数を表す単位 ポイント 問題 3 放射線に関する単位 単 位 名 定 義 放射能の単位 ベクレル 1秒間に原子核が崩壊する数を表す単位 放射線の影響に関する単位 吸収線量 グレイ 放射線のエネルギーがどれだけ物質に吸収されたかを表す単位 吸収線 量の影響 シーベルト 放射線によってどれだけ影響があるかを表す単位 電気事業連合会「原子力・エネルギー図面集」2011年版より引用
ポイント1 問題 4 私たちは常に自然界から天然の放射線(食べ物・大地・宇宙などからの放射線)を受けていますが微量なので心配ありません
太陽からの放射や毎日食べる食品には地球ができたときからの放射性物質が含まれています ポイント2 太陽からの放射や毎日食べる食品には地球ができたときからの放射性物質が含まれています mSv=ミリシーベルト=千分の1シーベルト
自然放射能は地域毎に違う ポイント3 東京は 0.91 ミリシーベルト/年 そうかあ~ ポイント3 自然放射能は地域毎に違う 東京は 0.91 ミリシーベルト/年 そうかあ~ http://www.tohoku-epco.co.jp/electr/genshi/shiryo/wastes/11.html
コープふくしまは自分たちの食事中の放射性物質の総量を2011年11月から2012年4月の期間調べました ポイント4 コープふくしまは自分たちの食事中の放射性物質の総量を2011年11月から2012年4月の期間調べました 調べたら放射線のほとんどは天然放射性カリウムだった 緑の縦棒 セシウムは黄と赤
ポイント 問題 5 野菜に付着した放射性降下物の除去割合 野菜 処理法 放射性降下物 50~60 50~80 30~60 除去割合(%) ポイント 問題 5 野菜に付着した放射性降下物の除去割合 野菜 処理法 放射性降下物 除去割合(%) きゅうり 水洗い ストロンチウム90 50~60 なす ほうれんそう あく抜き セシウム、ヨウ索、 ルテニウム 50~80 春菊 キャベツ 酸漬け 30~60 レタス 野菜では水でよく洗ったり、ゆでこぼしたり、酢で漬けたり等する事で、汚染物の濃度が薄まります。
ポイント 問題 6 ヨウ素は甲状腺に集り易いのですが、放射性ヨウ素にさらされる前の24時間以内、又はさらされた直後に安定ヨウ素剤を服用すると、甲状腺に集まる放射性ヨウ素が薄まり甲状腺がんの予防が期待できます。しかし、セシウムなどのヨウ素以外の放射性物質に対しては効果がなく、服用するタイミングや副作用などを注意する必要があります。いずれにせよ、服用にあたっては、必ず原子力災害現地対策本部の指示に従ってください。自分で勝手に飲んではいけません。
もっと詳しく知ろう2 セシウムの半減期は30年ですが1歳の幼児体内からは成人の10倍も排泄が速いために9日間で半分になってしまいます。
私たちがこれまで浴び続けてきた食品中の自然放射性物質および核実験由来の放射性物質 もっと詳しく知ろう3 私たちがこれまで浴び続けてきた食品中の自然放射性物質および核実験由来の放射性物質 http://www.kankyo-hoshano.go.jp/study_menu.html より 生乳 47 0.50 0.13 精米 25 0.095 0.029 食パン 29 0.028 - 豚肉 97 0.12 - さけ 110 0.14 0.031 きゃべつ 68 0.54 - 人参 86 0.036 - ※ 上段(カリウム40) 中段(セシウム137) 下段(ストロンチウム90) 数字は1kgあたりベクレル ここ45年間の平均値
人工放射性降下物(フォールアウト)の経年変化 もっと詳しく知ろう4 核実験でなんと原発事故以上に日本と世界が汚染された チェルノブイリ原発事故 中国による核実験 米ソなどによる核実験 放 射 性 降 下 物 ・対数目盛は一目盛で十倍 ミリベクレル/平方メートル 人工放射性降下物(フォールアウト)の経年変化 気象研究所の研究報告から
50年前は核実験のため日本中が原発事故半後の南相馬市の3倍以上に内部ばく露していた! もっと詳しく知ろう5 50年前は核実験のため日本中が原発事故半後の南相馬市の3倍以上に内部ばく露していた! 1964年(大気圏核実験時) 平均9.6ベクレル 1987年(チェルノブイリ事故後)平均0.94ベクレル 健康な男子30~50歳代(17~24名/年) 2011年9月末~2012年3月末(原発事故後、 南相馬市(成人7814名: 成人 平均 3.1ベクレル 中学生以下1688名: 子供 平均 1.3ベクレル セシウム137の体内負荷量の比較 単位:体重1kg当たりベクレル
50年前は核実験のため日本中が原発事故半後の南相馬市の3倍以上に内部ばく露していた! 1964年(大気圏核実験時) 平均9.6ベクレル 1987年(チェルノブイリ事故後)平均0.94ベクレル 健康な男子30~50歳代(17~24名/年) 2011年9月末~2012年3月末(原発事故後、 南相馬市(成人7814名: 成人 平均 3.1ベクレル 中学生以下1688名: 子供 平均 1.3ベクレル セシウム137の体内負荷量の比較 単位:体重1kg当たりベクレル
もっと詳しく知ろう3 放射性物質の種類の違い 「核兵器の使用や原子炉中に存在する放射性物質」と「今回の原発事故で環境中に放出され 検出されている放射性物質」は種類が異なります。 ・揮発しやすい ・水に溶けやすい ・セシウムは土に吸着 されやすい 放射性ヨウ素 放射性セシウム 環境中に比較的多く 放出され測定される メルトダウンが起きた原子炉中の非常に高レベルの放射性反応生成物の危険度は極めて高く作業員の被ばくと環境への放出は最大限の努力で抑制すべきです
明確に区別すべきこと 事故を起こした原子炉周辺の放射線量は莫大で今後 環境への放出は絶対に抑えるべき、事故現場作業者の安全は最大限に保護されねばならない。 高線量ホットスポットの除染は必要だが、多くの地点では汚染土壌を多量口に入れたり、長時間現場近くにいない限り、ばく露は低くて済む可能性が大きい 低線量の場合は現状では土で被覆(土壌に強く吸着し地下には移動しない)するのが効果的と思われる
禁煙、高塩分濃度の食品を食べないなどの予防手段がある! がんのリスク かかりにくくするには 禁煙、高塩分濃度の食品を食べないなどの予防手段がある! 野菜・果物はがんや、糖尿病を抑制し肥満と 心血管系疾患の抑制効果があります(*) 食事摂取基準は野菜1日に350g~400g、果物150gから200gですが、実際は果物60歳代160g、30歳代70g以下 *注意しましょう! しかしある成分をサプリメントとして多量摂取すると、思わぬ副作用を受ける場合があります
参考資料 スライド2 厚生労働省 スライド4 電気事業連合会 スライド6 (財)原子力環境整備センター http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e.html http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r9852000001559v.pdf スライド4 電気事業連合会 http://www.fepc.or.jp/library/publication/pamphlet/nuclear/zumenshu/pdf/all06.pdf スライド6 (財)原子力環境整備センター 「食品の調理・加工による放射性核種の除去率」 http://www.rwmc.or.jp/library/other/file/kankyo4_1.pdf スライド7 厚生労働省 放射線の健康影響に関する一般の方に向けたQ&A(その1) http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000016kfg.html スライド9 気象研究所地球化学研究部:環境における人工放射能の研究2009 http://www.mri-jma.go.jp/Dep/ge/2009Artifi_Radio_report/top3.html 2011年6月 現在
お断り このクイズは、現在の原発事故の対応が十分で適切であるという趣旨のものではありません。むしろ、さまざまな時点での判断の遅れや不適切な過信が、現在の深刻な状況を生み出していると考えられます。 被災者の方々に、被災地に留まり、家族やコミュニティーの結束、生計の手段と日常生活、介護や養育を安心してできるために、適切で分かりやすく、判断の参考にできる情報と今後の見通しを示すべきだと考えます。 また国民には単に数値の発表をしたり、むやみに不正確な測定をあちこちで実施するよりも、数値の持つ意味について、適切な理解を支援する必要があります。このクイズがその一助になれば幸いです。