医中誌における 研究デザイン用語付与の実際 2005年1月20日 NPO法人医学中央雑誌刊行会 編成課 佐久間せつ子
内 容 「研究デザイン」用語とは? 研究デザインタグ付与の実際 タグ「診療ガイドライン」新設の紹介 内 容 「研究デザイン」用語とは? 研究デザインタグ付与の実際 タグ「診療ガイドライン」新設の紹介 「医学用語シソーラス」第6版の作成とUMLS
「研究デザイン」とは? (=Research design,研究計画) A plan for collecting and utilizing data so that desired information can be obtained with sufficient precision or so that an hypothesis can be tested properly. (MeSH 2005)
「研究デザイン」とは? (=Research design,研究計画) 研究プロジェクトを行うにあたって、研究者によって事前に決められた厳守されるべき研究の手順および方法 (疫学辞典第3版.日本公衆衛生協会.2000)
「研究デザイン」とは? (=Research design,研究計画) 研究計画に求められるものは、①研究課題の明確化(動機と目的)、②構成概念の操作(研究の背景)、③標本抽出・データ収集の方法(研究方法)、④データの分析(結果の予測)、までの研究全般にわたる計画 (看護大事典.医学書院.2002.抜粋)
医学用語シソーラスにおける「研究デザイン」の下位語とその階層関係(1) 調査研究法(e5+) 疫学的方法(e5-30+) 研究デザイン(e5-30-30+) 一重盲検法(e5-30-30-10) 感度と特異度(e5-30-30-20+) ROC曲線(e5-30-30-20-10) 検査予測値(e5-30-30-20-20) クロスオーバー研究(e5-30-30-30) 結果再現性(e5-30-30-40) システマティックレビュー(e5-30-30-50) 二重盲検法(e5-30-30-60) 標本サイズ(e5-30-30-70) マッチドペア分析(e5-30-30-80) メタアナリシス(e5-30-30-90) ランダム割付け(e5-30-30-100)
医学用語シソーラスにおける「研究デザイン」の下位語とその階層関係(2) 自然科学(h1+) 科学(h1-20+) 研究(h1-20-30+) 研究デザイン(h1-20-30-30+) 患者選択(h1-20-30-30-10) 二重盲検法(h1-20-30-30-20) 標本サイズ(h1-20-30-30-30) メタアナリシス(h1-20-30-30-40) ランダム割付け(h1-20-30-30-50)
医中誌がタグとして採用した4つの 「研究デザイン」 メタアナリシス(MA) ランダム化比較試験(RCT) 比較臨床試験(CCT) 比較研究(CS) ⇒ キーワードの「研究デザイン」 ≠ タグ「研究デザイン」
医学用語シソーラスにおける RCTとCCTの階層関係 調査研究法(e5+) 評価研究(e5-570+) 臨床試験(e5-570-80+) 比較臨床試験(e5-570-80-60+) ランダム化比較試験(e5-570-80- 60-10) *課題:医中誌での定義と階層関係に矛盾あり。
なぜ「研究デザイン」のタグが必要か? 医学中央雑誌データベース(医中誌DB)の検索において、より的確かつ簡便にエビデンスの強さに応じた文献情報が見つけられるように設けられた。 *医中誌DB収録総文献数 :530万件 (1983~2004)
タグの定義と付与ルール JHES(日本ハンドサーチ・エレクトロニックサーチ研究会、Japan Hand Search & Electronic Search Society、主任研究者:津谷喜一郎 http://jhes.umin.ac.jp/)の定義や付与ルールを参考にした 「医中誌Web」の案内 http://www.jamas.or.jp/web_help3/design.html
付与ルール: RCTとCCT 広義のRCTは,ランダム割付けの確かさによって,さらに二分される.著者が研究中の比較群間の割付けを「ランダム割付けで行った」あるいは,「ランダム化」に類する表現で記述していれば,「ランダム化比較試験」randomized controlled trial (RCT)と分類する.もし,はっきりと記述がない場合にはRCTである確かさは低くなる.
付与ルール: RCTとCCT 続き ランダム割付けを,コイン投げ,くじ引き,曜日,誕生日,カルテ番号,交互などの準ランダム化 quasi-randomizationの方法によって行ったと記述していれば,「比較臨床試験」controlled clinical trial(CCT)と分類する.「比較臨床試験」は「準ランダム化比較試験」 quasi-randomized controlled trialとも称され,後者の方が日本語としてはわかりやすい. (コクラン共同計画とハンドサーチマニュアル.廣瀬美智代.2002)
タグ付与対象文献 原著論文のみ *会議録にはタグは付与されていません!(タイトルから明らかな場合は、MA,RCT,CCTのキーワードは付与されています) 研究対象がヒトのみ *獣医学文献や動物実験の文献にはたとえ原著論文でもタグは付与されていません!
タグの付与年度とメンテナンス 付与年度:1999~現在 ・1999~2002 メンテナンスにより追加付 与(ただし「比較研究」は除く) タグの付与年度とメンテナンス 付与年度:1999~現在 ・1999~2002 メンテナンスにより追加付 与(ただし「比較研究」は除く) ・2003~ インデクサーによるマニュ アル付与
メンテナンスの方法 JHESの研究成果を、その許可をいただき、該当する文献に付与(但し、GrayRCTはCCTとした) 「医中誌Web」でキーワード、タイトルや抄録をサーチし、該当する文献に付与 “PubMed”に登録されている日本の雑誌で、[Publication Type]としてMA,RCT,CCTが付与されている文献を参考に付与 *いずれも原報を確認のうえ付与した
比較臨床試験(CCT)に関する注意点 医中誌とMeSHでは定義が異なる ・医中誌定義はランダム化もどきの群分けで行った試験のこと(準ランダム化比較試験) ・MeSHのControlled Clinical Trial [Publication Type]は、“Work consisting of a clinical trial involving one or more test treatments, at least one control treatment, specified outcome measures for evaluating the studied intervention, and a bias-free method for assigning patients to the test treatment. ・・・(後略)“
タグを正確に付与するために 行っていること(2003~現在) タグを正確に付与するために 行っていること(2003~現在) 1. インデクシング後の点検の徹底 ・インデクシング直後の点検 ・修正後の点検 2. インデクサー教育 3. 更新前のデータチェック
1. インデクシング後の点検の徹底 インデクサーはタグ付けした文献に付箋を貼って伝達 1. インデクシング後の点検の徹底 インデクサーはタグ付けした文献に付箋を貼って伝達 インデクサーがタグ付けしたかしないかに関わらず、対象が動物以外の原著論文をすべて点検 点検のポイント: ・タグ付けは正確か? ・見落としがないか? 「抄録」や本文の「対象と方法」の項目を読んで確認 修正が確実に行われたかどうかについて、後日データを確認
2. インデクサー教育 ①インデクサー研修(年2回程度) ②インデクサーへフィードバック 点検後の修正はインデクサー自身が行う 2. インデクサー教育 ①インデクサー研修(年2回程度) ②インデクサーへフィードバック 点検後の修正はインデクサー自身が行う ③メールでの注意事項の伝達 ④編成課ホームページの活用
3. 更新前のデータチェック データ更新前に機械的にチェック 1. 原著以外の文献にタグが付与されていないか? 3. 更新前のデータチェック データ更新前に機械的にチェック 1. 原著以外の文献にタグが付与されていないか? 2. ヒト以外の文献にタグが付与されていないか? 3. タグとキーワードは一致しているか? など
タグ「診療ガイドライン」の新設 新設の背景 タグ「診療ガイドライン」付与ルール バックファイルメンテナンス 「医中誌Web」でのサービス開始
1.新設の背景(1):ガイドライン作成の流行 医療技術評価推進検討委員会により、平成11年3月に「臨床現場においてEBMが重要であり、その普及・推進の一方策として診療ガイドライン策定が必要」との報告が厚生労働省になされ、ガイドライン作成が進められるようになった。その後、厚労省だけでなく、医師会や学会が主導するガイドライン作成が進んでいる。
1.新設の背景(2):検索上の問題点 「医中誌Web」で「ガイドライン」による統制語検索を行うと、膨大な数がヒット(例:11731件(2000~2005、1/19現在))。専門家委員会や学会作成のガイドラインが簡単には拾えない。
2.タグ「診療ガイドライン」付与ルール(1) 定義 医療や公衆衛生上の判断を支援する目的で、日本において、主に学会などにより作成された文書。(個人や一病院で作成したガイドラインは含まない) 参考:「特定の臨床状況において、適切な判断を行うた めに、臨床医と患者を支援する目的で系統的に作 成された文書」(米国 Institute of Medicine, 1990)
2.タグ「診療ガイドライン」付与ルール(2) 付与対象文献 解説文献 ヒトに限らない(機器や動物を含む)
ヒト以外のガイドラインの例 生理学領域における動物実験に関する基本的指針 (平成13年3月30 日改訂)(Guiding principles for the care and use of animals in the field of physiological sciences)(英語) Author:日本生理学会 Source:日本生理学雑誌(0031-9341)66巻2号 Page ii-xiii(2004.02) 論文種類:解説
3.バックファイルメンテナンス 1999年データまで遡及して追加付与 メンテナンスの方法 1. 東邦大学医学メディアセンター作成の「診療ガイドライン」リストを参考にする 2. 「医中誌Web」でタイトル検索やキーワード検索を行い、原報を確認後付与する
4.「医中誌Web」でのサービス開始予定 2005年3月末より、「医中誌Web」で、タグ「診療ガイドライン」を利用した検索ができるようになる予定 ・絞り込み検索 ・一次検索は、入力欄に「診療ガイドラ イン/RD」と入力