緑のカーテンによる 温熱環境緩和効果のメカニズム

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緑のカーテンによる 温熱環境緩和効果のメカニズム 1053153 金木 慎一 1053159 木下 靖裕

緑のカーテン 建築物の外壁を覆う緑化技術 期待されている効果 蒸散効果による気温上昇の抑制・空調負荷の軽減 外壁への蓄熱軽減 ヘチマやゴーヤ、アサガオなどのつる性植物を                       ネット等を用いて育成 期待されている効果 蒸散効果による気温上昇の抑制・空調負荷の軽減 外壁への蓄熱軽減 他の生き物とのふれあい

緑のカーテン温熱環境緩和効果について 明確なデータはほとんどない 研究目的 葉温と周囲の気温、風速や日射などを考慮 温熱環境緩和効果のメカニズムの明確化

測定概要 測定場所 (建築棟の2階) 測定場所  建築棟南側壁面 測定期間  2008年9月1日~6日       9月12日~17日

測器設置状況 緑のカーテン 表側設置状況 緑のカーテン 左 全天日射計 右 精密赤外放射計 超音波風速温度計 葉近傍気温 A列(日向気温) 緑のカーテン  表側設置状況 緑のカーテン A列(日向気温) B列(葉群層気温) C列(日陰気温) 左 全天日射計 右 精密赤外放射計 超音波風速温度計 葉近傍気温

48 45 42 39 36 33 30 27 24 ℃ 熱画像 日付 2008.09.14 時間  14:03 葉面温度 解析箇所

熱画像 壁面温度解析箇所 日付 2008.09.14 時間  14:05 56.0 51.5 47.0 42.5 38.0 33.5 29.0 24.5 20.0 ℃

気温測定における日射影響の除去 極細の熱電対(線径0.05㎜)を使用 超音波風速温度計も併用 音速から温度を算出 原理的に日射の影響を受けない                      超音波風速温度計

緑のカーテンの裏面温度 Ts L=εσTs4 Ts算出式 百葉箱気温 緑のカーテン裏面の長波放射量から以下の式を用い逆算した L :長波放射量(W/m2)            ε:放射率=1と仮定 σ:シュテファン・ボルツマン定数   =5.67×10-8(W/m2・K-4) 百葉箱気温 本学中庭にある百葉箱で 測定した気温を参考に用いた

日射量と温度変化 壁表面温度 葉表面温度 A列気温 日射量 緑のカーテンの表面・裏面温度(Ts)は、A列より高温である  壁表面温度  葉表面温度 A列気温 百葉箱気温 日射量 緑のカーテンの表面・裏面温度(Ts)は、A列より高温である 緑のカーテンの表面・裏面温度(Ts)は、ほぼ温度差がない

各列の温度差 熱がこもり、緑のカーテン周辺の気温が高くなる -A列(日向気温) TsがA列よりも高温な時間帯 B列(葉群層気温) C列(日陰気温) TsがA列よりも高温な時間帯 B列(葉群層気温) -A列(日向気温) C列(日陰気温) -A列(日向気温) 熱がこもり、緑のカーテン周辺の気温が高くなる

日射遮蔽率 日射遮蔽率 日射量 緑のカーテンの日射遮蔽率は75~80%

測器別の温度差 日射量 熱電対 温度差 超音波風速温度計 温度差 日射量が増加した時に熱電対温度差がわずかに大きくなる

葉近傍気温と気温の比較 表側は日射量増加とともに高温になる 裏側は日射量に関わらず周辺気温とほぼ同等

各成分の風向について 東風・西風 南風・北風 上昇流・下降流 建物に対し平行 建物に対し垂直 建物の上下方向 緑のカーテン 上昇流 西風

裏側の風速が高くなると裏側の気温は下がる 室内に流入する風は東風の影響を受ける傾向がある 日射安定時の各成分風速と温度差 日射量 超音波気温(裏) -超音波気温(表) 東風 西風 裏側の風速が高くなると裏側の気温は下がる 南風 北風 裏 室内に流入する風は東風の影響を受ける傾向がある 上昇流 下降流 表

夜間放射環境 夜間 夜間は放射冷却の阻害要因となる 長波放射量の 差が大きい B列-A列 C列-A列 日射量 (日向長波放射量-日陰長波放射量)/10 夜間は放射冷却の阻害要因となる

結論 蒸散効果による気温低下は期待できない 気温低下ではなく、日射の遮蔽や建築物への蓄熱低減による放射環境の改善 日陰効果による外壁への蓄熱軽減効果 葉温が周囲の気温より高温となる 緑のカーテンの内側で風が無いと熱がこもる 夜間の放射冷却を阻害する 蒸散効果による気温低下は期待できない 涼しさの要因 気温低下ではなく、日射の遮蔽や建築物への蓄熱低減による放射環境の改善

熱画像 日付2008.09.14 時間 14:03:39

熱画像 日付 2008.09.14 時間 14:05