医療法人美盛会 介護老人保健施設美樟苑 認知症看護認定看護師 西池 靖子

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MSW の役割について 広島大学病院 薬剤部 藤田啓子. MSW の仕事とは? ・主に医療機関や老人保健施設、在宅介護支援センター等 に勤務し、医師・看護婦・理学療法士などと共に、 医療チームの一員として、患者さんとその家族への相談 やさまざまな援助を行っています。 ・社会福祉の専門家として、患者さんに関わる経済的、
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アンケート② 病棟体制.
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医療法人美盛会 介護老人保健施設美樟苑 認知症看護認定看護師 西池 靖子 対応困難な 認知症を持つ人への看護 医療法人美盛会 介護老人保健施設美樟苑 認知症看護認定看護師 西池 靖子

介護保険施設 急性期医療 ・ 在宅医療 佐藤病院 男山病院 在宅サービス部門 介護付有料老人ホーム 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設  (美華・まきの美郷・フィオーレ美杉) 特別養護老人ホーム  (美郷・くずは美郷・美来) 介護老人保健施設 (美杉・美樟苑) 介護保険施設 小規模多機能ホーム  (2ヶ所) グループホーム (3ヶ所) 急性期医療 ・ 在宅医療 佐 藤 医 院 在宅サービス部門 訪問看護 (2ヶ所) 訪問介護 (2ヶ所) 通所リハビリ (3ヶ所) 通所介護 (3ヶ所) 訪問入浴介護 (1ヶ所) 居宅介護支援 (6ヶ所) 地域包括支援センター (2ヶ所) 佐藤病院 男山病院 在宅療養支援診療所  入院・透析・デイケア 前川診療所 サービス付き高齢者向け住宅 (フルール東山) 介護ショップ  (さくら介護ショップ) 人工透析センター  (佐藤クリニックまきの・くずは) 小児医療 慢性期医療 2

私達が気を付けること ⇒ (正しい知識を持つ) ・ 入院すると、高齢者の心理影響が大きい ・ 認知症があることでせん妄のリスクが高い         ⇒   (正しい知識を持つ) ・ 入院すると、高齢者の心理影響が大きい ・ 認知症があることでせん妄のリスクが高い ・ 認知症とせん妄の区別 ・ せん妄の早期発見・対応に努める ・ せん妄発生時は、本人と家族の看護を行う

入院中の認知症の看護ポイント 急性期病院 回復期病院(上記に加え) 治療が安全に受けられる環境の調整 異常の早期発見と二次障害の予防 せん妄、BPSDの予防と緩和 回復期病院(上記に加え) その人のもってる力への支援 生活リズムを整える 退院支援

せん妄予防 ① □ 準備因子の把握(脳の器質的な要因) □直接因子の把握(せん妄発症の主因) 認知症高齢者のADLや介護度の把握 せん妄予防 ① □ 準備因子の把握(脳の器質的な要因) 認知症高齢者のADLや介護度の把握 入院前の認知機能に関するエピソード 入院歴の有無と、その時のエピソード □直接因子の把握(せん妄発症の主因) バイタルサイン 検査データー        電解質のバランス・極度の貧血・代謝異常        血糖値の異常・血液ガス・腎機能・炎症反応 手術 術式・術後管理・疼痛の有無etc・・・・

せん妄予防 ② □ 誘発因子の把握 (直接原因ではないが重症・遷延化を招く要因) 安静 抑制 点滴ルート ドレーン カテーテル類etc・・・ せん妄予防 ② □ 誘発因子の把握   (直接原因ではないが重症・遷延化を招く要因) 環境の変化 行動制限   安静 抑制 点滴ルート ドレーン カテーテル類etc・・・ 感覚刺激によるストレス 睡眠状態 不安の程度           

□せん妄を引き起こしやすい要因 65歳以上の年齢 理解力低下に関する行動特徴 聴覚障害 浸襲の大きい手術 5時間以上の手術時間 9本以上のライン管理 術後の病室変更 H2ブロッカーの内服 CCr・Hb・Htの異常 糖尿病の既往

せん妄の発症 70歳以上、 脳器質疾患、認知症 せん妄 準備因子 誘発因子 過少・過剰な感覚刺激 睡眠障害 強制的安静臥床 身体拘束  70歳以上、 脳器質疾患、認知症 誘発因子 過少・過剰な感覚刺激 睡眠障害 強制的安静臥床 身体拘束 直接因子 薬物、代謝性障害、敗血症、呼吸障害 せん妄

事例 Aさん 83歳 女性 肺炎のため入院 1日目治療のために点滴、抗生剤が時間ごとの施注される。本人はぐったりしていた 3日目より活動性が出てくる。ベットから起き上がる行動が頻回となる。また点滴ルートを抜くなどの行為や、下痢症状の出現から衣類や寝具などを汚す。頻回のオムツ交換で、夜間熟睡できず、日中うとうとしてしまうなど生活リズムに変化が出てくる。

事例  5日目になると、夜中に「朝でしょ?起こしてください」「早く夕飯をつくらないと」と言ってくるなど見当識障害が出現する。 7日目になると、急に起き上がり「歩かなければダメになる」と叫んで、一人で動いてベットから、転倒するなど安全が守れなくなった。

せん妄かな A さんのせん妄の原因を考える 直接因子: 脳の器質的な障害 準備因子: せん妄が起こりやすい背景 誘発因子: 発症のきっかけ 直接因子: 脳の器質的な障害            脳疾患 身体疾患から影響 薬物  準備因子: せん妄が起こりやすい背景             高齢 認知症・・・・・・ 誘発因子: 発症のきっかけ             疼痛・発熱・不慣れな環境・不安

ケアの実際 【内部環境】 ・排泄へのかかわり 下痢症状 → 頻回の排便から体力低下 ・睡眠への関わり 睡眠の状態 検査データーの確認  下痢症状 → 頻回の排便から体力低下   検査データーの確認   点滴施注について主治医と相談する    内服薬開始 食事や水分摂取 ・睡眠への関わり  睡眠の状態   内服薬の検討

ケアの実際 【外部環境】 ・危険防止 転倒・転落防止のために ・生活リズムをつける 昼間はベットから離床する  ・危険防止   転倒・転落防止のために   低床ベットの使用、ベット柵の位置  ・生活リズムをつける   昼間はベットから離床する   見当識障害:リアリティオリエンテーション(RO)

ケアの実際 【職員 家族ケア】 ・せん妄について説明 不安を取り除く 情報交換により、解決の糸口を探す 職員のケア見直し 良い刺激 悪い刺激について

せん妄発症の予測 せん妄予防ケア 発症の可能性あり 発生の可能性なし せん妄発症の疑いなし せん妄発症の疑いあり せん妄発症の有無を判断 発症している 発症していない 発症時のケア せん妄の原因を明らかにする 安全の確保 症状への対応 せん妄悪化予防 原因を除去するケア

せん妄と環境 本人は・・・・ 「入院する」高齢者・認知症の人は 突然の環境の変化になじめない 自分の状況が理解できない 看護師は・・・   「入院する」高齢者・認知症の人は   突然の環境の変化になじめない   自分の状況が理解できない 看護師は・・・   医師からの指示に、早期対応を優先  

環境と人 環境が変わり不安に感じている本人を理解 不安はストレスの増大(過活動・無気力・・・) 心理・行動の変化(BPSD発生)    本人への関わり方に気をつける       言葉使いや、何気ない表情かも       (傾聴・対話・行動)

看護師として 現状を観察する 本人の訴えは・・・・ 身体の変調はないのか    本人の代わりに       医師や家族へ伝える

まとめ 認知症と並んでせん妄への対応も必要です せん妄は予防が大切です せん妄発生には原因があります 入院直後の看護師関わり方が大切です 本人の安心できる環境づくり 入院時から家族への説明

お疲れ様でした ご清聴ありがとうございました