牛白血病(届出) 本病はリンパ系細胞が全身に悪性腫瘍性に増殖したもので、血流中に腫瘍細胞のみられる白血病の他、全身にリンパ肉腫を形成するものの総称である。 大きく地方病性牛白血病(enzootic bovine leukosis ; EBL)と散発性牛白血病(sporadic bovine leukosis.

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牛白血病(届出) 本病はリンパ系細胞が全身に悪性腫瘍性に増殖したもので、血流中に腫瘍細胞のみられる白血病の他、全身にリンパ肉腫を形成するものの総称である。 大きく地方病性牛白血病(enzootic bovine leukosis ; EBL)と散発性牛白血病(sporadic bovine leukosis ; SBL)に分類される。 散発性牛白血病はさらに子牛型(犢型)calf form、胸腺型thymic formおよび皮膚型skin formに分類される。 一般には牛白血病といえば地方病性牛白血病のことを示し、本病は牛白血病ウイルスの感染により発症する。

地方病型牛白血病の発生状況(2014年6月現在) 発生の認められる区域 発生が限定的な地域に認められる区域 発生の疑いのある区域 感染の確認された区域 現在発生の無い区域 発生の無い区域 報告のない区域

牛白血病ウイルス 牛白血病ウイルス(bovine leukosis virus : BLV)はRetroviridaeのDeltaretrovirusに属する外因性レトロウイルスである。 核酸はRNAで逆転写酵素を有し、構造蛋白はコア主要蛋白(p24)とエンベロープ主要糖蛋白(gp51)により構成される。 本ウイルスもしくは感染リンパ球を培養細胞に接種すると細胞融合を起こし、シンシチウムが形成される。

牛白血病の症状 地方病型:3歳以上、特に5~8歳の牛に好発する。 子牛型:主に6ヵ月齢未満の子牛に好発する。 感染しても大部分は無症状であるが、一部の牛が1~8年後に発症し、痩削、元気消失、食欲不振、眼球突出、乳量減少、下痢、便秘などの症状を示す。 体表リンパ節の腫大は特徴の一つであるが、発症牛は数週間から数ヶ月で致死的経過をとる。 子牛型:主に6ヵ月齢未満の子牛に好発する。 全身リンパ節の均一な球形腫大を主症状として、発熱を伴い急性経過をとる。 胸腺型:6ヵ月齢以上2歳未満の子牛に好発する。 下顎部から胸前にかけて胸腺の著しい腫脹を特徴とする。 皮膚型:2~3歳齢の牛に好発する。 表皮の多発性限局性腫瘍結節を特徴とする。 全身に脱毛を伴う蕁麻疹様の発疹または丘疹を形成し痂皮を伴う。

地方病型の特徴の一つである体表リンパ節の腫大

体表に大きく突出腫大したリンパ節

腫瘍化し腫大した腹腔内リンパ節

腫瘍化し腫大した浅頚リンパ節

ほとんどが腫瘍細胞に置き換わった長骨下リンパ節

腫瘍化し腫大した乳腺リンパ節

腎臓に転移した腫瘍細胞

腫瘍細胞が転移し腫大した脾臓

皮膚型:脱毛した部分に現れた腫瘍結節

子牛型:全身リンパ節の均一な球形腫大

牛白血病の診断・予防 地方病型の腫瘍細胞はBリンパ球由来でモノクローナルに増殖する。 子牛型では腫瘍細胞がBリンパ球由来の個体とTリンパ球由来の個体がある。 胸腺型の腫瘍細胞はTリンパ球に由来する。 皮膚型の腫瘍細胞はTリンパ球に由来する。

牛白血病の診断・予防Ⅱ 地方病型では血液中のBLVの遺伝子をRT-PCRで検出したり、培養細胞に接種しシンシチウム形成を確認する。 ゲル内沈降反応によりgp51抗体を検出し、感染牛を摘発する。 予防はサシバエやアブなどによるウイルスの蔓延を防ぐこと、注射針の使い回しはしないなどである。