既存システムを連携させることによるeラーニング ― MoodleとXoopsのアカウント情報を交換するモジュール ―

Slides:



Advertisements
Similar presentations
プラグイン作成講座 Control System Studio 3.0 Takashi Nakamoto
Advertisements

IBMユーザ研究会九州研T3 3.Web2.0を実際に使ってみた. Web2.0を実際に使ってみました 研究会をプロジェクトに見立 てて “ Google SpreadSheet ” で会議を開く “ SNS ” でコミュニケーションを補助する “ Wiki ” で成果物を共有する.
PHP ・オープン SNS を用いた SNS の構 築 情報工学部情報工 学科 04A1010 岩永逸 平.
地図の重ね合わせに伴う 位相関係の矛盾訂正手法 萬上 裕 † 阿部光敏* 高倉弘喜 † 上林彌彦 ‡ 京都大学工学研究科 † 京都大学工学部 * 京都大学情報学研究科 ‡
○○ 事業計画書 2015 年 ○ 月◇日 チーム名. 事業計画書目次 I. はじめに i. チームメンバー紹介 ii. 事業の提案 iii. 提案の背景(ニーズ) II. 事業計画概要 i. 市場規模 ii. 他社の動向 iii. ターゲット顧客 iv. 製品・サービス v. ビジョンストーリー.
1 会社名: 氏名: 日付: 会社名: 氏名: 日付:. 2 内容 企業のセキュリティ対策状況 ユーザー管理の重要性 ユーザー管理製品 市場状況 Active Directory とは Active Directory 利用に最低限必要な準備 ユーザー管理のご提案内容 最初の取り組み:ユーザー情報の統合管理.
オンラインレポート管理シス テムの開発 藤村研究室 1DS04167N 稲益晃仁. 発表内容 研究の背景 システムの提案 関連研究 システム利用図 利用の流れ ( 管理者、教員、学生 ) 考察.
OWL-Sを用いたWebアプリケーションの検査と生成
Web アプリをユーザー毎に カスタマイズ可能にする AOP フレームワーク
IIS 4.0で開発をするコツ Webアプリケーション構築.
4.ユーザー登録マニュアル              Version 年6月10日 国立情報学研究所.
サイボウズ デヂエ 8 新機能ご説明資料 サイボウズ株式会社.
最新ファイルの提供を保証する代理FTPサーバの開発
サイボウズ ガルーン バージョン 4.2 機能紹介ガイド 管理権限とアクセス権 第2版
はじめての CMS シニアSOHO横浜・神奈川 大和田 健一 2009年02月18日 シニアSOHO横浜・神奈川.
CMSを活用した大学生の 学習補助システムの開発
テキストベースの会議における議論の効率化に関する研究
操作は、バッチファイルを ダブルクリックするだけ!
サイボウズ ガルーン バージョン4.0 機能紹介ガイド 管理権限とアクセス権 第1版
第1回レポートの課題 6月19日出題 今回の課題は1問のみ 第2回レポートと併せて本科目の単位を認定 第2回は7月に出題予定
環境教育用E-Learningシステム の開発 平成19年度環境教育実践専修構想発表会 環境教育実践専修 鵜川研究室 彭艶萍
平成24年度国立大学法人等若手職員勉強会 分科会2 全体会発表
電子社会設計論 第11回 Electronic social design theory
<4日目内容> 今後のスケジュール HP更新内容の確認 課題の確認 (i-sys) 発表準備・予行演習の進め方について
Microsoft Office InfoPath 2003 概要
情報爆発A01支援班 マイサーチエンジン開発環境支援グループ 中村聡史, 大島裕明, 田中克己, 喜連川優
PaaSの起源とxaaSの今後.
ユースケース図 FM12012 比嘉久登.
神奈川大学大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻
ラーニング・ウェブ・プロジェクト(Learning Web Project) -自立・共愉的な学習ネットワークの形成に向けて-
無線LANセキュリティの救世主 IEEE802.1xについて
第3章 第2節 ネットワークを活用した 情報の収集・発信 6 情報の多様な提示方法 7 構造を工夫した情報の表現方法 8 ウエブページの公開
ディスカッションの進め方 【1】 テーマの提示 (5分) 【2】 ディスカッション(20分) 【3】 発表 (5分×6グループ=30分)
ディスカッションの進め方 【1】 テーマの提示 (約5分) 【2】 ディスカッション(約30分)
状況の制約を用いることにより認識誤りを改善 同時に野球実況中継の構造化
よりよいe-Learningの ための研究
Garoon on cybozu.com 2014年2月版 新機能 Copyright© 2014 Cybozu.
ネストした仮想化を用いた VMの安全な帯域外リモート管理
高山建志 五十嵐健夫 テクスチャ合成の新たな応用と展開 k 情報処理 vol.53 No.6 June 2012 pp
日本語教育グローバルネットワーク J-GAPシンポジウム2014 (香港ー日本プロジェクト) 『日本語教育の連関に関する 実態調査』結果報告
学生の相互評価を用いた モデリング演習支援システム
サーバー立ち上げ記 2009/5/23
学生イベントのための情報共有環境の構築と評価
IPv6アドレスによる RFIDシステム利用方式
ワイヤレス画像投影システムで会議における上記ポイントを実現しませんか?
MPIによる行列積計算 情報論理工学研究室 渡邉伊織 情報論理工学研究室 渡邉伊織です。
岩手県立大学における授業評価結果を反映する 履修計画支援システムの開発
azbil-eラーニングとは、aG共通のeラーニングによる教育システムです。
All IP Computer Architecture
2009年度卒業論文発表 CDNコンテンツサーバの動的負荷分散
アップデート 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
卒論の書き方: 参考文献について 2017年9月27日 小尻智子.
学生の相互評価を用いた モデリング支援システムの開発
すぐできるBOOK -基本設定編-.
地理情報の提供を通した 地域住民の環境意識の改善
オープンソース開発支援のための ソースコード及びメールの履歴対応表示システム
平成19年度青年部会「第2回~第4回研修会」(人材育成研修会)実施計画書
東京工業大学 情報理工学研究科 数理・計算科学専攻 千葉研究室 栗田 亮
教育センターにおける エネルギー環境教育講座実施の実態 ( 川村先生)
非対称リンクにおける ジャンボフレームの性能評価
アスペクト指向言語のための 独立性の高いパッケージシステム
片方向通信路を含む ネットワークアーキテクチャに於ける 動的な仮想リンク制御機構の設計と実装
Firebaseを用いた 位置情報共有システム
InTriggerクラスタ環境の構築 i-explosion 支援班 クラスタ環境の概要 研究に使える「共有資源」を提供
PA PAX パスポート・アドバンテージ パスポート・アドバンテージ PA パスポート・アドバンテージ・エクスプレス PAX +
ISO23950による分散検索の課題と その解決案に関する検討
統合開発環境によって表現された 言語機構によるコードのモジュール化
演習 グループワーク②-2 住民啓発事業の企画案の検討
プログラムの差分記述を 容易に行うための レイヤー機構付きIDEの提案
異種セグメント端末による 分散型仮想LAN構築機構の設計と実装
Presentation transcript:

既存システムを連携させることによるeラーニング ― MoodleとXoopsのアカウント情報を交換するモジュール ― 筑波大学人文社会科学研究科 飯高敏和

はじめに 近年においては、レガシーシステムと新システムの統合が注目されるなど、旧来の情報資源を円滑に新システムに流用していくアプローチの必要性が強調されている。 Eラーニングにおいても、既存のシステムで用いられる貴重な資源を有効活用した学習は、必要であろう。 そのような必要を意識し、グループ情報と連動したユーザーアカウント情報の共有によって、既存のシステム(XoopsとMoodle)を連携させるモジュールを作成したので、それについて本発表では報告する。

発表の構成 既存のシステムを利用するアプローチがもつ、社会論的意義を考察。 グループベースでユーザーアカウントをシステム間で共有する手法についての考察。 実際に作成した、MoodleとXoopsのアカウント情報を移植・交換するXoopsモジュールについて解説する。

本発表が注目するレガシー・ システムについての議論の特徴 (急激な)移行にともなうリスク に注目が集まる。 →社会制度との類似性 従来 レガシーシステム =時代遅れ →単純に更新されるべき 昨今 レガシーシステム =貴重な情報資材 →システム統合等により役立てる

社会システムとの類似で見た 場合のポイント 実際の既存の制度(システム)上でのアクター(ユーザー)のシステム活用実態に沿った形での運用により、混乱(リスク)を回避する必要。 →ではアクターの実態に沿ったシステムとは:別々のシステムを統一されたユーザーアカウントで利用できれば、ユーザー側から見れば、新しい機能も既存のシステムの延長となることに注目するもの。 実際に、共通のアカウントの 使用による複数のシステム連携は、多く存在する。

さらに踏み込んだポイント 社会制度との関連で考えた場合には、ユーザーの活動実態に沿うためには、個人のアカウントだけでなく個人の所属するグループも重要。 ・加えて実際のシステムを見てみても、XoopsのようなCMSをはじめとしたWebコミュニケーションツールの多くは、グループウェアとしての機能も有している。 →グループ単位でアカウント情報を連動させることで、グループ単位で新システムや新機能を円滑に活用できる。

システム連携や移行にともなう リスク システム自体を改造する手間やシステム改造に伴うバク発生 利用環境の変化に伴う、利用者側の混乱 システムの間でユーザーアカウントのみを共有することの有効性。この場合、システムを実際にはいじらなくても、ユーザー側から見れば、システムは連携している。 利用環境の変化に伴う、利用者側の混乱 グループも含めて連携させることで、より従前のシステム利用に近い状況で統合(追加)された機能を用いることで、混乱を防ぐ。

実際のシステム連携にあたって ユーザーアカウント グループデータの連携 改造部 改造部 既存システム1 既存システム2 システムを部分的に改造して、システム外の共通のアカウントデータなどを流用する場合が多い。 →うまく扱わないと、リスク1(改造にともなうリスク)を回避できない。なるべく既存のシステムを改造しないほうがよい(個別のユーザーアカウントを最小限の改造で共通化する手法の開発は進んでいる)

改造にともなうリスク回避のために 基本的に、既存システムの内部を改変しないことが一番の解決策 →既存の部分をいじらずに、つまり既存の機能の動作に影響しないように、システムを拡張するものとして、システムの標準の拡張モジュールがあるが、これを用いて既存システムを連携させるのが発表者のアプローチ。 →管理者がサーバーを操作するのではなく、モジュール化によって、アプリケーションの側からの操作で連携できるようになる(手軽さで、連携の手間という意味でのリスクを回避)。

Eラーニングにおけるアカウント共通化の意義 Xoopsのように、一般的なグループ活動を支援するツールとeラーニングツールを、コースごとに連動することで、コースメンバーの授業外でのつながりを強化できる。 一般的に用いることのできる、非eラーニングのシステムを、卒業・修了後も利用可能にすることで、在学中の教育の効果を長期的に測定する試みが容易になる。←共通のアカウント情報があるため

XoopsとMoodle連動の概念図 以下のようにXoopsの標準モジュールを用いて、アカウントを共通化している。 sylph

運用の概念図 卒業・修了後のことも考えたシステム運用。 学外でのコミュニケーションを活発に 1.OB・OGなどとのネットワークの構築が円滑に運ぶ 2.Xoopsの調査モジュールなどを用い、教育の効果を長いスパンで確認

XoopsとMoodleのデータ連動 グループとユーザーの間に関連データをおいている点では、両者は共通するが、Moodleの場合は異なる関連データを持つことで教員と生徒を区別する。

実際のデータ管理 データの管理は、Xoopsの標準モジュール上から行うことができ、システム連動に伴うコストが軽減されている。 既に共有されているグループ・コース 共有されていないグループ・コース。ボタン操作で共有できる。

実際のデータ管理2 グループ・コースごとのメンバーを共有する際には、教員と生徒を分けている。教員をXoopsに移植する際には、権限のあるユーザーとして移植。

実際のデータ管理3 ユーザデータの移植は、次のような流れで行われる。 Moodleでは、教員と受講者で異なる関連データ。 中間データ有 Xoopsの場合 中間データ無 Moodleの場合 Moodleでは、教員と受講者で異なる関連データ。

改善されるべき点 現状では、アカウント情報を単純に交換するだけのものになっており、片方のシステムでの変更は、自動的に他方のシステムに反映されない。 →利用者の意見をうかがい、反映の方法を探るつもりであったが、利用者の数が少ないため難航。(ともあれ、XoopsテンプレートにJavaScriptを挿入して、アクセスされる度にチェックする手法を考えている。) →利用者を増やすべく、仕様をよりユーザーフレンドリーにする一方で、同様の方式でOpenPneとXoopsを連動させるモジュールも配布