オーエスキー病(Aujeszky's disease, 仮性狂犬病;pseudorabies) 対象家畜: 豚、いのしし 原因: ヘルペスウイルス科、アルファヘルペスウイルス亜科、ヴァリセ ロウイルス属。抗原的には単一で血清型はなく遺伝子型もないが、制 限酵素による切断ゲノムに多型性がみられ、大まかな遺伝子型別に 利用される。 疫学: 豚が宿主であるが、牛や山羊等反芻家畜の他、犬や猫等にも 感染する。豚では潜伏感染が成立し、ウイルスは容易に検出されなく なるものの感染豚から生涯消失することはない。潜伏感染豚に妊娠や 輸送等でストレスが加わるとウイルスの再活性化が起こり、感染源と なる。感染は感染源との接触や摂取により成立する。 臨床症状: 妊娠豚はほとんど無症状に経過するが、胎児は死流産す る。生後1週間までの新生豚に感染すると神経症状を呈してほぼ100% 死亡する。豚の加齢に伴い死亡率は減少し、2週齢では50%、3週齢で は25%と1週間毎に半減していく。しかし、初感染の場合は週齢・月齢 にかかわらず発熱や食欲不振など元気消失の兆候がみられる。豚以 外の動物は感染しにくいが、感染すると掻痒を呈して100%死亡する。
USDA: Pseudorabies (Aujeszky’s Disease) and Its Eradication 1813年、オハイオ州の豚が同居する家畜小屋で乳牛が壁に頭を擦り付け、首をひねり、もがき苦しみ(Mad Itch;狂掻痒症)、発症後約半日で斃死した。その後も同様の事例が相次ぎ、豚の唾液でふやけた餌を介して牛が感染したと推定された。 1902年、ハンガリーの獣医師(病理学者)Aladar Aujeszkyは、 牛、猫および犬の致死的疾患を研究し、ウサギ、モルモットおよびマウスに接触または吸入感染することを見出した。彼は 犬、牛、猫から濾過性病原体を得て、それが豚とウサギに同様の病気を起こすことを確かめ、ウサギの症状から仮性狂犬病( Pseudorabies )と名付けた。 米国ではShopeが1931年に牛からウイルスを分離し、豚に接種して麻痺を起すこと、鼻汁に排泄されることを見出した。子豚は急死するが、成豚では軽症または不顕性でキャリアーになる(潜伏感染)ことを解明した。 その後、アジアおよび欧州から豚の発生が数多く報告された。 USDA: Pseudorabies (Aujeszky’s Disease) and Its Eradication
米国では1961年にIndiana州の養豚場でこれまで発生していた症例とは様相を異にする病型が流行した。哺乳豚の急死、育成豚の後遺症を伴う臨床例、種豚と母豚の繁殖障害など、欧州で報告されていたものと近似した。剖検すると、肝臓に白色壊死斑が特徴的であった。1970年代初期までに、米国の養豚地帯全域に広がった。精液の輸入または人間の移動により米国に侵入した可能性がある。同時期に養豚経営形態が大きく変化したことも被害を大きくした。これにより、豚の繁殖に影響する重大疾病の認識が広がった。 肝臓:白色粟粒病変が散在 豚が保有宿主であり、野生化豚(Feral swine)が播種の役割を担っている。それ以外の感受性動物はウイルスを循環しない。。羊と猫は感受志賀高く、犬、アライグマ、スカンク、ミンク、各種の熊、ヒョウは中等度、ラット、マウスはやや抵抗性。これらの動物が感染すると致死的。 発生養豚場周辺で死亡したアライグマ
目と鼻の周囲の粘膜に痂疲ができ、眼窩周囲の浸出物が著しい。 横に寝て旋回運動をする発症子豚 死亡した哺乳豚 目と鼻の周囲の粘膜に痂疲ができ、眼窩周囲の浸出物が著しい。
流死産や新生豚の死亡は大きな被害であるが、加齢に伴い死亡率は減少し、潜伏感染へと移行する。再発しウイルスを排出していても症状は軽く見落とされる。抗体は感染を防げないが、抗体保有牛豚は感染してもウイルス排出量は少ない。 子宮内で死亡し、自己融解した胎児 流産胎児 胎児の全身 こうしたことから、オーエスキー病は浸潤の前線域の清浄農場に被害が目立ちやすくなる。豚コレラでは感染抗体が上昇する前に死亡しまうため抗体検査で摘発できない。他方、オーエスキー病は抗体検査によって感染豚を摘発でき、防疫の要は抗体陽性豚、すなわち潜伏感染豚の対策にある。しかし、家畜伝染病予防法の「患畜」とは「感染の臨床的・病理学的顕在化」であり、臨床症状を示していない潜在感染豚は「患畜」とされない。
牛、羊、山羊 接触 自由に移動する動物 囲い飼い動物 胎盤感染 接触 咬傷 エアゾル ± 接触 ± エアゾル 感染 汚染資材 接触 乳 汚染肉の 給餌 汚染臓器の 盗食 胚移植 人工授精 自由に移動する動物 犬、猫、ネズミ、アライグマ 囲い飼い動物 動物園動物、毛皮動物、ペット
Pathogenesis of Ovine Pseudorabies Following Intratracheal Inoculation 感染個体の鼻汁や唾液が鼻や口から豚の体内に入り、鼻口腔粘膜などで繁殖し、最終的には三叉神経節を経て脳に達し、増殖して非化膿性脳膜炎を引き起こす。組織学所見として非化膿性脳炎および神経節炎が認められる。また、少数ながら病変部白質の神経細胞などに好酸性のCowdry A型核内封入体が認められる。感染に耐えた豚ではウイルスが三叉神経節に潜伏する(潜伏感染)。 38μ 40μ ウイルスを気管内投与した羊の頭頚部神経節: 塩基性核内封入体(大矢頭)および好酸性核内封入体(小矢頭) 頸胸部神経節の免疫蛍光抗体法による所見: 核内、核膜および核周囲に蛍光(矢頭) Pathogenesis of Ovine Pseudorabies Following Intratracheal Inoculation
動物衛生研究所
動物衛生研究所
ウイルスの最大生残日数* 各種動物の感受性 砂壌土 水 鉄 トウモロコシ 麦わら コンクリート プラスチック ペレット飼料 汚水 肉骨粉 ゴム 青草 イエバエ 塩素殺菌水 アルファルファ デニム生地 7 4 3 2 <2 <1 動物種 感受性 帰結 豚 牛 羊 アライグマ 犬 猫 ラット マウス スカンク オポッサム 高 中 低 様々 通常致命的 致命的 * 種々の媒体に付着した唾液、鼻汁および 粘液中におけるウイルスの最大生残日数 4℃のエアゾル中では1時間で50%が生残
米国の段階的清浄化対策 Stage I: 準備 各州のオーエスキー対策委員会の設立: 発生報告の義務化、家畜市場・と畜場・農場での採血と抗体検査、清浄化に向けた法整備、清浄化計画の立案と周知、・・・・ Stage II: 制御(感染群の特定と清浄化の取り組み開始) 新たに発見された感染群の周囲2.4kmの調査、感染群の移動制限(繁殖群、育成群、出荷豚)、州間の検疫、自主的清浄化取組 Stage III: 法的な群の清浄化 州対策委員会の承認を受け、期限を定めた法的な清浄化措置を行う。疫学調査に基づく感染割合に応じた検疫、ワクチン接種、 Stage IV: 発生動向調査 Stage IIIの検証に基づく計画の修正、繁殖群の入替、陽性豚群の出荷規制、子豚・育成豚の流通規制、検疫による州間移動規制を中心とする。 Stage V: 清浄化 Stage IVの検証に基づき1年後に州が清浄化宣言。ワクチン接種の禁止、州内への移入は清浄群のみ、・・・・
米国の段階的清浄化対策の効果: 感染豚群の減少 連邦政府と各州の計画遂行により、2004年までに全州が清浄化達成 米国の段階的清浄化対策の効果: 感染豚群の減少 連邦政府と各州の計画遂行により、2004年までに全州が清浄化達成 Indiana, Minnesota, Nebraska, Pennsylvania州で後退局面もあったが、計画の見直し等により汚染群の摘発・淘汰に成功した。 Minnesota 1975-2006 Decline in the number of PRV-infected herds in the United States from 1991 through 2001 P101 P109Chapter 11—Feral Swine
Wild Pigs: Hidden Danger for Farmers and Hunters(1991, revised 1999) 野生豚(wild swine, wild pig)、野生化豚(Feral Swine) 野生イノシシ(wild boar) 米国に豚が最初に輸入されたのは 1539年スペインからとされ、放し飼いに 近い状態で飼育され、一部は逃げ出し た。その後、ハンターによってヨーロッ パ野生イノシシが輸入されて山に放た れた。野生化豚とイノシシとの交雑に よって、家畜の豚やイノシシとは違う外 貌の野生豚が出来上がった。 Captured feral swine 生息に適した環境で殖え続け、野生豚群が多くの州で確認されている。この地図が作成された1988年には、50万頭から100万頭の野生豚が米国に生息すると推定された。 平方マイル当り :10頭以上 :10頭未満 :まれ オーエスキー病に罹患した野生豚から猟犬が感染する事例もあり、農家だけでなくハンターにも深刻な脅威となっている。 Wild Pigs: Hidden Danger for Farmers and Hunters(1991, revised 1999)
500kgに達する野生豚もいるそうだ If pseudorabies might be in your area and you're in search of the next "hogzilla" (see picture) leave your dog behind or keep it away from the pig. Pigs, including wild pigs, are the primary reservoir of this virus, and it is highly contagious within this species.
清浄化計画推進の障害と なったが、USDAは野生豚の 駆除ではなく、野生豚を含め た清浄化の道を選んだ。 野生豚群には、養豚業に重 大な脅威となる様々な病原体が 潜伏する恐れがある。この地図 は1998年時点であるが、オーエ スキー病とともにブルセラ症の 浸潤が明らかになっており、養 豚業者のみならず、ハンターに 向けて仕留めた野生豚の取扱と 喫食の際の注意事項を広報して いた。 オーエスキー病 ブルセラ症 Before wild pigs are moved, they should be blood-tested by a veterinarian to certify that they are free from disease. 清浄化計画推進の障害と なったが、USDAは野生豚の 駆除ではなく、野生豚を含め た清浄化の道を選んだ。
成豚はオーエスキー病の無症状キャリア(潜伏感染)となり、口や鼻から周期的にウイルスを排出し得る。一旦感染した豚は生涯に亘ってキャリアとなり、有効な治療法はない。オーエスキー病は血液検査で見つけられるが、野生豚が感染している証拠が11州で判明している。 Adult swine can be silent carriers of pseudorabies and will periodically shed the virus that causes it through the nose and mouth. Once infected, the pig is a lifetime carrier, and there is no effective treatment. Pseudorabies can be detected by blood testing, and evidence of pseudorabies infection in wild pigs has been found in 11 States. Pseudorabies is a fatal infection in other farm animals, such as cattle, sheep, and goats, and in dogs and cats. Wild mammals, such as raccoons, skunks, foxes, opossums, and small rodents, also can be fatally infected. The virus attacks the nervous system in these animals and can produce intense itching followed by paralysis and death. Although people are not themselves at risk, hunters need to know that their dogs could become infected by exposure to wild pigs. To minimize the threat that wild pigs pose to domestic swine operations, farmers should take the following precautions: オーエスキー病は、牛、羊、山羊などの家畜、ならびに、犬と猫に対して致命的な感染症である。アライグマ、スカンク、キツネ、オポッサムおよび小型ケッシ類などの野生動物も、感染して死亡することがある。このウイルスは、それらの動物の神経系を侵し、強烈な痒みに見舞われた後に麻痺と死へと続く。人間は感染するリスクがないけれども、ハンターは自分の犬が野生豚と接触することで感染し得ることを知る必要がある。 野生豚が養豚業にもたらす脅威を最小限にするため、農家は以下のことに注意を払わなければならない。
1.野生豚を飼育豚群内に入れない、野生の捕獲豚を売買しない。 2.繁殖豚を輸送する前に、州および連邦政府の指針に従って血液検査を実施する。 3.新たに導入する全ての豚は、既存の群れに入れる前に、血液検査を行う。 4.飼育豚がいる区域に柵をして野生豚と接触させない。 5.農場内で野生豚をと殺・解体しない。解体した野生豚のクズ肉を飼育豚に与えない。 1. Do not introduce wild pigs into herds or attempt to market wild-caught pigs. 2. Before transporting breeding swine, have blood tests performed according to State or Federal guidelines. 3. Blood-test all new stock before adding them to the existing herd. 4. Fence out wild pigs from areas with domestic hogs. 5. Do not butcher wild pigs on the farm or feed offal from dressed wild pigs to domestic swine. Both State and Federal laws govern the control of swine brucellosis and pseudorabies. Relocating wild pigs without negative blood tests for these diseases violates the law. Individuals should contact their State veterinarian before moving wild pigs. Following the sanitary procedures outlined in this brochure is important to prevent human infection with swine brucellosis and to make sure that this disease and pseudorabies do not make their way onto farms from the wild. 州法と連邦法は、豚のオーエスキー病とブルセラ症の制御について定めている。これらの病気について血液検査で陰性を確認していない野生豚を移動することは、法を犯すことになる。野生豚を移動させる前に、州政府獣医師に相談しなければならない。この小冊子に記載された衛生手順に従うことは、人間のブルセラ症感染を防ぎ、ブルセラ症とオーエスキー病が野生動物から農場に侵入する道をつくらないために、きわめて重要である。
日本におけるオーエスキー病発生の推移 日本では1981年に山形県で初めて発生し、高豚価・高収益性を背景とした飼養規模拡大と相俟って全国に広がり、1988年には、約1万頭の発生が報告された。 1991年に野外ウイルスと識別可能な生ワクチンの使用が認められ、「オーエスキー病の防疫対策要領」が定められた。
オーエスキー病の発生状況 発生戸数 発生頭数 動物衛生研究所の家畜伝染病発生情報データベースで調べると、必ずしも前スライドと一致しない。家畜保健衛生所からの通常の届出とは別に、オーエスキー病防疫対策要領に基づく防疫協議会による集計がより正確である。ただし、減少傾向は似ている。 一戸当り頭数
農水省: オーエスキー病防疫対策要領 本病の清浄化を推進するためには、臨床症状を呈している豚(発症豚)の摘発・とう汰のみならず、潜伏感染をしている野外ウイルス抗体陽性豚(野外抗体陽性豚)の早期更新を実施する必要がある。 本病の浸潤状況が地域により著しい差異がみられることにかんがみ、モニタリング検査及び清浄化の段階に応じた抗体検査により浸潤状況を把握しつつ、地域の状況に応じた対策を講ずる。 清浄県: 清浄段階の地域から抗体陰性豚の導入の推進 浸潤県: ワクチンを活用しつつ、モニタリング検査及び定期的な抗体検査の実施並びに野外抗体陽性豚の早期更新の実施 ワクチンは、接種により発症の抑制、野外抗体陽性豚からのウイルス排泄量を低減させる効果が期待されるものの、感染及びウイルスの排泄を防ぐ効果はない。ワクチン抗体と野外ウイルス抗体の識別のため、全国で同一種類のものを使用する。 と畜場、家畜市場、養豚関係団体、都道府県獣医師会、家畜共済組合、都道府県家畜畜産物衛生指導協会等からなるオーエスキー病防疫協議会を都道府県単位および地域毎にに設置する。
清浄地域: 過去1年間オーエスキー病の発生及び陽性豚がいない市町村 清浄地域: 過去1年間オーエスキー病の発生及び陽性豚がいない市町村 ● ワクチンは非使用 ● 6 ヶ月に少なくとも1 回,繁殖豚の10%以上の抗体検査を実施 ● 導入豚は清浄地域から導入し,抗体陰性を確認(繁殖豚はワクチン非接種豚で全頭,肥育豚は8 頭) ● 導入豚の3 週間隔離観察 準清浄地域: 過去1 年以内にオーエスキー病の発生又は陽性豚の摘発があった市町村並びに都道府県が防疫上重要と認めた隣接市町村 オーエスキー病防疫の現状と進め方 2007 ● 発症豚の速やかな隔離淘汰 ● 発生農場全頭の早期淘汰あるいは抗体陽性豚のみ全頭淘汰 ● 淘汰困難な場合は全頭にワクチン接種し計画的に出荷 ● 定期的な抗体検査の実施(繁殖豚は全頭,肥育豚は30 頭以上) ● 同地域内の清浄農場はワクチン非使用 清浄化推進地域: 過去1 年以上にわたりオーエスキー病が発生し又は陽性豚が摘発されている市町村並びに都道府県が防疫上重要と認めた隣接市町村 ● 淘汰困難な場合は全頭にワクチン接種し計画的に出荷 ● 定期的な抗体検査の実施(繁殖豚は全頭,肥育豚は30 頭以上) ● 同地域内の清浄農場はワクチン非使用
オーエスキー病は1981年2 月に山形県、岩手県、茨城県の同一系列農場でほぼ同時に発生し、その後関東諸県へと広がった。1990年に九州地方に侵入し、豚飼養密度が高いことから常在化した。1991年から「清浄地域」,「準清浄地域」,「清浄化推進地域」の3 つの衛生段階に分けて防疫措置が講じられたが、顕著な進展は得られなかった。 米国などの清浄化手法を取り入れて、2008年6月に防疫対策要領が改正され、発生地域におけるワクチン接種を徹底するとともに、合理的な抗体調査に基づく清浄化の工程を区分し、より緻密な対策を講じることとなった。
清浄化推進のための清浄化段階(ステータス) 農林水産省
清浄化対策準備段階(ステータスⅠ) 清浄化対策強化段階(ステータスⅡ) (ア)ステータスの要件: aからcまでのいずれかに該当。 a 本病の発生又は野外抗体陽性豚の摘発している。 b 本病の有無を確認できない豚群が存在している。 c 接種すべきワクチンが接種されていない豚群が存在している。 (イ)段階目標: 次の条件を満たす。 a 各農場において最低年1回A検査が実施され、本病の有無が確認されている。 b 豚群すべてにワクチン接種できる体制が整備される。 清浄化対策強化段階(ステータスⅡ) (ア)ステータスの要件: ステータスⅠの目標を達成している。 (イ)段階目標: aからcまで(前期)の条件を満たした後、dからfまで(後期)の条件を満たす。 a 豚群すべてに少なくとも1年間継続してワクチン接種されている。 b 各農場において最低年1回A検査を実施し、ワクチン抗体陽性豚を確認する。 c 野外抗体陽性豚の早期更新に努めている。 d 上記の条件を満たし、さらに、豚群すべてに少なくとも1年間継続してワクチン接種されている。 e 各農場において最低年2回A検査又は最低年1回B検査が実施され、野外抗体陽性豚が確認されていない。 f 豚群すべてのワクチン接種が中止される。
14頭未満の豚群・・・・・全頭 14頭以上の豚群・・・・14頭 清浄化監視段階(ステータスⅢ) (ア)ステータスの要件: ステータスⅡの目標を達成している。 (イ)段階目標: 次の条件を満たす。 a 豚群すべてのワクチン接種を中止している。 b 各農場において最低年2回B検査又は最低年1回C検査が実施され、野外抗体陽性豚が1年間確認されていない。 清浄段階(ステータスⅣ) (ア)ステータス要件: ステータスⅢの目標を達成している。 (イ)段階目標: 豚群すべてに野外抗体及びワクチン抗体が確認されない。 A検査: 抗体保有率が少なくとも20%である豚群に対して、信頼度95%の確率で抗体陽性豚が摘発できる検査で、豚群の規模に対して無作為に抽出検査しなければならない頭数は次に示したとおりとする。 14頭未満の豚群・・・・・全頭 14頭以上の豚群・・・・14頭 B検査: 抗体保有率が少なくとも10%である豚群に対して、信頼度95%の確率で 22頭未満 全頭 100~200頭 27頭 22~49頭 22頭 201~999頭 28頭 50~99頭 26頭 1000頭以上 29頭
農水省: オーエスキー病の浸潤地域
農水省: オーエスキー病地域区分及びステータス 農水省: オーエスキー病地域区分及びステータス 地域オーエスキー病防疫協議会名 含まれる地域(市町村等) 地域区分名 ステータス 鹿児島中央地域 旧喜入町 旧松元町 Ⅳ 鹿児島中央地域 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 南薩地域 知覧B 知覧A 南九州市知覧町一部地域 南九州市知覧町(知覧Bを除く) Ⅱ・前期 Ⅱ・後期 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 北薩地域 入来A 入来B 旧入来町浦之名の一部の地域 入来町A地区を除く旧入来町 Ⅲ Ⅳ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 大口A 大口B 大口C 旧大口市宮人,田代,針持の一部 旧大口市山野の一部 伊佐市大口A,Bを除く地域 Ⅱ・後期 Ⅲ Ⅳ 姶良・伊佐地域 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 家畜防疫対策要綱: 家畜飼養者と家畜保健衛生所等が一体となった地域ぐるみの自衛防疫体制のより一層の充実・強化を図る。
オーエスキー病ワクチン接種票 3. 2のワクチン購入の件について確認しました。 (地域防疫協議会) 3. 2のワクチン購入の件について確認しました。 (地域防疫協議会) 4. 2の購入希望量に対して、次の量を確かに販売しました。 (動物薬販売業者) 5. 1の接種依頼に関しては平成年月日から平成年月日の間に、頭ドーズのオーエスキー病ワクチンの接種を終了しました。 (獣医師、養豚業者)
平成◎年度オーエスキー病ワクチン接種状況調査台帳 (県防疫協議会、地域防疫協議会分) 繁殖豚 頭、哺乳豚 頭、肥育豚 頭、合計 頭、 ドーズ 繁殖豚 頭、哺乳豚 頭、肥育豚 頭、合計 頭、 ドーズ オーエスキー病ワクチン接種推進書 都道府県防疫協議会代表から家畜所有者あての接種計画・契約書 オーエスキー病ワクチン接種確認書 獣医師、販売業者および家畜所有者の接種ドーズと期日の確認書 平成年度第◎四半期オーエスキー病ワクチン使用状況報告書 都道府県オーエスキー病防疫協議会から都道府県畜産主務課長あての実績報告書 地域ぐるみの自衛防疫体制の推進経費をどのように負担するのか? 伝染病制圧の利益は個別農家だけのものではない。
家畜生産農場清浄化支援対策事業による補助対象 生産段階における疾病の自主的な清浄化や流行防止に向け、検査やワクチン接種、とう汰等について組織的な取組を推進します。 <背景/課題> ● 家畜伝染病の清浄化には地域一体となった取組が重要であり、地域の状況等に応じて、生産者自らが疾病の清浄化対策を進めていくことが必要です。 ● ヨーネ病については、近年、全国的に増加傾向にあり、移動予定牛や清浄化推進農場等の重点的な検査等を推進することが必要です。 ● オーエスキー病については、防疫対策要領に基づいて我が国での清浄化を図るため、実効性のある徹底した取組を行う地域を集中的に支援し、本病の早期の清浄化を図ることが必要です。 全ての都道府県全域において抗体検査、清浄化段階に応じた地域内全戸の抗体検査 ➔ 民間獣医師等を活用した抗体検査等への助成、接種技術料の助成、感染繁殖豚のとう汰更新費の助成 所有者による出荷豚のワクチン接種歴等の家畜市場への情報提供、都道府県による地域及び導入元農場の清浄度等の情報提供
2005 1-6 2005 7-12 2009 1-6 2009 7-12 2010 1-6 2010 7-12
Disease timelines: Aujeszky's disease 2005 2006 2007 2008 2009 2010 日本 中国 韓国 台湾 ベトナム 米国 メキシコ カナダ 英国 ドイツ フランス ロシア スペイン アルゼンチン 上段: 家畜 下段: 野生動物 : 臨床例確認 : 限局的感染確認 : この期間に発生報告なし : 情報なし
Summary of Immediate notifications and Follow-ups 発生 件数 食用 と殺数 国名 動物種 総数 発症数 死亡数 淘汰数 2005 ボリビア 1 ブタ 4997 213 2006 ボリビア 2 ブタ 1461 71 56 2008 ルーマニア 1 ブタ 87 34 23 11 2009 ドイツ 2 イヌ 2 2 9 2 2010 フランス ドイツ ルクセンブルグ 17 5 1 ブタ イヌ 466 9 1 86 6 1 1 4 466 データベースが完全ではない
'Mad Itch' Pseudorabies Virus Infection in Dogs 犬や猫がオーエスキー病に罹ることは、野生豚と接触する狩猟犬 や畜産施設の飼育動物を除いて稀である。ただし、感染した場合には 致命率が高く、特徴的徴候を示すことなく急性死することが多い。典 型例では、高度の搔痒による異常行動が見られる。感染は、罹患動 物との接触、肉や内臓および汚染物の摂取による。 典型的徴候: 発熱、咳・クシャミ、嘔吐、流涎、食欲廃絶、呼吸速 迫や努力呼吸、その他の神経症状(沈鬱・不活発、運動失調、痙攣、 運動忌諱、横臥、搔痒による異常行動と自損外傷、こん睡) 予防と治療: 米国ではワクチン接種による感染防止により養豚場 の清浄化が2004年に達成されたが、野生豚にはウイルスが残ってい る。オーエスキー病発生地帯で狩猟をしない、仕留めた動物のクズ肉 を与えない。ワクチン効果はウイルス排出量を減らすことを主眼とし感 染を完全に防ぐことはできないので、犬に対するワクチン接種は行わ ない。発症した個体に対する根治法はない。
これらは学会誌発表分だけであり、氷山の一角に過ぎない。 日本における豚以外のオーエスキー病 1985年3月 茨城県で飼育されていた犬が激しい掻痒, 自己損傷を伴う症状を呈した後に死亡。 1981年以来豚に流行していた。 1985年3月 埼玉県で牛での本邦初発例。牛と豚を同時に肥育している1農家の牛2頭及び酪農家の乳牛1頭が, 著しい流延を示し, 2頭には, 掻痒症が認められ発症後各々約2、 7、 10時間に死亡。 1986年3月 埼玉県で犬のオーエスキー病が確認。 1989年12月 神奈川県川崎市で犬から分離された。 1989年 栃木県の発生豚舎近くで野生タヌキが死亡、ウイルス分離。 1989年 新潟県内ミンク飼養農場で繁殖用ミンクが死亡。 1990年1月 神奈川県茅ケ崎市の一般家庭において飼育されていたネコが顕著な掻痒を呈して死亡。感染源不明。 1992年 狩野動物病院:犬にみられたオーエスキー病の1例 1998 年 三重県の野生猪の生肉を摂食した猟犬が死亡。 2002年 奈良県で死亡していた猪を猟犬が食べ、24頭が死亡。猪の抗体検査で171検体中18検体が陽性。 これらは学会誌発表分だけであり、氷山の一角に過ぎない。
オーエスキー病のまとめ ● 陸生動物衛生規約に定められた通知を要する伝染病。 ● 犬、猫、牛など多くのほ乳類が感染し、神経症状を起こし 死亡する。 ● 妊娠豚での異常産と、ほ乳豚での神経症状・死亡を起こ すウイルス性の伝染病。 ● 感染した豚は、ウイルスを一生持ち続け(潜伏感染)、他の 豚への感染源となる。 ● 鼻汁・唾液等にウイルスが排泄され、経口感染や交尾・人 工授精で感染する。 ● ワクチンは、発症を抑えて感染豚のウイルス排泄を抑制 するが、感染防止効果は十分でなく、浸潤地域で感染の拡 大を防止するために使用する。清浄県では使用できない。