木造住宅の 常時微動観測 05TC012 押野雅大 05TC021 川村潤也
研究内容 常時微動の測定・解析による表層地盤および建物の固有振動数の算定 建物のモデル化による固有振動数の算定
常時微動とは 震動源が地表に数多く存在する。(海の波、風、道路の震動) 震動の様子は場所によって異なり、地震時の地盤の揺れやすさを推定することができる。
計測方法 宇都宮市内M宅を対象とし、写真1の計測装置を用いて、地盤および住宅の常時微動を計測する。 計測器の設置場所は次ページ参照。 計測は、はじめに地盤を測定し、次に住宅を測定する。 測定は6回行い、はじめに速度を3回、次に変位を3回測定する。 写真1
5ch 6ch 1ch 2ch 4ch 3ch 道路 北 観測方法 2階平面図 1階平面図
地盤の速度スペクトル
地盤の変位スペクトル
建物の速度波形 道路 横軸:時間(s)、縦軸:速度(mm/s) 続いて、建物内の観測結果についてです。 これは速度波形の一部で、 5ch 6ch 1ch 2ch 4ch 3ch 道路 続いて、建物内の観測結果についてです。 これは速度波形の一部で、 これを見ると、1階部分に比べ2階部分は同位相で大きな速度で揺れていることがわかります。 横軸:時間(s)、縦軸:速度(mm/s)
建物の速度スペクトル 道路 横軸:振動数(s)、縦軸:スペクトル( ) 次に、これは先ほどの波形のスペクトルをとったグラフです。 5ch 6ch 1ch 2ch 4ch 3ch 道路 次に、これは先ほどの波形のスペクトルをとったグラフです。 1~2Hzで1chと3chに違いが見られます。 また、梁間方向・桁行方向ともに4~6Hzが卓越しています。 ここで、建物の固有の振動数を明確にするために、2階部分のスペクトルを1階部分のスペクトルで割りスペクトル比をとりました。 横軸:振動数(s)、縦軸:スペクトル( )
建物の速度 スペクトル比(2階/1階) 5.8Hz 5.6Hz 横軸:振動数(Hz) 道路 それがこのグラフで、 5ch 6ch 1ch 2ch 4ch 3ch 道路 5.8Hz 5.6Hz それがこのグラフで、 先ほど卓越していた4Hz~6Hzに注目してみると、梁間方向で5.8Hz、桁行方向で5.6Hzが卓越しています。これがつまり、建物の固有振動数です。 また、1~2Hzにおいて1chにくらべ3chのスペクトルのほうが大きいので、1ch付近の壁を中心として回転するような揺れが生じている可能性が考えられます。 右のグラフにおいて1Hz以下の低い振動数で差が見られるが振動計の特性上1Hz以下の低い振動数の値の信用度は低いので無視しうる。 横軸:振動数(Hz)
建物のモデル化による固有振動数の算定 2階以上の重さを1階の耐力壁が支えていると考え、右図のようにモデル化する。 δ F ⊿θ H 2階以上の重さを1階の耐力壁が支えていると考え、右図のようにモデル化する。 次に、建物のモデル化による固有振動数の算定です。 2階以上の重さを1階の耐力壁が支えていると考え、モデル化します。 2階以上の重さ20t、壁の高さ2.9m、梁間方向の壁量は44mです。
これは、変形角と単位長さ当たりの荷重の関係を表すグラフです。 このグラフと壁量などから剛性Kが求まり、Kとmより固有振動数は3.6Hzと算定された。
固有振動数の測定値と計算値との比較・考察 測定値:5.8Hz 計算値:3.6Hz この差の原因は、 建物の重さを実際よりも安全側に算定 計算には含まない壁の剛性の影響 などが考えられる。 固有振動数の測定値と計算値との比較・考察ですが、測定値5.8Hz、計算値3.6Hzであり、この差の原因は建物の重さを実際よりも安全側に算定したことや、計算には含まれない壁の剛性の影響などが考えられます。
結論 地盤の固有振動数は 4.5Hz程度である。 どのchも1階に比べ2階のほうが大きな速度で揺れており、この建物の固有振動数は5.8Hz程度である。 1ch付近の壁を中心として回転するような揺れが2Hz程度で観測されており、偏心している可能性も考えられる。 この理由として、3ch側に本やタンスなどがありこの部分の積載荷重が大きいためと考えられる。
1階平面図
2階平面図
参考文献 木質構造 第3版 杉山英男/編著 菊池重照・野口弘行・鈴木秀三・神谷文夫・安村基/著 木造の詳細 1 構造編 新訂二版 彰国社刊 木質構造 第3版 杉山英男/編著 菊池重照・野口弘行・鈴木秀三・神谷文夫・安村基/著 木造の詳細 1 構造編 新訂二版 彰国社刊 木造住宅の耐震診断と補強方法 木造住宅の耐震精密診断と補強方法(改訂版) 監修 国土交通省住宅局建築指導課 発行 財団法人 日本建築防災協定 図と模型でわかる木構造 在来軸組工法 辻原仁美 著 http://www.k-net.bosai.go.jp/k-net/gk/publication/2/II-7.2.2.html