平成27年度 現代的課題講座 終戦後70年を経て 日時:平成27年7月24日(金) 14時~16時 主催 山梨県生涯学習推進センター

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平成27年度 現代的課題講座 終戦後70年を経て 日時:平成27年7月24日(金) 14時~16時 主催 山梨県生涯学習推進センター 平成27年度 現代的課題講座 終戦後70年を経て 日時:平成27年7月24日(金) 14時~16時 主催 山梨県生涯学習推進センター テーマ:終戦70周年と日本 ――対立から和解へ―― 報告者:小菅信子(山梨学院大学教授) 使用言語:日本語

世界大戦と戦争、紛争の時代であった20世紀。 この100年余のあいだに「平和」は、いかに思想され実践されたのか。 日本近現代史をふりかえり、さまざまな原典にあたりながら、21世紀の戦争と平和、和解、共存について考えましょう。

はじめに 報告者の研究関心 問題提起 「極限状況において暴力に依らず人間性をいかに守りうるか。」 問題の重要性  問題提起  「極限状況において暴力に依らず人間性をいかに守りうるか。」  問題の重要性  「極限状況における非人間的行為は戦後平和構築に甚大な悪影響を及ぼしうる。」 本報告における問題提起  「20世紀において平和構築観はどのように変化したか。」 (1) ふたつの世界大戦と戦争のさらなる残虐化   (2) 世俗化、民主化、ナショナリズム、国際法のさらなる発達   (3) 新たな概念の提唱:「構造的暴力」「積極的平和」「消極的平和」「暴力」   (4) 差別の撤廃

20世紀における戦後平和構築の転換 1. 人道と人権 2. 人道主義と反戦平 和主義 3. 戦争犯罪・戦犯裁 判・戦争責任 4. 核の脅威のもとで 5. 真実と和解

『原典でよむ 20世紀の平和思想』 要約 「平和」の概念は文化や時代によって変化する。二〇世紀は、二つの世界大戦、核の脅威、脱 植民地、人権のさらなる保護などによって、「平和」の概念が大きく変化した時代であった。また 高度に発達した文明社会は、自然災害に際してその脆弱性をしばしば露呈することになった。 本書は、二〇世紀における平和構築のありかたを示す主要な文献資料(著書、論文、条約、宣 言、アピール等)を紹介し、それらの歴史的意義と限界をあきらかにすることで、二一世紀にお ける「平和」の概念と平和構築を模索する。  具体的には、二〇世紀における平和思想の潮流を、第一に人道主義、第二に反戦主義と大き く二つに分類する。第三に、二つの世界大戦を経て形成された戦争犯罪裁判による戦後平和構 築とその後の展開を紹介する。第四に、一九四五年以降、核の脅威と恐怖の下で希求された 「平和」について考察する。第五に、戦争の不在――消極的平和――のみならず、構造的暴力 をも超克した平和――積極的平和――をめざした、さまざまな差別の撤廃に向けた努力とその 明暗を概観する。最後に、暴力の後に「和解」を探求しようとする試みを紹介し、「赦す、しかし忘 れない」という二〇世紀にあらたに形成された平和構築観を示す事例を挙げる。

真実と和解 核の脅威の下で 戦争犯罪・戦犯裁判・戦争責任   不戦・反戦・非暴力 人道と人権 体験、記録、和解(ジャック・チョーカー) 積極的平和と和解(ヨハン・ガルトゥング) 和解と共存への道(金大中) 村山談話(村山富市) 河野談話(河野洋平) 和解(デズモンド・ツツ) 荒れ野の四〇年(リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー) 知られざる原発被曝労働(藤田祐幸) 市民科学者として生きる(高木仁三郎) 核文明の恐怖――原発と核兵器(H・コルディット) ヒロシマ・ノート(大江健三郎) 核時代の平和思想(湯川秀樹) 核の時代の平和教育(ユネスコ憲章) 科学者の社会的責任(バートランド・ラッセル) 国際刑事裁判所に関するローマ規程 戦争犯罪と戦後補償(藤田久一) 知識人の戦争責任(鶴見俊輔) 東京裁判の鳥瞰図(アントニオ・カッセーゼ) 東京裁判の開廷(J・ B・ キーナン) 戦争の罪を問う(カール・ヤスパース) 文化と国家(南原繁) きけ わだつみのこえ(日本戦没学生記念会(わだつみ会)編) 更生日本の針路(石橋湛山) 国際連合憲章(前文) 不可触賤民の撤廃から非暴力へ(ガンディー) 民族と平和(矢内原忠雄) 不戦条約 非戦(内村鑑三) 差別の撤廃 国境なき医師団 難民支援(緒方貞子) 世界人権宣言 日本における赤十字思想の普及(日本赤十字社/石黒忠悳) 足尾鉱毒反対運動(田中正造) ソルフェリーノの思い出(アンリ・デュナン)

・人道主義と反戦平和主義をめぐる問題 ジャン・ピクテ『国際人道法の発展と諸原則』より:  私たちは戦争を違法化したことを大いに歓迎すべきである。しかし、この成果を得るための代償を忘れてはならない。一度戦争が違法化されると、いかなる国家も宣戦布告するという罪を負いたがらない。そのため残念ながら、戦争は以前のように繰り返され、当事者は誰も戦争をしていることを認めようとはしなくなる。当然、国家は紛争に加担していることを否定するので、武力紛争法を適用したがらないわけである。  戦争を禁止したもう一つの結果は、『正義の戦争』という古代の神話が再び復活したことである。それは過去に多くの悲劇をもたらしたが、十九世紀に消滅したと思われていた。今日、 戦争は既に述べた三つの場合には正当とみなされており、国連憲章の原則に反する戦争はいかなるものでも違法と考えられている。現代の偉大な政治的イデオロギーの代弁者は、捨て 去ったはずの中世の虚構を再び採り入れているのである。………  [人道法の]違反者が相対的に罪を逃れる場合が幾つかある。その一つが既に言及した「正当性」である。違法な行為は合法的行為の陰に隠れて見えなくなる。換言すれば、禁じられた暴力は許される暴力により覆い隠されるのである。さらに敵対行為から生まれる極度の緊張と憎悪の中で宣告される判決と刑罰は、たとえそれが正当なものであっても、敵にとっては不公平なものと見なされる恐れがある。それにより報復を誘発する可能性もある。  また戦闘員は、最終的な勝利への希望と確信により、何をしても処罰されることはないと思うかもしれない。さらに国家は、自国の軍隊の士気を低下させることを恐れて、彼らが犯した違反行為を処罰したがらない。国家は、自国の将校や閣僚が犯罪者として法廷で尋問されるのを見たがらないものである。そのため戦争犯罪、つまり戦争の法規と慣例への重大な熱意の結果であると考える傾向がある。  戦争を禁止したもう一つの結果は、「正義の戦争」という古代の神話が再び復活したことである。

 戦後平和構築観の変遷とパターン

「裁き」による戦後平和構築のイメージ

核の脅威の下で

Cf. ダブリンにて

参考資料『毎日新聞』2014.10.10 

事例 最新の罵倒のひとつ

問題の重要性 「悲惨な過去を忘却して友好や和解に至ることはで きない」という20世紀後半に完成した価値観は、歴史 に政治的な破壊力をも付与した。 学術研究(の発展)もまた、被害者・当事者の生活を 分断しうる。 記録・保管・拡散のありかたの技術的変化。 学問が憎悪や偏見、レイシズムを扇動する危惧。

「今から三百年前のウェストファリア条約でも、『今日以後、相互の国王の間にも、また相互の国民の間にも、永遠の忘却あるべし』とあるではないか。講和条約に特別の規定、いわゆる大赦条項なるものがなくとも、講和成立と同時に戦犯が釈放されることは、古い国際法の原則ではなかったか。戦争が苛烈であればあるほど、戦争犯罪は戦勝国側にも敗戦国側にもあるのが普通である。その双方が犯した戦争犯罪を相互に永遠の忘却に付してしまうところに真の平和があるのである。……復讐は、戦争終了後七年を経過してなお続行されつつあるのである。これで世界の恒久平和が果たして招来せられるのであろうか。」(瀧川政次郎(初版1952; 新版1978) 『東京裁判をさばく 上』、創拓社。 ↕

参考:「エリゼ条約」

参考サイト: http://truthandreconciliation.info/index.html

おわりに