交通事故 1.交通事故の発生状況 2.自動車損害賠償責任保障法 3.中間責任主義 4.運行供用者 5.運行支配と運行利益

Slides:



Advertisements
Similar presentations
不法行為法の効果 1.序 2.損害賠償の方法 3.損害賠償の主体と複数者の関与 4.損害賠償額の算定 5.損害賠償額の調整 6.損害賠償請求権の特殊問題.
Advertisements

夢の車! 自動運転車 名古屋学院大学 伊沢ゼミ 北村邦彦 清水大靖.
法務部・知的財産部のための 民事訴訟法セミナー
(住所を入力して下さい) 電話 03-●●●●-●●●● FAX 03-●●●●-●●●●
商業:ビジネス基礎 ~ビジネスの担当者~ 保険業者のビジネス.
多々納 裕一 京都大学防災研究所社会システム研究分野
求償・免責について 第三者加害行為事案に伴う事務
求償・免責について 第三者加害行為事案に伴う事務
法律行為(契約) 民法上の法律行為の代理 商法行為の代理
秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然として知られていないもの(不2Ⅳ)
医療事故 2002.6.7.
特殊の不法行為 1.特殊の不法行為の種類分け 2.責任無能力者の監督者の責任 3.使用者の責任 4.共同不法行為
債権者代位権とその転用 名古屋大学大学院法学研究科 加賀山 茂.
ネットワーク上の不正行為に関する使用者責任の検討
スポーツ事故法律相談 リスクマネジメント.
自動車のリスク 2002.9.15.
大阪大学大学院国際公共政策研究科 教 授 大久保 邦彦
「事 務 管 理」 の 構 成 債権 第一章 総則 第二章 契約 第三章 事務管理 第四章 不当利得 第五章 不法行為.
災害補償制度の概要 平成21年8月21日 地方公務員災害補償基金 富山県支部.
法と経済学研究 2016年度 麻生良文.
第一回のテーマ: 1.「介護トラブル」予防のポイントとなる、契約書の説明の仕方を研究する。.
大阪大学大学院国際公共政策研究科 教 授 大久保 邦彦
2012年度 民事訴訟法講義 秋学期 第12回 関西大学法学部教授 栗田 隆
債権 債 権 法 の 構 造 (不法行為法:条文別) 第709条 不法行為の要件と効果 第710条 非財産的損害の賠償
経済活動と法 ~不法行為~ <製造物責任>.
日本における ベイルイン導入の是非 〜否定派〜
脳性麻痺による損害賠償請求の現状について
第05回 2009年11月04日 今日の資料=A4・5枚 社会の認識 「社会科学的発想・法」 第05回 2009年11月04日 今日の資料=A4・5枚
模擬裁判2008 ~ウルトラマンは正義か?~ 事件の概要.
情報法 第6講 情報不法行為(2) プロバイダ責任.
一般の不法行為 1.不法行為の成立 2.故意・過失 3.権利侵害ないし違法性 4.違法性をめぐる問題 5.違法性と過失の関係 6.責任能力
人権と教育基本法.
第1講 保険の本質と代位 保険法2条6号   「損害保険契約 保険契約のうち、保険者が一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補することを約するものをいう。」 保険法2条8号   「生命保険契約 保険契約のうち、保険者が人の生存又は死亡に関し一定の保険給付を行うことを約するもの…をいう」   *旧商法673条には、「一定の金額を支払う」とされていた。
2016年度 民事訴訟法講義 秋学期 第11回 関西大学法学部教授 栗田 隆
請求権競合論 1.請求権競合論とは 2.問題点1,2 3.学説の対立 4.請求権競合説 5.法条競合説 6.規範統合説
第6講 保険事故論 保険事故の「偶然性」とは?
保険募集における 代理店賠責の必要性 御社に所属している代理店は大丈夫ですか? 一般社団法人 日本損害保険代理業協会
団体人身意外傷害保険の手配をお勧めいたします。 *ご注意:疾病、重大疾病などは、免責となります。
(安全衛生活動についての基礎研修) 安全配慮義務とは?
埼玉県自転車の安全な利用の 促進に関する条例の一部改正
第8回 商法Ⅱ        2006/11/ /11/8.
2018/11/8 民 法 の 構 造 (編別) 事務管理・不当利得・不法行為.
~多くの人を不幸にする 自転車事故が起こる前に~
法教育における アニメーションの効用 明治学院大学法科大学院 加賀山 茂 2018/11/8 法教育におけるアニメーションの効用.
第1講 保険の本質と代位 保険法2条6号   「損害保険契約 保険契約のうち、保険者が一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補することを約するものをいう。」 保険法2条8号   「生命保険契約 保険契約のうち、保険者が人の生存又は死亡に関し一定の保険給付を行うことを約するもの…をいう」   *旧商法673条には、「一定の金額を支払う」とされていた。
2008年度 倒産法講義 民事再生法 7 関西大学法学部教授 栗田 隆.
交通事故統計 (H24全国) 九州大学大学院 システム情報科学研究院 志堂寺 和則.
中学生の自転車交通事故防止 自己紹介等を行う画面です。 左クリック1回で次の画面に変わります。 福島県郡山警察署.
Claim Report 公衆責任保険の事例紹介 重要事項 結果 支払保険金額
2012年度 破産法講義 10 関西大学法学部教授 栗田 隆 破産債権(2) 共同債務関係にある債務者 在外財産からの満足.
健康・安全〔事故〕 自転車に乗り 「ながらスマホ」は犯罪? ■指導のねらい  自他の安全面に配慮した行動ができる。
技術相談申込書 受付番号: 受付日:平成 年 月 日 貴社名 部署・役職 お名前 ご連絡先 【ご相談の内容】 相談タイトル:
第3回 物権法総説(物権と債権;所有と占有);所有権(所有権の意義;物権的請求権;所有権の取得原因);占有権(占有の意義;占有と取得時効)
2016年度 民事訴訟法講義 11 関西大学法学部教授 栗田 隆
第13回 法律行為の主体②-b(無権代理、表見代理)
行政と行政法 法律による行政の原理 (法治主義)
「行政法1」 administrative Law / verwaltungsrecht 担当:森 稔樹(大東文化大学法学部教授) Toshiki Mori, Professor an der Daito-Bunka Universität, Tokyo 行政行為その2 行政行為の効力.
2013年度 民事訴訟法講義 10 関西大学法学部教授 栗田 隆
2018年度 民事訴訟法講義 秋学期 第12回 関西大学法学部教授 栗田 隆
「不 当 利 得」 の 構 造 債権 第一章 総則 第二章 契約 第三章 事務管理 第四章 不当利得 第五章 不法行為.
法務部・知的財産部のための 民事訴訟法セミナー
1.詐害行為取消権の法的性質 2.詐害行為取消権の要件 客観的要件 主観的要件
第2回 商法Ⅰ 2007/04/24.
保険目的 コンピューター保険 今回はコンピューター保険について簡単に説明いたします。
建設工事保険 (1)工事物の物的損害  工事着工から工事完成の引渡しまでの間に工事現場で発生した自然災害や不測かつ突発的な事故により保険の目的(工事の目的物、材料等)に生じた損害につき保険金をお支払いする保険です。 (2)第三者賠償責任 事故が発生した際、その付近の第三者に対し、人的損害、物的損害を引き起こし、法律上賠償責任が生じた場合、その支払いについてもこの保険をお使いになれます。
第10回 商法Ⅱ 2006/12/11.
法と経済学(Law and Economics)
事故件数、負傷者数、死者数の推移 昭和 平成 (平成28年における交通事故の発生状況) (平成28年における30日以内交通事故死者の状況)
自動車安全文化論 九州大学大学院 システム情報科学研究院 志堂寺 和則
求償・免責について 第三者加害行為事案に伴う事務
Presentation transcript:

交通事故 1.交通事故の発生状況 2.自動車損害賠償責任保障法 3.中間責任主義 4.運行供用者 5.運行支配と運行利益 6.賠償額の定額化=低額化 7.今後考えるべき問題点

Traffic deaths per 100,000 population in individual representations 1970 - 2002

交通事故件数と死亡者数の変遷

過去10年間(平成4年~平成14年)の死者数の推移 http://www.npa.go.jp/toukei/koutuu1/home.htm 過去10年間(平成4年~平成14年)の死者数の推移 http://www.npa.go.jp/toukei/koutuu1/home.htm

自動車損害賠償責任保障法 (昭和30年7月29日) 特殊の不法行為における特別法による不法行為類型 中間責任主義 運行供用者責任という概念

中間責任主義 運行供用者の3つの免責事由 強制的な賠償責任保険制度 1.自己および運転者に運行上の不注意がなかったこと 2.被害者または運転者以外の第三者の故意・過失があったこと 3.自動車の構造上の欠陥または機能に障害がなかったこと 強制的な賠償責任保険制度 直接請求権(16条)

運行供用者 運行供用者とは 責任を負う者 自己のために自動車を運行の用に供する者 事故運転者 運行供用者(事故車の使用権を有する者、事故車を現実に支配管理する者) 使用者および代理監督者 親権者(未成年者の場合)

運行支配と運行利益 運行支配(危険責任)と運行利益(報償責任)による二元論的説明 抗弁説による一元的説明 運行支配と運行利益   運行支配(危険責任)と運行利益(報償責任)による二元論的説明 抗弁説による一元的説明 運行支配・運行利益を内包する法的地位の原因の立証にたいする抗弁で免責可能となる。 運行支配 運行利益

事例 限界的な肯定例 限界的な否定例 運転者 無断運転---被用者の勤務時間外の私用運転についての使用者 経済的に生活を自己に全面的に依存する未成年者に自動車を買い与えた父(所有者・名義人とも未成年者本人) 使用貸借、賃貸借の貸主---レンタカー業者(否定判例は後に実質的に変更) 陸送業者、修理で預かった自動車修理業者(被用者の起こした事故) 限界的な否定例 担保者---所有権留保売主 泥棒運転---盗難車の所有者(管理が行き届いていたと考えられる事例) 運転者 運行供用者以外の者は原則として損害賠償請求権者たる「他人」に当たる。 肯定例 最判昭和47年5月30日民集26巻4号898頁(「妻は他人」判決) 否定例 泥棒運転の同乗者、無謀運転をさせた同乗者

賠償額の定額化=低額化 人損(人身被害)に限る。物損のみが生じた場合は民法による。 損害の定額化・定型化 低額化 実務処理での効率化 公平性 安い命の値段 自動車損害賠償保障法施行令 第2条 イ 死亡による損害につき3,000万円 人身賠償におけるモデルとなってしまった。

今後考えるべき問題点 なぜ交通事故は減らないのか? 現行法制度は不十分なのか? 被害者の救済は充分か? 法による解決はそもそも無理なのか? 法律学としては何をすれば良いのか?