河野孝太郎(天文学教育研究センター) kkohno@ioa.s.u-tokyo.ac.jp 平成22年4月27日.

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口径合成によるメーザー源の 時間変動の観測 SKA に向けて 岐阜大学 高羽 浩. 東アジア VLBI 網の 22GHz 日本 野辺山 45m 、鹿島 34m 、 高萩、日立、つくば、山口 32m 、 VERA20m× 4 北大、岐阜大 11m 、水沢 10m 韓国 KVN20m× 3+測地 20m.
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教育学部 自然環境教育課程 天文ゼミ 菊池かおり
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河野孝太郎(天文学教育研究センター) kkohno@ioa.s.u-tokyo.ac.jp 平成22年4月27日

本日のスケジュール(14:30~17:30) 実習参加者顔合わせ 実習概要説明 事前講義 実習準備 河野孝太郎(指導教員) 五十嵐創(チューター、修士2年) 岡田一志、高橋亘、前田和宏 実習概要説明 事前講義 電波干渉計とは 電波望遠鏡によるイメージングとは ほか 実習準備 観測天体の検討

「電波干渉計」実習のねらい 電波干渉計とは? 電波干渉計を使った観測の特徴は? 電波干渉計を使った観測では、どのような「物理量」を測定・取得しているのだろうか? 答え(複素)visibility それって何? 得られた「visibility」という測定結果から、どのように天体の画像が得られるのだろうか? 天体の画像から、どのような天文学的情報を得ることができるだろうか?

次世代の超大型地上観測装置ALMA (アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計) キャッチフレーズ:「理論家でも使える電波望遠鏡」

実習の意義 装置を「ブラックボックス」として使う人 よく理解した上で使う人 出てきた結果に何か問題があったとき、それがどの程度「あぶない」のか判断できない。間違っている観測をそのまま論文にしてしまう、、「偉い先生」にありがち。 よく理解した上で使う人 装置性能ギリギリに挑む観測(遠方の銀河からの極めて微弱な信号を捕らえたい、ブラックホール近傍の極めて小さい空間構造を見分けたい、系外惑星からの小さくて微弱な信号を探したい、などなど)→装置の原理を理解した上で、徹底的に性能を引き出すことができる。出てきた結果の、どこまでを信頼し、どこからを疑うべきか?が判断できる。

実際に観測→データ解析を経験 Visibilityの取得→像合成に至るプロセスを体験的に理解 観測結果を制限するさまざまな要素 素子数の影響は? 感度 イメージングの「質」 特に大気の影響とは? 透過率(観測の感度に影響) 安定性→位相揺らぎ(観測の空間分解能に影響)

観測する天体の候補 近傍(距離~数Mpc)の爆発的星形成銀河(starburst銀河) IC342, Maffei 2, NGC 1068, M82, NGC 3079, M51, NGC 6946 波長2.6mmにある、一酸化炭素分子(CO)からの回転遷移放射(J=1→0放射)輝線 2.6mm帯連続波放射も?(特にMaffei 2では) HII領域からの、自由ー自由遷移放射が見える。

観測候補天体 観測視野:約1分角(黄色の丸) NGC 6946 Maffei 2

観測候補天体の位置 @2010/5/3

ISM under extreme conditions: starburst, AGN Optical ISM under extreme conditions: starburst, AGN M82 X-ray

Radio to infrared spectrum of the starburst galaxy M82

観測結果から得られる情報 爆発的星形成や、活動銀河核などの活動現象の「燃料」となる、高密度な分子ガスの分布および量。 銀河の内部における、星間ガスの運動の様子。 銀河の、ある半径における回転速度(輝線の速度幅) その半径内で、重力的に束縛されている質量(力学質量)。 ガスのみならず、星、および暗黒物質の総質量がわかる。

実習で使う「道具」 AIPS UVPROC2 ds9 干渉計データの解析(リダクション)に使用。今回の実習では、主に、一次処理が済んだ(calibrationが済んだ)visibilityデータの像合成やその解析に利用。あと、データの表示にも利用。 UVPROC2 干渉計の生データ(raw visibility data)のcalibration(一次リダクション)で主に使用。 ds9 画像の表示。FITS viewer。特に他の波長の画像との比較に便利。 注意:今回の実習は、これらの道具に習熟することは目的としていない。あまり深入りするなかれ。

実習スケジュール 集合:2010/5/2 14:00 JR野辺山駅集合 解散:2010/5/4 16:30 JR野辺山駅にて解散 新宿11:00発あずさ13号→12:59小淵沢発、13:14小淵沢発→13:47野辺山着、など。 解散:2010/5/4 16:30 JR野辺山駅にて解散 たとえば、野辺山発16:59→17:29小淵沢着、17:41小淵沢発スーパーあずさ28号→19:36新宿着、など。 到着初日(5/2)の午後から観測準備、観測開始 2日目(5/3):観測の続き+解析、NRO見学 3日目(5/4):得られたデータを使った物理量等の導出

持ち物など 夜はものすごく冷えます!(標高1300m)厚手のコート類を持参しましょう。 国立天文台野辺山の宿舎に泊まります。 タオル、バスタオルは備え付けのものがあります。 他に必要なものがあれば、各自持参のこと。 筆記用具、ノート類

関連情報URL 実習情報 国立天文台野辺山 気象情報 NASA Extragalactic Database (NED) http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/~kkohno/wiki/index.php?Observations  国立天文台野辺山 気象情報 http://www.nro.nao.ac.jp/~nro45mrt/obs/weather/weath_log.html NASA Extragalactic Database (NED) http://nedwww.ipac.caltech.edu/