北海道大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻 地球流体力学研究室 M1 山田 由貴子

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北海道大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻 地球流体力学研究室 M1 山田 由貴子 2002/12/03 Msemi (?) ごくらく AGCM 入門 北海道大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻 地球流体力学研究室 M1 山田 由貴子

はじめに 現在のお勉強 本日のお話 地球流体電脳倶楽部版 AGCM5 地球の絵のお絵描き屋さん …の予定 数値モデル AGCM 2002/12/03 Msemi はじめに 現在のお勉強 地球流体電脳倶楽部版 AGCM5 地球の絵のお絵描き屋さん …の予定 本日のお話 数値モデル AGCM 地球流体電脳倶楽部版 AGCM の特徴 ごくらく AGCM 体験-図示して見る ! http://www.gfd-dennou.org/arch/agcm5/

数値モデルの分類 物理(力学/物理), 化学, 生物, 結合 空間: Box(0次元), 1次元, 2次元(水平鉛直), 3次元 2002/12/03 Msemi 数値モデルの分類 物理(力学/物理), 化学, 生物, 結合 空間: Box(0次元), 1次元, 2次元(水平鉛直), 3次元 Box, EBM, 放射対流バランス, 力学モデル, GCM(力学+物理過程のパラメータ化) 現実のシミュレーション, 特定の過程を取り出す 予報モデル(prognostic), 診断モデル(diagnostic) GCM: AGCM, OGCM, CGCM 格子点法: 有限差分法, スペクトル法(球面調和関数)

AGCM (大気大循環モデル) 大気力学過程物理過程 境界条件, 初期条件 大気力学過程 物理過程 2002/12/03 Msemi 運動方程式, 熱の式, 連続の式, 水蒸気の式, 状態方程式 物理過程 パラメタリゼーション 積雲, 対流, 放射, 鉛直拡散, 地表面フラックス 境界条件, 初期条件

モデル座標系, 解像度 水平格子 鉛直レベル 2002/12/03 Msemi 偽スペクトル法 球面調和関数展開 T42 (格子点 128 x 64) 鉛直レベル 座標系 Arakawa and Suarez (1983) のスキーム 16 層

大気力学過程 (モデル方程式系) 2002/12/03 Msemi (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (9) (12) (8) (10) (11)

物理過程: 積雲パラメタリゼーション 湿潤対流調節 (Manabe et al.,1965) 2002/12/03 Msemi 水は凝結するとすぐ取り除かれ, 雲や雨は存在しない 隣り合った層において, 湿潤不安定になるとその温度減率は湿潤調節減率を超えない. 隣り合った層同士は平衡である. エントロピー保存の式(乾燥大気) 乾燥断熱減率: 概念図 下の方が大きくなったら上にそろえる これを繰り返す

物理過程: 大規模対流 大規模対流 方程式 2002/12/03 Msemi 湿潤対流調節後に適用. 比湿が平衡値を超えた時に各格子間で対流が起きる. 凝結した水は雨としてすべて大気から除去され雲はない. 方程式 対流の起きる条件 対流後の値 ニュートン法によって得られる解 降水量の計算

物理過程: 放射 太陽入射 赤外放射 2002/12/03 Msemi 太陽入射の散乱, 吸収は考えない 雲や雨は無いものとする. SST は固定し, 短波放射による影響は考えない 赤外放射 水蒸気 3 バンドと乾燥大気 1 バンドの吸収帯 散乱は考えない 現実大気の吸収量に近い吸収係数を選択

Mellor and Yamada(1974) レベル 2 サブグリッドスケールの乱流拡散のパラメタリゼーション 全層にわたって適用 2002/12/03 Msemi 物理過程: 鉛直拡散 Mellor and Yamada(1974) レベル 2 サブグリッドスケールの乱流拡散のパラメタリゼーション 全層にわたって適用

物理過程: 地表面フラックス バルク法 定義 2002/12/03 Msemi 運動量, 熱, 水蒸気の地表面とのやりとり 運動量フラックス 熱フラックス 水蒸気フラックス バルク輸送係数: Louis et al. (1982) によって決める

境界条件 水惑星 固定 SST 分布 初期条件 等温大気, 初期擾乱 2002/12/03 Msemi 境界条件, 初期条件 境界条件 水惑星 固定 SST 分布 初期条件 等温大気, 初期擾乱

アンサンブル平均 複数の異なる初期値からはじめてそれらの値の平均をとる 2002/12/03 Msemi 実験手法 アンサンブル平均 複数の異なる初期値からはじめてそれらの値の平均をとる アンサンブル実験データの概念図 アンサンブル実験手順の概念図 Toyoda et al. (1999) http://www.nagare.or.jp/mm/99/toyoda/japanese/setting.htm

地球流体電脳倶楽部版 AGCM5 make による管理: NAMELIST の利用: C プリプロセッサ : gt3-dcl5 : 2002/12/03 Msemi 地球流体電脳倶楽部版 AGCM5 make による管理: 実行ファイルの生成. Mkinclude で 物理過程, 解像度, 計算機環境の指定 NAMELIST の利用: Fortran の機能 例… C プリプロセッサ : Fortran 使用機種依存部の前処理 gt3-dcl5 : ファイル形式: gtool3 (gtool :格子点データ解析ツール) 描画 : dcl5 (dcl :地球流体電脳ライブラリ)

実行 実行に必要なもの 出力データ 実行ファイル: make で生成 NAMELIST ファイル: 初期値ファイル: 境界値ファイル: 2002/12/03 Msemi 実行 実行に必要なもの 実行ファイル: make で生成 NAMELIST ファイル: 初期値ファイル: 境界値ファイル: 出力データ 出力間隔: 50 日 データ種類: u,v,t,evap,olr,rain, …等 リスタートファイル: 次の積分に使用 手動で作成. 設定しなければデフォルト値 微小擾乱を加えた等温静止大気が 用意されている orリスタートファイル 様々な SST 分布を生成するプログラムが 用意されている. 水惑星.

結果 実演 AGCM5 お絵描きギャラリー 実行 解析 アンサンブル平均: 50 日x128 実験設定: 2002/12/03 Msemi ./work/agcm5.3-20020620/bin/agcm5.t21l12moist < NAMELIST 解析 gtcont –sw:lalt=T –sw:lwait=F –greset z=4 v.data gtcont –sw:lalt=T –sw:lwait=F x=0 u.data gtcont –sw:lalt=T –sw:lwait=F rain.data AGCM5 お絵描きギャラリー アンサンブル平均: 50 日x128 実験設定: SST分布を変える: 標準実験, 3.4 K

今後・・・ SX6 で様々な SST 分布の計算 gtool3 でいろんな絵を描く 水惑星 & AGCM のお勉強 参考文献 2002/12/03 Msemi 今後・・・ SX6 で様々な SST 分布の計算 gtool3 でいろんな絵を描く 水惑星 & AGCM のお勉強 お粗末さまでした. 参考文献 地球流体電脳倶楽部版 AGCM5: http://www.gfd-dennou.org/arch/agcm5/ gt3-dcl5: http://www.gfd-dennou.org/arch/gtool 豊田英司, 中島健介, 石渡正樹, 林祥介, 1999: 熱帯大気の暖水域に対する応答: アンサンブル水惑星実験による時間発展の抽出, ながれマルチメディア 1999, http://www.nagare.or.jp/mm/99/toyoda/japanese/setting.htm